慢性肝炎

出典: meddic

chronic hepatitis
hepatitis chronica
慢性ウイルス性肝炎 chronic viral hepatitis
肝炎肝炎ウイルス。新犬山分類

まとめ

  • 6か月以上肝炎が持続している病態で、主にウイルス性とくにC型肝炎ウイルスによるものが大半を占める。多くは無症状であり検査値異常で気づかれる。検査上、ALT優位にトランスアミナーゼが上昇、ガンマグロブリン上昇、ICH停滞率上昇、血小板は肝臓の線維化を反映して低下している。蛋白合成能の指標となるアルブミンやコリンエステラーゼは正常である。病理所見としては肝小葉を中心とした持続性炎症である。肝門脈域の限界板破壊像(piecemeal necrosis)がみられ、慢性肝炎の進行度の指標となる。肝門部の壊死が拡大してお互い重なり合う壊死像(bridging necrosis)は、肝硬変の進展リスクを反映する。腹腔鏡では、肝臓表面に肝臓の再生を示す斑紋と門脈域辺縁の肝細胞が壊死後の血液貯留を反映する赤色紋理を認める。診断はウイルスの検出と肝生検による組織診団によってなされ、治療は原因疾患に応じた治療を行う。

概念

  • 6か月以上肝炎が持続している病態

疫学

  • B型が約20%、C型が約75%、非B非C型慢性肝炎や自己免疫性肝炎(AIH)はそれぞれ数%。(IMD)

病因

ウイルス性

  • B型肝炎ウイルス:キャリアの10-20%が慢性肝炎に移行。B型肝硬変から肝細胞癌は2.5-3%/年
  • C型肝炎ウイルス:罹患者の60-70%が慢性肝炎に移行。C型肝硬変から肝細胞癌は5-7%/年

病理

  • 肝臓表面の赤色紋理:腹腔鏡上の所見。点状、小斑状、網状の赤色調局面。piece meal necrosisなどにより門脈域辺縁の肝細胞が壊死した後血液の貯留を示す。肝炎の活動性の所見。

症状

  • 多くは無症状
  • B型慢性肝炎:急性増悪期に黄疸や食欲低下、全身倦怠感を認めることがある
  • C型慢性肝炎:黄疸は極めて稀

検査


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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/02 19:13:51」(JST)

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和文文献

  • チームで導入し薬剤師外来で運用したPEG-IFN/Ribavirin/Telaprevir3剤併用療法のアウトカム評価
  • 四十物 由香,鴨志田 敏郎,丸山 常彦 [他]
  • 肝臓 55(8), 454-458, 2014-08
  • NAID 40020163150
  • 症例 興味ある経過を呈したC型慢性肝炎に対するインターフェロン治療誘発性Basedow病の2例
  • 猿井 宏,柳瀬 匡宏,佐々木 昭彦 [他]
  • 内科 114(2), 349-351, 2014-08
  • NAID 40020161413
  • C型慢性肝炎の3剤併用インターフェロン療法における口腔症状の評価
  • 永井 清志,吉川 博政,樋口 勝規
  • 日本口腔科学会雑誌 63(3), 260-268, 2014-07
  • NAID 40020170995
  • 症例報告 インターフェロンの長期投与により肝線維化の著明な改善を認め,肝癌の再発が長期間抑制されているC型慢性肝炎の1例
  • 草永 真志,日浦 政明,南 創太 [他]
  • 肝臓 55(7), 399-404, 2014-07
  • NAID 40020132884

関連リンク

慢性肝炎とは、臨床的には6ヶ月以上の肝機能検査の異常とウィルス感染が持続して いる病態を指す。組織学的には、門脈域にリンパ球を主体とした細胞浸潤と線維化を 認め、肝実質内には種々の程度の肝細胞の変性・壊死所見を ...
慢性肝炎と高血圧を対比してみました。 慢性肝炎というと何か恐ろしい重い病気と 考える人は多いのですが、高血圧と対比することにより、そのイメージを変えることを 試みます。 感染症としての注意が必要なことを強調します。 ...

