出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/03 16:03:46」(JST)
インチ inch |
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記号 | in, ″ |
系 | ヤード・ポンド法 |
量 | 長さ |
SI | 正確に 25.4 mm |
定義 | 1⁄12 ft |
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インチ(inch、吋)は、ヤード・ポンド法の長さの単位である。現在は1インチは正確に25.4ミリメートルと定められている。
1インチはフィート(= 304.8ミリメートル)の12分の1であり、ヤード(= 914.4ミリメートル)の36分の1である。
目次
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インチの単位記号は、ISOにおいてもJISにおいても「in」と定められている[1]。これを受けて、日本の計量法でも単位記号は「in」としている。(計量単位規則別表第六[2])。
「″」(ダブルプライム記号) によっても書かれる。例えば「10″」は10インチの意味である。「″」はしばしば、不正確だが「”」(閉じ二重引用符)や、ASCIIの「"」(引用符) や「''」(アポストロフィ2つ) とも書かれる。
フィートは「′」(プライム記号) で表記されるので、「5′10″」は5フィート10インチを表す。
なお、「′」と「″」は時間の分・秒、角度の分・秒を意味しするので、「5′10′」は時間または角度の5分10秒とも読め、文脈によっては混乱を引き起こすおそれがある。
インチの長さは、東アジアで用いられる寸(約3センチメートル)に近い。そこで、中国ではインチのことを「英寸」と呼んでおり、日本では明治時代に「吋」という国字が作られた。
現在の日本では、計量法の規定により「インチ」そのものを公取引に使えないので、インチ規格を「型」と呼ぶ。たとえば「30型テレビ」など。
「インチ」(またはそれに相当する言葉)は時代によって、また国によって異なった値をとった。それらはほとんど統一されたか、あるいは、統一される前にメートル法の単位に置き換えられた。今日、ほとんどの国において、「インチ」といえばそれは国際インチ (International inch) のことを指す。
国際インチは、正確に0.0254メートル(25.4ミリメートル)と定義されている。この定義は、アメリカ合衆国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの6ヶ国が1958年に協定を締結し、1959年7月1日に発効したヤード(国際ヤード=正確に0.9144m)の定義に基づくものである[2] 。
新聞などで「1インチ(約2.54cm)」などという記述が今でも見られるが、1インチは正確に2.54cmであり、「約」という表現は不要かつ不適切である。
元々のインチは、男性の親指(爪の付け根部分)の幅に由来する身体尺だったとされている。古代ローマにおいて、フィートと関連づけられてその12等分した長さが1インチとされた。
インチ (inch) という言葉の語源は、ラテン語で「12分の1」を意味するunciaであり、質量の単位であるオンスと同一語源である。古英語の ynce(ユンケ)を経て、 inch となった。
また、親指の幅であることから「親指幅」とも呼ばれた。現在でも、多くの言語でこの単位は「親指」という言葉に似た、または同じ名称で呼ばれている。
言語 | インチ | 親指 |
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フランス語 | pouce | pouce |
イタリア語 | pollice | pollice |
スペイン語 | pulgada | pulgar |
ポルトガル語 | polegada | polegar |
スウェーデン語 | tum | tumme |
オランダ語 | duim | duim |
これとは別に、「イングランド王エドワード2世が、大麦の穂の中央から取った3粒を縦に並べた長さを1インチとした」という説もある。1粒の長さをバーレイコーン (barleycorn) というので、1インチは3バーレイコーンとなる。
19世紀、スウェーデンではメートル法への移行が行われた。まず、1855年から1863年までの間で、インチが、フィートの1⁄10である十進インチ(約0.03メートル)に置き換えられた。十進法を導入することで計算が単純化されるとして導入されたが、他国で使用されていた1⁄12フィートのインチと1⁄10フィートのインチの2種類があることで余計に複雑になってしまったことから、1878年から1889年にかけてメートル法の単位が導入されることになった。
イギリスとイギリス連邦諸国は、「帝国ヤード標準原器」の12分の1の長さ、約 25.399 8 mm(いわゆる「イギリスインチ」)としていた。
アメリカ合衆国では1893年、メンデンホール令 (Mendenhall Order) により、1インチ=100/3937メートル(いわゆる「アメリカインチ」)と定義された。したがって、1インチ = 約 25.400 050 800 102 mm であった。カナダもこれを採用した。
いくつかの国では、1959年以前に行われた測量の結果の互換性のために、1959年以降も、以前に測量のために使われていた各国ばらばらのフィートの定義を保持している。これを測量フィート (survey foot) という。たとえば、現在もアメリカ合衆国測量フィート (U.S. survey foot) としてアメリカフィートが使われている。ただし、このような制度はフィートのみであり、アメリカインチは同じように使われることはない。
()内はインチで表される部分の例
特に、インチ規格部品と、ISO規格部品が混在し、製造上問題になるのは、パーソナルコンピュータなどの電子機器である。
