筋ジストロフィー
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- 1. デュシェンヌ型およびベッカー型筋ジストロフィーの臨床的特徴および診断 clinical features and diagnosis of duchenne and becker muscular dystrophy
- 2. 肢帯型筋ジストロフィー limb girdle muscular dystrophy
- 3. エメリー‐ドレフェス型筋ジストロフィー emery dreifuss muscular dystrophy
- 4. デュシェンヌ型およびベッカー型筋ジストロフィーの治療 treatment of duchenne and becker muscular dystrophy
- 5. 眼咽頭型、遠位型,および先天性筋ジストロフィー oculopharyngeal distal and congenital muscular dystrophies
和文文献
- Chemical treatment enhances skipping of a mutated exon in the dystrophin gene.
- Nishida Atsushi,Kataoka Naoyuki,Takeshima Yasuhiro,Yagi Mariko,Awano Hiroyuki,Ota Mitsunori,Itoh Kyoko,Hagiwara Masatoshi,Matsuo Masafumi
- Nature communications 2, 2011-05-10
- … 筋ジストロフィーに対する新しい低分子治療薬候補物質を発見. …
- NAID 120003001398
- 福山型先天性筋ジストロフィーの中枢神経病変の解析および原因遺伝子fukutinの役割
- 山本 智子,廣井 敦子,柴田 亮行,大澤 真木子,小林 槇雄
- 東京女子医科大学雑誌 81(E1), E25-E36, 2011-03-31
- … 福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD) は、筋肉の他、中枢神経系や眼の形成異常を伴う筋ジストロフィーで、常染色体劣性遺伝を示す。 …
- NAID 110008439096
- Duchenne型筋ジストロフィー家系における女性保因者診断の実際
- 白石 一浩
- 小児保健研究 70(4), 550-553, 2011-07
- NAID 40018907864
- Duchenne型筋ジストロフィーに対するエクソンスキッピング誘導治療 (第5土曜特集 RNA医学・医療--あらたな診断・治療を拓く) -- (RNAを利用する新しい医薬・医療)
- 李 知子,松尾 雅文
- 医学のあゆみ 238(5), 536-541, 2011-07-30
- NAID 40018906015
関連リンク
- 筋ジストロフィー(きんジストロフィー)とは、筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を 繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称である。 発症年齢や遺伝形式、臨床的経過等から様々な病型に分類される。その内、最も頻度 の高い ...
- 進行性筋ジストロフィー. Progressive muscular dystrophy:PMD 筋ジストロフィーとは 、骨格筋の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性の 疾患と定義される。筋肉が萎縮し筋力低下を来す原因としては筋肉そのものに原因が ある ...
関連画像




★リンクテーブル★
先読み | 「進行性筋ジストロフィー」 |
国試過去問 | 「109I063」「095D045」「101F055」 |
リンク元 | 「重症筋無力症」「心電図」「筋力低下」「呼吸困難」「筋強直性ジストロフィー」 |
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関連記事 | 「ジストロフィー」 |
「進行性筋ジストロフィー」
- 英
- progressive muscular dystrophy, PMD