関連画像

慢性肝炎慢性肝炎慢性肝炎 慢性肝炎慢性肝炎図. 慢性肝炎(A2、F2)の組織像 慢性肝炎


★リンクテーブル★
先読みchronic viral hepatitis
国試過去問100D034」「099G060」「100H036」「103A056」「108C009」「101C016」「100E037」「100E042」「104I006」「083A056
リンク元B型肝炎」「自己免疫性肝炎」「C型肝炎」「ブロムスルファレイン試験」「インドシアニングリーン試験
関連記事肝炎」「」「慢性

chronic viral hepatitis」

  [★]


100D034」

  [★]

  • 次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
  • 32歳の女性。無月経を主訴に来院した。
  • 現病歴 :毎月規則正しかった月経が今月はなかったため来院した。1年前から月経量の増量に加え、月経痛もひどくなってきており、1週前から嘔気と乳房緊満感とを認めている。最近排尿回数が増えている。未婚であるがパートナーはいる。婦人科受診は初めてである。
  • 既往歴 : 妊娠・分娩歴はない。
  • 現症 : 意識は清明。身長160cm、体重46kg。脈拍72/分、整。血圧118/70mmHg。全身所見で特に異常は認めない。内診上、子宮は前傾前屈、新生児頭大、弾性硬。可動性はやや不良であるが圧痛はない。両側付属器は触知しない。
  • 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球360万、Hb10.0g/dl、白血球8,400、血小板28万。血清生化学所見:総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.9g/dl、尿素窒素14mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総コレステロール180mg/dl、AST26単位、ALT28単位、LDH310単位(基準176~353)。妊娠反応陽性。
  • この女性の合併疾患で最も考えられるのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 100D033]←[国試_100]→[100D035

099G060」

  [★]

  • 36歳の女性。1か月前からの全身倦怠感を主訴として来院した。大学卒業後、24歳で結婚し、主婦をしている。15歳時、交通事故で輸血を受けた。喫煙は24歳から1日15本。飲酒は30歳から夕食時ビール小ピン1本/日。身長160cm、体重45kg。体温36.4℃。呼吸数22/分。脈拍68/分、整。血圧128/76mmHg。胸部と腹部とに異常所見はない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球380万、Hb12.1g/dl、Ht35%、白血球8,200、血小板20万。血清生化学所見:空腹時血糖80mg/dl、総蛋白7.6g/dl、アルブミン3.9mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、直接ビリルビン0.6mg/dl、AST150単位、ALT180単位。胸部エックス線写真と上部消化管造影写真とに異常を認めない。最も考えられるのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 099G059]←[国試_099]→[099H001

100H036」

  [★]

  • 35歳の男性。手足の発疹を主訴に来院した。半年前から、手掌と足蹠とに皮疹が出現した。苛性カリ検鏡法で真菌は陰性である。皮膚生検H-E染色標本を以下に示す。この疾患に合併しやすいのはどれか。


[正答]
※国試ナビ4※ 100H035]←[国試_100]→[100H037

103A056」

  [★]

  • 40歳の女性。両足の皮疹を主訴に来院した。病変部からの細菌・真菌培養は陰性である。胸骨部の痛みを訴えている。右足の写真を以下に示す。
  • この疾患と関連の深いのはどれか。


[正答]
※国試ナビ4※ 103A055]←[国試_103]→[103A057

108C009」

  [★]

  • 慢性肝炎において肝炎活動性の指標となる血液検査項目はどれか。


[正答]


※国試ナビ4※ 108C008]←[国試_108]→[108C010

101C016」

  [★]

  • 皮膚掻痒を生じることが多いのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 101C015]←[国試_101]→[101C017

100E037」

  [★]

  • 便秘症の原因として考えられるのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 100E036]←[国試_100]→[100E038

100E042」

  [★]

  • 喫煙習慣がリスク要因となるのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 100E041]←[国試_100]→[100E043

104I006」

  [★]

  • a A型
  • b B型
  • c C型
  • d D型
  • e E型
[正答]


※国試ナビ4※ 104I005]←[国試_104]→[104I007

083A056」

  [★]

  • 血清AST/ALT比が1.0以下となる疾患はどれか?
  • a. (1)(2)(3)
  • b. (1)(2)(5)
  • c. (1)(4)(5)
  • d. (2)(3)(4)
  • e. (3)(4)(5)

