100Cases 84

出典: meddic

☆case84 嘔吐
症例
32歳 男性
主訴
現病歴:2 amにからり酔っぱらって救急部受診。11.45 pmに気分が悪くなり2度嘔吐嘔吐物は最初は苦く感じられ、それは食べ物と2Lのビールであった。1時間程度後に、何度か猛烈に吐き気を催した。1 amに鮮赤血を吐いた(bright red blood)。患者が言うには最初少量だったが、2回目にはかなり多い量であった。服用薬なし。時々マリファナを吸う。タバコ1日10本、アルコール2-3 unit/week
既往歴:特記なし
家族歴:特記なし
生活歴:
・身体診断
酔っぱらっているように見える。口の周りに乾燥した血液付着を認める。脈拍:102/分。(臥位(lying))血圧:134/80 mmHg立位でも血圧変化は認められない。心血管系呼吸器系に異常を認めず。腹部:上腹部(心窩部)にわずかに圧痛
検査
(血液生化学)
異常なし
解説
(第1パラグラフ)
 もっともな診断は、下部食道もしくは胃上部における吐血を引き起こす粘膜裂傷である(Mallory-Weiss lesion/Mallory-Weiss tear/Mallory-Weiss laceration)。激しい嘔吐やむかつきによる機械的外傷で生じる。本症例では、なれない大量飲酒によって生じた。
(第2パラグラフ)
患者の話から出血量見積もるのは難しい。吐血はびっくりするような出来事であり、吐血の量を多く見積もりがちである。ヘモグロ分派性状であり、急性出血では吐血量を見積もる手がかりにならない。急性期にヘモグロ分が低ければ慢性出血をほのめかす。著しい失血最初サイン頻脈と起立時の血圧低下であることがある。本症例の彼の脈波速いが、これは不安関連しているのかもしれない。
(第3パラグラフ)
吐血の他の原因胃炎消化性潰瘍である。何度か血液を含まない胃内容物のむかつきと嘔吐の話はマロリーワイス症候群特徴的である。この疾患普通介入を必要としない良性病態である。確定診断上部消化管内視鏡必要とするが、典型的症例ではいつも必要になるわけではない。時に、出血がもりひどかったり、壁の解離粘膜より深いこともあり、穿孔につながる。
(第4パラグラフ)
この症例管理は注意深い観察嘔吐で失われた体液を戻すための静脈内輸液である。出血が激しい場合には血液検査のために採血するが、輸血は必ずしも必要ない。彼は生徒大とH2 blocker治療された。嘔吐は収まりそれ以上出血も見られなかった。彼は将来のパーティでは通院しすぎないように決めた。
管理(内科診断学 第2版 医学書院)
①本疾患大多数安静絶食制酸薬粘膜保護薬の投与保存的治療できる。
輸血必要なほどの貧血は稀である。
内視鏡検査時に出血している症例に対しては内視鏡的止血術を行う。
④クリッピング法(図4-89) [図] 、純エタノール局注法、アルゴンプラズマ凝固(APC)法などさまざまあるが、いずれの方法でも良好な止血成績を得られる。
鑑別診断 (内科診断学 第2版 医学書院 p.843)
・特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)
逆流性食道炎
食道静脈瘤破裂
出血性胃潰瘍
急性粘膜病変(AGML)
■KEYPOINT
吐血の前の血液を伴わない激しい嘔吐とむかつきの既往は、上部消化管裂傷示唆する。
患者血液の量を見積もるのが困難と分かるので、吐血で失われた失血程度多糸かでないし、消化管の中にとどまっている血液の量は分からない。
アルコールは救急入院の約1/4と直接連関があるという研究がある。
□マロリーワイス症候群(内科診断学 第2版 医学書院)
 嘔吐などにより腹腔内圧が急激上昇して噴門部近傍に裂創発生し、これを出血源として顕出血をきたしたもの。30-50歳代の男性に多く、全消化管出血例の約3-15%を占める。 アルコール多飲原因となることが多いが、ほかに妊娠悪阻、乗り物酔い、脳腫瘍髄膜炎医原性のものとしては上部消化管内視鏡検査心肺蘇生術など、原因となるものは種々である。 ②嘔吐などにより急激腹圧上昇すると、急激に胃内圧が上昇し、これにより食道胃接合部近傍に裂創が生じる。
吐血 hematemesis (内科診断学 第2版 医学書院)
 コーヒー残渣用の吐血 melanemesis
 鮮血吐血 hematoemesis
急性粘膜病変 acute gastric mucosal lesion AGML
急性胃炎劇症型であり、急速に起こる腹痛(時に、吐血下血)をきたし、潰瘍びらん出血が混在した病態を呈する。
病因アルコール薬物(アスピリンステロイド)、薬品ストレス食物(激辛食品など)、アニサキス中枢神経系障害熱傷外科手術
glossary
inebriate
vt. (人)を酔わせる(make drunk)。~を有頂天にする
adj. 酔っぱらいの、大酒飲みの
n. 酔っぱらい、大酒飲み
pint n. (液体単位)1パイント = 1/2クオート=(米)28.8753 inch cube = 0.473 liter = (英) 0.568 liter = 約500cc
retch
vi. むかつく、吐き気を催す、無理に吐こうとする
vt. 吐く
n. むかつく。ヒック(吐き気を催すときの音)
lager n. ラガー(ビール)(貯蔵ビール日本普通ビール)
violently adj. 激しく、猛烈に
drunk adj. (pred)酔って。(fig)酔いしれて
epigastrium n. 上腹部心窩部
blood grouping 血液判定血液検査
indulge
vt. ~にふけらせる。気ままにさせる、(子どもを)甘やかす。(欲求などを)思いのままに満たす。喜ばせる、楽しませる。
vi. (快楽・趣味などに)ふける、身を任す(in)。(略式)たらふく食べる、痛飲する。(~に)従事する。(好ましくないことに)かかわる(in)
□Hematemesis and Melena(Differential Diagnosis in Primary Care 4th)
吐血喀血を見分けたい場合はnitrazine paperを使って判定
・身体開口部(body orifice)からの出血鑑別するとき解剖学的アプローチがよい。
(食道)
静脈瘤逆流性食道炎癌腫、マロリーワイス症候群
・外来異物も忘れるな。
先天性まれな病因として異所性胃粘膜によるバレット食道炎と潰瘍もある。
大動脈瘤縦隔腫瘍肺癌食道潰瘍化させ出血させることもある。
(胃)
炎症胃炎と胃潰瘍アスピリンアルコールも良くある原因
・幽門部静脈瘤出血するかもしれない
出血がひどく、他の原因が見つからなければ血液疾患検索する。
(診断への道)
吐血の確固たる証拠がある時、内視鏡をつかえる状況にあれば問診とか検査無駄時間を使わずに内視鏡診断治療をやってしまえ。
血液検査血液クロスマッチ?して輸血準備凝固検査など鑑別必要検査をやりなさい。内視鏡検査準備をしている間に、アルコールアスピリン、そのほかの薬品服用潰瘍既往食道疾患既往を聴け
ひどい出血最近の急な吐血既往がなければ(内視鏡を使わずに?)伝統的アプローチでも良い
吐血の前に血液を伴わない嘔吐があればマロリーワイス症候群診断の助けとなる。