- ラ
- dystrophia muscularis progressiva
- 関
「109I063」
- 9歳の男児。遺伝子診断を希望した両親に連れられて来院した。3歳ころに歩容異常と床からの立ち上り困難とに気付かれ筋ジストロフィーと診断された。歩行障害は次第に進行し、かろうじて支え立ちができる程度となった。両親は新聞報道で筋ジストロフィーの遺伝子治療の臨床試験が始まることを知り、事前に必要な検査を希望している。頭部の筋は正常で舌は大きい。四肢体幹筋は萎縮しており、徒手筋力テストで下肢近位筋が2、遠位筋が4である。腱反射は消失している。白血球からDNAを抽出し、ジストロフィン遺伝子の複数のエクソンを同時にPCR法で増幅してアガロースゲル電気泳動した。結果の一部(別冊No. 22)を別に示す。矢印で所見を示す。
- 診断はどれか。
※国試ナビ4※ [109I062]←[国試_109]→[109I064]
「095D045」
- 8歳の女児。疲れやすいため母親に連れられ来院した。2年前から低身長、頻回の嘔吐および運動後の激しい疲れに気付いていた。2か月前に右半身のけいれんが2回あり、けいれん後に一過性の視力障害があった。母親も低身長であり、糖尿病の治療を受けている。来院時、全身の骨格筋にやせと脱力とがあり、軽度の難聴を認める。血清生化学所見:GOT 65単位(基準40以下)、GPT 50単位(基準35以下)、CK 200単位(基準10~40)、乳酸47mg/dl(基準5~20)。
- 診断はどれか。
- a. 多発性硬化症
- b. ミトコンドリア脳筋症
- c. 筋ジストロフィー
- d. 結節性硬化症
- e. 脳腫瘍
※国試ナビ4※ [095D044]←[国試_095]→[095D046]
「101F055」
- 筋ジストロフィーでX連鎖性遺伝形式をとるのはどれか。
※国試ナビ4※ [101F054]←[国試_101]→[101F056]
「重症筋無力症」
- first aid step1 2006 p.189,201,294,414
概念
- 自己免疫疾患
- 抗アセチルコリン受容体抗体による神経筋接合部伝達障害
- アセチルコリン受容体に対する自己抗体が、アセチルコリンの結合を阻害し、アセチルコリン受容体の数を減少させ、あるいは補体系を介した細胞膜破壊を引き起こす。
病因
疫学
- MGの有病率:1-7/10,000。女性20-30歳代最大に多い。男性50-60歳代に多い。男女比:3:2。(HIM.2672-)
遺伝形式
病変形成&病理
病態
- 筋脱力、易疲労性と症状の変動(夕方、反復動作で悪化。朝、休息後、睡眠後に軽快)
症状
- 筋脱力
-
- 眼 :眼瞼下垂、複視
- 舌 :舌筋の萎縮
- 喉頭 :言語障害
- 咽頭 :嚥下障害
- 横隔膜:呼吸困難
- 肋間筋:呼吸困難
- 四肢 :歩行障害(近位筋優位・上肢優位の筋脱力)
HIM.2672-
- 主要な症状は筋脱力と疲労性。筋肉の反復使用で悪化。急速や睡眠で改善。MGの経過は様々(個人差が大きいってことか)。発病から2,3年は緩解したり発症したりする。まれに完全に緩解する。全身疾患や未治療の感染症があると筋脱力が悪化したりmyasthenic crisisを起こしたりする。。
- 筋脱力の分布は特徴的。頭部特に眼瞼や外眼筋にみられる。複視や眼瞼下垂が普通の最初の訴えである。
- 表情筋の筋脱力で笑おうとしたときに"snarling"を生じる。咬筋の筋脱力は咀嚼を長い間したときに認められる。
- Speech may have a nasal timbre caused by weakness of the palate or a dysarthric "mushy" quality due to tongue weakness. *Difficulty in swallowing may occur as a result of weakness of the palate, tongue, or pharynx, giving rise to nasal regurgitation or aspiration of liquids or food
- Bulbar weaknessはMuSK antibody?positive MGのときにとくに著明となる。