B型肝炎」

  [★]

hepatitis B, HB, type B hepatitis
B型肝炎ウイルス慢性肝炎


まとめ

  • DNAウイルスでありながら逆転写酵素をもつヘパドナウイルスでエンベロープをもつB型肝炎ウイルスの感染により起こる肝炎。感染経路は経皮的?、妊娠母子、性的接触があり、発症は若年者に多い。潜伏期は2-3ヶ月であり、急性・潜行性に発症する。慢性化することは1-10%程度(但し、新生児例がほとんど)あり、劇症化することは比較的多い(0.1-1.0%)。キャリアー化することは母子感染例ではみられるが、成人感染例では稀である。慢性化した場合、(ゲノムに組み込まれる性質も相まってか?)比較的若年で、また肝臓の状態が良好な段階でも肝細胞癌を発症しうる。日本人に多いC型は慢性化しにくいものの、重症感が強く、インターフェロンが奏功しにくく、また肝細胞癌を発症しやすい。治療はインターフェロン、ラミブジン、アデフォビル、エンテカビルがある。予防は免疫グロブリン注射と組換えHBsワクチン接種がある。

病原体

感染経路

  • 母子感染、性的接触

潜伏期

  • 2-3ヶ月

検査

血清学的検査

消化器疾患ビジュアルブック p176
  • HBs抗原:現在HBVに感染している
  • HBs抗体:HBV感染既往。既にHBVに免疫がある。
  • IgM型HBc抗体:感染の急性期に作られる抗体。急性肝炎にかかっているか、慢性肝炎の急性増悪。
  • IgG型HBc抗体:慢性期に作られる抗体で、高ければB型肝炎キャリア、低ければ過去にB型肝炎に感染既往がある状態
  • HBe抗原:HBVが多量に存在し、他人に感染しやすい状態
  • HBe抗体:HBVは減少し、感染力が弱まっている状態
  • HBV-DNA:HBVに感染していて、ウイルスが増殖している状態

HBVキャリアの病期とその病態

病期 肝炎 血中 肝臓
DNA量 HBe抗原 HBs抗原 cccDNA
免疫寛容期 無症候性キャリア 8~11 ++ +++ +++
免疫排除期 慢性肝炎 HBe抗原陽性 持続 6~10 ++ ++
HBe抗原陰性 変動 3~8 +~++ +~++
免疫監視期 非活動性キャリア <4
回復期

経過

B型ウイルス抗原・抗体

  • HBs抗原:早期(4週)に上昇。28週までに低下
  • HBs抗体:28週から上昇
  • HBc抗原:測定が非常に困難
  • HBc抗体:HBs抗原に遅れて上昇
  • HBe抗原:HBs抗原、HBc抗体に遅れて検出される
  • HBe抗体:16-20週ごろにHBe抗原より優位となる

B型肝炎ウイルスの母子感染と予防

G10M.176

B型肝炎ウイルスの母子感染

  • B型肝炎母子感染防止事業(1985年)に基づいて講じられている予防策である。妊娠初期の全妊婦に対してHBs抗原検査を行い、感染が確認されればHBe抗原検査を行いリスクに応じた感染予防対策を実施する。HBe抗原陰性のローリスク群では産道感染の起こる確率は10%であり、新生児が無症候性キャリアとなるのは稀なのに対し、ハイリスク群では産道感染する確率は90%であり、無症候性キャリアとなるのは80%である。従って、ローリスク群には児に対する感染予防対策を、ハイリスク群には強力な感染予防対策を行う。

母子感染の予防

G10M.176 B型肝炎ウイルス#母子感染の予防
  ローリスク群 ハイリスク群 意義
HBIG筋注 0ヶ月 0ヶ月 ウイルス粒子に対する防御
  2ヶ月
HBワクチン 2ヶ月
3ヶ月
5ヶ月
2ヶ月
3ヶ月
5ヶ月
防御抗体の付与
HBs抗原検査   1ヶ月 HBV感染の確認
6ヶ月 6ヶ月
HBs抗体検査 6ヶ月 6ヶ月 防御抗体獲得の確認
どうにかして覚えたい
予防は0,2 & 2,3,5
検査は1,6

