無痛性甲状腺炎

出典: meddic

painless thyroiditis silent thyroiditis
甲状腺甲状腺ホルモン甲状腺中毒症

検査

甲状腺の集積は認められない。
唾液腺に生理的取り込みがある。
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国試


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和文文献

  • 甲状腺ホルモン異常のアプローチ (特集 内分泌疾患 : 診断と治療の進歩) -- (甲状腺)
  • 吉村 弘
  • 日本内科学会雑誌 103(4), 855-861, 2014-04-10
  • NAID 40020067786
  • 21. 双極II型に対する炭酸リチウム投与中に生じた無痛性甲状腺炎(一般演題,第50回日本心身医学会九州地方会演題抄録(2))
  • 松林 直,久本 隆生,原 健,河合 雅代
  • 心身医学 54(2), 186-187, 2014-02-01
  • NAID 110009767272
  • 急性化膿性甲状腺炎・亜急性甲状腺炎・無痛性甲状腺炎 (特集 頭頸部炎症疾患の画像診断と治療)
  • 土岐 真智子,上野 滋,長谷川 奉延
  • 小児科 54(9), 1213-1219, 2013-08
  • NAID 40019786798
  • 破壊性甲状腺中毒症 : 急性化膿性甲状腺炎・亜急性甲状腺炎・無痛性甲状腺炎・橋本病急性増悪型 (特集 小児期の甲状腺疾患の診断と治療)

関連リンク

無痛性甲状腺炎 Painless thyroiditis / Silent thyroiditis 病気の特徴 無痛性甲状腺炎は何らかの原因によって甲状腺の細胞が壊れ、甲状腺に貯められていた甲状腺ホルモンが血中に漏れでてくるため、一時的に甲状腺ホルモンが増加する病気 ...
無痛性甲状腺炎。無痛性甲状腺炎とはどんな病気か 何らかの原因により甲状腺が壊れ、なかに蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中にもれ出して、一過性の甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)を示す病気です。
甲状腺に痛みがなければ、無痛性甲状腺炎です。 この病気は慢性甲状腺炎を持つ人がなり易いといわれています。希ですが、バセドウ病の治った状態の人、橋本病を持たない人でも起こります。 お産の後にでる場合とお産とは ...

関連画像

注意が必要な橋本病下 甲状腺 動脈 の 血流 量 は 3.甲状腺機能低下症の診療上 無痛性甲状腺炎かどうか 写真:無痛性甲状腺炎6そのまま、甲状腺の精密検査を


★リンクテーブル★
先読み甲状腺ホルモン
国試過去問102I057」「098D048」「105A035」「097D050」「103I037」「086B051
リンク元グレーブス病」「甲状腺機能亢進症」「亜急性甲状腺炎」「甲状腺中毒症」「甲状腺123I摂取率
関連記事甲状腺」「無痛」「」「甲状腺炎」「腺炎

甲状腺ホルモン」

  [★]

thyroid hormone, thyroid hormones
甲状腺サイログロブリンカルシトニン甲状腺ホルモン製剤
胎児の発育・新生児の生理と適応


  • SP.915-

種類

分類

性状

  • 疎水性アミノ酸

産生組織

標的組織

受容体

  • 核内甲状腺受容体(甲状腺ホルモン受容体ファミリー)
ステロイドレセプタースーパーファミリーに属する → 核内受容体スーパーファミリー

作用

代謝系別

  • 1. 熱産生
  • 脳、脾臓、睾丸をのぞくすべての組織で酸素消費を高める ← 甲状腺クリーゼによる発熱の原因
  • 2. 自律神経系
  • カテコラミンの作用を増強する
  • 心筋細胞のカテコールアミン受容体を増加 ←証明されていない?
  • 3. 内分泌
→甲状腺ホルモンの投与によりコルチゾールが減少し副腎クリーゼを誘発
  • 4. 呼吸器系
  • 5. 造血器系
  • エリスロポエチン産生促進 → 赤血球増加
  • ヘモグロビンからの酸素解離を促進 → 末梢組織での酸素利用↑
  • 6. 骨格筋系作用
  • 骨代謝回転を高め、骨形成・骨吸収を促進 (閉経後女性で甲状腺ホルモン多 → 骨塩量減少 → 骨粗鬆症
  • グレーブス病では筋肉蛋白の代謝亢進、筋肉量の減少、筋力低下、筋脱力、四肢麻痺
  • 7. 糖代謝
  • 糖代謝の亢進
  • 8. 脂質代謝
  • 肝臓におけるコレステロール産生を促進
  • 肝臓のトリグリセリドリパーゼ活性を亢進し、コレステロールの代謝を促進
コレステロールが減少 ← 総じて分解系の法が作用が強い
  • 9. その他

