特発性食道破裂

出典: meddic

spontaneous esophageal rupture, spontaneous rupture of the esophagus,
ブールハーフェ症候群 Boerhaave症候群 Boerhaave syndrome Boerhaave's syndrome
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概念

  • 食道内圧が急激に上昇(嘔吐、排便、分娩、咳)による有痛性の食道破裂で、特に横隔膜直上の下部食道が長軸・線状に破裂する。
  • 食道下部の左壁に好発する(周囲の支持組織を欠くため)
  • 食道粘膜全層の損傷 ⇔ マロリー・ワイス症候群(粘膜下層まで)

疫学

医療救急パーフェクトマニュアル改訂版 p.47
  • 40-50歳の男性に多い。

好発部位

医療救急パーフェクトマニュアル改訂版 p.47
  • 食道下部左壁

症状

  • 激烈な胸痛、心窩部痛、呼吸困難を訴え、縦隔気腫、膿気胸を認める。
  • 二次的に縦隔気腫、皮下気腫、縦隔炎、胸水、気胸などが起こる。

身体所見

  • 聴診:肺呼吸音減弱、音声振盪減弱

検査

  • 胸腹部単純X線写真 + 水溶性造影剤(ガストログラフィン)を用いた食道造影
  • 胸腹部単純X線写真:縦隔拡大、縦隔の変異、縦隔気腫像
  • 食道造影:ガストログラフィンの食道外漏出

鑑別疾患

医療救急パーフェクトマニュアル改訂版 p.47
  • 急性心筋梗塞、急性大動脈解離

確定診断

医療救急パーフェクトマニュアル改訂版 p.47
  • ガストログラフィンによる食道造影

治療

  • 発症早期:創の閉鎖縫合

予後

  • 縦隔炎は重篤
  • 未治療24時間以上で死亡率70%以上(医療救急パーフェクトマニュアル改訂版 p.47)

国試



UpToDate Contents

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和文文献

  • 症例報告 良好な経過をたどった腎不全合併の特発性食道破裂の1例
  • 左雨 元樹,菅野 英和,鈴木 聡 [他]
  • 福島医学雑誌 62(4), 163-167, 2012-12-00
  • NAID 40019559530
  • 特発性食道破裂・穿孔 (特集 消化管救急) -- (疾患別にみたアプローチ)
  • 山? 誠,宮田 博志,高橋 剛 [他]
  • 救急医学 36(11), 1515-1520, 2012-10-00
  • NAID 40019462236
  • 特発性食道破裂周術期の呼吸不全に対して分離肺換気およびV-V ECMO を導入した1症例
  • 小野 雄一,太田 好紀,松本 学 [他]
  • 麻酔 61(10), 1137-1140, 2012-10-00
  • NAID 40019448503
  • Tチューブを用いた経胸腔的食道外瘻により治癒した特発性食道破裂の2例
  • 玉木 一路,里 輝幸,玉置 信行,秋山 真吾,山本 栄司,森本 泰介
  • 日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association 73(7), 1654-1658, 2012-07-25
  • NAID 10031123691

関連リンク

特発性食道破裂。特発性食道破裂とはどんな病気か 特発性食道破裂はブールハヴィー症候群とも呼ばれ、主に飲酒後の嘔吐により食道内圧が上昇して、とくに病的変化のない正常の食道が破裂するものです。 下部食道の左側が ...
「疫学」 好発部位は、食道下部の左側壁 周囲組織の支持を欠いているため。 「鑑別」 Boerhaave 症候群は、食道壁全層 Mallory‐Weiss 症候群は、粘膜下層 胸部X線により、両疾患の鑑別をする。 「症状」 食道破裂(胸痛 ...
家庭医学館 特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)の用語解説 - [どんな病気か] 食道内の圧が急上昇し、食道が裂けるまれな病気です。 食道や胃の内容物が縦隔(じゅうかく)や胸腔(きょうくう)にもれ、縦隔炎 ...