B型肝炎とC型肝炎の比較

  B型肝炎 C型肝炎 ソース
感染の特徴 慢性の肝細胞障害、
integrationによる変異誘発?
慢性の肝細胞障害 根拠なし
劇症化 0.1-1% 0.1% HIM
慢性化率 1-10% 85% HIM
キャリア化 稀。通常、母子感染でおこる   医学辞書
肝細胞癌患者中 約20% 約70% QB.B-281
肝細胞癌患者年齢 若年発症   QB.B-281
肝細胞癌発症形式 突発あり 緩徐進展 QB.B-281
遺伝子型 B型肝炎ウイルス#遺伝子型    
A型、C型 1b型、2a型,、2b型  
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。 日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除)  
治療 インターフェロン
ラミブジン
アデフォビル
エンテカビル
テルビブジン
ペグインターフェロンリバビリン

参考

  • 1.
http://www.bkanen.net/
  • 2. IDWR:感染症の話 B型肝炎
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/K04_15/k04_15.html


自己免疫性肝炎」

  [★]

autoimmune hepatitis AIHA, AIH
類狼瘡肝炎(ルポイド肝炎)、難病

まとめ

  • 中年の女性に好発する慢性経過の肝炎であり、自己免疫機序が関与していると考えられる。HLA-DR4陽性例に多いといわれている。診断は除外診断であり、ウイルス性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などをを除外する。

概念

疫学

  • 男女比=1:7で女性に多く、発症は10-30歳での発症もみられるが、多くは40歳以降。

病型

AIH 自己抗体 HCV感染
抗核抗体 抗平滑筋抗体 抗LKM-1抗体 抗SLA抗体
ANA ASMA
I型
IIa型
IIb型
III型
IV型

病型と病態

LAB.894
  • II型は抗LKM-1抗体の存在で特徴づけられる
  • IIa型は女性に多く、高力価を示し、肝硬変への進展が早い
  • IIb型は中年男性に多く、力価はそれほど高くない

病態生理

  • 自己免疫機序により肝細胞が障害されるらしいが、詳細は不明である。

病理

  • (診断基準に含まれているように)組織学的には肝細胞壊死所見およびpiecemeal necrosisに伴う慢性肝炎あるいは肝硬変であり、しばしば著明な形質細胞浸潤を認める。

症状

  • 自覚症状に乏しく、血液検査で偶然発見される
  • 肝障害:黄疸、全身倦怠感、食欲不振。重症例では腹水、肝性脳症、肝不全。

検査

  • 血液検査
  • AST, ALT:高値
  • γ-グロブリン:高値(2g/dl以上)
  • 免疫グロブリンG:高値(2g/dl以上)
  • ウイルスマーカー:陰性 (除外診断)
  • 免疫血清学的検査
  • 抗核抗体:I型で陽性
  • 抗平滑筋抗体:I,IV型で陽性
  • 抗LKM-1抗体:II型で陽性
  • 抗SLA抗体:III型で陽性
  • 肝生検:piecemeal necrosisの所見をもつ慢性肝炎の像

診断基準

参考3
1. 血中自己抗体(特に抗核抗体、抗平滑筋抗体など)が陽性。
2. 血清γグロブリン値またはIgGの上昇 (2g/dl以上)。
3. 持続性または反復性の血清トランスアミナーゼ値の異常。
4. 肝炎ウィルスマーカーは原則として陰性。
5. 組織学的には肝細胞壊死所見およびpiecemeal necrosisに伴う慢性肝炎あるいは肝硬変であり、しばしば著明な形質細胞浸潤を認める。時に急性肝炎像を呈する。

* 本邦ではHLA-DR4陽性症例が多い
** 本邦ではC型肝炎ウィルス血症を伴う自己免疫性肝炎がある。
*** C型肝炎ウィルス感染が明らかな症例では、インターフェロン治療が奏功する例もある。

診断

  • 病歴により、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、超音波検査にて脂肪肝を除外。
  • 免疫血清学検査を行いウイルス性肝炎を除外。自己抗体や免疫グロブリンの変動、サブタイプの変動をみて絞り込み、病理組織学検査で確定診断する。

