出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2022/04/01 19:55:05」(JST)
この項目では、植物のゴマについて説明しています。その他のゴマ、胡麻については「ゴマ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
ゴマ | |||||||||||||||||||||
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ゴマの花
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Sesamum indicum L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ゴマ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
sesame |
ゴマ(胡麻、学名: Sesamum indicum)は、ゴマ科ゴマ属の一年草。アフリカ大陸に野生種のゴマ科植物が多く自生しているが、考古学の発掘調査から、紀元前3500年頃のインドが栽培ゴマの発祥地である[1][2]。主に種子が食材や食用油などの油製品の材料とされ、古代から今日まで世界中で利用される植物である。
リンネの『植物の種(英語版)』(1753年) で記載された植物の一つである[3]。
和名ゴマは、紀元前1世紀ころの古代中国西域(現在のイラン北方)の胡とよばれた国から渡来した麻(油分を含んだ種子の意)であるとして、中国名が生まれ、これを日本語では音読みしたと言われている[4]。
アフリカ原産とされる一年草で、紀元前14世紀ころには、古代エジプトや古代インドで栽培されていたと言われている[4]。
草丈は約1メートル (m) になり、夏(8月)、葉腋に白色の花をつけ、秋に結実して実の中に多数の種子を含む[4]。旱魃に強く、生育後期の乾燥にはたいへん強い。逆に多雨は生育が悪くなる。
日本で使用されるゴマは、その99.9%を輸入に頼っている。財務省貿易統計によると、2006年のゴマの輸入量は約16万トン。国内では鹿児島県、茨城県、沖縄県などで生産されているが、総生産量は100トンにも満たない[5]。国内有数の産地である鹿児島県喜界島では、8-9月頃の収穫時期には、集落内、周辺にゴマの天日干しの「セサミストリート」(ゴマ道路)が出現する[6]。西日本の暖地の場合、5月から6月頃、畦に二条まきする。発芽適温は20度から30度で、適当な水分と温度とがあれば容易に発芽する。本葉が二枚になり草丈が成長してきたら、2回程度間引きを行い、株間を開ける。収穫は9月ごろ。
白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマ(または金ゴマ、茶ゴマ)など、種子の外皮の色によって分類される[7]。欧米では白ゴマしか流通しておらず、アジアは半々。金ゴマは主にトルコでの栽培である。
農薬や肥料なしでもそれなりの収穫が可能という、自然まかせで栽培できる作物であるため[8]、後述のような品種改良はあまり行われてこなかった歴史がある。
アフリカのサバンナに約30種の野生種が生育しており、ゴマの起源地はサバンナ地帯、スーダン東部であろうというのが有力である。ナイル川流域では5,000年以上前から栽培された記録がある。古代エジプトでは、ゴマは体に良い食べ物とされ、薬用利用などしていたことが、医薬書に象形文字で紹介されている[11]。
日本では縄文時代の遺跡からゴマ種子の出土事例がある。奈良時代には畑で栽培し[7]、ゴマを圧搾しゴマ油を作り食用油として調理したり、燈油として用いた[11]。平安時代の『延喜式』では、ゴマの菓子や薬用利用について記されている[11]。
2010年のゴマの生産量上位10カ国[12] | ||
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国 | 生産量 (100万トン) |
収穫率 (トン/ヘクタール) |
ミャンマー | 0.72 | 0.46 |
インド | 0.62 | 0.34 |
中国 | 0.59 | 1.22 |
エチオピア | 0.31 | 0.99 |
スーダン | 0.25 | 0.19 |
ウガンダ | 0.17 | 0.61 |
ナイジェリア | 0.12 | 0.38 |
ブルキナファソ | 0.09 | 0.72 |
ニジェール | 0.09 | 0.50 |
ソマリア | 0.07 | 0.96 |
世界合計 | 3.84 | 0.49 |
2010年のゴマの世界の総生産量は384万トンであった。2010年の最大の生産国はミャンマーである。上位3カ国はミャンマー、インド、中国で、世界総生産量の約50パーセントを占める[13]。
ゴマは2010年には世界の農場で780万ヘクタールを超える面積で栽培されるまでになった[12]。