関連画像

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★リンクテーブル★
国試過去問096A032
リンク元100Cases 84」「皮下気腫」「マロリー・ワイス症候群」「Boerhaave's syndrome
関連記事食道」「破裂」「特発性」「食道破裂

096A032」

  [★]

  • 53歳の男性。昨夜大量に飲酒した。今朝、数回嘔吐した直後から激しい心窩部痛が出現したため来院した。体温37.8℃。呼吸数35/分。脈拍110/分、整。血圧96/60mmHg。腹部は平坦、軟で肝・脾は触知しない。血液所見:赤血球520万、Ht45%、白血球12,000、血小板32万。上部消化管造影写真を以下に示す。この患者にみられるのはどれか。
  • a. (1)(2)(3)
  • b. (1)(2)(5)
  • c. (1)(4)(5)
  • d. (2)(3)(4)
  • e. (3)(4)(5)


[正答]
※国試ナビ4※ 096A031]←[国試_096]→[096A033

100Cases 84」

  [★]

☆case84 嘔吐
症例
32歳 男性
主訴
現病歴:2 amにからり酔っぱらって救急部受診。11.45 pmに気分が悪くなり2度嘔吐嘔吐物は最初は苦く感じられ、それは食べ物と2Lのビールであった。1時間程度後に、何度か猛烈に吐き気を催した。1 amに鮮赤血を吐いた(bright red blood)。患者が言うには最初少量だったが、2回目にはかなり多い量であった。服用薬なし。時々マリファナを吸う。タバコ1日10本、アルコール2-3 unit/week
既往歴:特記なし
家族歴:特記なし
生活歴
・身体診断
酔っぱらっているように見える。口の周りに乾燥した血液付着を認める。脈拍:102/分。(臥位(lying))血圧:134/80 mmHg立位でも血圧変化は認められない。心血管系呼吸器系に異常を認めず。腹部:上腹部(心窩部)にわずかに圧痛
検査
(血液生化学)
異常なし
解説
(第1パラグラフ)
 もっともな診断は、下部食道もしくは胃上部における吐血を引き起こす粘膜裂傷である(Mallory-Weiss lesion/Mallory-Weiss tear/Mallory-Weiss laceration)。激しい嘔吐やむかつきによる機械的外傷で生じる。本症例では、なれない大量飲酒によって生じた。
(第2パラグラフ)
患者の話から出血量見積もるのは難しい。吐血はびっくりするような出来事であり、吐血の量を多く見積もりがちである。ヘモグロ分派性状であり、急性出血では吐血量を見積もる手がかりにならない。急性期にヘモグロ分が低ければ慢性出血をほのめかす。著しい失血最初サイン頻脈と起立時の血圧低下であることがある。本症例の彼の脈波速いが、これは不安関連しているのかもしれない。
(第3パラグラフ)
吐血の他の原因胃炎消化性潰瘍である。何度か血液を含まない胃内容物のむかつきと嘔吐の話はマロリーワイス症候群特徴的である。この疾患普通介入を必要としない良性病態である。確定診断上部消化管内視鏡必要とするが、典型的症例ではいつも必要になるわけではない。時に、出血がもりひどかったり、壁の解離粘膜より深いこともあり、穿孔につながる。
(第4パラグラフ)
この症例管理は注意深い観察嘔吐で失われた体液を戻すための静脈内輸液である。出血が激しい場合には血液検査のために採血するが、輸血は必ずしも必要ない。彼は生徒大とH2 blocker治療された。嘔吐は収まりそれ以上出血も見られなかった。彼は将来のパーティでは通院しすぎないように決めた。
管理(内科診断学 第2版 医学書院)
①本疾患大多数安静絶食制酸薬粘膜保護薬の投与保存的治療できる。
輸血必要なほどの貧血は稀である。
内視鏡検査時に出血している症例に対しては内視鏡的止血術を行う。
④クリッピング法(図4-89) [図] 、純エタノール局注法、アルゴンプラズマ凝固(APC)法などさまざまあるが、いずれの方法でも良好な止血成績を得られる。
鑑別診断 (内科診断学 第2版 医学書院 p.843)