- 85%までの患者で筋脱力が全身性となる。3年以上、筋脱力が外眼筋に限局している場合、筋脱力が全身性になることはない。→ ocular MG
- MGの筋脱力は近位部であり、非対称性である。深部腱反射は保たれる。筋脱力が呼吸筋におよび呼吸補助が必要になったら、その患者はin crisisと呼ばれる。
重症筋無力症と関連する疾患。(HIM.2672-)
- MG患者の~75%が胸腺の異常を有している。
- 40歳以上の患者で胸腺が肥大していたら胸腺腫が疑わしい。
- 患者の3-8%が甲状腺機能亢進症を有しており、重症筋無力症の症状を悪化させる。
- 甲状腺機能検査はMGを疑う患者すべてに行うべき。
- どんな慢性感染症でもMGを悪化させる。
- 呼吸機能検査はやる価値がある。MGでは頻繁にそして重度の呼吸機能低下をきたす。
- 胸腺の疾患:胸腺腫、胸腺過形成
- 他の自己免疫疾患:橋本病、グレーブス病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫性の皮膚疾患、他の家族性の自己免疫疾患
- 重症筋無力症を悪化させる疾患:甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、潜在性の感染症、治療中の他の疾患
- 治療に干渉する疾患:結核、糖尿病、消化性潰瘍、消化管出血、腎疾患、高血圧、ぜんそく、骨粗鬆症、肥満
診断
鑑別診断
(CASES) | ||
上位and/or下位 運動ニューロン | motor neurone disease 運動ニューロン疾患 | 線維束性攣縮。進行例では筋力低下 |
筋 | muscular dystrophy 筋ジストロフィー | ある種の筋肉が選択的に筋力低下する。家族歴がある。 |
筋 | dystrophia myotonica 筋強直性ジストロフィー | 咬筋、側頭筋、胸鎖乳突筋の筋萎縮、四肢遠位端の筋萎縮。顔貌が特徴的(前頭部脱毛、無表情、窪んだ頬)。家族歴ある。筋電図が診断に有用(急降下爆撃音)。 |
筋 | polymyositis 多発筋炎 | 普通は皮疹と関節痛が出現。CKが上昇。筋生検が診断に有用 |
筋 | myopathy ミオパチー | 甲状腺中毒性ミオパチー、甲状腺機能低下症によるミオパチー、クッシング症候群によるミオパチー、アルコール性のミオパチー |
神経筋接合部 | non-metastatic associations of malignancy (paraneoplastic syndrome(傍腫瘍性症候群 = 腫瘍随伴症候群)のこと) | 胸腺腫の症例の10%に重症筋無力症がみられる。ランバート・イートン筋無力症症候群は小細胞癌と関連がある。 |
(HIM.2674) | ||
神経筋接合部 | congenital myasthenia syndrome 先天性筋無力症症候群 | |
神経筋接合部 | drug-induced myasthenia 薬剤性筋無力症 | 重症筋無力症の誘発:ex. ペニシラミン(強皮症や関節リウマチの治療薬。筋力低下は軽度で拭くよう中断で改善) |
重症筋無力症の悪化:ex. アミドグリコシド系抗菌薬、プロカインアミド | ||
神経筋接合部 | Lambert-Eaton myasthenic syndrome ランバート・イートン筋無力症症候群 | 全身の筋肉が冒されるが、特に下肢の近位筋が冒される。MGと同じように~70%の患者で脳神経所見(眼瞼下垂、複視など)が認められる。MGと違うのは(1)反射が消失・減弱すること、(2)自律神経系の変化(口渇、勃起不全)を生じる、(3)神経刺激検査で漸増(waxing)が見られることである。病因は神経筋接合部のP/Q type calcium channelsに対する抗体の出現であり、85%の患者で見いだされる。治療はMGのように血漿交換や免疫抑制薬が使われる。3,4-DAPやpyridostigmineは症状に対する治療のために用いる。前者は運動神経の終末部でカルシウムチャネルをブロックし活動電位を延長させる。後者はアセチルコリンエステラーゼを阻害してシナプスにおける神経伝達物質の濃度を上げる。 |
