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この項目では、主に実務的な用途のマスクについて説明しています。儀式・演劇・仮装等に使われるマスクについては「仮面」を、ビット単位の操作を行う処理については「マスク (情報工学)」を、その他の用法については「マスク (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
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マスク(英: mask)とは、人体のうち顔の一部または全体に被るもの、または覆うものを指す。頭部まで覆うものを含めることもある。広義では体の他の部分を覆うものもそのように称することがある。
日本語では鼻や口部分を衛生または防護目的で覆うものを指し、意匠としては作業用マスクと衛生マスクに大別される。
口および鼻を覆うことで防護するという一般的な意味でのマスクには、目的により以下のようなものがある。
これらのうち前の2者は衛生マスクに分類され、防護装置と衛生用具の性格を兼ね備える。防塵マスクは防護装置の性格のほうが強く、作業用マスクに分類される。
サージとは手術や処置などの医療行為を指し、本来はそのときに用いる医療用(病気予防用)マスクをサージカルマスクと呼ぶが、風邪や花粉症の患者が用いる一般向けマスクもサージカルマスクである。一般にマスクと言った場合、この種の衛生用マスクを指すことが多いが、医療現場における定義では下記のような規格を通ったもの(外科手術などの際に使われるので外科用マスクともいわれる)を指す。
手術用などのプロ向けには目を防護する透明フィルムが備えられていたり、血液の付着をわかりやすくするなどのため色がついているものがある。SARSが社会的に問題になったときに知られるようになったN95マスクのように、感染症(伝染病)患者に対応するための高性能フィルタを用いたものもある(ちなみに、結核などが疑われた患者もサージカルマスクをするように指導されている)。下記の防塵マスクに多く見られるような硬質素材によるカップ型のものなども、医療現場では用いられることがある。
一般の薬局薬店、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどで手に入るマスクは耳にゴム紐等をかけて装着するが、医療用(とくに手術時などに用いるもの)は、長時間の装着や会話に伴ってズレることがないよう、また顔面への密着性を高めるために、後頭部に紐またはゴム紐をまわして装着する。
マスクの性能を表す指標としてBFE(細菌濾過効率、Bacterial Filtration Efficiency)とPFE(微粒子濾過効率、Particle Filtration Efficiency)がある。前者はマスクによって細菌を含む粒子(平均粒子径3.0±0.3マイクロメートル)が除去され患者への飛沫を防ぐ割合(%)、後者は試験粒子(0.1マイクロメートルのポリスチレン製ラテックス球形粒子)が除去され、装着者へ影響が出ない割合(%)のことである。アメリカ食品衛生局(FDA)では、サージカルマスクの基準をBFE95%以上と規定している。
サージカルマスクや防塵マスクは、異物を吸入しないようにする目的も強いが、このフェイスマスク(衛生管理用マスク、または単に衛生マスクともいう)はみずからが異物(唾液の飛沫など)を飛散させないようにする目的のほうが強い。そのため、マスク本体に用いられるフィルタの素材の性能は、他のものに比較して低く、顔との密着性も低い。一般に簡易マスクと呼ばれることが多い。不織布を1枚程度用いて作られた(1プライという)薄いものがあり、紙マスクとも俗称される。サージカルマスクよりもやや性能の低い(または規格を通っていない)衛生用マスクである。衛生用マスクのうち、その目的に応じて作られた高性能なものがサージカルマスクであると考えるとわかり易い。
