腸管出血性大腸菌

出典: meddic

enterohemorrhagic Escherichia coli, EHEC
三類感染症感染症法大腸菌食中毒

特徴

  • 食中毒(感染型-生体内毒素型)の原因となる。
  • 生体内で志賀毒素に類似したベロ毒素(VT1, VT2)を産生し、これにより腸炎、血性下痢を来す。
  • 溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)などの重症な合併症を発症しうる。

病原体

  • O157H7が多い。O1,026,O111,0128,O145等の血清型の中の一部がベロ毒素を産生する

疫学

  • 小児に多い。5歳未満が約40%。

潜伏期間

  • 4-8日(3-7日(SMB.167))

感染経路

  • 飲食物などを介した経口感染
  • 1. 加熱不十分な肉類やミルクの摂取(約50%)
  • 3. 糞口感染、水・野菜などの非加熱食品(約50%)

病態

  • 盲腸、結腸に炎症を起こす。

症状

  • 腹痛、下痢、発熱 → 血便
  • 感染初期は水様下痢、1-2日で血性下痢
  • 小児、基礎疾患を持つ高齢者で重症化。成人では軽い下痢。

合併症

  • 溶血性貧血、血小板減少症、急性腎不全。脳症。

経過

  • 初期   :水様下痢
  • 2-6病日後:鮮血便を排出する出血性大腸炎
  • 7病日後 :溶血性貧血、血小板減少、腎機能低下

予防

  • 加熱は有効:75℃1分
  • 冷凍は不適(低温でも生存可能)

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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/19 04:59:12」(JST)

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和文文献

  • 生食肉による腸管出血性大腸菌食中毒と安全性確保に向けて (新春特集 平成25年における 食の安全)
  • 浅漬による腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒事例(中間報告)
  • 片岡 郁夫,江湖 正育,寺島 寛樹 [他]
  • 食品衛生研究 = Food sanitation research 63(1), 27-35, 2013-01-00
  • NAID 40019548373
  • 消化管感染症の課題と展望 (第115回日本小児科学会学術集会 教育講演)
  • 田尻 仁
  • 日本小児科学会雑誌 = The journal of the Japan Pediatric Society 116(12), 1857-1864, 2012-12-00
  • NAID 40019533231

関連リンク

大腸菌には病原性のないものから、腸管出血性大腸菌のように強い病原性を有する ものまで様々な種類のものがあります。腸管出血性大腸菌は菌の構成成分の性質から みた分類ですが、大腸菌は病気の起こし方によって、主として以下の5つに分類されます 。
腸管出血性大腸菌(ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん、enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)とは、ベロ毒素 (Verotoxin=VT) 、または志賀毒素 ( Shigatoxin=Stx) と呼ばれている毒素を産生する大腸菌である。 このため、VTEC ( Verotoxin ...

関連画像

写真:腸管出血性大腸菌の恐怖 性大腸菌について説明します写真:腸管出血性大腸菌4. 腸管出血性大腸菌(ベロ 腸管出血性大腸菌食中毒の予防 腸管出血性大腸菌O157の  写真 病原 性 大腸菌 大腸菌腸管出血性大腸菌感染症


★リンクテーブル★
先読み食中毒」「三類感染症
国試過去問106I052」「105D005
リンク元食中毒菌」「病原性大腸菌」「溶血性尿毒症症候群」「ベロ毒素」「大腸菌O157
関連記事大腸」「大腸菌」「腸管」「出血性」「

食中毒」

  [★]

food poisoning, foodborne intoxication
食あたり食品中毒
食品衛生法


定義

  • 食品や水の媒介によって起こる急性胃腸炎および神経障害などの中毒症の総称

原因

毒物

  • 微生物
  • 植物
  • 動物
  • 化学物質

寄生

  • 寄生虫

原因

微生物 細菌 感染型 感染型
生体内毒素型
毒素型  
ウイルス    
真菌    
自然毒 植物性    
動物性    
化学物質 食品添加物、農薬、有害物質    
その他 寄生虫    