薬理学的作用 (SPC.321)

  • 成長と発育
全ての生体の活動に関わる-(不足)→成長停止、身体的・精神的発育停止
  • 熱産生と体温調整
組織の酸素消費を高め、基礎代謝を亢進させる。Na+,K+-ATApaseの活性刺激や、核内クロマチンに作用してDNA転写を促進する作用による
  • 代謝亢進作用
上記の通り
  • TSH分泌抑制
ネガティブフィードバック

分泌の調節

  • 分泌の制御系
視床下部--(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)-→下垂体前葉--(甲状腺刺激ホルモン)-→甲状腺濾胞細胞-→T3, T4-→T3, T4下垂体前葉・視床下部に作用し甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制

分子機構

臨床関連

過多

欠乏

  • 甲状腺機能検査値の異常を来す病態。ほとんどの場合TSHは正常
  • free T3↓、rT3↑(重症ではT4↓、TSH
  • 低栄養、外傷、感染症、手術、腎不全、肝不全、心不全、悪性腫瘍
  • エネルギー消費を減らすための適応かもしれない
以上2007後期生理学授業プリント内分泌(3)

生合成 (SP.916)

102I057」

  [★]

  • 72歳の女性。前頸部腫瘤を主訴に来院した。40歳代から甲状腺腫を指摘されていたが特に治療は受けていなかった。2週前から前頚部腫瘤が急に増大してきた。身長158cm、体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧138/64mmHg。前頸部に横径約9cmのびまん性の甲状腺腫を触れる。甲状腺腫は硬く、表面に凹凸がある。甲状腺に圧痛は認めない。頚部皮膚に発赤を認めない。右側頚部に径1cmのリンパ節を2つ触知する。血液所見:赤血球380万、Hb11.8g/dl、Ht38%、白血球5,600、血小板18万。血液生化学所見:TSH18.5μU/ml(基準0.2~4.0)、FT3 2.5pg/ml(基準2.5~4.5)、FT4 0.7ng/dl(基準0.8~2.2)。免疫学所見:抗サイログロブリン(TG)抗体18.8U/ml(基準0.3以下)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体45U/ml(基準0.3以下)。甲状腺超音波検査で右葉下部に著明な低エコー域を認める。
  • 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]


※国試ナビ4※ 102I056]←[国試_102]→[102I058

098D048」

  [★]

  • 52歳の女性。1週前からの動悸を主訴に来院した。発汗が多く、易疲労感がある。身長162cm、体重52kg。体温37.4℃。脈拍104/分、整。血圧162/72mmHg。皮膚は湿潤し、手指に振戦を認める。頚部にびまん性の痛みのない甲状腺腫を触知する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球420万、Hb13.0g/dl、Ht37%、白血球5,000、血小板20万。血清生化学所見:尿素窒素10mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総コレステロール105mg/dl、AST30単位(基準40以下)、ALT25単位(基準35以下)、アルカリホスファターゼ420単位(基準260以下)、γ-GTP30単位(基準8~50)、Na138mEq/l、K4.0mEq/l、Cl99mEq/l、Ca9.8mg/dl。TSH 0.1μU/ml以下(基準0.2~4.0)、遊離サイロキシン4.3ng/dl(基準0.8~1.8)。甲状腺123 I摂取率24時間値6%(基準10~40)。
  • 診断はどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 098D047]←[国試_098]→[098D049

105A035」

  [★]

  • 32歳の女性。暑がり、発汗過多、手指振戦および労作時の動悸を主訴に来院した。 2週前から症状が出現したという。感冒様症状の先行はない。身長162cm、体重52kg。体温36.2℃。呼吸数28/分。脈拍104/分、整。血圧128/72mmHg。甲状腺はびまん性に腫大、弾性硬、表面に軽度凹凸を認め、圧痛を認めない。皮膚は湿潤、手指に振戦を認める。血液生化学所見:総コレステロール105mg/dl、AST 20IU/l、 ALT 26IU/l. TSH 0.1μU/ml(基準0.2-4.0)、FT4 3.2ng/dl(基準0.8-2.2)。99mTc04-甲状腺シンチグラム(別冊No.8)を別に示す。
  • 考えられるのはどれか。