鑑別疾患

治療

副腎皮質ステロイドが著効する
  • ステロイド:十分量の後、維持量を継続する
  • ウルソデオキシコール酸:ステロイドの減量に有効。また、軽症例での経過観察に用いられる(IMD)。
  • 免疫抑制薬:(ステロイド抵抗性例に対して)アザチオプリン
インターフェロンは自己免疫を賦活化させる方向に作用するので不適

合併症

  • 肝癌:ウイルス性肝炎よりも発癌リスクが少なく、肝細胞癌のリスクへの影響はあるとはいえない。
  • 自己免疫疾患:ウイルス肝炎でもありうるが、自己免疫性肝炎の方がより高頻度で起こる(ウイルス性肝炎(22%)vs自己免疫性肝炎(38%)(参考1))

参考

  • 1. [charged] Extrahepatic manifestations of autoimmune hepatitis - uptodate [1]
  • 2. 自己免疫性肝炎 - 難病情報センター
[display]http://www.nanbyou.or.jp/entry/268
  • 3. 難病ドットコム
[display]http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=10&sid=3&kid=1
  • 4.
[display]http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-b5.html


C型肝炎」

  [★]

hepatitis C HC
C型肝炎ウイルス慢性肝炎肝炎


まとめ

  • RNAウイルスでありエンベロープを有するフラビウイルスに属するC型肝炎ウイルスの感染により生じる肝炎である。潜伏期は60日程度であり、発症は潜行性である。感染経路は血液の接触に夜物が多い。劇症化することは稀(0.1%)であるが、非常に慢性化しやすい(85%)。慢性化例では肝機能の低下・荒廃を来しついには肝細胞癌を生じる。日本に多い1b型(70%)はインターフェロンが奏効しにくい。治療はインターフェロンとリバビリンである。予防は感染源との接触を避けることである。

概念

疫学

  • 慢性肝炎の70-80%を占める
  • C型肝炎患者+持続感染者(キャリア):150-200万人(参考1)
  • C型肝炎患者数:C型ウイルス肝炎の総患者数は34万7千人(2005年10月時点, 『患者調査』【Z41-842】2005年版 上巻(全国編)p.652)(参考5)

病原体

感染経路

  • 血液感染:輸血(第二世代HCV抗体導入後は輸血後肝炎の発生はほとんどない)、針刺し事故、入れ墨、覚醒剤の回し打ち。頻度が比較的多い
  • 性的接触:B型肝炎ウイルスに比較すると頻度は少ない。
  • 垂直感染:低率

経過

  • 自然治癒は稀
  • 10-30年の経過で肝硬変 → 肝細胞癌
  • 癌化には5,11,17番染色体の染色体異常が関わっている?
  • HCVの初感染から30年間以上経過している患者では年間の肝細胞癌発症率は1-4%である(HIM.1963)
  • C型肝炎を背景に肝細胞癌を発症した場合、C型肝炎ウイルスを駆逐し、肝細胞癌が治癒した後であっても発癌リスクは変わらない、らしい(出典不明)

症状

  • 急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎(稀)
  • 慢性化率は高い(50-70%) (A-E型肝炎の中で最高)

合併症

検査

  • 免疫血清学検査
  • 感染後三ヶ月で検出される
  • 2. HCVコア抗体:コア粒子
  • 3. E2/NS-1抗体:エンベロープ
  • 4. NS抗体、C100-3抗体C-33c抗体、NS5抗体:被構造タンパク
  • 核酸増幅検査
  • NATによるHCV-RNAの検出。ウインドウ期は1-2週間

病態の評価 - 目的別

  • 肝障害の評価 → ALT
  • 残存肝機能  → 血小板数(肝臓で産生されるトロンボポエチンを反映するはず)
  • 治療効果判定 → HCV-RNA

治療

  • ウイルス量が少なく(100KIU/ml以下)、セロタイプが2型の患者に効きやすい(80%以上でウイルス排除)
IFN著効例は全体で約30%
1b型15% ← 治療成績はウイルス量に反比例。日本に多い型
2a型60%
2b型45%
  • 投与期間:1型は48週、2型は24週とされている。
  • 高ウイルス量(100KIU/ml以上)、セロタイプが2型の患者で、約50%でウイルス排除が可能

