- 英
- sitafloxacin
- 化
- シタフロキサシン水和物 sitafloxacin hydrate
- 商
- グレースビット
- 関
- [合成抗菌剤]]。抗菌薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/19 23:44:48」(JST)
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シタフロキサシン
|
IUPAC命名法による物質名 |
7- [(4S)- 4-amino- 6-azaspiro [2.4] heptan- 6-yl]- 8-chloro- 6-fluoro- 1- [(2S)- 2-fluorocyclopropyl]- 4-oxoquinoline- 3-carboxylic acid |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
℞ Prescription only |
投与方法 |
Oral |
識別 |
CAS登録番号 |
127254-12-0 |
ATCコード |
None |
PubChem |
CID 73011 |
化学的データ |
化学式 |
C19H18ClF2N3O3 |
分子量 |
409.81 |
SMILES
- C1CC12CN(CC2N)C3=C(C=C4C(=C3Cl) N(C=C(C4=O)C(=O)O)C5CC5F)F
|
シタフロキサシン(商品名:グレースビット®)はニューキノロン系の合成抗菌薬。第一三共により創成され、2009年現在は日本のみで上市されている。
特長[編集]
抗菌活性の強い化合物であり、他剤に比べて低いMIC濃度で抗菌活性を示す。同社の発売しているオフロキサシン、レボフロキサシンに比べ、マイコプラズマやクラミジアに対しても十分な活性をもつ。ピロリ菌に対しても抗菌活性を示すため、3次除菌薬として除菌試験の途中で販売中止となったガチフロキサシンの代替薬として有望視されている。
適応症[編集]
同世代のガレノキサシンやモキシフロキサシンがレスピラトリー・キノロンとして上気道・呼吸器感染症にしか適応症がないのに比べ、広い適応症をもつ。
- 咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性・続発性気管支炎、肺炎
- 膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
- 子宮頸管炎
- 中耳炎、副鼻腔炎
- 歯周組織炎、顎炎
引用[編集]
- Gracevit グレースビット (PDF) Daiichi Sankyo Co. January 2008.
Japanese Journal
- 下気道感染症に対するシタフロキサシンの有効性と安全性の検討
- 迎 寛,矢寺 和博,長田 周也 [他],山崎 啓,西田 千夏,川波 敏則,石本 裕士,吉井 千春,井上 直征,野口 真吾,粟屋 幸一,川尻 龍典,今永 知俊,城戸 貴志,長神 康雄,小畑 秀登,松嶋 敦,鈴木 雄
- The Japanese journal of antibiotics 64(5), 281-291, 2011-10-25
- NAID 10030274258
- ガレノキサシン,モキシフロキサシン,シタフロキサシンの実力 (特集 注目される抗菌薬・抗菌薬療法)
Related Links
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- 最近の新薬や添付文書改訂の中から、週に1回、必ず押さえておきたい注目情報をピックアップしてお届けします。(協力:慈恵医大病院薬剤部) 2008年1月25日、ニューキノロン系抗菌薬のシタフロキサシン水和物(STFX、商品名:グレース ...