UpToDate Contents

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和文文献

  • Long-Term Changes of Heavy Precipitation and Dry Weather in Japan (1901-2004)
  • FUJIBE Fumiaki,YAMAZAKI Nobuo,KOBAYASHI Kenji
  • Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II 84
  • … 100mm days, the annual maximum, and the top 100 cases during the 104 years. … The linear trend of precipitation corresponding to the upper 10% is 2.3% per decade, and that of the number of top 100 cases is 2.6% per decade on the average over the stations. …
  • NAID 110006152280
  • アニキサス特異IgE抗体に影響する因子の解析
  • 梅林 芳弘
  • アレルギー 50(11), 1090-1095, 2001-11-30
  • … 急性蕁麻疹(AU)84例, アトピー性皮膚炎(AD)100例を対象とし, アニサキス特異IgE抗体(AsIgE)を測定, これに対する性, 年齢, 疾患, 総IgEの影響を解析した.単変量解析では, 年齢とAsIgEに有意の正の相関, 総IgEとAsIgEに有意の正の相関, 疾患により総IgEに有意の差(ADの方が高値), 疾患により年齢に有意の差(AUの方が高値)が認められた.AsIgEが正値の症例は, AUが26例(31%), ADが25例(25%)で有意差はなかった.これらの症例では, 疾患によりAsIgE …
  • NAID 110002427718
  • 浸潤性膵管癌に対する拡大手術の適応と限界 : 長期予後とQOLからみた進行膵癌の治療戦略
  • 伊佐地 秀司,長沼 達史,川原田 嘉文
  • 日本消化器外科学会雑誌 32(4), 1127-1131, 1999-04-01
  • … 1976年9月〜1998年8月までの浸潤性膵管癌手術172例中切除は84例(48.8%)であった. …
  • NAID 110001336655
  • [原著]CT diagnosis of liver cirrhosis : CT analysis of 100 cases
  • Huang Zhong Kui,Yamaguchi Keiichiro,Saginoya Toshiyuki,Department of Radiology First Affiliated Hospital Guangxi Medical University Nanning Guangxi P.R. of China,Department of Radiology Faculty of Medicine University of the Ryukyus Okinawa Japan
  • 琉球医学会誌 = Ryukyu Medical Journal 16(1), 17-21, 1996
  • … Using the abnormal ratio of R1/L to take a positive test for cirrhosis, a sensitivity of 78%, a specificity of 96% and an accuracy of 84% were obtained, and using the abnormal ratio of R2/C and R1/L to take a positive test for cirrhosis, a sensitivity of 90%, a specificity of 74% and an accuracy of 86% were obtained. …
  • NAID 120002231027