同じ不織布製であれば、上記サージカルマスクと見分けをつけるのは困難である。実際、一般向けのサージカルマスクと同じものが用いられることも多い。しかしながら、1プライなど簡易なものはノーズフィットワイヤーなどがないため、それによって見分けることができる。
食品の加工場やクリーンルームで使用するマスクなどがこれにあてはまる(きわめて高い清浄度が要求される場合はこの限りではない)。学校などにおいて生徒がする給食配膳時のマスクも、用途としてはこれである。介護時や医薬品・医療用具・検査機器などを扱うときなどにも用いる。
なんらかの作業にともなって発生する粉塵・ミストなどを吸引しないようにする目的のもので、顔とのすきまを作りにくいよう、カップ型(ドーム型)のものが多い。 排気弁のついたものが多い。 農作業における農薬噴霧時などにも用いられる。
規格上「防じんマスク」と表記され、作業用マスクに分類される。この防塵マスクのフィルタ部に活性炭などを備えた防臭機能付きマスクというのもある(いわゆるガスマスクとは性能・性質が異なる)。
粉塵・ミストなどの量や性質により鼻・口だけを覆うもの(半面形)のほか、顔面すべてを覆うもの(全面形)、さらには顔面すべてを覆うマスク内部に、電動ファン等によって清浄な空気を送気するもの(電動ファン付き呼吸用保護具 PAPR)などが用いられる。
カップ型など形状は同じだが、規格に通っていない簡易型も販売されているが、防じんマスクとは書いていない。 一般的にはカップ型のマスクを総称して防塵マスクと呼ぶことが多い。
N95をはじめとしたマスクの防塵性能(濾過性能)の規格は国によって異なっている。日本では「防じんマスク」の国家検定規格がある。
こうした規格については感染症と保護具を参照されたい。
一般にマスク(衛生用マスク)と呼ばれるものの素材は、ガーゼまたは不織布が多い。
ガーゼは目の粗い布であるが、その反面、通気性がよい。そのため、それを重ねたものが古くからマスクに用いられてきた。12枚、16枚、18枚、24枚、30枚を重ねたものなどがある。12枚合わせのものは上記衛生管理用マスクとして用いられるが、布であるため繊維がほぐれて飛散することは避けられない。よってクリーンルームなどにおいては用いられず、せいぜい食品加工場などで用いられる程度である。一般に不織布マスクよりも防塵性能は低いが、温かく喉の湿度を保てるため風邪を引いたとき、また冬の乾燥期に喉をいたわり風邪を予防したい人が好んで使う[要出典]。ガーゼマスクは、唇や頬にガーゼが接触してしまうため、女性が着用すると口紅やファンデーションで汚れてしまうため、不織布のプリーツマスクや立体マスクが現れてから女性に敬遠される傾向にあったが、SARSの流行以降ぐらいから保湿効果を見直す傾向があり、風邪の時にはガーゼマスク、花粉症にはプリーツマスクと使い分ける女性が増えている[要出典]。
不織布を用いたマスクは現在の主流となっているものだが、医療現場で用いるものというイメージが強かったせいか、つい数年前まではそれを用いる人は多くはなかった。これが普及したのは花粉症患者が多く使用するようになったためであると推察される。すなわち、実験により、花粉防護の性能は安価な使い捨て不織布マスクがいちばんよかったとのことが示される[要出典]などし、従来からのガーゼマスクの性能に不満を覚えていた多くの花粉症患者が用いるようになったことと使い捨てであることが、普及に拍車をかけたとみられる。
素材となっている不織布にはさまざまなものがある。上記のように1枚だけのものはフェイスマスクとして多く用いられるが、一般に出回っているマスクの多くは2 - 3枚を重ねたものが多い。5枚や7枚といったものもある。その場合、顔に当たる素材をコットンを二次加工した不織布としたり、中間の不織布に目の細かい高性能なもの、あるいは電石加工と呼ばれる永久静電加工をほどこしたものを使ったりする。HEPA規格の不織布を用いた高性能なものもある。不織布マスクの多くは使い捨てである。
