慢性非化膿性破壊性胆管炎

出典: meddic

chronic non-suppurative destructive cholangitis chronic nonsuppurative destructive cholangitis, CNSDC
原発性胆汁性肝硬変




UpToDate Contents

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和文文献

  • 原発性胆汁性肝硬変の診断8年後に自己免疫性肝炎を合併した PBC-AIH overlap 症候群の1例
  • 佐々木 龍,秋山 祖久,竹下 茂之,三馬 聡,小澤 栄介,宮明 寿光,市川 辰樹,中尾 一彦,鳥山 寛,江口 勝美
  • 肝臓 50(8), 445-450, 2009-08-25
  • … 症例は41歳女性.1999年5月,胆道系酵素,抗ミトコンドリア抗体80倍と上昇を認め肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎像(CNSDC)を呈しており,自覚症状を欠いていた.Sheuer stage Iの無症候性原発性胆汁性肝硬変(asymptomatic PBC)と診断した.以降,外来でウルソデオキシコール酸(UDCA)600 mg/day投与により良好なコントロールを得ていた.2007年10月より食欲低下,全身倦怠感が出現し血液検査ではT. …
  • NAID 10025137274
  • 原発性胆汁性肝硬変の発症機序 (AYUMI 自己免疫性肝胆膵疾患--最新知見)

関連リンク

肝組織所見も特徴的で、慢性非化膿性破壊性胆管炎( choronic non-suppurative destructive cholangitis CNSDC ) として表現される胆管の破壊性の病変が認められる。 このため、原発性胆汁性肝硬変を疑った場合は、しばしば肝 生検が ...
らによって“Primary biliary cirrhosis”と命名された.病理組織学的に慢性非化膿性破壊性胆管 炎(chronic non-suppurative destructive cholangitis: CNSDC)と肉芽腫の形成を特徴とし,胆管 上皮細胞の変性・壊死によって小葉間胆管が ...
原発性胆汁性肝硬変症 (Primary biliary cirrhosis) 好中球浸潤を伴わない慢性非化膿性破壊性胆管炎を特徴とする。グリッソン鞘での強い炎症細胞浸潤、中央に見えるのが破壊されつつある胆管。出題頻度が高い。中年女性、皮膚掻痒感 ...

関連画像

慢性の 管内胆汁鬱滞 を来す 慢性の 管内胆汁鬱滞 を来す


★リンクテーブル★
リンク元原発性胆汁性肝硬変」「肝臓の病理」「続発性胆汁性肝硬変」「胆汁性肝硬変」「CNSDC
関連記事胆管」「化膿」「化膿性」「」「膿性

原発性胆汁性肝硬変」

  [★]

primary biliary cirrhosis, PBC
胆汁性肝硬変続発性胆汁性肝硬変慢性非化膿性破壊性胆管炎無症候性原発性胆汁性肝硬変
難病
  • first aid step1 2006 p.280
  • 2009/7/16 III 消化器

まとめ

  • 肝内の小葉間胆管が組織的に慢性非可能性破壊性胆管炎により障害され、肝内に胆汁うっ滞をきたしてうっ血性肝障害を起こす疾患である。発症は中年以降の女性に好発する。またHLA-DR8と関連があるらしい。初期症状は皮膚掻痒感であり、黄疸を示さない無症候性PBCがほとんどである。疾患の進行により、黄疸、全身倦怠感が出現、やがて肝硬変、さらに非代償性の肝硬変に陥り、腹水、門脈圧亢進症などを呈する。病理学的には慢性非化膿性破壊性胆管炎が特徴的であり、門脈域周囲にリンパ球の浸潤、非乾酪性壊死を認める。血清学的には抗ミトコンドリア抗体(M2抗体)が疾患特異的に出現し、抗平滑筋抗体も50%弱の症例で陽性となり、またIgMの上昇が認められる。その他血液検査は胆汁うっ滞による肝障害に特徴的な異常がみられる。合併症として、シェーグレン症候群が多く、関節リウマチ、橋本甲状腺炎、強皮症(あるいはCREST症候群)の合併もありうる。治療は対症療法的にウルソデオキシコール酸、ベサフィブラートを用い、肝障害が末期的になれば肝移植の適応となる。