治療に影響を及ぼす因子

  • HCV RNA(少ない方が良い)、遺伝子型(2型が良好)、線維化(軽度)、年齢、性別、血小板。(参考(3))
  • 年齢<45、感染期間が短い、HCV RNAが少ないこと、遺伝子型が1型でないこと(HIM.1095)
  • HCV-RNA量、HCB遺伝子型、肝組織化の程度(QB.B-282)

B型肝炎とC型肝炎の比較

  B型肝炎 C型肝炎 ソース
感染の特徴 慢性の肝細胞障害、
integrationによる変異誘発?
慢性の肝細胞障害 根拠なし
劇症化 0.1-1% 0.1% HIM
慢性化率 1-10% 85% HIM
キャリア化 稀。通常、母子感染でおこる   医学辞書
肝細胞癌患者中 約20% 約70% QB.B-281
肝細胞癌患者年齢 若年発症   QB.B-281
肝細胞癌発症形式 突発あり 緩徐進展 QB.B-281
遺伝子型 B型肝炎ウイルス#遺伝子型    
A型、C型 1b型、2a型,、2b型  
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。 日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除)  
治療 インターフェロン
ラミブジン
アデフォビル
エンテカビル
テルビブジン
ペグインターフェロンリバビリン

参考

  • 1. C型肝炎
[display]http://www.c-kan.net
  • 2. 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター│C型肝炎およびC型肝炎ウイルス
[display]http://www.ncgm.go.jp/center/forcomedi_hcv.html
  • 3. [PPT]C型肝炎の病態と治療
[display]http://kousei-hosp.com/C-PPT.pdf
  • 4. B・C型慢性肝炎治療ガイドライン
[display]http://homepage1.nifty.com/ogurika/data/kan/07guide_HBV_HCV.pdf
  • 5. C型肝炎について - 国立国会図書館 リサーチナビ
[display]http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400257.php
  • 6. IDWR:感染症の話 C型肝炎
[display]http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_12.html


ブロムスルファレイン試験」

  [★]

bromsulphalein test, bromsulphalein excretion test
(国)BSP試験 BSP test
ICG試験

概念

  • 肝機能検査の一つであり、肝の異物排泄機能検査である。
  • 色素の血中消失率(fractional disappearance rate)と血中停滞率(retention rate)を算出する。
  • ブロムスルファレインはショックなどの副作用があるため、インドシアニングリーンに取って代わられている。
  • それでも、デュビン・ジョンソン症候群の診断には有用である。

生理、動態

  • BSPは血中で血漿蛋白質と結合し、70-80%は肝臓に接種され、グルタチオン抱合を受け、胆汁中に大部分が排泄される。(LAB.1356)
  • 約2%は腎臓から排泄され、その他は網内系で分解される。(LAB.1356)
  • BSP試験は注射後、30分、または45分後の血中停滞率をみるのが一般的。(LAB.1356)

副作用・合併症

  • BSPの静注時に血管痛、嘔気、胸痛、めまいなどを来すことがある。
  • まれにショック症状をきたすことがある。

方法=

  • 体重に応じた量のBSP液を静脈注射。30分後/45分後に対側から採血し、血清を分離。

判定

血中停滞率

基準値

LAB.1356
  • 30分値:0-5%:正常
  • 45分値:0-2%:正常
45分値の法が用いられる。
LAB.1356
  • 5%以上、肝障害
  • 15%まで、軽度肝障害
  • 15%以上、高度肝障害

5-15%(中等度上昇)

検査値の本参考

15%以上(高度上昇)

検査値の本参考

疾患との関連

デュビン・ジョンソン症候群

  • デュビン・ジョンソン症候群の診断に有用な検査である。
  • (おそらく)30, 45, 60, 90, 120分後の採血を行う。
  • 45分前まではブロムスルファレインの血中濃度は低下傾向にあるが、45分以降血中濃度が再上昇していく。
  • この所見はデュビン・ジョンソン症候群に特徴的な所見とされている