また、医療・業務用マスクには耳掛け部分が一体となったスポンジ製(厳密に言えばポリウレタンフォーム製)のエバーマスクがあり、医療現場や食品工場などで使用されていたが特に歯科医院で重宝がられていたためエバーマスクは歯科医院で用いられるマスクの代名詞となっていた。エバーマスクは群を抜く防塵効果を誇り、布製のマスクに比べ呼吸がしやすく耳掛け部分もゴム製ではなく口元部分と一体となったスポンジ製であるため長時間使用しても耳が痛くならず、それに加え洗濯して繰り返し再利用できることが経済的であった。また、スポンジ製なのでメガネ着用時に「メガネが曇りにくいマスク」として歯科医院をはじめとする医療関係者を中心に愛用されていた。一時期はプリーツマスクや立体マスクをはじめとする使い捨て不織布マスクがあまりにも急速に普及したため稀有の存在になりかけたものの、最近では花粉症に対する優れた効果とエコの観点から見直されつつあり、医療用マスクの通信販売にて取り扱っている業者も多く存在する。尚、使い捨て式の立体マスクはエバーマスクの長所である耳掛け部分が一体の構造を受け継いでいる。
ガーゼマスクは布を重ねてミシンで縫い合わせたものだが、近年の衛生意識の高まりおよび花粉症患者のニーズに応え、ガーゼの中間に不織布によるフィルターを挟んだものや、不織布マスクで多く用いられるノーズワイヤー(ノーズフィットワイヤーまたはノーズピース)とよばれるプラスチックフィルムで被覆した針金を縫いこんだものがある。ほほに当たる部分にも針金を縫いこんだものもある。ガーゼマスク内部に硬質プラスチックのカップを内蔵したものもある。
西日本地区では不織布やガーゼを化学繊維のナイロンで覆って作られたナイロンマスクも存在する。ガーゼマスクと比較した場合、保温性は劣るものの何度洗っても形崩れせず、しかもマスクに必要な白さを保てるため1980年代まではマスク着用時に顔の表情を大切にする女性に歓迎され、現在でも中年以降の主婦層を中心に愛用者が多い。ナイロンマスクは保温のために口元には当てガーゼを当てて着用するようになっており、製品には必ず当てガーゼが付いているかマスク本体に当てガーゼが縫い付けられているが、小中学生の給食当番時に使用される場合は、当てガーゼ縫い付けタイプの製品は別として製品購入時以外で当てガーゼを使用していたケースは少なかった。尚、小中学校の購買部で販売されていたガーゼマスクは安い値段で購入できたものの当然ながら薄っぺらく、数回の洗濯で形崩れや色褪せを起こすといった代物であったため、少々高いナイロンマスクを着用している児童(生徒)は羨望の眼差しで見られていたが、最近ではガーゼタイプの高機能マスクや不織布マスクの急速な普及によりナイロンマスクの購入が西日本地区においても年々難しくなってきている。しかし、前述したように何度洗っても形崩れしない「エコ」の要素とマスクに必要な白さを保ち黄ばみにくい「清潔感」を兼ね合わせているので給食当番時に使用するマスクに関してはナイロンマスクを指定する小中学校も西日本地区を中心に存在し、また市販での購入が年々難しくなったこともあって通信販売では根強い支持を得ている。
不織布マスクの多くは、蛇腹状に折りたたんだ状態で熱あるいは超音波などによって接着(溶着)加工して製作されており、使用時にはその蛇腹を広げ、鼻から顎までを覆うようにして用いる。近年は立体タイプとよばれる形状のものも多く販売され、市場占有率はかなりのものとなっている。俗にキャシャーンマスク、カラスマスクとも呼ばれる(カラスは鳥のカラスではなく烏天狗にちなむ)。口や鼻の前部に空間ができるため、会話がしやすいことや、女性の口紅がつかないことなどから好む人が多い。欧米で用いられることの多い水鳥のくちばしのような形状の不織布マスクも立体タイプであるが、その形状のためか日本では好まれず、一般向けに販売されてもいない。俗にアヒルマスクとも呼ばれる。蛇腹状の一般的な不織布マスクの中央に横方向に針金を装着し、使用時には立体型とするタイプのものもある。