精神疾患 | neurasthenia 神経衰弱症 | 歴史的な用語。器質的な障害を伴わない筋無力症のような脱力を伴う症候群。患者は筋脱力や疲労を訴えてやってくる。筋肉の検査では器質的変化は認めないが"jerky release"あるいは"give-away weakness"が認められる。患者の主訴は反復動作による筋力低下よりむしろ疲労や感情鈍麻である。 |
内分泌疾患 | hyperthyroidism 甲状腺機能亢進症 | MGが疑われる患者にはthyroid function testをルーチンにやる。甲状腺機能異常は筋無力症の筋力低下を大きくすることがある。 |
神経筋接合部 | botulism ボツリヌス症 | ボツリヌス毒素はシナプス前膜からの神経伝達物質の開口分泌を妨げる。症状はbulbar weakness (複視、構音障害、嚥下困難)。感覚障害はない。深部腱反射は初期には保たれている。進行すれば反射は見られなくなる。筋脱力は全身性。呼吸困難に陥ることがある。精神状態は正常。自律神経症状(麻痺性イレウス、便秘、urinary retention、瞳孔の散大、瞳孔の反応性低下、口渇)。確定診断は血清中の毒素の検出だけど、見つかることはまれ。神経伝導検査(nerve conduction studies):compound muscle action potentials (CMAPs)の低下。高頻度の刺激で振幅が増加。治療:intubation for airway protection、呼吸補助、aggressive inpatient supportive care(e.g., nutrition, DVT prophylaxis)。馬の抗毒素を検査結果が帰ってくる前に投与する(?)。 |
上位運動ニューロン | intracranial mass lesions 頭蓋内占拠病変 | 複視はintracranial mass lesionが外眼筋の神経を圧迫することにより生じる。 |
筋 | progressive external ophthalmoplegia 進行性外眼筋麻痺 | 外眼筋の筋脱力を伴う。四肢の近位筋の筋力低下やそのほかの全身症状を伴うことがある。ミトコンドリアの異常を有する。 |
検査
- 筋肉の破壊を示唆する所見はない:CK, AST, LDH, CRP
- 1. テンシロンテスト(抗コリンエステラーゼ薬):エドロホニウムの静注で症状が数分改善。
- 2. 誘発筋電図検査:wanning
- 3. 血清抗アセチルコリン受容体抗体:陽性
- 4. 胸部X線CT:胸腺腫や肺癌(小細胞癌)のスクリーニング
HIM.2672-
- 画像検査:胸部のCT, MRI → 胸腺腫のスクリーニング
- 血清学的検査:全身性エリテマトーデスのスクリーニング検査、抗核抗体、リウマトイド因子、抗甲状腺抗体
- 甲状腺機能検査
- PPD skin test:結核の検査
- 胸部X線検査:結核の検査
- 空腹時血糖検査:耐糖能異常(糖質コルチコイドの副作用)
- 肺機能検査:重症筋無力症の病態把握
- 骨密度検査(老人):糖質コルチコイドの副作用
治療 IMD.1075
- 薬物療法
- 抗アセチルコリンエステラーゼ薬
- 適応:眼症状のみ、高齢者
- 糖質コルチコイド ← (CASES p.36によると第一選択らしいが)
- 適応:症状が強く全身性で、血清抗AChR抗体高値、かつ胸腺腫
- 免疫抑制薬
- 適応:難治例
- 手術療法
- 胸腺摘除
- 適応:症状が強く全身性で、血清抗AChR抗体高値、かつ胸腺腫。良い適応は診断後5年以内かつ胸腺腫が無い場合(CASES.36)。
- 適応:難治例
- 放射線療法
- 適応:悪性胸腺腫か胸腺異所迷入例であって胸腺摘除後
HIM.2672-
- 薬物療法:コリンエステラーゼ、グルココルチコイド、免疫抑制薬、免疫グロブリン製剤
- 手術療法:胸腺摘出術
- その他の治療:血漿交換
禁忌
- 医療禁忌マニュアル
- ベンゾジアゼピン系薬などの筋弛緩作用を有する薬物の投与により呼吸不全の危険がある ex. ミダゾラム
- アミドグリコシド系抗菌薬は神経接合部作用があり、重症化の恐れ
- インターフェロンα:クリーゼを起こしたという報告があり、一旦起こると薬物を中止しても進行し重症化しうる。
予後
- ほとんどの患者が適切な処置によりfull productive livesに復帰できる。(HIM.2672-)
国試
参考
