出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/06 05:44:57」(JST)
あさと返り(腓返り、こむらがえり)とは、「腓(こむら)=ふくらはぎ」に起こる筋痙攣の総称で、「(足が)攣(つ)る」とも言われる。特に腓腹筋(ふくらはぎ)に起こりやすいため、腓腹筋痙攣と同義とみなすこともある。他にも指・首・肩などもこの症状と類似した状態になる場合がある。
筋肉の意識しない持続的な強直性収縮である筋の攣縮を示し、有痛性である。こむら返りを生じている筋は硬く収縮しており、局所の筋が硬く膨隆しているのがわかる。筋攣縮の持続は数秒から数分であることが多く、特に激しい運動の後や、水泳後、睡眠中に見られることが多い。特に睡眠中は眠気が吹き飛ぶほどの激痛が襲うものの、寝起きで早急に対処ができない為、起床後にふくらはぎの筋肉痛や寝不足が残ることがある。
原因は神経でなく、筋肉固有の問題があるといわれ、下位運動神経終末部での過興奮によるのではないかと考えられているが、特定には至っていない。
健常人でも起こる事があるが、さまざまな骨格筋に頻回に繰り返したりする場合は病的なものと考える。脱水(発汗、下痢、利尿薬の服用)または電解質代謝異常(Ca、Mg)、腎不全、血液透析、甲状腺機能低下症、妊娠、脊髄性筋萎縮症や多発神経炎などの神経原性筋萎縮をきたす疾患、下肢静脈瘤、特殊な例(McArdle病、里吉病など)などで頻発することが多いので、そのような疾患を鑑別に挙げる必要がある。
腓腹筋痙攣(英:muscle spasms of triceps surae、独:Gastrocnemius, Muskelkrampf des triceps surae)は腓腸筋痙攣ともいう。下腿三頭筋痙攣は上位運動ニューロンの障害、中毒性疾患、電解質代謝異常などにおいて起こるが、筋の疲労、ウォーミングアップ不足などにより健康な人間の運動中にも多く発生する。冷水中の水泳、テニスのサーブで爪先立ちをした際などに誘発され、腓腹部の緊張と疼痛が加わり、一過性の運動不能になる。
腓腹筋の痙攣は膝の屈伸、足趾の伸展などにより緩まる。したがって、こむら返りが発生したら、爪先立ちのまましゃがむ、該当の足の親指を脛の方向に引っ張るといったやりかたで、ある程度回復する。軽いマッサージ、温浴、蒸しタオルで患部を温める、といったことも症状改善に役立つ。薬品としては、芍薬甘草湯やダントロレンが有効といわれている。
運動前後のストレッチ体操、運動・発汗後の塩分補給などを行うことも予防によい。基礎疾患や原因となる疾患があれば、その治療も加えておく必要がある。筋マッサージ、ホットパックなどの理学療法も有効である。 またスポーツでは予防として運動前にクエン酸を摂取することもある。
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リンク元 | 「有痛性筋痙攣」 |
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