[正答]


※国試ナビ4※ 105A034]←[国試_105]→[105A036

097D050」

  [★]

  • 24歳の女性。動悸、発汗過多および体重減少のため来院した。脈拍124/分、整。血圧120/70mmHg。発熱はなく、自発痛や圧痛を伴わないびまん性甲状腺腫と手指振戦とを認める。赤沈10mm/1時間。血清生化学所見:TSH0.01μU/l未満(基準0.2~4.0)、freeT4 2.6ng/dl(基準0.8~2.2)。免疫学所見:CRP陰性、抗サイログロブリン抗体陽性、抗ミクロゾーム抗体陽性、TSH受容体抗体陰性。超音波検査所見で甲状腺のぴまん性腫大を認める。甲状腺123I摂取率(24時間値)は4.2%(基準10~40)である。診断はどれか。]]
[正答]


※国試ナビ4※ 097D049]←[国試_097]→[097D051

103I037」

  [★]

  • 無痛性甲状腺炎Basedow病の両方にみられるのはどれか。2つ選べ。
  • a. 手指振戦
  • b. 頸部皮膚発赤
  • c. 頸部リンパ節腫
  • d. 前脛骨部粘液水腫
  • e. び慢性甲状腺腫
[正答]


※国試ナビ4※ 103I036]←[国試_103]→[103I038

086B051」

  [★]

グレーブス病」

  [★]

Graves' disease, Graves disease
バセドー病 バセドウ病 (国試)Basedow病 Basedow disease Basedow's diseaseグレーヴス病 Graves病、exophthalmic goitre、中毒性びまん性甲状腺腫 toxic diffuse goiterパリー病 Parry disease
morbus Basedowii

概念

病因

  • 自己抗体の出現
  • 甲状腺刺激免疫グロブリン thyroid stimulating immunoglobulin
  • 甲状腺増殖刺激免疫グロブリン thyroid re-growth-stimulating immunoglobulin (TGI)
  • TSH結合阻害免疫グロブリン TSH-binding inhibitor immunoglobulin (TBIIs)
自己抗体であるTSH受容体抗体の産生 → 甲状腺濾胞上皮細胞のTSH受容体に結合して活性化 → 甲状腺ホルモン分泌↑
  • 抗TSH受容体抗体は95-98%の症例で出現する。

疫学

病変形成&病理

  • 自己抗体により、濾胞のホルモン産生が刺激され、甲状腺は瀰漫性に腫大(正常の数倍から200gまで)。

症状

メルゼブルク三徴 Merseburg triad(Merseburgの三主徴)

  • 1. 甲状腺中毒症状
頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等
心臓肥大、リンパ組織過形成、真皮の肥厚
  • 2. びまん性甲状腺腫大(やわらか、血管雑音)
  • 3. 眼球突出または特有の眼症状

ハシトキシコーシス Hashitoxicosis

  • 未治療or適切な治療が行なわれていなかった状態、感染、外傷などの誘因が加わった時に機能亢進症が急速に増悪する状態。頻脈、ショック。

合併症

検査

  • 1. FT4、FT3のいずれか一方または両方高値
  • 2. TSH低値
  • 3. TSH受容体抗体陽性、または甲状腺刺激抗体陽性
  • 4. 放射線ヨード甲状腺摂取率高値 ← 甲状腺ホルモンの生合成が亢進

エコー

  • カラードプラ:全体的に著明な血流増加

診断

治療

抗甲状腺薬

の二種類である。薬効の高さや作用持続時間の長さの利点からMMIを第一選択とするが、胎盤移行や乳汁移行、副作用の出現頻度を考慮しPTUを用いることもある。治療中止の時期は甲状腺機能の正常化はもちろんのこと、抗TSH受容体抗体が陰性であることも必要である。

  • 治療期間:長い。1-2年維持量でコントロールし、TSH受容体抗体が陰性化したら減量し、さらに6ヶ月したら休薬(YN.D-31)

治療の中止

4点がそろえば中止。中止後、10-25%が再発する。
  • 1. メルカゾール1錠/日-1錠/隔日で甲状腺機能が正常 (TSH, FT4の両方が正常)
  • 2. 投薬継続期間が2年以上
  • 3. 甲状腺腫が小さくなった
  • 4. TSH受容体抗体が陰性