メートル法を使う国々でも、このような、アメリカやイギリスを起源とする商品は、互換性の維持のため、製造設備の設計上の理由、または商慣行上、現在もインチ単位を基準に設計、製造される。
ただし日本の場合、インチという単位表記は計量法・商法上、本来は商取引には使用できないので、- 型と表記される場合が多い。または、表記寸法が、単に25.4 mm の倍数となっている。
インチねじは、ねじ山のピッチがISO規格より粗く、インチ単位で作られている。日本国内で生産される商品としては、3.5インチハードディスクドライブの固定用ねじ等に用いられる。現在は、直径4mm以上では、ISOねじと互換性がある。
詳細は「サウ」を参照
工学分野では、サウ (thou) またはミル (mil) という単位が国際インチの1000分の1 (25.4 µm) の意味で用いられることがある。今日では、サウやミルは用いず、SI単位を使用すべきとされている[誰?]。
「リーニュ (単位)」も参照
1⁄12 インチ = 2.117 mm をライン (line) と呼び、単位記号「‴」(トリプルプライム) で表す。
日本では、1⁄8インチ = 3.175 mm を分(ぶ)と呼ぶことがある[3]。大工や機械工などの間で使われる。
インチより細かい長さは2の冪(2・4・8・16 …)を分母とする分数で表すことが多い。ここで 1⁄8 in(= 3.175 mm = 0.104775寸 = 1.04775分)は1分(=0.1寸)に非常に近いため、「1⁄8 in ≒ 1分」とみなして、インチ規格を分や、さらにその1⁄10の厘(=0.01寸=0.1分)で表す。これらは「1フィート≒1尺」とみなすことに相当する。
主に使われるのは表の呼び名になる。
分 | インチ | mm |
---|---|---|
6分 | 3⁄4 in | 19.0500 mm |
5分 | 5⁄8 in | 15.8750 mm |
4分 | 1⁄2 in | 12.7000 mm |
3分 | 3⁄8 in | 09.5250 mm |
2分 | 1⁄4 in | 06.3500 mm |
1分 | 1⁄8 in | 03.1750 mm |
5厘 | 1⁄16 in | 01.5875 mm |
平方インチ(square inch) | |
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記号 | in2, sq. in. |
系 | ヤード・ポンド法 |
量 | 面積 |
SI | 正確に 645.16 mm2 |
定義 | 一辺1インチの正方形の面積 |
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平方インチ(へいほうインチ、Square inch)は、ヤード・ポンド法における面積の単位である。1平方インチは、一辺1インチの正方形の面積と定義される。
12インチが1フィートであることから、1平方フィートは144平方インチとなる。1インチが正確に25.4ミリメートルであるので、1平方インチは正確に645.16平方ミリメートルとなる。
1平方インチは以下に等しい。
立方インチ(cubic inch) | |
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記号 | in3, cu. in. |
系 | ヤード・ポンド法 |
量 | 体積 |
SI | 正確に 16 387.064 mm3 |
定義 | 一辺1インチの立方体の体積 |
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立方インチ(りっぽうインチ, Cubic inch)は、ヤード・ポンド法における体積の単位である。
1立方インチは、一辺1インチの立方体の体積と定義される。1インチが正確に25.4ミリメートルであるので、1立方インチは正確に16 387.064立方ミリメートルに等しい[4]。
なお、1 米国液量ガロンは、231 立方インチ、即ち、正確に 3.785 411 784 リットルに等しい。
1立方インチは以下に等しい。
アメリカでは、エンジンの排気量はかつては立方インチで表していた。自動車エンジンについては1980年代に立方インチからリットルに切り換えられ、今日ではそれ以前に製造された自動車についてのみ立方インチが使われている。イギリスでは、当初からリットルまたは立方センチメートル (cc) のみを使用しているが、これはメートル法を使用している他のヨーロッパ諸国と取引する必要があったためと考えられる。
メートル(SI単位) | インチ | フィート | ヤード | 寸 | 曲尺 | 鯨尺 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 m | = 1 | ≈ 39.370 | ≈ 3.2808 | ≈ 1.0936 | = 33 | = 3.3 | = 2.64 |
1 in | = 0.0254 | = 1 | ≈ 0.083333 | ≈ 0.027778 | = 0.8382 | = 0.08382 | = 0.067056 |
1 ft | = 0.3048 | = 12 | = 1 | ≈ 0.33333 | = 10.0584 | = 1.00584 | = 0.804672 |
1 yd | = 0.9144 | = 36 | = 3 | = 1 | = 30.1752 | = 3.01752 | = 2.414016 |
1 寸 | ≈ 0.030303 | ≈ 1.1930 | ≈ 0.099419 | ≈ 0.033140 | = 1 | = 0.1 | = 0.08 |
1 尺(曲尺) | ≈ 0.30303 | ≈ 11.930 | ≈ 0.99419 | ≈ 0.33140 | = 10 | = 1 | = 0.8 |
1 尺(鯨尺) | ≈ 0.37879 | ≈ 14.913 | ≈ 1.2427 | ≈ 0.41425 | = 12.5 | = 1.25 | = 1 |
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