ローター症候群

  • 著明な異常値

まとめ

  ICG試験 BSP試験 その他
血中消失率
(K)
15分血中停滞率
(R15)
血中停滞率
45分値
健常者 0.168-0.206 0-10% 正常  
ジルベール症候群 正常(1)  
デュビン・ジョンソン症候群 正常~軽度異常(2) 低下後再上昇  
ローター症候群   >70%
70-80(3)
異常値
45-50%(3)
黄疸
ICG排泄異常症   >70%   肝機能検査正常
慢性肝炎 0.1-0.15 10-30%    
肝硬変 0.077 >30%, 平均35%    
 
肝臓での処理 代謝されない グルタチオン抱合  
         
(1) 正常のことが多い(QB.B-267)、正常か時に中等度の異常(LAB.1358)
(2)(QB.B-267)、正常(LAB.1358)

注意

  • 肝細胞での処理がビリルビンと競合するので、血中ビリルビンが3-5mg/dlの場合、検査の意義はない。


インドシアニングリーン試験」

  [★]

indocyanine green test, ICG test
インドシアニングリーン負荷試験インドシアニングリーン排泄試験。(国)ICG試験 ICG testICG負荷試験
インドシアニングリーンブロムスルファレイン試験肝予備能評価
[show details]

概念

  • 暗緑色の色素であるインドシアニングリーンを用いた肝機能検査の一つであり、肝の異物排泄機能検査である。
  • 色素の血中消失率(fractional disappearance rate)と血中停滞率(retention rate)(15分停滞率, R15)を算出する。
  • 肝血流と肝細胞の色素摂取機能を反映し、肝硬変の診断や肝予備能の評価などに用いられる。
肝血流 : 肝細胞ICG摂取能力: ICGの胆汁への排泄能力 = 3 : 1 : 1 (QB.B-268)
  • 肝外排泄がほとんどなく、肝臓の初回通過効果が大きいので、R15、KICGは有効肝血流量の良い指標となる
  • 肝硬変の診断や肝予備能の評価などに用いられ、肝切除術の術前検査としては必須である。
  • BSPと比べて、色素の肝外処理の比率、測定誤差、副作用が少ないなどの利点を有する(LAB.LAB.1357)

動態

  • 血液中ではアルブミン(LAB.1357)・α1-リポ蛋白(医学事典)と結合する。
  • ICGの90%以上が肝細胞に摂取され、抱合などの代謝を受けずに胆汁中へ排泄される。

判定

基準範囲

LAB.1358
  • 15分血中停滞率(R):0-10%
  • 血中消失率(K):0.168-0.206
  • 最大除去率ICG Rmax:3.18±1.62 mg/kg/分

10-30%(中等度上昇)

  • [高頻度]慢性肝炎 
  • [可能性]肝硬変

30%以上(高度上昇)

  • [高頻度・可能性]肝硬変  →  80%以上では黄疸、腹水をしたきた重篤な肝不全状態が想定される

疾患・病態との関連

まとめ

  ICG試験 BSP試験 その他
血中消失率
(K)
15分血中停滞率
(R15)
血中停滞率
45分値
健常者 0.168-0.206 0-10% 正常  
ジルベール症候群 正常(1)  
デュビン・ジョンソン症候群 正常~軽度異常(2) 低下後再上昇  
ローター症候群   >70%
70-80(3)
異常値
45-50%(3)
黄疸
ICG排泄異常症   >70%   肝機能検査正常
慢性肝炎 0.1-0.15 10-30%    
肝硬変 0.077 >30%, 平均35%    
 
肝臓での処理 代謝されない グルタチオン抱合  
         
(1) 正常のことが多い(QB.B-267)、正常か時に中等度の異常(LAB.1358)
(2)(QB.B-267)、正常(LAB.1358)

国試


肝炎」

  [★]

hepatitis
肝炎ウイルス肝臓の病理

概念

  • 肝臓に炎症を生じた状態

疫学

  • B型肝炎:感染者数は約110~140万人、患者数は約7万人(慢性肝炎:約5万人、肝硬変・肝がん:約2万人) (参考1)
  • C型肝炎:感染者数は約190~230万人、患者数は約37万人(慢性肝炎:28万人、肝硬変・肝がん:約9万人) (参考1)  →  肝細胞癌の80%がC型肝炎ウイルスによる