βブロッカー

  • 脈拍、動悸、振戦を軽減 ← 甲状腺ホルモンの「心筋細胞のカテコールアミン受容体を増加させる作用」に対して

放射性ヨード療法

  • 131Iのβ線により甲状腺組織を破壊
  • 効果は2-3週後に出現し、最大効果は6-12週後。

外科的治療法

  • 甲状腺亜全摘術

比較

  放射性ヨード療法
131療法
外科的治療法 抗甲状腺薬
長所 治療法が簡単   どの年代の患者でも可能(妊娠・妊娠中も可能)
成人合併例でも治療可能   通院での治療可能
比較的短期間で寛解 短期間に治癒  
永続寛解率が高い 高い寛解率  
侵襲が少ない   不可逆的な甲状腺機能低下は稀
短所 特別な施設が必要 手術侵襲 副作用(無顆粒球症・肝障害)
永続的甲状腺機能低下症が年ごとに増加 永続的甲状腺機能低下症  
妊娠、授乳期では禁忌 瘢痕 治療期間が長い
  術後合併症(反回神経麻痺、テタニー) 永続寛解率が低い
  術後再発  
回避・禁忌 30歳以下は避ける    
妊娠予定、妊娠中、授乳中は禁忌    
適応 欧米の第一選択   日本の第一選択
老人で早期治療を望む場合 早期治癒を望む場合(社会的・妊娠希望) 小児、妊婦
抗甲状腺薬で副作用の例 抗甲状腺薬で副作用の例 外科的療法、放射性ヨード療法の明らかな適応外
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低 抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低 FT4軽度上昇例
服薬・治療コンプライアンス低 服薬・治療コンプライアンス低  
手術適応だが合併症、患者の意志により回避される場合 通院が困難  
手術後再発例 甲状腺腫が大 甲状腺腫が小

病理

  • 組織像
  • 濾胞上皮の著明な過形成、上皮細胞の丈が増して円柱上となる、濾胞上皮が乳頭状に濾胞腔に突出する、間質の軽度の線維化、リンパ球集簇、リンパ濾胞、腫大した上皮細胞は濾胞中央部のコロイドを活発に吸収するため、コロイドの辺縁部に空泡が見える。


グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較

YN.D-40改変
  破壊性甲状腺炎 グレーブス病 備考
無痛性甲状腺炎 亜急性甲状腺炎
病態 橋本病
(慢性甲状腺炎)の
経過中に濾胞の
崩壊を示す
甲状腺の炎症による
濾胞破壊
TSHRの過剰刺激
炎症 mild severe [-]  
末梢fT3 甲状腺機能亢進もしくは濾胞の破壊で上昇
123I uptake 健全な甲状腺濾胞が存在し、甲状腺ホルモン合成能が高い
血清TSH fT3上昇のため
血清サイログロブリン 甲状腺機能亢進もしくは濾胞の破壊で上昇
TSH受容体抗体 [-] [-] [+]  
抗TPO抗体 [+] [-]/トキニ[+] [+]  
抗サイログロブリン抗体 [+] [-]/トキニ[+] [+]  

参考

  • 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌60巻3 号
http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6003-041.pdf




甲状腺機能亢進症」

  [★]

hyperthyroidism
同?
甲状腺中毒症 thyrotoxicosis
甲状腺甲状腺ホルモン甲状腺腫甲状腺機能低下症

定義

  • 甲状腺においてホルモンの合成と分泌が増加し、そのために甲状腺ホルモン過剰の症状が出現している病態

分類

  • グレーブス病 :びまん性 :fT3↑、fT4↑、TSH↓
  • 甲状腺機能性結節 toxic multinodular goitar
  • 甲状腺ホルモン産生癌
  • 甲状腺外
  • TSH産生下垂体腫瘍 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
  • 下垂体型甲状腺ホルモン不応症 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
  • 胞状奇胎、絨毛腫瘍
  • ヒト絨毛性ゴナドトロピンhCGがTSH様甲状腺刺激物質として作用するため、甲状腺でのホルモン分泌、合成が亢進する。血中甲状腺ホルモンは高値となるが、TSHは低値を示す。hCGは妊娠初期にも分泌され、一過性の甲状腺機能亢進状態になることもある。
  • 卵巣甲状腺腫
  • 卵巣の奇形腫(teratoma)で、腫瘍内に過機能性甲状腺腫が存在し、甲状腺中毒症状を呈す。
  • 外因性甲状腺ホルモン中毒症
  • 甲状腺ホルモンの過剰投与、痩せ薬としての服用などにより、甲状腺中毒症状が出現する。血中TSH値は抑制され、サイログロブリンは低値を示すことが特徴的。

