神経性過食症

出典: meddic

bulimia nervosa BN
神経性大食症
大食症過食症摂食障害神経性食思不振症 AN
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概念

  • 自制困難な摂食の欲求を生じ、短時間に大量の食物を強制的に摂取するが、病的な肥満への恐怖から、その後嘔吐、下剤の乱用、翌日の摂食制限、絶食などを行う。
  • 体重は神経性食思不振症ほどには減少しないが、標準体重よりは低い。
  • 病識があり、過食後に無力感、抑うつ気分、自己卑下を伴う。
  • 活動性は低下する。
  • 若い女性に多い。
  • 有病率は若い女性において、英国で1.5-3.8%、米国で2.2-3.5%で認められ、神経性食思不振症より10-20倍程度多い。
  • 神経性食思不振症のように無月経、希発月経を生じることは少ない。
  • 嘔吐、下剤の使用により代謝性アシドーシスを呈することがある。



診断基準

ICD-10

  • (a)持続的な摂食への没頭と食物への抗しがたい渇望が存在する。患者は短時間に大量の食物を食べつくす過食のエピソードに陥る。
  • (b)患者は食物の太る効果に、以下の1つ以上の方法で抵抗しようとする。すなわち、自ら誘発する嘔吐、緩下薬の乱用、交代して出現する絶食期、食欲抑制薬や甲状腺末、利尿薬などの薬剤の使用。糖尿病の患者に過食症が起これば、インスリン治療を怠ることがある。
  • (c)この障害の精神病理は肥満への病的な恐れから成り立つもので、患者は自らにきびしい体重制限を課す。それは医師が理想的または健康的と考える病前の体重に比べてかなり低い。双方の問に数ヵ月から数年にわたる間隔をおいて神経性無食欲症の病歴が、常にではないがしばしば認められる。この病歴のエピソードは完全な形で現れることもあるが、中等度の体重減少および/または一過性の無月経を伴った軽度ではっきりしない形をとることもある。

鑑別診断

  • (a)反復性の喝吐を招くような上部消化管の障害(特異的な精神病理を欠く)。
  • (b)より全般的なパーソナリティの異常(摂食障害はアルコール依存や万引きのような軽犯罪を伴うことがある)。
  • (c)うつ病性障害(過食症患者はしばしば抑うつ症状を経験する)。


神経性食思不振症と神経性過食症

PSY.305
  神経性食思不振症
(AN)
神経性過食症
(BN)
精神症状 やせ願望 必発(強い) 必発(必ずしも強くない)
肥満恐怖 必発 必発
身体像の障害 伴う 伴う
病識 乏しい 病感を有する
その他の精神症状 抑うつ、不安、強迫症状、失感情症など 抑うつ、不安、強迫症状、失感情症など
身体症状 体重減少 低体重 標準体重~肥満
  月経異常 無月経 一部は無月経
  その他の身体症状 徐脈、低体温、低血圧、浮腫、産毛の密生など 浮腫、過食後の微熱など
行動異常 摂食行動 拒食、不食、摂食制限、隠れ食い、盗み食い、過食 過食、だらだら食い、絶食、摂食制限、隠れ食い、盗み食い
  排出行動 嘔吐、下剤の乱用、利尿剤の乱用 嘔吐、下剤の乱用利尿剤の乱用
  活動性 過活動 低下
問題行動 自傷行為、自殺企図、万引き、薬物乱用など 自傷行為、自殺企図、万引き、薬物乱用など

参考

  • 1. 摂食障害とは
[display]http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_eat.html
  • 2.
[display]http://www.lifeseed.info/doc2/dms1.html
  • 3.
[display]http://d.hatena.ne.jp/iDES/20060315/1142389117

uptodate

  • 1. [charged] 摂食障害:治療および転帰 - uptodate [1]
  • 2. [charged] 摂食障害:疫学、病因、および臨床的特徴の概要 - uptodate [2]
  • 3. [charged] 成人における神経性過食症および気晴らし食い症候群:内科的合併症およびその管理 - uptodate [3]
  • 4. [charged] 成人における神経性過食症:臨床的特徴、診断、および評価 - uptodate [4]
  • 5. [charged] 成人の神経性過食症:薬物療法 - uptodate [5]