- 1. [charged] Treatment of myasthenia gravis - uptodate [1]
「心電図」
- 図:PT.268,279(心臓の構造と興奮伝導系)
- 心電図の読み方:PHD.108
概念
- 心臓全体の電気的活動を体表面から経時的に記録したもの。
- 特殊心筋の活動電位は記録されない。固有心筋の活動電位のみ
医学大事典より
- 心臓は拍動のたびに電気を発生し、これを心起電力(cardiac electromotive force)と呼ぶ。
- 心起電力により体表面に電流が流れると四肢や胸壁など、体表面の異なった部位間に電位差が生じる。
- この電位差を導出するための装置を心電計と呼び、心電計により時間軸に沿って記録された電位の変化を心電図という。
意義
- 心電図は心臓の電気的興奮の伝達を記録したものである。P波は心房の脱分極を、QRS波は心室の心筋細胞の脱分極を表す。T波は心室の再分極を表す。つまり心筋の異常がある場合何かしらの変化が心電図上に表れるということである。心電図は身体に侵襲的な影響を及ぼさない検査である。このことはこの検査を心臓の疾患を疑ったら即行ってよいということである。
- 心電図は、不整脈、心筋梗塞、心筋虚血、心膜炎、心房負荷、心室肥大・心室拡大、電解質異常などの判断に有用である。
施行する目的
- 心臓疾患疑い(狭心症・心筋梗塞・不整脈など)
- スクリーニング(学校検診、職場検診など)
心電図の種類
- 臨床では一般に標準12誘導心電図が良く用いられる
電極の部位による分類
- 体表の誘導
- 体内の誘導
- 食道内心電図
- 心腔内心電図
- ヒス束心電図
表現形式による分類
- ベクトル心電図:心起電力をベクトル環として三次元的に描く
- スカラー心電図:時間軸に沿った電位の記録
心電図の記録サイズ
- 縦軸:10mm = 1mV
- 横軸: 5mm = 0.2s
標準12誘導心電図
- 標準肢誘導(I,II,III) + 単極肢誘導(aVR, aVF, aVL) + 胸部誘導(V1, V2, V3, V4, V5, V6) = 12誘導
電極の取り付け位置・電極の色
単極肢誘導
右手首 | 左手首 |
右足首 | 左足首 |
単極胸部誘導
- EAB.5改変
V1 | 右第4肋間 | 赤 |
V2 | 左第4肋間 | 黄 |
V3 | V2とV4の中点 | 緑 |
V4 | 左第5肋間かつ鎖骨中線 | 茶 |
V5 | V4と同じ高さで前腋窩線との交点 | 黒 |
V6 | V4と同じ高さで中腋窩線との交点 | 紫 |
心電図の波
- 6つの棘波よりなる
- P波:心房の電気的興奮。:0.12-0.20s (3-5mm)
- QRS複合:心室の電気的興奮:0.06-0.15s :正常; 0.06-0.08s (1.5-2mm), 不完全脚ブロック; 0.08-0.12s (2-3mm), 完全脚ブロック ≧0.12s (≧3mm)
- T波:心室の再分極(心室筋興奮の回復過程):
- U波
心電図の波の間隔
- PQ時間:房室間伝導遅延:0.12-0.20s
- QT時間:電気的心室収縮時間:心拍数と相関関係がある
- QTc=QT/sqrt(RR)
- 心拍数によらずほぼ一定の値を示す
- RR:心臓の一周期
- TP:心臓の弛緩期
正常心電図における波
- I,IIにおいてP, QRS, Tが全て正 → 100G096
心電図による得られる情報 (SP.536)
- 心臓における興奮の発生と伝達の過程を可視化
各誘導で取りやすい所見
- 第II誘導:P波の描出
- V5誘導:虚血性変化
特徴的な所見
新生児・幼小児の心電図
- SPE.428-
- 電気軸:右軸偏位 → 左軸偏位 胎児循環では右心系が主に体循環に関わっていたが、成人で見られる循環では左心系が関わる。生後一ヶ月らいまでは+120~130°程度の右軸偏位
- 呼吸性不整脈:小児では顕著。吸気時に心拍数増加、呼気時に心拍数減少
- 右室肥大:新生児~乳児では肺血管抵抗がまだ高いために右室肥大が持続。
心電図と心疾患
- 狭心症:血液が不足する状態
- 心臓を栄養している血管が急激に閉塞するため、全く血液が供給されない状態。
- 急性期と慢性期では異なった心電図をとる。
- 異常Q、ST上昇、冠性T
- 心臓に器質的疾患を持たないにもかかわらず、心電図上でQT時間の延長(QT時間が0.46秒以上)を認める病態。