  • 甲状腺破壊による甲状腺中毒症

疫学

参考1
  • 甲状腺機能亢進によるもの
  • 甲状腺機能亢進によらないもの

症状

YN.D-30

  • 全身症状:全身倦怠感、易疲労感、体重減少、体重増加もあり、微熱
  • 消化器症状:食欲亢進、排便回数の増加、軟便、下痢
  • 循環器症状:動悸、息切れ、頻脈、心房細動、高血圧(収縮期血圧上昇、拡張期血圧低下、脈圧増大)
  • 神経筋症状:手指振戦、下肢近位筋の筋力低下、筋萎縮
  • 皮膚症状:発汗過多、皮膚湿潤、色素沈着、脱毛、皮膚掻痒感、手掌紅斑、爪甲剥離(Plummer爪)
  • 精神症状:神経過敏、易刺激性、不眠、多動
  • 性腺症状:月経異常(月経過少、無月経)

甲状腺機能亢進症と褐色細胞腫

  • 血圧:収縮期血圧↑/収縮期血圧↓ ⇔ 収縮期血圧↑/収縮期血圧↑
  • 消化器症状:下痢 ⇔ 便秘

眼症状

  • 甲状腺眼症においては、球後軟部組織の炎症性病変すなわち眼窩症が眼症発症の背景にある。
  • したがって、球後脂肪織炎による眼球突出と、外眼筋炎を伴う眼球突出がある。
  • Basedow病発症のピークを示す20歳前後の世代では脂肪織炎のみによる眼球突出のみによる眼球突出が高頻度に見られるのに対して、もう一つの山である40歳代の中高年層では外眼筋肥大を伴う例が多い。
  • 薬物治療:副腎皮質ステロイドホルモンのパルス療法あるいは漸減法を行う。
  • 特徴的所見:眼瞼後退、Graefe徴候(下方視の際に上眼瞼の下方への動きが遅れる)、Kocher徴候(目が凝視または驚いたように見える状態)

合併症

検査

  • 血液生化学(IMD)
  • Cho:低値
  • ALP: 高値
  • ChE 高値

など

  • Ca:高値  → 甲状腺ホルモンによる骨吸収・骨形成亢進のため? 骨粗鬆症が出現する症例はない、あるいは少ないのか?
  • P: 高値
  • 食後:高血糖
  • AST:上昇
  • ALT:上昇

治療

ICU.762
  • β遮断薬
  • 抗甲状腺薬:メチマゾール(MMI)(PTUより早く血漿fT4濃度を低減させるし、顆粒球減少の頻度がより低い)、プロピルチオウラシル(PTU)
  • ヨウ素剤:重症の場合は抗甲状腺薬に加えて使用する。ヨウ素は甲状腺からのT4放出を抑制する。

参考

  • 1. 甲状腺疾患と 抗TSHレセプター抗体
http://www.thyroid.jp/pdf/dr_TRAb.pdf

uptodate

  • 1. [charged] 成人における甲状腺機能亢進症の臨床症状の概要 - uptodate [1]
  • 2. [charged] 潜在性甲状腺機能亢進症 - uptodate [2]
  • 3. [charged] 甲状腺機能亢進症の原因となる疾患 - uptodate [3]
  • 4. [charged] 小児期および思春期における甲状腺機能亢進症の臨床症状および診断 - uptodate [4]
  • 5. [charged] 甲状腺機能亢進症およびバセドウ病の神経学的症状 - uptodate [5]
  • 6. [charged] 甲状腺機能亢進症の心血管系への影響 - uptodate [6]
  • 7. [charged] 甲状腺機能亢進症の診断 - uptodate [7]
  • 8. [charged] バセドウ病(グレーブス甲状腺機能亢進症)の治療 - uptodate [8]