細菌性食中毒

食中毒菌

原因物質、原因食品の判明率

  • 原因物質:92.4%
  • 原因食品:78.9%

参考


予防

三類感染症」

  [★]

感染症法
  • 感染力、罹患した場合の重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性は高くないが、特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こしうる感染症。
  • 診断した医師は直ちに届け出る義務がある。

対象となる感染症

三類感染症 コレラ
細菌性赤痢
腸管出血性大腸菌感染症
腸チフス
パラチフス

国試


106I052」

  [★]

  • 30歳の男性。吐き気と下痢とを主訴に来院した。午後10時に焼肉とおにぎりとを食べた。午前1時から嘔吐し始め、水様下痢を伴うようになり次第に増悪したため午前3時ころ受診した。体温36.2℃。脈拍80/分、整。
  • 原因菌として最も考えられるのはどれか。


[正答]


※国試ナビ4※ 106I051]←[国試_106]→[106I053

105D005」

  [★]


[正答]


※国試ナビ4※ 105D004]←[国試_105]→[105D006

食中毒菌」

  [★]

食中毒

細菌性食中毒

    法律 特徴 季節性 感染 毒素 症状 原因食品 潜伏期間 経過 治療 予防
感染型 グラム陰性桿菌 腸内細菌科 サルモネラ属   再興感染症     新生児・乳児での接触感染 菌体内毒素 下痢(粘液、水様で緑色)、嘔吐、腹痛、急激な発熱(38-40℃) レバー刺身、生肉、焼き鳥、生卵、ハム、ソーセージ、魚肉練り製品、乳製品、あん 6-48時間(平均12時間) 1-3日 対症療法 加熱、二次感染の予防(ネズミ、ゴキブリの駆除)
グラム陰性らせん菌   カンピロバクター属 Campylobacter jejuni     初夏(5-6月) まな板、包丁などによる2次感染 菌体内毒素 下痢(水樣、腐敗臭)、腹痛、嘔吐、発熱、まれに敗血症 肉類、生乳、水(家畜の屎尿による汚染) 2-5日(まれに10日) 1-2週間 対症療法、エリスロマイシン 加熱、ペットからの感染予防
  Campylobacter coli    
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 サルモネラ属 チフス菌                      
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 サルモネラ属 パラチフス菌                      
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 シゲラ属 赤痢菌                      
生体内毒素型 グラム陰性桿菌 ビブリオ科 ビブリオ属 コレラ菌                      
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 エシェリキア属 腸管出血性大腸菌 3種感染症     経口感染 ベロ毒素 激しい腹痛を伴う頻回の水樣便、溶血性尿毒症候群や脳症の合併により重症化 加熱不足の牛肉の摂食(牛乳、フルーツ、汚染野菜) 3-4日     75℃1分の加熱で菌は死滅する
グラム陰性桿菌 ビブリオ科 ビブリオ属 腸炎ビブリオ   耐熱性毒素、好塩菌、真水、酸に弱い 夏季 生板・包丁などによる二次感染。成年男子に多い   激しい下痢(水様、粘血便)、上腹部激痛、発熱(-38℃) 刺身、漬け物 10-20時間(平均13時間) 2-3日 対症療法 加熱(60℃, 10分)、冷蔵(10℃以下)、水洗い。まな板、包丁の洗浄
グラム陽性桿菌   クロストリジウム属 ウェルシュ菌   土壌、水、ヒトおよび動物の腸管に常在、嫌気性菌、芽胞形成     エンテロトキシン 下痢、腹痛、吐き気 畜肉および魚肉とその加工品、動物性蛋白質を用いて調理後、長期保存されていた食品(カレー、シチューなど) 8-22時間     肉類、魚介類の脹内容物からの汚染防止。長時間保存する場合、加熱調理後冷蔵庫内にて保存。再加熱を十分に行う。
毒素型 グラム陽性桿菌   バシラス属 セレウス菌   芽胞形成、芽胞形態で自然に広く存在。食品腐敗変敗細菌     エンテロトキシン 嘔吐型: 吐き気、嘔吐 米飯、チャーハン、スパゲティ 1-5時間     低温保存、長期保存を避ける
        下痢型: 下痢 食肉製品、スープ、プリン、野菜 8-12時間    
グラム陽性桿菌   クロストリジウム属 ボツリヌス菌   嫌気性細菌、致命率が高い。芽胞形成。     ボツリヌス毒素(80℃, 数分で無毒化) 悪心、吐き気、めまい、頭痛、腹痛、下痢。眼症状(眼瞼下垂、複視、視力低下、瞳孔散大)、神経・筋症状(言語障害、嚥下障害、呼吸困難) 缶詰、瓶詰(魚、獣肉、野菜、果実)、いずし、ハム、ソーセージ、からしレンコン) 12-36時間   抗毒素血清治療 野菜などの水洗い、魚の内臓による汚染を防ぐ
グラム陽性球菌   スタフィロコッカス属 黄色ブドウ球菌   ヒト常在菌(皮膚、口腔、粘膜、鼻咽頭粘膜)。化膿傷、咽頭炎、ニキビ、風邪の症状時には病巣となる     耐熱性エンテロトキシン 激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 おにぎり、柏餅、シュークリーム、生クリーム 0.5-6時間 1-3日   化膿巣のある人を調理に従事させない。低温保持(5℃以下)