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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/02 00:58:15」(JST)

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UpToDate Contents

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和文文献

  • 講義録:摂食障害と母娘関係
  • 生野 照子
  • 女性学評論 29, 1-22, 2015-03
  • I discussed mother-daughter relationship from the psychosomatic medicine viewpoint. Firstly,from a medical standpoint, I explained the diagnosis, current condition, characteristics, factors at onset, …
  • NAID 110009905058
  • 摂食障害 (特集 一般内科診療で役立つうつ病の知識 : こころの問題にどう対処するか) -- (特殊な病態への対応)
  • 13. 神経性過食症患者に求められる医療連携アプローチ : 食事への不安から波及する心理-社会的問題に対して,いかに予防・介入するか(一般演題,第52回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)
  • 2. 神経性食欲不振症から神経性過食症へ移行した遷延例(一般口演,第51回日本心身医学会九州地方会演題抄録)
  • 柴田 達徳,松林 直,久本 隆生,原 健,河合 雅代
  • 心身医学 54(10), 956, 2014-10-01
  • NAID 110009857627

関連リンク

心の病の神経性過食症についてその原因や治療方法などを紹介しています。 ... どのくらいの量を食べれば過食なのかは基準はありません。本人自体が普通に食べていた量よりも明らかに多い量を食べていれば過食となります。
神経性大食症は体重が正常であるため、家族にも気づかれないことが多い。患者は過食が憎いといいながらストレス発散の効用を認める。ゆえに過食は慢性化し、中には過食後の抑うつのために就学・就労できなくなり、万引きや自傷 ...
摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症 » 摂食障害は食行動の重篤な障害を特徴とする精神疾患です。極端な食事制限と著しいやせを示す「神経性食欲不振症」と、むちゃ喰いと体重増加を防ぐための代償行動を繰り返す「神経性 ...

関連画像

クリックすると拡大表示 拒食症、過食症ともに、思春期 過食症(神経性過食症)過食症、つまり神経性大食症は 過食症(神経性大食症・摂食 社会・文化的要因 が出るのが「 過食症 」です神経性大食症、過食症と言うん


★リンクテーブル★
先読み神経性食思不振症」「AN
リンク元摂食障害」「食思不振症」「BN」「bulimia nervosa
関連記事神経」「過食」「過食症」「神経性」「

神経性食思不振症」

  [★]

anorexia nervosa, AN
神経性食欲不振症神経性無食欲症
also see KPS. 798

概念

  • 器質的・特定の精神的疾患がないのに、拒食や過食などの食行動の異常、極端なやせ、無月経など種々の身体・精神症状をきたす病態。
  • 身体像(ボディイメージ)の障害、やせ願望や肥満恐怖などによる。

病型

  • 制限型:少食でやせを維持
  • むちゃ食い/排出型:過食しながら自己嘔吐や下剤・利尿薬の乱用でやせを維持

病因

  • 1. 遺伝的要因
  • 2. 環境要因(人格的脆弱性、生活環境、社会文化的要因)など → ストレスを適切に処理できないために発症
  • 性格:内向的、自己中心的、小心、完全癖、潔癖症など
  • 生活環境:家庭内の葛藤、学業や人間関係の悩み
  • 病態的には、心理的ストレスが大脳皮質を介して視床下部摂食中枢のコルチコトロピン放出ホルモン系を活性化することなどにより、食欲抑制や性機能障害をきたす。

疫学

  • 1980年代より増加傾向。日本の有病率は0.4-1.0%(摂食異常調査表による調査)(IMD.922)
  • 12-25歳に好発(YN.D-166)。10代後半-20代前半、15歳以下の発症例も増加傾向(IMD.922)。
  • 99%が女性(YN.D-166)。男性例は5%以下(IMD.922)