疾患と心電図
- 心膜炎 心外膜炎:90%の患者に異常が見られる。aVR, V1を除いたST上昇。いくつかの電極でPR部の低下(PR segment depression)
- 肺性心(肺気腫):肺性P、不完全右脚ブロック、右軸偏位、V1-V3のT波陰転・平坦化、II,III,aVFでST低下。肺高血圧、最初の3つは右室負荷を反映
- 肥大型心筋症:ST-T変化(ストレイン型の陰性T波は、上に凸のST低下を伴い、非対称性陰性T波)。Sv1, Rv5の増大。QRS時間の延長。
- 心房中隔欠損症:PR延長、不完全右脚ブロック、右軸偏位。右心系の容量負荷による遠心性心肥大。
- 心室中隔欠損症:
- ブルガダ症候群:右側胸部誘導(V1-V2(V3))のST上昇(coved型あるいはsaddle back型) 。完全あるいは不完全右脚ブロック様QRS波形(つまり、V1-V3でJ波が見られる)。
- 脚ブロック
- WPW症候群:Δ波。PQ短縮、QRS延長。V1に特徴的変化「A型: 高いR波。左室自由壁」「B型: rS型。右側」「C型: Qr/QS。中隔」
注意点
- 胸をさらすことになるので、女性の患者では特に配慮する。誘導の電極が正しい位置に貼られていないと記録される結果が異なってくるので、正確な位置に貼る。また、心電図は筋肉の活動も拾ってしまうので、筋緊張を和らげるため患者にはリラックスしてもらい、リラックスできる状況を作ることを心がける。
参考
- [display]http://www.cardiac.jp
「筋力低下」
筋力低下をきたす障害部位別の症候・検査所見 IMD.147
症候・検査 | 障害部位 | |||
上位運動ニューロン | 下位運動ニューロン | 神経筋接合部 | 筋 | |
筋力低下 | + | + | + | + |
筋萎縮 | - | + | - | +*** |
筋線維束攣縮 | - | + | - | - |
筋卜ーヌス | ↑ | ↓ | → | ↓ |
腱反射 | ↑ | ↓~- | → | ↓~- |
病的反射 | + | - | - | - |
異常連合運動 | + | - | - | - |
血清CK | → | →(ときに→↑) | → | ↑ |
針筋電図 | → | 神経原性変化 | →** | 筋原性変化 |
神経伝導速度 | → | → (脱髄性の ニューロバ シー*で↓) | → | → |
筋生検 | → | 神経原性変化 | → | 筋原性変化、 各疾患に特徴的な変化 |
代表的疾患 | 脳梗塞、出血、脳腫癌など による片麻痺、脊髄障害 による対麻痺、運動ニューロン疾患、頚椎症、多発性硬化症 | 運動ニューロン疾患、頚椎症 *ニューロパシー (Charcot-Marie-Tooth病、Guillain-Barre症候群など) | (a)重症筋無力症 (b)筋無力症候群 **誘発筋電図で、 (a)waningあるいは (b)waxingがみられる | 筋ジストロフィー、筋 炎、代謝.内分泌性ミオパシー、ミトコンドリア脳筋症 ***周期性四肢麻痺では 筋萎縮はほとんどない |
+:存在する、-:なし・消失、↑:亢進・上昇、↓:低下・減少、→:正常ないし著変なし、 →↑:軽度上昇 |
筋脱力の診断 IMD.660
末梢神経領域の筋脱力 | 単神経障害 | ||
非対称性 | 一側上下肢 | 脳神経障害あり | 大脳、脳幹障害(脳血管障害、脳腫瘍など) |
脳神経障害なし | 頚椎症、脊髄腫瘍、脊髄空洞症 | ||
両側遠位優位 | 筋萎縮あり、感覚障害なし | 運動ニューロン疾患、筋緊張性ジストロフィー | |
急性に両下肢末梢から始まり. 感冒様症状が前駆 | Guillain-Barre症候群 | ||
対称性 | 両下肢 | 筋萎縮なし‥膀胱直腸障害レベルを有する感覚障害あり | 変形性脊椎症、脊髄腫瘍、MS、脊髄炎 |
筋萎縮なし‥感覚障害なし . | ヒ卜T細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)関連ミエロパシー(HAM)、亜急性連合性脊髄変性症 | ||
両側近位優位 | 易疲労性 | MG、Eaton-Lambert症候群 | |
急性2-3日で自然軽快 | 周期性四肢麻痺、低K性ミオパシー | ||
亜急性 | PM、DM | ||