概念

  • 特定疾患治療研究対象疾患
  • 肝内の中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管が障害される原因不明の慢性肝内胆汁うっ滞症
  • 慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)による慢性の肝内胆汁うっ滞を来す疾患(YN.)。
  • 初発症状は皮膚掻痒感。
  • 末期になると肝硬変像を示す。 → 門脈圧亢進症
  • 血清学的には抗ミトコンドリア抗体(IgM)が特徴的だが、胆管障害機序は不明。 → 自己免疫機序?
  • 胆汁うっ滞に基づく症状を呈さないPBCを無症候性PBC、症状を呈すものを症候性PBCという。

疫学

  • 発症年齢は40から60歳代に集中。約90%は女性。 → 中年以降の女性に好発

YN.

  • 有病率:3-4人/10万人。欧米より低いと推定されている。
  • 40-60歳の女性。女性が90%

病型と症状

初発症状:皮膚掻痒が最も多い。門脈圧亢進症に基く消化管出血が初発症状の場合がある。
  • 無症候性PBC:皮膚掻痒感、黄疸など症状を欠く。新規症例の2!3
  • 症候性PBC-S1:倦怠感、掻痒感
  • 症候性PBC-S2:非代償性。黄疸,腹水

病理

  • 隔壁胆管に慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)あるいは胆管消失を認める。
[show details]

病理所見

胆管上皮の増殖性変化,胆管上皮細胞の壊死, 胞体の腫大や好酸性変化
基底膜の破壊、核の非偏在化、核の重層化、門脈域にリンパ球、形質細胞が浸潤
門脈域主体の炎症細胞浸潤
小葉内胆管の障害像
非乾酪性類上皮肉芽腫
好酸球


病態

  • 自己免疫機序によると思われる胆管の傷害 → 胆汁うっ滞 → 肝細胞傷害および線維化 → 門脈圧亢進症 → 肝硬変
肝内の中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管が障害されることによる肝内性胆汁うっ滞 ← これは「肝内胆管が拡張しない」ことの説明になるの?(QB.B-339)

症状(YN., HIM.chapter 302)

  • 初発症状:皮膚掻痒感(診断された症例の50%に見られる)、皮膚黄色腫
  • 疲労感:肝臓の状態や年齢にそぐわないようなひどい疲労感
  • 黄疸

身体所見

  • 門脈圧亢進症に基づく症状:肝腫大、脾腫大、腹水、浮腫
  • 原発性胆汁性肝硬変に特有:色素沈着(皮膚を掻爬するため)、黄色腫・眼瞼周囲の黄色腫(高脂血症による)

合併症

YN.

検査(YN.)

血液一般

  • 赤血球、白血球、血小板:減少 → 門脈圧亢進症による脾腫が原因

生化学 - 脂質

生化学 - 銅

  • 体内Cu:増加
  • 血清Cu:上昇、尿中Cu:上昇、肝組織内銅含有量:上昇
  • 血清セルロプラスミン:上昇

肝障害

  • ALT、AST:中等度上昇

胆汁

  • T-bil:上昇。直接ビリルビン優位
  • 胆汁うっ滞の所見が特徴的。ただし総ビリルピンの上昇は末期

免疫血清学

  • 抗ミトコンドリア抗体(AMA):陽性。臓器特異性はない ← 90%の患者で陽性。PBCに特異的。
  • M2抗体:PBCに特異的。 AMA陰性患者でもほとんどの場合M2抗体が陽性。
  • M2の主要対応抗原はミトコンドリア内膜のpyruvate dehydrogenase (PDH) E2 component。
  • 抗PDH抗体:陽性。抗PDH-E2抗体と反応する分子がPBCの胆管上皮に高濃度に存在。
  • IgM:上昇:70%の症例  ←  PBCではIgM産生能が高まったB細胞が末梢血中に存在する。PBCの発症機序との関連が示唆されている。(参考3)
  • ANA、抗平滑筋抗体は50%の症例で陽性
  • AMA陽性 + ANA陽性 = オーバーパップ症候群