食中毒菌

  起炎菌 潜伏期間 原因食 発熱 腹痛 嘔気嘔吐 下痢 その他
感染性食中毒 腸炎ビブリオ 5-24hr
平均10hr
魚介類(加工品)
6-9月に多い
++ +++ ++ +++ ショック
心筋障害
サルモネラ 7-72hr
平均12-24hr
肉、、サラダ +++ ++ ++ ショック
敗血症
カンピロバクター 2-5日 鶏肉、牛肉、牛乳
5-7月に多い
++ ++ ++  
病原性大腸菌 1-3日
平均24hr
牛肉が多い ++ ++  
毒素性食中毒 ブドウ球菌 0.5-6hr
平均3hr
乳製品、かまぼこ、氷小豆、
夏季に多い
± +++ エンテロトキシンによるショック
ボツリヌス菌 2hr-8日 いずし、キャビア ± 神経症状
眼症状


病原性大腸菌」

  [★]

enteropathogenic Escherichia coli EPEC
pathogenic Escherichia coli
下痢原性大腸菌
大腸菌
EPEC

分類

  • 症状:サルモネラ性腸炎に類似 乳幼児の胃腸炎の原因
  • 3)腸管毒素性大腸菌(enterotoxigenic E.coli, ETEC)
  • 症状:コレラ様の下痢 易熱性エンテロトキシンと耐熱性エンテロトキシン
  • ベロ毒素(VT1, VT2)を産生する。ベロ毒素志賀毒素
  • O157H7が多い。O1,026,O111,0128,O145等の血清型の中の一部がベロ毒素を産生する
  • 溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)などの重症な合併症を発症する。
  • 5)腸管付着性(enteroaggregative E.coli, EAEC)



溶血性尿毒症症候群」

  [★]

hemolytic uremic syndrome, HUS
ガッセル症候群 Gasser syndrome
血栓性血小板減少性紫斑病, thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP


  • 腸管出血性大腸菌 EHECの感染症患者のうち2-7%がHUSに移行する。特に15歳未満の小児、65歳以上の高齢者で発生率が高い。
  • 溶血性貧血血小板減少急性腎不全
  • 小児に多い。
  • ベロ毒素→腎血管内皮細胞障害→内皮細胞の腫脹・剥離・内腔の狭小化、血栓形成

