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心電図:心室性期外収縮(wide QRS、陰性T)。期外収縮は多原性っぽい。
ジギタリス → PHD.399を読む
代謝
- ジゴキシンは腎代謝で半減期が短い。治療濃度 1-2ng/ml
- ジギトキシンは肝代謝で半減期が長い。
薬理作用
- 1. 心筋収縮の増強 (mechanical effect)
- 2. 房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- 洞房結節での伝導速度が低下し、不応期が延長する → だから上室性頻拍のおいて心拍数を下げることができるし、リエントリー性の上室性頻拍を洞調律に戻すことができる。
作用機序
房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- 1. 心臓組織に直接作用して興奮伝導速度を低下させる
- 2. 自律神経に作用し、副交感神経の緊張亢進、交感神経の活動性抑制
適応 PHD.400
- 有効:収縮性心不全 ⇔not beneficial; 収縮力が正常な心不全(high-output failure; 甲状腺中毒症、MSによる肺うっ血、拡張性心不全)
- 心収縮力の増強 → 心拍出量の増加 → left ventricular emptyingの改善、left ventricular sizeの減少、心室充満圧の低下
ジギタリス効果 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.208
心電図
- 0. RR間隔の延長 → 徐拍化
- 1. PQ時間延長
- 2. QT時間短縮
- 3. ST-T低下 (T波丸みを帯びた陽性波)
ジギタリス中毒
- ジギタリス投与中に心室性期外収縮による二段脈、三段脈、
原因
誘発する要因と阻止する要因
誘発
- 低K血症 細胞外にKがないからNa+K+-ATPaseが働けない
- 低Mg血症 Na+K+-ATPaseはMgを欲しがります。
- 高Ca血症 (多分)細胞内のCa2+濃度を上昇させます。(病態生理(2))
- 腎不全 ジギタリスの血中濃度が上がります。
- 薬物相互作用 ex.キニジン
病態生理
高濃度のジギタリスによる作用 PHD.399
- 3+2つの機序がジギタリス中毒の病態生理に関わる
- 1. 膜静止電位が上昇(less negative resting potential)
- Na+K+-ATPaseの阻害 → 静止膜電位が浅くなる(より0に近づく) → 0相の脱分極速度が低下、刺激伝導速度の低下(もし、伝導速度が低下した組織がまだら状に存在したら、リエントリ性の不整脈が起こりやすくなるよね)
- 2. 活動電位持続時間の減少(decreased action potential duration)。2相の短縮。
- a. 細胞内Ca2+↑ → Ca2+依存性K+チャネル活性↑ → K+の流入が亢進 → 脱分極時間↓
- b. 細胞内Ca2+↑ → Ca2+チャネル活性↓ → Ca2+電流による脱分極↓ → 脱分極時間↓
- 活動電位持続時間↓ + 不応期の短縮 → 外部の刺激に反応する時間が増え、不整脈を起こすリスクが上がる
- a. 静止膜電位が浅くなる(0に近づく) → ペースメーカーでない細胞でも4相における脱分極を起こしやすくなる
- b. 細胞内Ca2+濃度↑ → 遅延後脱分極(delayed afterdepolarization)が起こりやすくなる
- (1)遅延後脱分極が閾値に達することもあるし、(2)ectopic beat + 遅延後脱分極で閾値に達することがある。そしてVTとかのself-sustaining arrhythmiasを起こす。
症状
- 早期の心外症状:胃腸症状(嘔吐・下痢)(悪心・嘔吐・食欲不振) → 第四脳室底(菱形窩)の下方に位置する最後野(血液脳関門がない)の化学受容器に作用して起こるらしい。
- 循環器症状:心室性期外収縮(病態生理(2))、心ブロック(病態生理(1))、上室性頻拍(病態生理(3))
検査
心電図
- 1. 心室性期外収縮(PVC) :多原性の二段脈・三段脈、
- 2. 上室性頻拍 :ブロックを伴うことが多い(ブロックを伴う心房頻拍・心室細動(PAT with block))
- 3. 房室ブロック :
治療
- カリウム(低カリウム血症に対して)
- リドカイン(心室性期外収縮に対して)
- 体外式/一時的ペーシング(心ブロックに対して)
- 抗ジギタリス抗体のFabフラグメント
心室(性)期外収縮 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.240