亜急性甲状腺炎」

  [★]

subacute thyroiditis
ドゥ・ケルヴァン甲状腺炎
甲状腺

概念

  • 有痛性の甲状腺腫脹がみられ、ときに発熱が認められる甲状腺炎である。病気によって甲状腺中毒症や甲状腺機能低下症を呈する。全身倦怠感や感染による上気道炎が、数週間くらい甲状腺にまつわる特徴(thyroid-related features)に先行する。(HIM.2238)
  • 全身性ウイルス性感染(mumps、coxsackie, adenoviruses, measles, Influenza, echoviruses)に伴うが、患者からウイルスを同定する試みはしばしば不成功に終わり、病原体同定することは本疾患の管理に影響を及ぼさない。(HIM.2238)
  • 症状は咽頭炎に似ており、しばしば見落とされる。(HIM.2238)

疫学

  • 30-50歳 (HIM.2238)
  • 男女=1:3 (HIM.2238)

病期~

  • 3 phase:
  • 1) destructive phase:濾胞破壊によるhyperthyroid。甲状腺中毒症(T3,T4高値。TSH低値)。123I uptakeは低値か検出下限以下。
  • 2) phase of hypothyroidism:数週間の経過で甲状腺機能低下症となる。unbound T4低値、軽度TSH高値。123I uptakeは正常化やや高値
  • 3) recovery phase:正常化

病理

  • 斑状に炎症細胞の浸潤が認められ、甲状腺濾胞のdisruptionを伴う。甲状腺濾胞には多核巨細胞が認められるものがある。濾胞の変化は線維化を伴う肉芽腫に進展する。発症から数ヶ月で甲状腺は通常正常に回復する。
  • マクロ:非対称性腫大。
  • 組織像:多核巨細胞、リンパ球、形質細胞、組織球、急性炎症を示す箇所、線維化巣、肉芽腫形成。

症状

  • 局所の圧痛と自然痛、発熱、全身倦怠感、数カ月で回復。

身体所見

  • 全身症状:(ときに)発熱
  • 甲状腺:疼痛、腫大

検査

  • 甲状腺機能:病期による。
  • 超音波検査:炎症部位・腫瘤部に一致して低エコーとなる。


グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較

YN.D-40改変
  破壊性甲状腺炎 グレーブス病 備考
無痛性甲状腺炎 亜急性甲状腺炎
病態 橋本病
(慢性甲状腺炎)の
経過中に濾胞の
崩壊を示す
甲状腺の炎症による
濾胞破壊
TSHRの過剰刺激
炎症 mild severe [-]  
末梢fT3 甲状腺機能亢進もしくは濾胞の破壊で上昇
123I uptake 健全な甲状腺濾胞が存在し、甲状腺ホルモン合成能が高い
血清TSH fT3上昇のため
血清サイログロブリン 甲状腺機能亢進もしくは濾胞の破壊で上昇
TSH受容体抗体 [-] [-] [+]  
抗TPO抗体 [+] [-]/トキニ[+] [+]  
抗サイログロブリン抗体 [+] [-]/トキニ[+] [+]  

参考

  • 1. [charged] 亜急性甲状腺炎 - uptodate [9]

国試


甲状腺中毒症」

  [★]

thyrotoxicosis
甲状腺機能亢進症甲状腺甲状腺ホルモン

定義

  • 血中に甲状腺ホルモンが増加し、それに臨床症状が伴っている状態
  • 過剰の甲状腺ホルモンが存在するという生理的な症状を指す。この病態を表すにはhyperthyroidismよりthyrotoxicosisが用いられるべき。thyrotoxicosisは甲状腺の機能亢進とは関連しない。hyperthyroidismは甲状腺機能の亢進による障害のためにとっておく。(WIL.333)
でも、以下の分類だと、ごちゃまぜに使っています・・・要するに文献によって用語の使い方が統一されていない。