不織布マスクの上部に通気性のわるい不織布やフィルム等を重ね、呼気によってメガネが曇ることを防止するよう工夫されたものがある。また、同様な部分に黒い不織布やフィルムを重ね、光の反射を防ぐように工夫されたものもある。保湿や花粉キャッチ性能の向上のために、濡れたフィルターを挟み込めるようになっている構造のマスクもある。また、そうしたフィルター(多くはメンソールなどの香りがついている)も市販されている。長期にわたる使用においても雑菌等が繁殖しないよう、抗菌加工されたものもある。
ちなみに、近年ではノーズピースに針金ではなく柔軟性のあるプラスチックが用いられることもあり、廃棄時に分別する必要がない。
呼吸の際に外部からの埃や塵、花粉などを防ぐ用途に用いたり、また、風邪やインフルエンザの感染者のクシャミや咳などでウイルスを含んだ分泌物を外部に広く撒き散らしにくくする効果があり、風邪・インフルエンザに感染している患者は他人に伝染させない為、感染拡大を防ぐ為にマスクを着用する事が求められる。
風邪ウイルスやインフルエンザウイルスはウイルス単体での空気感染では感染はしない。唾などの体液に含まれたウイルスによる飛沫感染によって感染が広がるものである。マスクを着用する事により外部から風邪ウイルス・インフルエンザウイルスの進入、感染を効果的に阻止できる。ただし、間違ったマスクの使用は感染を拡大させる危険性がある[1]。
関西医科大学が行った研究によれば、東京都荒川区立のある小学校での2007年2月5日 - 3月2日におけるインフルエンザ発症率は、マスク着用者で1.9%、非着用者で10.8%であり、マスク着用者の方が有意にインフルエンザ発症率が低いということが明らかになった。 [2]
呼吸の際におけるフィルターという意味で、鼻腔内に挿入するマスクというのが存在する。しかし、風邪や花粉症の際の鼻水のことを考えると、実用性は疑問である。
また、航空機搭乗の際の鼻の乾燥を防ぐための鼻専用のマスクも存在する。呼気に含まれる水分を吸着しやすいように作られ、そのフィルターを通して吸気を行うことにより、鼻粘膜の過剰な乾燥を防ぐ。航空会社によって搭乗者向けに用意されることもあるほか、トラベルグッズとして市販もされている。ハニカムマスクという。
マスクの隙間から侵入する花粉を鼻の直前でブロックするよう、鼻枕なるものが考案されている。脱脂綿をゆるく円筒状に丸めてガーゼでくるみ、鼻の穴の直下(直前)、すなわち上唇の上に置き、上からマスクをする。これにより、花粉の吸引を高率で防ぐことが可能という。
韓国において、防塵マスクのような立体型で、そのマスク前面が透明ビニール、横(周囲)にフィルターを備えたマスクが考案されている。口の動きが見えるため、会話などにおける相手および自分の表情がわかりやすい。
マスクは無地で白色が主であるが、色とりどりの模様のものや、キャラクターが描かれているマスクも存在する。中国の若者がよく着用しており、 个性口罩 と呼ばれている。
欧米においては日常生活の中でマスクをすることはきわめて少ない。実際に花粉症のセルフケアとしてマスクをせよという方法が紹介されることも少ない。そうしたこともあって、花粉症の時期に来日した欧米人が、市中で多くの人がマスクをしているのを見て、なにごとが発生したのかといぶかるという話は有名である。
しかし、昔から欧米人はマスクをしなかったわけではない。大正時代に大流行した「スペイン風邪」の時、欧米でマスクをするようになった。その頃のマスクは巨大で、顔全体を覆うような布マスクであった。特にアメリカでは、当局よりマスクの着用を義務付けられた期間があり警察官や看護婦は市民の手本となるようにマスクを着用していた。