特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)
逆流性食道炎
食道静脈瘤破裂
出血性胃潰瘍
急性粘膜病変(AGML)
■KEYPOINT
吐血の前の血液を伴わない激しい嘔吐とむかつきの既往は、上部消化管裂傷示唆する。
患者血液の量を見積もるのが困難と分かるので、吐血で失われた失血程度多糸かでないし、消化管の中にとどまっている血液の量は分からない。
アルコールは救急入院の約1/4と直接連関があるという研究がある。
□マロリーワイス症候群(内科診断学 第2版 医学書院)
 嘔吐などにより腹腔内圧急激上昇して噴門部近傍に裂創発生し、これを出血源として顕出血をきたしたもの。30-50歳代の男性に多く、全消化管出血例の約3-15%を占める。 アルコール多飲原因となることが多いが、ほかに妊娠悪阻、乗り物酔い、脳腫瘍髄膜炎医原性のものとしては上部消化管内視鏡検査心肺蘇生術など、原因となるものは種々である。 ②嘔吐などにより急激腹圧上昇すると、急激に胃内圧が上昇し、これにより食道胃接合部近傍に裂創が生じる。
吐血 hematemesis (内科診断学 第2版 医学書院)
 コーヒー残渣用の吐血 melanemesis
 鮮血吐血 hematoemesis
急性粘膜病変 acute gastric mucosal lesion AGML
急性胃炎劇症型であり、急速に起こる腹痛(時に、吐血下血)をきたし、潰瘍びらん出血が混在した病態を呈する。
病因アルコール薬物(アスピリンステロイド)、薬品ストレス食物(激辛食品など)、アニサキス中枢神経系障害熱傷外科手術
glossary
inebriate
vt. (人)を酔わせる(make drunk)。~を有頂天にする
adj. 酔っぱらいの、大酒飲みの
n. 酔っぱらい、大酒飲み
pint n. (液体単位)1パイント = 1/2クオート=(米)28.8753 inch cube = 0.473 liter = (英) 0.568 liter = 約500cc
retch
vi. むかつく、吐き気を催す、無理に吐こうとする
vt. 吐く
n. むかつく。ヒック(吐き気を催すときの音)
lager n. ラガー(ビール)(貯蔵ビール日本普通ビール)
violently adj. 激しく、猛烈に
drunk adj. (pred)酔って。(fig)酔いしれて
epigastrium n. 上腹部心窩部
blood grouping 血液判定血液検査
indulge
vt. ~にふけらせる。気ままにさせる、(子どもを)甘やかす。(欲求などを)思いのままに満たす。喜ばせる、楽しませる。
vi. (快楽・趣味などに)ふける、身を任す(in)。(略式)たらふく食べる、痛飲する。(~に)従事する。(好ましくないことに)かかわる(in)
□Hematemesis and Melena(Differential Diagnosis in Primary Care 4th)
吐血喀血を見分けたい場合はnitrazine paperを使って判定
・身体開口部(body orifice)からの出血鑑別するとき解剖学的アプローチがよい。
(食道)
静脈瘤逆流性食道炎癌腫、マロリーワイス症候群
・外来異物も忘れるな。
先天性まれな病因として異所性胃粘膜によるバレット食道炎と潰瘍もある。
大動脈瘤縦隔腫瘍肺癌食道潰瘍化させ出血させることもある。
(胃)
炎症胃炎と胃潰瘍アスピリンアルコールも良くある原因
・幽門部静脈瘤出血するかもしれない
出血がひどく、他の原因が見つからなければ血液疾患検索する。
(診断への道)
吐血の確固たる証拠がある時、内視鏡をつかえる状況にあれば問診とか検査無駄時間を使わずに内視鏡診断治療をやってしまえ。
血液検査血液クロスマッチ?して輸血準備凝固検査など鑑別必要検査をやりなさい。内視鏡検査準備をしている間に、アルコールアスピリン、そのほかの薬品服用潰瘍既往食道疾患既往を聴け
ひどい出血最近の急な吐血既往がなければ(内視鏡を使わずに?)伝統的アプローチでも良い
吐血の前に血液を伴わない嘔吐があればマロリーワイス症候群診断の助けとなる。