分類

  • 甲状腺中毒症 thyrotoxicosis
  • グレーブス病 :びまん性 :fT3↑、fT4↑、TSH↓
  • 甲状腺機能性結節 toxic multinodular goitar
  • 甲状腺ホルモン産生癌
  • 甲状腺外
  • TSH産生下垂体腫瘍 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
  • 下垂体型甲状腺ホルモン不応症 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
  • 胞状奇胎、絨毛腫瘍
  • ヒト絨毛性ゴナドトロピンhCGがTSH様甲状腺刺激物質として作用するため、甲状腺でのホルモン分泌、合成が亢進する。血中甲状腺ホルモンは高値となるが、TSHは低値を示す。hCGは妊娠初期にも分泌され、一過性の甲状腺機能亢進状態になることもある。
  • 卵巣甲状腺腫
  • 卵巣の奇形腫(teratoma)で、腫瘍内に過機能性甲状腺腫が存在し、甲状腺中毒症状を呈す。
  • 外因性甲状腺ホルモン中毒症
  • 甲状腺ホルモンの過剰投与、痩せ薬としての服用などにより、甲状腺中毒症状が出現する。血中TSH値は抑制され、サイログロブリンは低値を示すことが特徴的。

  • 甲状腺破壊による甲状腺中毒症

合併症




甲状腺123I摂取率」

  [★]

ヨウ化ナトリウム(123I)甲状腺
  • 甲状腺の123摂取率(24時間)は10-35%が正常。
  • 甲状腺での甲状腺ホルモン合成が亢進しているか、あるいは抑制されているのかを示す。

高値

  • グレーブス病:抗TSH受容体刺激型抗体により、甲状腺ホルモンの合成亢進
  • プランマー病:やや高値。甲状腺腫が甲状腺ホルモンを自立的に産生するようになった病態

低値


甲状腺」

  [★]

thyroid gland
glandula thyroidea
甲状腺ホルモン副甲状腺(上皮小体)
喉頭
  • 図:N.24(全面の筋),25(全面の筋),70(血管),71(血管)

解剖学

部位

性状

  • 成人の正常重量15-25g、女性の方が少し重い。妊娠中や性周期で重量が変化する。分泌期初期(early secretary phase排卵後2-5日目)には50%も重量が増加する。

大きさ

よくわかる甲状腺疾患のすべて 永井書店 (2004/01) ISBN 481591673X
単位はmm?
  n 峡部 横断厚 横径 縦経(右) 縦経(左)
男性 34 1.8±0.6 18±3.0 48±4.8 49±3.7 49±3.8
女性 16 1.3±0.8 16±2.2 46±3.6 45±6.0 46±3.0

血管

動脈

静脈

神経

声帯を支配する神経が甲状腺の裏側を通過 N.71

画像

  • 超音波検査
  • (高エコー)筋肉>甲状腺>気道(低エコー)  ← 要確認

組織学

濾胞上皮細胞 follicular cell

  • 甲状腺ホルモンを産生、分泌。

C細胞 C cell

  • 成人甲状腺全体の0.1%を占める
  • カルシトニン産生細胞、HEでは判別困難。
  • 銀染色(Glimerius)、免疫組織化学(chromogranin A、synaprophysin, carcitoninなど)により明らかとなる。
  • 電顕では、electron dense な顆粒を有する(神経内分泌顆粒)。

機能

発生

神経支配

  • 上頚部交感神経節、中頚部交感神経節。交感神経神経線維は濾胞近傍に終末し、分泌に影響を及ぼす。

臨床関連

非腫瘍性疾患

  • 1. 遺伝疾患、発達傷害
  • mynocyclineによるblack thyroid:消耗性色素リポフスチンと他の物質(lipid-drug complexによりlysosomeに色素が沈着する)。
  • 4. 感染
  • 5. 自己免疫性甲状腺疾患

腫瘍性疾患 (甲状腺腫瘍)

  • 1. 良性腫瘍
  • a) 濾胞腺腫 follicular adenoma
  • 2. 悪性腫瘍 悪性腫瘍中の頻度)
  • a) 乳頭癌 papillary carcinoma 88%
  • b) 濾胞癌 follicular carcinoma 4.2% 甲状腺濾胞癌 thyroid follicular carcinoma
  • c) 低分化癌 poorly differentiated carcinoma
  • d) 未分化癌 undifferentiated carcinoma 1.5%
  • e) 髄様癌(C細胞癌) medullary carcinoma, C-cell carcinoma 1.4%
  • f) 悪性リンパ腫 malignant lymphoma 3.5%


Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.

分類






無痛」

  [★]

analgesiaanalgesic
鎮痛鎮痛性鎮痛薬鎮痛剤痛覚消失


炎」

  [★]

  • n.
  • comb form.
  • (炎症の接尾辞)itis
炎光炎症


甲状腺炎」

  [★]

thyroiditis
亜急性甲状腺炎


腺炎」

  [★]

adenitis
リンパ節炎




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