一般に日常生活の中でマスクをすることに抵抗がないのは、日本をはじめとしたアジアである。とくに東南アジアや東アジアの都市部では、排ガスに含まれる粉塵などを吸わないよう、オートバイに乗るときにマスクをするのが一般的な地域もある。「台湾マスク」と俗称される布製のマスクが有名で、日本におけるマスクよりもサイズが大きく、顔のほぼ下半分を覆うような形になっている。また、柄物や色物、さまざまなキャラクター物があり、土産物として購入する観光客も少なくない。
乾燥地域や公害がある地域では防塵マスク、寒冷地では防寒マスクとして機能している。
また、日本ではエチケットではなく自己の感染予防のためにマスクを使う習慣があり、最近の新型インフルエンザの流行においても、多くの人が日常的にマスクを着用している。このような習慣も日本以外には見られず、混雑した車内など特殊な環境以外で一日中マスクをつけている光景は珍しいとされる。
以下は、上記の鼻および口に装着してその防護を行う一般的な意味でのマスク以外のマスクについて述べる。
防塵マスクをさらに高性能化・多用途化したともいえる、「防護マスク」と呼ばれるものがある。粉塵やミストのみならず各種気体成分からの防護も行うもので、目的・用途によりさまざまなものがある。いわゆるガスマスク(防毒マスク)もこれに含まれる。また、ヘルメット等に装着して顔面を保護する透明な素材の「防護面」(いわゆるシールド、フルフェイルシールド)、溶接時の光や飛散する金属粒子から目や顔面を守る「溶接用防護マスク」、潜水作業時に用いられる「潜水用ヘルメット」も作業用マスクに分類される。
医療機器としての一般的な酸素マスクは鼻と口を覆うタイプが用いられ、排気および吸気バルブが備えられたり、予備タンク(リザーバー)が備えられたものもある。しかしながら、ただ単に酸素を送気するのみでは濃度の調節がむずかしいため、ベンチュリーマスクという外気を取り入れる割合が調節できるものも用いられる。こうした酸素マスクは医療目的のみならず、高山への登山の際などにも用いられる。事故などに備えて航空機(旅客機)に備え付けられてもいる。また戦闘機など一部の航空機のパイロットは常に酸素マスクを着用している。酸素ではなく圧搾空気等を密閉したマスク内に送気する作業用マスク(防護マスク)もある。
呼吸器系の疾患や麻痺の患者の呼吸補助のために、鼻を覆って圧搾空気を送気する医療器具をCPAP装置といい、鼻に装着する器具、または装置全体を鼻マスクという。ヘッドギアを備えて鼻への密着性や位置固定能を改善したものもある。いびきや睡眠時無呼吸症などの場合に用いることもある。ナザールマスクともいう。
厚手の布などによって作られ、安眠のために目の部分を覆って遮光するアイマスクは「衛生マスクおよび安眠用眼帯」として同列に意匠分類されている。安眠マスクともいう。ジェルなどを封入し、冷蔵庫で冷やしたり電子レンジで暖めてから目に当て、目の疲労回復のために用いるものもある。いわゆる眼帯も目をマスクする医療用具であるが、一般的にはマスクには含めない。
厚手の布地やニット素材、フリース等により作られ、主に顔面下部を覆うウインタースポーツ時などに用いる防寒用のマスクは、意匠分類上「その他の服飾品」に分類される。
各種栄養成分などが含まれた美容液が塗布され、顔面パックのように用いるシート状のマスクもあり、とくに女性の顔面の美容(美顔)目的で用いられる。シート状でなくても、パックの代わりにマスクという名称が用いられることもある(塗布後、しばらくおいて洗い流したり乾いたものを剥がしたりするタイプ)。スキンケアマスク、ビューティーマスク、フェイスマスク、美容液マスクなどとも呼ばれ、これもマスクではある。成分により化粧品や医薬部外品に分類される。
入浴時などに顔面(とくに顎などの下部)を覆うことで発汗をうながし、小顔にすると称するネオプレーンゴム製などのマスクもある。
危険を伴うスポーツ時の、顔面の防護具(プロテクター)もマスクと呼ばれる。野球における捕手や球審のマスク、フェンシングの金網マスクがある。
