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- 抗ウイルス剤
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Japanese Journal
- マラビロク (シーエルセントリ^【○!R】錠150mg) の薬理学的特徴および臨床試験成績
- 檜杖 昌則
- 日本薬理学雑誌 136(6), 349-358, 2010-12-01
- マラビロクは,HIV(human immunodeficiency virus)が宿主細胞に侵入する際に補受容体として利用するCCケモカイン受容体5(CCR5)に対して選択的に作用するCCR5阻害薬である.既存の抗HIV薬とは異なり,細胞膜上のCCR5に結合してHIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120とCCR5との結合を遮断することによりCCR5指向性HIV-1の細胞内への侵入を阻害するという …
- NAID 10027909441
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
シーエルセントリ錠150mg
組成
1錠中:
有効成分
添加物
- 結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、青色2号、大豆レシチン、マクロゴール、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、タルク、酸化チタン
禁忌
効能または効果
- 本剤による治療にあたっては、指向性検査を実施すること。
- CXCR4指向性HIV-1感染患者、CCR5/CXCR4二重又は混合指向性HIV-1感染患者には、投与しないこと。なお、急性期及び無症候期の患者では主にCCR5指向性ウイルスが検出されるが、進行したHIV-1感染症ではCXCR4指向性及び二重/混合指向性ウイルスが検出される患者の割合が増加することが知られている。
- 小児HIV-1感染症に対しては、本剤投与による有効性及び安全性が確立していない。
- 通常、成人にはマラビロクとして1回300mgを1日2回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬を併用し、併用薬に応じて適宜増減すること。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。
- CYP3A阻害剤又はCYP3A誘導剤と併用する場合には、下表を参照し、本剤の用量調整を行うこと。[「相互作用」の項参照]
- 1回300mg、1日2回を上回る用法・用量での有効性及び安全性は確立していない(投与経験がない)。
併用薬
以下の強力なCYP3A阻害剤(CYP3A誘導剤の有無を問わない):
・プロテアーゼ阻害剤(tipranavir/リトナビルを除く)
・デラビルジン
・イトラコナゾール、ケトコナゾール、クラリスロマイシン
・その他の強力なCYP3A阻害剤(nefazodone、テリスロマイシン等)
併用薬
tipranavir/リトナビル、ネビラピン、ラルテグラビル、あらゆるNRTI及びenfuvirtide等のその他の併用薬
併用薬
以下の強力なCYP3A誘導剤(強力なCYP3A阻害剤の併用なし):
・エファビレンツ、エトラビリン
・リファンピシン
・カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン
等
- 本剤の用量:600mg1日2回
- 腎機能障害(CLcr<80mL/min)があり、強力なCYP3A4阻害剤を投与している患者では、腎機能の低下に応じて、次の投与間隔及び投与量を目安に投与すること。ただし、これらの投与間隔の調節に対する有効性及び安全性は確立されていないため、患者の臨床症状等を十分に観察すること。(外国人のデータに基づく)[「薬物動態」の項参照]
併用薬
強力なCYP3A4阻害剤を併用しない時又はtipranavir/リトナビル併用時
- クレアチニン クリアランス <80mL/min
投与間隔の調節は必要ない(300mgを12時間毎)
併用薬
ホスアンプレナビル/リトナビル併用時
- クレアチニン クリアランス <80mL/min
150mgを12時間毎
併用薬
強力なCYP3A4阻害剤の併用時:
サキナビル/リトナビル併用時
ロピナビル/リトナビル、ダルナビル/リトナビル、アタザナビル/リトナビル、ケトコナゾール等
- クレアチニン クリアランス <80mL/min
150mgを24時間毎
- 併用する抗HIV薬の用法及び用量に関する情報は、それらの薬剤の添付文書を参照すること。
慎重投与
- 重篤な心疾患又はその既往歴のある患者[心筋虚血等をおこすおそれがある。(「重大な副作用」の項参照)]
- 肝機能障害のある患者又はB型・C型肝炎の患者[肝機能が悪化するおそれがある。(「重大な副作用」の項参照)]
- 腎機能障害(CLcr<80mL/min)のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)]
- 起立性低血圧の既往歴がある患者又は降圧作用を有する併用薬の投与を受けている患者[起立性低血圧をおこすおそれがある。]
重大な副作用
次のような症状があらわれた場合には、症状に応じ、休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心筋虚血
(0.5%未満)
肝硬変、肝不全、肝酵素上昇、肝機能検査異常
(0.5%未満)
肺炎、食道カンジダ症
(0.5%未満)
胆管癌、骨転移、肝転移、腹膜転移
(0.5%未満)
汎血球減少症、好中球減少症、リンパ節症
(0.5%未満)
幻覚
(0.5%未満)
脳血管発作、意識消失、てんかん、小発作てんかん、痙攣、顔面神経麻痺、多発ニューロパシー、反射消失
(0.5%未満)
白内障
(0.5%未満)
呼吸窮迫、気管支痙攣
(0.5%未満)
膵炎、直腸出血
(0.5%未満)
筋炎
(0.5%未満)
腎不全、多尿
(0.5%未満)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(0.5%未満)
薬効薬理
作用機序20)
- マラビロクは、HIVが細胞に侵入する際に利用する補受容体であるCC Chemokine Receptor 5(CCR5)阻害剤である。マラビロクは、細胞膜上のCCR5に選択的に結合し、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120とCCR5との相互作用を遮断することにより、CCR5指向性HIV-1の細胞内への侵入を阻害する。なお、マラビロクは、CXCR4指向性及びCCR5/CXCR4二重指向性HIV-1の細胞内への侵入を阻害しない。