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嘔吐」

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vomiting, emesis
vomitus
悪心嘔気 nausea悪心・嘔吐 nausea and vomiting

概念

  • 胃の内容物をはき出す現象。
  • 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象。

嘔吐中枢

嘔吐中枢の近傍に存在するもの

  • 呼吸中枢、血管運動中枢、消化管運動中枢、唾液分泌中枢、前庭神経核

随伴症状

  • 発汗、唾液分泌、顔面蒼白、脈拍微弱、徐脈、頻脈、血圧の動揺、めまいなど

症状の出現形式と原因の所在

  • 突然の嘔吐:中枢性
  • 消化器症状を伴う:末梢性

嘔吐に関わる経路

IMD.351
  • 1. 嘔吐中枢(延髄網様体背側神経背側核近傍)への直接刺激(脳圧亢進、循環障害)
  • 2. 化学受容体誘発帯(CTZ; 第四脳室底)への刺激(代謝異常や中毒による化学物質の作用) → 1.
  • 3. 大脳皮質(中枢神経など高位中枢)からの入力 → 1.
  • 4. 求心性迷走神経や交感神経を介する入力 → 1.

原因

中枢性刺激 化学受容器引金帯刺激 薬物 アポモルヒネモルヒネジギタリス抗菌薬抗癌薬降圧薬アミノフイリンコルヒチンアルコール
毒物 重金属ガス
放射線 各種癌治療後
感染症 細菌毒素
内分泌疾患 肝性脳症糖尿病性ケトアシドーシス/ 高血糖高浸透圧症候群尿毒症妊娠悪阻妊娠高血圧症候群
代謝疾患 甲状腺クリーゼ副腎不全Addison病
直接刺激 脳圧亢進 頭部外傷脳腫瘍脳出血くも膜下出血髄膜炎、脳への放射線療法後
脳循環障害 ショック低酸素脳症脳梗塞片頭痛脳炎髄膜炎
上位中枢刺激 神経性食思不振症不快感てんかんヒステリー抑うつ状態うつ病、過度の嫌悪感、不快感、拘禁反応による恐怖ストレス視覚嗅覚味覚的刺激
末梢性刺激 消化管疾患 舌咽頭疾患 アデノイド咽頭炎
食道疾患 胃食道逆流症食道裂孔ヘルニア食道癌
胃腸疾患 急性胃炎、急性胃十二指腸粘膜病変、急性腸炎急性虫垂炎消化性潰瘍食中毒、消化管腫瘍、寄生虫食中毒Mallory-Weiss症候群
消化管通過障害 腸閉塞、胃幽門部狭窄、輸入脚症候群
腹膜疾患 腹膜炎
胆膵疾患 急性胆嚢炎急性胆管炎急性膵炎膵癌胆管癌
肝疾患 急性肝炎
循環器疾患   うっ血性心不全狭心症急性心筋梗塞
泌尿器科疾患 尿路結石腎結石急性腎炎腎盂腎炎腎不全
耳鼻咽喉科疾患 中耳炎Meniere病乗り物酔い
眼科疾患 緑内障
呼吸器科疾患 肺結核胸膜炎肺癌、咳嗽発作
婦人科疾患 子宮付属器炎、月経前症候群更年期障害
脊髄疾患 脊髄癆多発性硬化症
膠原病 結節性多発動脈炎強皮症側頭動脈炎

小児科で遭遇する嘔吐の原因

  新生児 乳児 幼児~学童
消化器疾患以外で見・落とさないよう注意する疾患 敗血症髄膜炎水頭症脳奇形尿路感染症 髄膜炎脳炎脳症虐待児尿路感染症呼吸器感染症心疾患薬物中毒誤嚥 脳炎脳症脳腫瘍肺炎中耳炎頭部外傷薬物中毒心筋炎不整脈
よくある消化器疾患 溢乳空気嚥下・哺乳過誤・初期嘔吐胃食道逆流現象・胃腸軸捻転・腸管感染症壊死性腸炎 食事過誤・空気嚥下便秘腸管感染症幽門狭窄症腸重積症胃食道逆流現象・胃長軸捻転・食事アレルギー 腸管感染症急性虫垂炎腹部外傷肝炎胆嚢炎膵炎腹部外傷・食事アレルギー・好酸球性胃腸症
主な代謝性疾患 先天性副腎過形成・ガラク卜ース血症 先天性副腎過形成Reye症候群 アセトン血性嘔吐症ケトン性低血糖症糖尿病性ケトアシドーシスReye症候群
その他     起立性調節障害神経性食思不振症
外科的疾患 食道閉鎖狭窄症胃軸捻転十二指腸閉鎖狭窄症腸回転異常捻転小腸閉鎖症Hirschsprung病胎便性イレウス・稀に腸重積肥厚性幽門狭窄・特発性腸管偽性閉鎖症 肥厚性幽門狭窄症腸重積腸回転異常捻転Hirschsprung病虫垂炎 虫垂炎腸重積腸回転異常捻転上腸間膜動脈症候群腫瘍嚢胞




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