慢性 : 神経原性 | Kugelberg-Welander病(脊髄性筋萎縮症3型) | ||
慢性 : 甲状腺機能異常 | 粘液水腫、甲状腺中毒性ミオパシー | ||
慢性 : ステロイド使用 | ステロイドミオパシー |
「呼吸困難」
- 研修医のための小児救急ABC 呼吸困難と呼吸不全
概念
- 息が苦しいという自覚症状。呼吸時の不快な感覚である。呼吸苦とも記載されることがあるが、呼吸困難とする。息切れも同義とされている。
- 呼吸困難という自覚症状があるにもかかわらず、必ずしも呼吸不全という客観的な病態に陥っていないことがあるので注意。
原因疾患
慢性呼吸困難 | 急性呼吸困難 | ||
呼吸器疾患 | 閉塞性障害 | 慢性閉塞性肺疾患 肺リンパ脈管筋腫症 びまん性汎細気管支炎 気管支拡張症 | 気管支喘息発作 アナフィラキシー 上気道閉塞 気道内異物 肺炎・細気管支炎 慢性呼吸器疾患の急性増悪 緊張性気胸 |
拘束性障害 | 肺線維症 間質性肺炎 | ||
混合性障害 | 塵肺 | ||
循環器疾患 | 肺高血圧症 慢性心不全 狭心症 | 急性冠症候群 急性心不全 非心原性肺水腫 致死性不整脈 肺血栓塞栓症 慢性呼吸器疾患に伴う右心不全 | |
血液疾患 | 貧血 | 急性出血 | |
神経筋疾患 | 重症筋無力症 ギラン・バレー症候群 筋萎縮性側索硬化症 進行性筋ジストロフィー | ||
代謝疾患 | 甲状腺機能亢進症 | 糖尿病性ケトアシドーシス 尿毒症性アシドーシス | |
腎疾患 | 腎性貧血 | 糖尿病腎症に伴う肺水腫 急速進行性糸球体腎炎の肺障害 | |
中枢神経系疾患 | 脳炎 脳腫瘍 髄膜炎 | ||
精神神経系疾患 | 過換気症候群 神経症性障害 心身症 |
鑑別診断
IMD
呼吸困難の原因となる病態・疾患 | ||
呼吸困難の機序 | 原因 | 病態.疾患 |
①換気(労作)の増加 | 低酸素血症 (hypoxemia) | チアノーゼをきたすCHD:Fallot四徴症など 高山病 肺動静脈瘻 肺実質病変:肺炎、腫瘍など 無気肺 肺塞栓症 新生児呼吸窮迫症候群 |
高炭酸ガス血症 | 閉塞性肺機能障害、肺胞低換気(「②換気能力の低下」参照) | |
アシドーシス(anaerobic and metabolic acidosis) | 心疾患:肺動脈弁狭窄症、MSによる心拍出量の低下 重症貧血 妊娠 腎不全 糖尿病 | |
発熱 | 感染症など | |
②換気能力の低下 | 閉塞性肺機能障害 | 気道の閉塞:喉頭炎、声帯麻痺、異物など 閉塞性肺疾患:慢性気管支炎、慢性肺気腫、気管支喘息、DPB |
拘束性肺機能障害 | 肺高血圧症:左心不全、MS 肺切除 胸水の貯留 気胸 腫瘍、肺炎 食道裂孔ヘル二ア 胸郭成形、脊柱後弯・脊柱側弯、強直性脊椎炎 間質性肺炎(特発性、続発性) 塵肺、過敏性肺炎、サルコイドーシス、BO 反復性誤嚥性肺炎 Langerhans肉芽腫症 | |
肺胞低換気 | 神経・筋機能不全:ポリオ、多発性神経障害、MG、筋ジストロフィー 低K血症など | |
③心因性呼吸困難 | 不安、抑うつ、医原性 | 過換気症候群 |
CHD:先天性心疾患、MS:僧帽弁狭窄症、DPB:びまん性汎細気管支炎、BO:閉塞性細気管支炎、MG:重症筋無力症 |
胸痛と呼吸困難
- 参考1
- 気胸、肺炎、胸膜炎、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺癌などの肺疾患、心不全
参考
- 1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
「筋強直性ジストロフィー」
- 英
- myotonic dystrophy MD
- ラ
- dystrophia myotonica DM
- 同
- 筋緊張性ジストロフィー、筋強直型ジストロフィー、シュタイネルト病 スタイナート病 Steinert's disease Steinert disease、萎縮性筋強直症 myotonia atrophica
- 関
- 筋ジストロフィー。先天性筋強直性ジストロフィー congenital myotonic dystrophy(HIM.2685)
概念
- 筋硬直(myotonia)を伴う筋ジストロフィー
- トリプレットリピート病
- 筋ジストロフィーでありながら、遠位筋から冒される!