症状

  • やせ、無月経
  • 病識なし、活動性亢進、むちゃ食い/排出型の場合は自己嘔吐や下剤・利尿薬乱用の習慣化
  • 飢餓症候群
  • 生活すべてが食とやせの維持に振り回され、ついには飢餓に伴う精神症状が出現
  • 集中力・判断力の低下、抑うつ、不安、過敏性、不眠、自傷行為など

身体所見(IMD.922, YN.D-166)

低栄養だが、性ホルモンは比較的維持。
  • 低血圧、低体温、便秘、徐脈 ← 自律神経失調
  • (背中)うぶ毛密生、貧血、浮腫、肝機能障害、
  • カロチン症
  • 循環障害による皮膚色の変化や凍瘡、末梢神経麻痺
  • やせに比して乳房は比較的保たれ、腋毛・恥毛は脱落しないことが多い。

検査

  • 白血球数減少貧血、血小板減少
  • 肝機能障害、低血糖、低蛋白血症
  • (むちゃ食い/排出型)低Na・低K血症、代謝性アルカローシスや高アミラーゼ血症 ← 低K血症(循環血漿量減少 → RAA系の亢進 → アルドステロンによるKの排出)
  • 血清コレステロール値:(軽症)上昇、(重症)低下
  • 骨密度の低下
  • 甲状腺:T4:→/↑、T3:↓、reverse T3:↑(低T3症候群)。
  • 成長ホルモン:↑、インスリン様成長因子-I(IGF-I):↓  ← 末梢でIGF-Iの産生が低下、負のフィードバックにより成長ホルモンが増加
  • ACTH、コルチゾール:↑
  • 卵胞刺激ホルモン(FSH):→/↑
  • 黄体ホルモン(LH):↓
血算 ヘモグロビン 減少(貧血)
白血球 減少
リンパ球 比較的増加
生化学 Na 低Na血症(自己嘔吐・下剤使用例)
K 低Ka血症(自己嘔吐・下剤使用例)
AST 上昇
ALT 上昇
LDH 上昇
T-Cho 上昇
血糖 低下
血清学 IgG 低下(易感染性はない)
内分泌 T3 低下
reverse T3 上昇
GH
LH
FSH → or ↑
コルチゾール → or ↑

診断

診断基準(厚生省特定疾患・神経性食欲不振症調査研究班, 1990年)

  • (2) 標準体重の -20%以上のやせ
  • (3) 食行動の異常(不食、大食、隠れ食いなど)
  • (4) 体重や体型についての歪んだ認識(体重増加に対する極端な恐怖など)
  • (1) 発症年齢:30歳以下
  • (5) (女性ならば)無月経
  • (6) やせの原因と考えられる器質性疾患がない
  • やせや無月経をきたす器質性疾患:視床下部腫瘍、下垂体機能低下症、糖尿病、慢性膵炎、甲状腺機能亢進症、炎症性腸疾患、結核などの感染症、悪性腫瘍

鑑別診断

食思不振症とか錐体機能低下症の比較 IMD.923改変

  神経性食思不振症 下垂体機能低下症   ANについて
好発年齢 思春期 全年齢    
性差 女>>男 なし    
体重 著明に減少 不定    
食欲不振 高度    
食行動の異常 高頻度 なし    
精神運動異常 活発 無欲状    
月経異常 あり(体重減少に先行) あり    
産毛の増加   あり なし?    
恥毛腋毛脱落 なし あり   LH, FSHが少しは存在するため。
乳腺萎縮 軽度
やせに比して乳房は保たれる
著明  
下垂体機能 GH 正常~高値 低値   IGF-I低値
ACTH 正常~高値 低値    
LH, FSH 低値 低値    
TSH 正常 低値    
甲状腺機能 低T3症候群 機能低下   T4正常、reverse T3上昇
副腎皮質機能 正常
(コルチゾール高値例あり)
機能低下
(コルチゾール低値)
   