皮下気腫」

  [★]

subcutaneous emphysema, SE, aerodermectasia, pneumoderma


概念

  • 皮下組織に空気が出現した状態で、圧迫すると特有な雪握感、捻髪音を感じる。(SLE.124)

皮下気腫をきたす病態

分類はごちゃごちゃです
  • 緊張性気胸
  • 人工呼吸器による気胸:頚部や上胸部にみられる皮下気腫は、気胸を疑う有用な所見であり、肺胞破裂に特徴的 (ICU.430)
  • 特発性食道破裂:縦隔気腫、皮下気腫、胸水、気胸をしばしば伴う(YN.A-21)
  • 胸部外傷:肋骨骨折を伴う胸膜・肺損傷、気管支・気管支損傷、食道損傷などで生じる。気管支・気管支損傷、食道損傷の場合、頚部から下方に拡大していく。ほとんどの例で気胸を伴う。


JPTECガイドブック 第1版第7刷 p.66



マロリー・ワイス症候群」

  [★]

Mallory-Weiss syndrome
Mallory-Weiss症候群Mallory-Weiss裂傷Mallory-Weiss tears? Mallory-Weiss lesion


概念

  • 頻回かつ激しいの嘔吐により粘膜裂傷を生じこれにより吐血する病態

鑑別診断

IMD.843

国試

参考

  • 1.
[display]http://vitaminex.exblog.jp/9065112



Boerhaave's syndrome」

  [★] 特発性食道破裂 spontaneous esophageal ruptureブールハーフェ症候群

食道」

  [★]

esophagus (Z)
消化器系



解剖

  • 正中面付近を下行してくるが、横隔膜近傍で左側に寄り、背面で胸大動脈と交叉する。
  • L10椎体の高さで、食道裂孔を食道神経叢と共に通過して腹腔に入る

部位区分

SSUR.456
    O:食道入口部 esophageal orifice
Ce: 頚部食道 cervical esophagus    
  S: 胸骨上縁 margin of the sternum
Te: 胸部食道 thoracic esophagus Ut: 胸部上部食道 upper thoracic esophagus    
   
Mt: 胸部中部食道 middle thoracic esophagus B: 気管分岐部下縁 tracheal bifurcation
 
Lt: 胸部下部食道 lower thoracic esophagus  
  D: 横隔膜 diaphragm
  H: 食道裂孔 esophageal hiatus
Ae: 腹部食道 abdominal esophagus  
    EGJ: 食道胃接合部 esophagogastric junction

生理的狭窄部 (KL.283, KH. 139)

  • 第1狭窄部位:輪状軟骨狭窄部:cricopharyngeal constriction
    • 切歯から15cm
    • 食道の上端で、咽頭に連なる部位
    • 下咽頭収縮筋が食道を囲み、輪状軟骨に付き、この筋の緊張によると考えられる
  • 第2狭窄部位:大動脈狭窄部:bronchoaortic constriction
    • 切歯から25cm
    • 食道の中部で、大動脈弓と左気管支が交叉し、それによって圧される。つまり大動脈弓の
  • 第3狭窄部位:横隔膜狭窄部:diaphragmatic constriction
    • 切歯から38-40cm
    • 下部で横隔膜を貫く部位

運動 (SP.720)

部位 名称 筋肉 神経 運動性 シナプスする構造 最終的な伝達物質 運動
上部1/3 上食道括約部 UES 横紋筋 舌咽神経迷走神経(疑核) 随意性 運動終板のアセチルコリン受容体 アセチルコリン 弛緩
平滑筋 迷走神経 不随意性 壁内コリン作動性運動神経
下端部 下食道括約部 LES 平滑筋 迷走神経 不随意性 壁内非アドレナリン作動性抑制運動神経 NO, VIP 弛緩
交感神経 平滑筋α受容体 アドレナリン 収縮

組織

  • 食道腺は粘膜筋板の下に存在する。 ← 粘膜下組織に腺があるのは食道の固有食道腺と十二指腸のブルンネル腺だけ
  • 食道は横隔膜より上位では漿膜がなく、癌が周囲に浸潤しやすい

食道の上皮と上皮下の組織

      層構造 1 2 3 4 5 6
      器官 単層扁平上皮 単層立方上皮 単層円柱上皮 角化重層扁平上皮 非角化重層扁平上皮 上皮表層の構成細胞 粘膜固有層 腺の構成細胞 粘膜筋板 粘膜下組織
(大抵、粗結合組織)
筋層 漿膜(結合組織+単層扁平上皮)
外膜(結合組織のみ)
      食道           食道噴門腺
(咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺
粘液細胞
(スムーズに食べ物を流す)
縱層
(縦走筋のみ)
固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム) 内輪筋層
外縱筋層
(食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋)
外膜(横隔膜まで)
漿膜

臨床関連

  • 食事の通過障害は生理的狭窄部でおこりやすい。特に第1狭窄部で異物が見られる (KH.141)
  • 生理的狭窄部は癌の好発部位であり、第2,第3狭窄部位に多い (KH.141)



破裂」

  [★]

ruptureexplosionruptureexplodeburst
群発断裂突発破壊バースト爆発突発波破綻

特発性」

  [★]

idiopathyidiopathiccryptogenicagnogenic, essential
本態性
原因不明



食道破裂」

  [★]

esophageal rupture





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