出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/11 22:47:54」(JST)
アルファ波(アルファは、α波)はヒト・動物の脳が発生する電気的信号(脳波)のうち、8~13Hz成分のことをさす。アルファ波という名称は、ヒトの脳波を初めて記録したハンス・ベルガーが命名し、彼にちなんでベルガー波、ベルガーリズムとも呼ばれる。
安静(リラックス)・閉眼時の脳波においては、他の周波数成分に比べてアルファ波の占める割合が高く、基礎律動の主成分をなす。(これは通常、目視でも確認できる。)アルファ波の発生機序については様々な仮説が提案されているものの未だに不明である。しかし脳や意識の状態によって変化することが経験的に知られているため、意識障害、認知症、精神疾患、睡眠障害などの診断補助・状態把握に用いられることがある。その他に、生理学、心理学などの研究目的で用いられることもある。
頭皮上電極による脳波では、後頭部を中心として観察される。しかし後頭葉以外でもアルファ帯域(8~13Hz)の電気的振動が発生しており、中心溝周辺のものはミュー(μ)律動、側頭葉周辺のものはタウ(τ)律動、二次感覚皮質周辺のものはシグマ(σ)律動と呼ばれることがある。ミュー律動は体性感覚・運動などと、タウ律動は聴覚処理などと、シグマ律動は体性感覚処理などと関連があるといわれている。
正常者の脳波では、後頭部アルファ波の振幅や位相に左右差は少なく、1~数秒の周期で振幅が増加したり減少したりを繰り返している(この現象を漸増漸減あるいはwaxing and waningという)。極端に左右差がある場合や、漸増漸減がない場合などは何らかの脳の異常が示唆される。
アルファ波は閉眼、安静、覚醒した状態でより多く観察され、開眼や視覚刺激時、運動時、暗算などの精神活動時、緊張時、睡眠時には減少する。このように、様々な刺激や運動に伴ってある周波数帯域の振動が増えること(または減ること)をそれぞれ「事象関連同期」、「事象関連脱同期」と呼ぶ。事象関連同期/脱同期の例として、上述したミュー律動は、運動に先だってまず減少し、運動終了後に反動性に増加を示す。この現象を利用して脳波でロボットアームを動かす、ブレイン・コンピュータ・インターフェイスの研究もなされている。
安静(リラックス)時にアルファ波が多く出現することから、近年、「アルファ波(が出る)音楽」などと、アルファ波という言葉を商品の宣伝に用いることが増えているが、その場合は単に「リラックスできる音楽」と言っているのと同じである。耳から入った音楽に同調して脳波にアルファ波が出現する,というような宣伝文句は科学的根拠を欠く。
橋障害では患者は深昏睡であってもアルファ波の見られることがあり、「α昏睡」と呼ばれる。
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リンク元 | 「睡眠段階」「アルファ波」「alpha wave」 |
覚醒期 | α波、β波(低振幅) | |||
第1期 | 入眠期 | α波の振幅が次第に減少し、発生が不連続になる。 代わって低振幅のθ波があらわれる。 θ波(4-8Hz)は前頭部や頭頂部で著名である。 覚醒時にも情緒不安定時に見られる。 |
うとうとしている状態で低振幅の徐波が増えてきて それに時々頭頂部を中心に瘤波(hump)と呼ばれる鋭波が混じる |
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第2期 | 軽睡眠期 | 脳波は全体として平坦化し、13-15Hzの紡錘波が現れる | 浅い睡眠層で、あまり振幅の高くない徐波が連続するようになり、 それに12-14Hzの紡錘波が混じったり、 K-complexと言われる群発波が現れたりする。 |
Stage1よりθ波が目立つ vertex wave: 頭頂葉に鋭波が出現 sleep sindle: short bursts of 12-16 Hz activity K complex:sleep spindleが重なった高振幅波 眼運動なし、筋緊張若干低下 |
第3期 | 中程度睡眠期 | 4Hz以下の徐波(δ波)が現れるが、紡錘波も残る | 深い睡眠相。高振幅徐波(δ波)が50%より少ない | |
第4期 | 深睡眠期 | 大きな振幅のδ波が記録の50%以上の期間に出現し、紡錘波は消失する。 | 深い睡眠相。高振幅徐波(δ波)が50%以上。 | |
レム睡眠期 | 深い睡眠中にもかかわらず脳波は覚醒時の低振幅の速波を示す。 θ波(低振幅)、β波 |
覚醒時に似た低振幅の脳波。 覚醒時とは筋電図が消失することで区別される。(筋弛緩) 眼球電図も特徴的な眼球運動を示す。(急速眼球運動(REM) 呼吸、脈拍の不規則変化、血圧上昇 |
後頭野で一過性の大きいPGO spikeが出現 |
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