病型
- myotonic dystrophy type 1, DM1: Steinertが報告した古典的なMD
- myotonic dystrophy type 2, DM2 = proximal myotonic myopathy(PROMM)
病因
myotonic dystrophy type 1, DM1
- 第19番染色体長腕(19q13)
- プロテインキナーゼ(myotonin-protein kinase)をコードする遺伝子の上流域に延長した三塩基(CTG)繰り返し配列の挿入
- CTGリピート数:(正常人)5-35回、(患者)50-2,000回
- 非コード領域にスリップ複製が起こることによりリピート数が増加する
- 一般にリピート数が多いほど発症は早く、症状も重い。
myotonic dystrophy type 2, DM2
- 3q13.3-q24に座乗するZNF9遺伝子の第一イントロンにおけるCCTG反復配列の増加
疫学
- 有病率:5/10万人 (YN.J-153)
- 15-40歳に多い。 (YN.J-153)
- (DM1)発症は幼児、あるいは成人。(DM2)40歳頃に発生。
遺伝形式
症候
- HIM.2685 参考5 IMD
- 骨格筋
- 顔貌:眼瞼下垂、尖った顔貌(hatchet-faced appearance) ← 側頭筋、咬筋、表情筋の萎縮。前頭部の禿
- 筋力低下:頚部の筋、胸鎖乳突筋、四肢遠位の筋が初期に障害される。手首、指、手掌の筋も障害される。前脛骨筋の障害により下垂足となる。近位筋は保たれるが大腿四頭筋は多くの患者で萎縮している。口蓋、喉頭、舌の筋の障害により、構音障害による構音、鼻声、また嚥下困難が生じる。横隔膜筋や内肋間筋の筋力低下により呼吸不全をきたす症例もある。
- 筋硬直:(myotonia):5歳までに出現。母指球、舌、手掌伸展筋を叩くと出現する。随意的に物をつかんだ後にそれを離すまでの時間が長くなる。
- 骨格筋以外
- 心血管(DM1で一般的):心ブロック、(たまに)うっ血性心不全(肺性心から呼吸不全をきたしうる)、僧帽弁逸脱症 ← 心筋障害、弁膜障害
- 神経:知能低下、過剰傾眠傾向(hypersomnia)
- 眼:後嚢下白内障
- 消化器:食道・大腸運動能低下
- 生殖器:性腺萎縮。(DM2では稀)
- 内分泌:インスリン抵抗性
検査
- 針電極を刺入した後に、高振幅放電が見られ、その後に放電が持続しており、percussion myotoniaの所見に一致する(QB.J-159)
- 血液生化学検査
- CK:軽度上昇
- 免疫血清学検査
- IgG, IgM:IgG and IgM hypogammaglobulinemia (参考5) → 易感染性
診断
治療
参考
- 1.
- 2. Myotonic dystrophy - wikipedia en
- 3. 顔面の写真
- 4. シェーマ
- 5. [charged]Myotonic dystrophy: Etiology, clinical features, and diagnosis - uptodate [2]
国試
「遠位型筋ジストロフィー」
「先天性筋ジストロフィー」
先天性筋ジストロフィー
「デュシェンヌ・グリージンガー型筋ジストロフィー」
「三好遠位型筋ジストロフィー」
「ジストロフィー」
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