HUSの3徴候

let's memorize: The Fr.(=The franch) ← TTPの5徴から精神症状と発熱を除いたもの



ベロ毒素」

  [★]

Vero toxin verotoxin VT
Vero毒素志賀類似毒素 志賀毒素様毒素、志賀毒素様群毒素 Shiga-like toxin SLT
腸管出血性大腸菌ベロ毒素産生性大腸菌



大腸菌O157」

  [★]

Escherichia coli O157E. coli O157、E coli O157
腸管出血性大腸菌病原性大腸菌大腸菌病原性大腸菌O157



大腸」

  [★]

large intestine (Z)
intestinum crassum


小腸と比べたときの大腸の特徴 (M.149)

  1. 結腸ヒモという縦走筋繊維からなる3本の太い帯を有する
  2. 結腸膨起という結腸ヒモの間の膨らみを有する
  3. 腹膜垂という脂肪の塊を含む
  4. 内径は小腸よりも大きい

大腸を構成する部位

  1. 盲腸
  2. 結腸(上行結腸横行結腸下行結腸S状結腸)
  3. 直腸
  4. (虫垂)

生理

 1)膨起性往復運動 haustralshuttling movement
 2)(単一)膨起性移送運動 segmentalhaustralpropulsion
 3)多膨起性移送運動 multihaustralpropulsion
  1) 2)により内容物のゆっくりした移動(5cm/hr)
   → 48hrで上行結腸よりS状結腸へ
 4)総蠕動mass movement(mass peristalsis,maSS PrePulsion)
    1-3回/日、強い蠕動→結腸内容物が直腸へ移動(→排便誘発)
 5)収縮回数:直腸 > S状結腸 のため内容物はS状結腸へ移動
   (通常は、直腸に内容物(-))
 6)胃大腸反射 gastro-colonic reflex
  小腸大腸反射 ileo-colonic reflex:胃、小腸に内容物-→結腸に総蠕動(+)

*排便
1)解剖
①内肛門括約筋internalanal
②外肛門括約筋externalanal
sphincter---平滑筋
sphincter山-一横紋筋

2)排便のメカニズム
i)総蠕動一糞便直腸へ
ii)直腸内圧〉20Ⅷ舶g ⇒ 直腸壁伸展⇒ 仙髄排便中枢(S2-4)
  ⇒  ①高位中枢(便奇形成)
      ②排便反射defecation reflex
           内肛門筋弛緩
           外肛門筋収縮(一過性)
          直腸蠕動運動(⇒内圧をさらに高める)
iii) 内圧45-55mmHg以上
    内容物200ml以上
    便意による排便動作 外肛門筋弛緩
               腹筋、横隔膜収縮



大腸菌」

  [★]

colibacillus
Escherichia coli, E. coli
下痢原性大腸菌

分類

  • a.下痢原性大腸菌(病原性大腸菌)
  • 症状:サルモネラ性腸炎に類似 乳幼児の胃腸炎の原因
  • 症状:赤痢様の下痢
  • 症状:コレラ様の下痢 易熱性エンテロトキシンと耐熱性エンテロトキシン
  • ベロ毒素(VT1, VT2)を産生する。ベロ毒素=志賀毒素]]
  • O157H7が多い。O1,026,O111,0128,O145等の血清型の中の一部がベロ毒素を産生する
  • 溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)などの重症な合併症を発症する。
  • b.腸管外感染症:尿路感染症、胆道感染症、敗血症

参考

  • CGSC DB:大腸菌株の遺伝子情報センター
[display]http://cgsc.biology.yale.edu/index.php



腸管」

  [★]

intestinal tractenteric canalintestinalenteric
消化器系腸管内腸内


出血性」

  [★]

hemorrhagichaemorrhagichemophilichaemophilic
易出血性血友病


菌」

  [★]

fungusfungimicrobial
菌類真菌真菌類微生物




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