抗ウイルス作用(in vitro)20),21)
- CCR5指向性HIV-1初代臨床分離株43株においてマラビロクの抗ウイルス活性を評価した結果、マラビロクのIC90値はウイルスのサブタイプ間で有意な差はなく、その平均値は血清補正後の非結合型濃度として0.57ng/mLであった。一方、CXCR4使用ウイルス注)に対する抗ウイルス作用は示さなかった。HIV-2に対するマラビロクの抗ウイルス活性は検討されていない。
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI:アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、スタブジン、テノホビル、ザルシタビン、ジドブジン)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI:デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン)、プロテアーゼ阻害剤(PI:アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル)、又はHIV融合阻害剤(enfuvirtide)とマラビロクを併用した場合、抗ウイルス活性に拮抗作用は認められなかった。
注)CXCR4使用ウイルス:CXCR4指向性又はCCR5/CXCR4二重指向性ウイルス
耐性
In vitro試験22)
- CCR5指向性HIV-1臨床分離株2株を連続継代培養した結果、マラビロクに対する感受性が低下した変異株が分離された。これらのマラビロク耐性ウイルスはCCR5指向性を維持しており、CXCR4指向性又はCCR5/CXCR4二重指向性への変化は認められなかった。
表現型耐性
- マラビロク耐性ウイルスの特徴は、in vitro抗ウイルス作用試験でマラビロクが100%阻害作用を示さないことであった。表現型耐性の指標として通常用いられるIC50値は、マラビロクに対する感受性の低下にもかかわらず変動しない場合があり、表現型耐性の判定には有用ではない。
遺伝子型耐性
- アミノ酸残基の変異はgp120に集中していた。しかしながら、変異の部位は分離株ごとに異なっており、これらの変異とマラビロク感受性との関連は明らかではない。
交差耐性23)
- 培養細胞を用いた系で、マラビロクは、NRTI、NNRTI、PI及びenfuvirtideに耐性を有するHIV-1臨床分離株に対し、抗ウイルス活性を示した。
In vitroで生じたマラビロク耐性ウイルスは、enfuvirtide及びサキナビルに対し、感受性を維持していた。
臨床試験
- 抗HIV薬による治療歴のあるCCR5指向性HIV-1感染患者を対象とした試験(試験A4001027及び試験A4001028)において、スクリーニング期からベースライン時までの間(4〜6週間)で、7.6%の被験者のウイルスの指向性がCCR5指向性からCXCR4指向性又は二重/混合指向性へ変化した23),24)。
また、抗HIV薬による治療歴のない患者を対象とした試験(試験A4001026)において、スクリーニング期からベースライン時までの間(4〜6週間)で、3.6%の被験者のウイルスの指向性がCCR5指向性からCXCR4指向性又は二重/混合指向性へ変化した。
CXCR4使用ウイルスを伴う治療の失敗23),24)
- マラビロクによる治療が成功しなかった患者の約60%において、治療失敗時にCXCR4使用ウイルスが検出された。これに対し、プラセボ群(最適背景療法の併用)の治療失敗例でCXCR4使用ウイルスが検出された患者数は6%であった。これらのCXCR4使用ウイルスの起源を検討するため、治療失敗時にCXCR4使用ウイルスが検出された20例(マラビロク群16例、プラセボ群4例)のウイルスのクローン分析を行った結果、CXCR4使用ウイルスは、指向性変異(CCR5指向性ウイルスがCXCR4指向性に変化した)によるのではなく、治療前の指向性検査では検出することのできなかったわずかな量のCXCR4使用ウイルスに由来することが示唆された。
ベースライン時にはCCR5指向性ウイルスを有したがその後CXCR4使用ウイルスが検出され治療が失敗した患者のうち38例で、投与中止後35日間以上の追跡観察を行った。これら38例のうち、最終観察までにCCR5指向性に戻らなかった症例は、3例のみであった。
CXCR4使用ウイルスが検出された治療失敗時の他の抗HIV薬に対する耐性パターンは、ベースライン時のCCR5指向性ウイルスと変わらなかった。したがって、抗HIV薬療法を選択する際には、ベースライン時には検出できないCXCR4使用ウイルスが、ベースライン時に検出されるCCR5指向性ウイルスと同じ耐性パターンを有している可能性を考慮する必要がある。
CCR5指向性ウイルスを伴う治療の失敗23),25),26)
表現型耐性
- マラビロクによる治療の失敗時にCCR5指向性ウイルスが検出された58例中、22例でマラビロクに対する感受性が低下したウイルスが認められた。一方、他の36例では感受性の低下はみられなかった。これらの症例では、コンプライアンスが不良であったことを示唆する血中濃度の低値あるいはばらつきが認められた。
遺伝子型耐性
- V3ループのアミノ酸変異は多様であり、また現時点では検討例が少数のため、マラビロクに対する感受性低下と関連した特定の変異は明らかではない。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 4,4-Difluoro-N-[(1S)-3-{(1R,3s,5S)-3-[3-methyl-5-(propan-2-yl)-4H-1,2,4-triazol-4-yl]-8-azabicyclo[3.2.1]octan-8-yl}-1-phenylpropyl]cyclohexanecarboxamide
分子式
分子量
性状
- マラビロクは、白色〜微黄色の結晶性の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
分配係数(log D)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- maraviroc
- 商
- シーエルセントリ
- 関
- マラビロック
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類