AMAのターゲット(HIM.chapter.302)

これらの抗原に対する自己抗体は病態形成には関与していないが、疾患のマーカーとなる。
  • pyruvate dehydrogenase complex
  • branched chain-2-oxoacid dehydrogenase complex
  • 2-oxogluterate dehydrogenase complex

超音波検査・CT・MRI

  • 胆道の閉塞がないか確認 → 続発性胆汁性肝硬変

診断

  • 組織像 + 抗ミトコンドリア抗体陽性
  • 臨床症状、血清学的検査、エコー、CTで疑い、肝生検による組織診で確定診断する。
ALP、γ-GTP → エコーで胆道閉塞性疾患を否定 → AMA、IgM検査 → 肝生検
AMA陰性の場合は肝生検が決め手

参考2より抜粋

  • 次のいずれか1つに該当するものをPBCと診断する。
  • 1. 組織学的にCNSDCを認め,検査所見がPBCとして矛盾しないもの。
  • 2. AMAが陽性で,組織学的にはCNSDCの所見を認めないが,PBCに矛盾しない組織像を示すもの。
  • 3. 組織学的検索の機会はないが,AMAが陽性で,しかも臨床像及び経過からPBCと考えられるもの。

鑑別診断

病期分類(Scheuer分類)

  • 1期: florid duct lesion - 無症候性
慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)といわれる所見、すなわち、胆管上皮細胞の変性、壊死、脱落と、胆管周囲へのリンパ球、形質細胞の浸潤
  • 2期: ductular prliferation - 無症候性
細胆管の増生と門脈域より肝実質へのリンパ球浸潤。
  • 3期: scarring - 症候性-s1]
架橋壊死と線維性隔壁を伴った瘢痕。
  • 4期: cirrhosis - 症侯性-s2
肝硬変

予後

  • 黄疸が出現したら肝臓の予後は不良 → つまり進行性
  • 無症候性PBCの予後はおおむね良好、15-20年間経過観察された無症候性PBCの約10%が症候性PBC(黄疸あり)へ移行
  • 症候性PBCの5年生存率は約40%、総ビリルビン>2.0mg/mlで数年以内に腹水貯留などの肝不全の徴候があらわれてくることが多い

冶瞭

  • UDCA(ウルソデオキシコール酸)、ベサフィブラート、肝移植(scheuer stage IV)

薬物療法

  • UDCA(ウルソデオキシコール酸)
  • ウルソデオキシコール酸:胆汁排泄を促進して胆道系酵素を低下させる。 → 病態の進行を遅らせるだけに過ぎない

臓器移植

  • 進行例に対して肝移植を施行
  • 肝移植: 1年生存率 75-90%、 5年生存率 75-85%
  • 再発は20-30%(確診), 28-90%(compartible)

禁忌

  • ステロイド:骨粗鬆症の増悪を招くため! → 自己免疫性肝炎ではステロイドを使用(よく反応するらしい)。  PBCに対するステロイド療法は症状緩和のみで根治できず、長期投与が必要になるということか???

合併症

鑑別診断

他疾患との比較

PBCとPSCの比較

  • see BPT.659
Table 16-7. Main Features of Primary Biliary Cirrhosis and Primary Sclerosing Cholangitis
Parameter primary biliary cirrhosis primary sclerosing cholangitis
Age Median age 50 years (30-70) Median age 30 years
Gender 90% female 70% male
Clinical course Progressive Unpredictable but progressive
Associated conditions Sjogren syndrome (70%) inflammatory bowel disease (70%)
scleroderma (5%) pancreatitis (≦25%)
thyroid disease (20%) idiopathic fibrosing disease (retroperitoneal fibrosis)
Serology 95% AMA positive 0% to 5% AMA positive (low titer)
20% ANA positive 6% ANA positive
60% ANCA positive 82% ANCA positive
Radiology normal strictures and beading of large bile ducts; pruning of smaller ducts
duct lesion florid duct lesion; loss of small ducts concentric periductal fibrosis; loss of small ducts