- 25歳以上のビジネスマンを応援&サポートする『R25』がシタフロキサシンをズバリ解説。R25ならではのわかりやすいシタフロキサシン解説の他、シタフロキサシン関連情報やシタフロキサシン関連コラムも充実。 ... シタフロキサシン(商品名 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
グレースビット錠50mg
組成
有効成分
- シタフロキサシン水和物 53.3mg
(シタフロキサシンとして50mg)
添加物
- D−マンニトール、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール6000、ジメチルポリシロキサン、二酸化ケイ素、カルナウバロウ
禁忌
- 本剤の成分又は他のキノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 (「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 小児等 (「小児等への投与」及び「その他の注意」の項参照)
効能または効果
適応菌種
- 本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア (クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア (クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ (マイコプラズマ・ニューモニエ)
適応症
- ○咽頭・喉頭炎、扁桃炎 (扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
- ○膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
- ○子宮頸管炎
- ○中耳炎、副鼻腔炎
- ○歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
- 本剤は下痢、軟便が高頻度に認められているため、本剤の使用に際しては、リスクとベネフィットを考慮すること (「副作用」の項参照)。
- 通常、成人に対してシタフロキサシンとして1回50mg (錠: 1錠又は細粒: 0.5g) を1日2回又は1回100mg (錠: 2錠又は細粒: 1.0g) を1日1回経口投与する。なお、効果不十分と思われる症例には、シタフロキサシンとして1回100mg (錠: 2錠又は細粒: 1.0g) を1日2回経口投与することができる。
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
- 腎機能が低下している患者では、本剤の血中濃度が上昇するため、投与量、投与間隔を調節すること (「薬物動態」の項参照)。
慎重投与
- 腎機能障害のある患者[高い血中濃度の持続が認められている (「薬物動態」の項参照)。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[類薬で痙攣を起こすとの報告がある。]
- 重症筋無力症の患者1)[類薬で症状を悪化させるとの報告がある。]
- 高齢者 (「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
アナフィラキシー様症状
頻度不明注)
- アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、皮疹、血管性浮腫等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全
頻度不明注)
- 急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害
0.1%未満
- 肝機能障害(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
低血糖
0.1%未満
- 低血糖があらわれることがあり、低血糖性昏睡に至る例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病患者、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。
薬効薬理
抗菌作用
- シタフロキサシンは好気性又は嫌気性のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、非定型菌に対し、幅広い抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア (クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア (クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ (マイコプラズマ・ニューモニエ) などに対して強い抗菌力を示した11)。特に肺炎球菌 (ペニシリン耐性、マクロライド耐性及び多剤耐性肺炎球菌を含む)4, 11, 12, 13) 及び腸球菌属、緑膿菌及び大腸菌 (キノロン耐性大腸菌を含む)11, 14) に対して、他のニューキノロン系抗菌薬に比べ強い抗菌活性を示した。
実験的感染症に対する治療効果
- グラム陽性菌及びグラム陰性菌によるマウス敗血症モデルにおいて、シタフロキサシンはin vitro での抗菌力を反映する感染防御効果を示した11)。また、肺炎球菌による呼吸器感染モデルにおいて、対照とした他のニューキノロン系抗菌薬より優れた治療効果を示した11)。
呼吸器感染症におけるPK/PD解析
- 呼吸器感染症を対象とした臨床試験で実施したPK/PD解析結果から、AUC0-24hr/MIC又はCmax/MICの上昇に伴い、原因菌の消失率が上昇することが確認された。肺炎球菌22株を含む呼吸器感染症の主要原因菌の消失率は、AUC0-24hr/MICが100を超えた場合に96.3% (78/81)、Cmax/MICが5を超えた場合に96.3% (79/82) であった12)。また、肺炎球菌性呼吸器感染症を対象とした臨床試験における肺炎球菌の消失率は、血清中シタフロキサシン濃度を非結合型濃度に換算したfAUC0-24hr/MICが30を超えた場合に98.9% (89/90)、f Cmax/MICが5を超えた場合に100% (69/69) であった13)。
作用機序
- シタフロキサシンは細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに対して阻害活性を示し、殺菌的に作用する。本剤の両酵素に対する阻害活性は、対照とした他のニューキノロン系抗菌薬より強かった11, 15)。さらに、本剤はキノロン耐性菌由来酵素に対しても強い阻害活性を示した11, 16, 17)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- シタフロキサシン水和物 (Sitafloxacin Hydrate)
略名
化学名
- (−)-7-[(7S )-7-Amino-5-azaspiro[2.4]heptan-5-yl]-8-chloro-6-fluoro-1-[(1R ,2S )-2-fluoro-1-cyclopropyl]-1,4-dihydro-4-oxo-3-quinolinecarboxylic acid sesquihydrate
分子式
分子量
性状
リン酸試液にやや溶けにくく、0.1mol/L塩酸試液、アセトニトリル又はメタノールに溶けにくく、エタノール (99.5) に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。光によって淡黄褐白色となる。
(リン酸試液: リン酸50gを水950mLに溶かす)
融点
分配係数