頭部CT・MRI 異常なし 異常例有り
(下垂体腫瘍, empty sellaなど)
   
症状 背部のうぶ毛の増加、便秘
低血圧徐脈下腿浮腫
循環障害による皮膚色の変化や
凍瘡末梢神経麻痺
カロチン症など
     
神経性食思不振症では成長ホルモンと糖質コルチコイドの上昇、末梢の甲状腺ホルモンの異常(reverse T3↑のこと?)、インスリン分泌の異常が認められることがある。(参考6)  ← 甲状腺、副腎機能は正常と言い切っている書物もあるが、、、

治療

  • 医師と患者の信頼関係が重要。体重増加を受け入れてもらう
  • 栄養療法:少量・低エネルギー食より開始。栄養不良が著しい場合には静脈栄養/経腸栄養
  • 心理社会的療法(認知行動療法)

予後

  • 改善50%、不変25%、悪化25%、死亡率5-8%(YN.D-167) ← 過食性食思不振症に比して予後が悪い

参考

  • 1. 思春期やせ症
[display]http://www.aiiku.or.jp/aiiku/jigyo/contents/kaisetsu/ks0712/ks0712_4.pdf
  • 5. [charged] Patient information: Anorexia nervosa (TheBasics) - uptodate [6]
  • 6. [charged] 成人における神経性食思不振症:診断、随伴する臨床的特徴、および評価 - uptodate [7]
  • 7. [charged] 成人における神経性食思不振症:合併症の評価およびこれらの合併症管理のための入院基準 - uptodate [8]
  • 8. [charged] 成人における神経性食思不振症:薬物療法 - uptodate [9]
  • 9. [charged] 成人および思春期における神経性食思不振症:再栄養症候群 - uptodate [10]
  • 10. [charged] 成人および思春期における神経性食思不振症:内科的合併症およびその管理 - uptodate [11]
  • 11. [charged] 摂食障害:疫学、病因、および臨床的特徴の概要 - uptodate [12]
  • 12. [charged] 摂食障害:治療および転帰 - uptodate [13]



AN」

  [★]


摂食障害」

  [★]

eating disorder ED, eating disturbance, eating pathology, anorexia, feeding disorder, problem with eating
食行動異常
神経性過食症食欲不振食欲不振症無食欲食欲低下食思不振栄養補給障害幼児摂食障害
ICD-10
F50

分類

ICD-10

F50 Eating disorders
F50.0 anorexia nervosa
F50.1 atypical anorexia nervosa
F50.2 bulimia nervosa
F50.3 atypical bulimia nervosa
F50.4 overeating associated with other psychological disturbances
F50.5 vomiting associated with other psychological disturbances
F50.8 other eating disorders
F50.9 eating disorder, unspecified

参考

  • 分類

[display]http://priory.com/psych/ICD.htm
[display]http://www.swedauk.org/disorders/definitions.htm



食思不振症」

  [★]

BN」

  [★] 神経性過食症 bulimia nervosa

bulimia nervosa」

  [★] 神経性過食症 BN

神経」

  [★]

nerve
nervus
ニューロン


解剖で分類

情報で分類

機能で分類


過食」

  [★]

bulimiahyperphagiabinge eatingoverfeedingovereatingincreased appetitepolyphagiabulimic
栄養過剰過食症食欲亢進食欲過剰摂食亢進多食症気晴らし食い大食大食症


過食症」

  [★]

bulimia
hyperorexia
多食症 polyphagia hyperphagia大食症
過食食欲亢進神経性過食症食欲過剰摂食亢進binge eating disorder



神経性」

  [★]

神経神経学神経学的神経原性神経因性神経型


症」

  [★]

sis, pathy
  • 検査や徴候に加えて症状が出ている状態



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