自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変

  自己免疫性肝炎 原発性胆汁性肝硬変
AIH PBC
疫学 年齢 中年女性 中年女性
HLA HLA-DR4 HLA-DR8
自己抗体 抗核抗体 ANA 抗ミトコンドリア抗体 AMA
抗平滑筋抗体 ASMA
検査 ↑血清IgG ↑血清IgM
胆道系酵素上昇
合併症 各種自己免疫疾患 Sjogren症候群
関節リウマチ
慢性甲状腺炎
強皮症
治療 ステロイド ウルソデオキシコール酸
肝移植
禁忌   ステロイド

症例

  • 52歳女性。3ヶ月前から皮膚の掻痒感と軽度の黄疸が出現したため来院した。抗ミトコンドリア抗体が陽性である。

参考

  • 1. 原発性胆汁性肝硬変 - 難病情報センター
[display]http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/029_i.htm
  • 2.
[display]http://www.nanbyou.or.jp/pdf/029_s.pdf
  • 3. [charged] Pathogenesis of primary biliary cirrhosis - uptodate [1]

国試


肝臓の病理」

  [★]

肝臓肝炎

病変局在と疾患

特徴的な所見

B型肝炎 C型肝炎 自己免疫性肝炎 原発性胆汁性肝硬変 脂肪性肝炎
すりガラス状変化(ground-glass appearance) リンパ濾胞(portal lymphoid follicles) ANA抗体陽性 AMA抗体陽性 中心静脈周囲の脂肪化
核の不整、濃染、腫大(liver cell dysplasia) 肝炎性胆管傷害(bile-duct damage) 門脈域から実質に形質細胞浸潤、壊死像 門脈主体の炎症細胞浸潤 肝細胞風船状腫大
  脂肪化(steatosis) 肝細胞のロゼット配列 小葉間胆管の傷害 実質の炎症主体
ときに肉芽腫(granuloma)、マロリー小体(Mallory body) 胆管傷害なし 慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC 中心静脈から周囲肝細胞を取り囲む線維化
    類上皮肉芽腫 マロリー小体
好酸球 megamitochondria
  好中球
脂肪肉芽腫

続発性胆汁性肝硬変」

  [★]

secondary biliary cirrhosis
原発性胆汁性肝硬変胆汁性肝硬変二次性胆汁性肝硬変慢性非化膿性破壊性胆管炎閉塞性胆汁性肝硬変



胆汁性肝硬変」

  [★]

biliary cirrhosis, biliary liver cirrhosis
原発性胆汁性肝硬変続発性胆汁性肝硬変慢性非化膿性破壊性胆管炎



CNSDC」

  [★] 慢性非化膿性破壊性胆管炎 chronic non-suppurative destructive cholangitis

胆管」

  [★]

bile duct (Z), biliary tract
胆汁路
肝内胆管肝外胆管

胆管径

腹部超音波テキスト 第1版 p.169
  • 正常胆管径:
  • 胆摘後では肝外胆管が10mm以上になりうる
  • 加齢によって太くなる
  • とある文献によれば、総胆管径は
胆嚢炎:8.7±1.7
胆石:11±3.3
胆嚢切除後:9.5±2.6
膵炎:9.8±2.2
膵癌:14.0±2.8
リンパ腫:9.5±2.6
十二指腸疾患(十二指腸炎、十二指腸潰瘍、十二指腸瘢痕):8.4±1.0



化膿」

  [★]

purulence, suppuration
purulenta
化膿性炎 purulent inflammation


化膿性」

  [★]

purulentsuppurativepyogenicpyogenes
化膿膿性


炎」

  [★]

  • n.
  • comb form.
  • (炎症の接尾辞)itis
炎光炎症

膿性」

  [★]

purulentsuppurative
化膿化膿性



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