鞘の中に入った種子を食用とする。鞘から取り出し、洗って乾燥させた状態(洗いごま)で食用となるが、生のままでは種皮が固く香りも良くないので、通常は炒ったもの(炒りごま)を食べる。また、剥く、切る(切りごま)、指先でひねり潰す(ひねりごま)、すり鉢で擂り潰す(擂りごま・下記参照)などして、料理の材料や薬味として用いられる。また、伝統的にふりかけに用いられることが多い。味の特徴としては、白ごまはほのかな甘みがあり、黒ごまは香りが強く、コクがある。黄ごま(金ごま、茶ごまとも)は香りがよく、味が濃厚である。
葉の青汁利用も行われている。ミネラル、ビタミン、食物繊維のほか、抗酸化作用のあるアクテオシドが含まれている[14]。
100 gあたりの栄養価 | |
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エネルギー | 2,506 kJ (599 kcal) |
炭水化物 |
18.5 g |
食物繊維 | 12.6 g |
脂肪 |
54.2 g |
タンパク質 |
20.3 g |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 1 µg |
チアミン (B1) |
(43%) 0.49 mg |
リボフラビン (B2) |
(19%) 0.23 mg |
ナイアシン (B3) |
(35%) 5.3 mg |
パントテン酸 (B5) |
(10%) 0.51 mg |
ビタミンB6 |
(49%) 0.64 mg |
葉酸 (B9) |
(38%) 150 µg |
ビタミンE |
(1%) 0.1 mg |
ビタミンK |
(11%) 12 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 2 mg |
カリウム |
(9%) 410 mg |
カルシウム |
(120%) 1200 mg |
マグネシウム |
(101%) 360 mg |
リン |
(80%) 560 mg |
鉄分 |
(76%) 9.9 mg |
亜鉛 |
(62%) 5.9 mg |
銅 |
(84%) 1.68 mg |
他の成分 | |
水分 | 1.6 g |
水溶性食物繊維 | 2.5 g |
不溶性食物繊維 | 10.1 g |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[16]。 | |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
昔からゴマは栄養価の高い食品として知られ、生薬としても用いられた。
種皮の色によって黒ゴマ、白ゴマ、黄褐色のものは金ゴマなどの品種に分けられるが、栄養的にはほとんど差がない[4][17]。黒ゴマの皮の部分にはタンニン系ポリフェノール色素を多く含んでいる。
カルシウム、マグネシウム、鉄、リン、亜鉛等のミネラルが多く含まれ、骨粗しょう症の予防や貧血の改善に効果がある。タンパク質、食物繊維、ナイアシン、ビタミンA、B1、B2、B6、Eや葉酸が豊富に含まれている。ゴマには抗酸化物質として働くリグナンが含まれており、ゴマの代表的なリグナンはセサミンである。ゴマ自体も抗酸化作用を持ち、活性酸素が体内で生成されるのを抑え、肝臓機能を強化し細胞の老化やガン化を抑制する作用がある。種子にはオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸などの脂肪油45 - 50%、蛋白質約20%、含水炭素10%、アデニン、コリンなどを含んでいる[4]。
リノール酸は必須脂肪酸の1種で、コレステロールの血管への沈着を抑制し、動脈硬化の予防に役立つと言われている[4]。ただし、搾油したものは、そのまま空気に触れさせて放置すると過酸化脂質化して、癌や肝炎、動脈硬化の発病に関与してしまうとも言われている[4]。
栄養価が高く健康に良いとされているゴマではあるが、子供を中心にごまアレルギーの調査が報告されている。アトピー性皮膚炎の子供126名を対象に行なった例では、1歳未満の乳児が21%、1歳から1歳6ヶ月未満では44%、2歳・3歳以上では約50%が、ゴマに対して陽性を示す結果となった[7]。
ゴマはかつて生薬としても用いた。秋に果実を収穫して種子を採取して日干しにしたものを胡麻(ごま)と称し、栄養価が高いことから滋養強壮になり、切り傷、ただれ、刺し傷の治癒にも使われた[4]。傷や皮膚ただれには、新鮮な胡麻油を患部に塗布すると、傷面の保護や消炎に役立つと言われている[4]。また、耳に小さな虫が入ったときに、綿棒の先に胡麻油を塗って耳に入れると、油の粘りで虫取りに利用できる[4]。
白ごまの拡大写真
ふりかけとしての黒ごま
黒ごまのタレを掛けたごま団子
香港の米で作る点心(腸粉)
ハンバーガーに用いたゴマ
ゴマをまぶしたパン(トルコやギリシャなどで食べられているシミット)
アラブ料理のごまパン
料理に使われるようなごま
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ウィキメディア・コモンズには、ゴマに関連するカテゴリがあります。 |
ウィキスピーシーズにゴマに関する情報があります。 |
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