マスクとは呼ばないが、剣道・なぎなたにおける面、アメリカンフットボールのヘルメットなども目的は同じである。アイスホッケーのゴールテンダーは過去にマスクスタイルのものを着用していたが、ヘルメットと一体化した頭部も保護できるものに移行した。ボクシングや各種格闘技の練習時に用いるヘッドギアにも顔面を保護するフルフェイスタイプがあり、これもマスクといえなくはない。
いずれも、競技にともなって顔面または頭部へ器具・用具が直撃しないように、または加わった衝撃を弱めるために用いる。
野球用のマスクは一般にクロームモリブデン(クロモリ)合金など金属製のガードが用いられるが、軟式野球においてはポリカーボネートなどの硬質プラスチック製も公認されている。また、内野手の守備練習用として、セーフティーマスク(ディフェンスマスク)もある。
球審用のマスクにいたっては、チタンフレームのマスク(主に硬式用マスク)や、パッド部分が黄色ないしクリーム色のマスクもある。
一般市民向けの防災用具として、炎や煙を避けるためのマスクもある。煙を濾過するものは上記の防護マスクと同様だが、緊急時の避難の際の数分のみ小型ボンベから空気を供給できるフルフェイスタイプ(耐熱性のあるプラスチックフィルムでできたフードを頭からかぶる)などもある。煙の立ち込めているところを、被って突破するための避難時専用であり、消火活動や救助活動向けではない。
とくにスプレー塗装などのときには塗料の飛沫が飛散するが、それが頭部や顔面に付着するのを防ぐために、いわゆる目出し帽のようなマスクが用いられることがある(目出し帽そのものが用いられる場合も多い)。溶剤などの吸引を防ぐためには防護マスクや頭巾状の送気マスクなども用いられる。
顔を覆って隠すことはさまざまな意味合いがある。他人からはわからないということのみならず、装着するマスクがかたどっている神・精霊・動物(実在架空を問わず)等そのものに人格が変化する(神格が宿る)とも信じられ、古くから宗教的儀式・儀礼またはそれにおける舞踏、あるいは演劇などにおいて用いられてきた。こうした性格のものは、日本においては一般的にはマスクといわれず、仮面と称されることが多い。
そうした仮面舞踏(儀礼)は、紀元前4000年ごろにすでに行われていたという。これは当時に描かれたアフリカの壁画から推測されている。日本における最古の仮面は縄文時代の土面であるという。
いっぽう、顔を隠すという意味合いが強いマスクは、日本においては一般に覆面と呼ばれ、「覆面強盗」や「覆面レスラー」などのように用いられる(なお、上記の衛生マスクと同様に、神事・仏事、または貴人への配膳の際に口を覆って息がかからないようにするためのものも覆面と呼ぶ。一般に和紙などによって作られる)。
しかしながら、中世ヨーロッパにおいておこった仮面舞踏会(マスカレード)での「仮面」は、上記の宗教的儀式のように仮の何者かになりきるわけではなく、顔を隠すという意味合いが強い。よって、布などのやわらかい素材で顔を隠す(顔を覆う)マスクを覆面といい、硬質の素材で作られたマスクを仮面と呼ぶような用法が日本では一般的とみられる(これは物品に対するものであり、言語そのものに関することは国語辞典などを参照されたい)。
日本における伝統芸能である能(能楽)などに用いる仮面(能面)等は、わざわざ仮面とは称さず、単に面と呼ぶ(専門的には「おもて」と呼ぶ)。そうした面のていねい語(幼児語[要検証 – ノート])がお面であり、現在でも祭礼などの際に大道で的屋が子供向けにさまざまなキャラクター物を販売している。
このように、面・仮面・覆面などはすべてマスクではあるが、日本においては用法に微妙な差がある。
以下に、こうした演劇・芸能等に用いられるものではない仮装用マスクの実例などを述べる。
デスマスク、ライフマスクの項を参照のこと。
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