病因

  • 薬物性
  • アルコール性
  • 細菌性
  • ウイルス性
  • 自己免疫性

病理

細菌

ウイルス

  • 形態・増殖などピコルナウイルス参考
  • 他のピコルナウイルスと異なり細胞培養では、 CPEを起こさない。
  • 感染経路:主に経口、糞便にウイルスを排世
  • 発熱を伴う。慢性化しない。
  • 予防:A型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)
  • 逆転等酵素を有するDNAウイルス。エンベロープあり。
  • 抗HBs抗体一中和抗体・感染防止抗体  B型肝炎ワクチンによる予防  3TC
  • 感染経路:血液、体液、垂直感染 慢性化 約10%
  • Gianotti病(extrahepatic)
  • 感染経路:血液体液、
  • 慢性化:50-70%
  • インターフェロン療法HCV I FN昔効例全体で約30%
  • 日-t V型 f FN曹効例 2a60%、 2b45%、日本で多い1b15%)
  • HBVと同時に感染する。
  • Rib ozyme活性(RNAがRNAを切断)
  • 慢性化
  • E nterically-transmitted、 E ndemic
  • RNAウイルス
  • 妊婦での死亡率高い(10-20%)他   (HAV 約0-1%)
  • 人畜共通感染症(豚、イノシシ、鹿)
  • G型肝炎 肝炎との関連は当初考えられたほど高くない
  • TTV   1本鎖(-)DNA9歳以下8%、 10-20代50%、30代以降70%以上感染者
  • サイトメガロウイルス、アデノウイルス、EBウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、B19ウイルス など

肝炎ウイルスまとめ

肝炎ウイルス.xls

感染症 A型肝炎 B型肝炎 C型肝炎 D型肝炎 E型肝炎
ウイルス HAV HBV HCV HDV HEV
ピコルナウイルス科 ヘパドナウイルス科 フラビウイルス科 未分類 ヘペウイルス科
ヘパトウイルス属 オルソヘパドナ属 ヘパシウイルス属 デルタウイルス属 ヘペウイルス属
ゲノム ssRNA+ dsDNA ssRNA+ ssRNA- ssRNA+
エンベロープ - + + + -
逆転写酵素 - + - - -
潜伏期 文献1 15-40days 50-180days 1-5months 21-90days 2-9weeks
文献2 約4週 1-6ヶ月 平均6-8週 平均7週 平均5-6週
           
type of onset 急性 潜行性 潜行性 急性 急性
前駆症状   関節炎、皮疹 関節炎、皮疹    
感染経路 経口・糞光
非腸管
その他 食物、水 性的接触、周産期感染。血液、体液、垂直感染 性的接触(稀)。血液、体液 性的接触(稀)
後遺症 キャリアー × ○(約10%) ○(約50-70%) ○(重複感染:2-20%) ×
慢性肝炎 × ×
肝硬変→肝細胞癌 × 2.5-3 %/年 5-7 %/年   ×
劇症肝炎 0.1% 0.2 % 0.2 %   0.3-5.0%
死亡率 0.1-0.2% 0.5-2.0%(健常者) 1-2%(健常者) 2-20% 2%(一般)。20%(妊婦)
発熱 ? ? ? ?
予防 A型肝炎ワクチン(不活化) B型肝炎ワクチン(成分, HBs抗原)、HBIG なし B型肝炎ワクチン(成分, HBs抗原) ワクチン
治療 なし IFN
ラミブジン
アデフォビル
エンテカビル
テルビブジン
INF+リバビリン

IFN(著効率:30%。2a 60%, 2b 45%, 1b 15%)
IFN? なし
その他 CPEなし Gianotti病   HBVと同時感染、Ribozyme活性 風土病。人獣共通感染症(豚、イノシシ、鹿)

参考

  • 1. 肝炎対策の経緯と今後 ―B 型肝炎訴訟・C 型肝炎訴訟を中心に― 国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 702(2011. 2.22.)
2011年以前までの状況がサマリーしてあってよい
[display]http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0702.pdf
  • 2. 肝炎総合対策の推進 - 健康局疾病対策課肝炎対策推進室
[display]http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/index.html





炎」

  [★]

  • n.
  • comb form.
  • (炎症の接尾辞)itis
炎光炎症


慢性」

  [★]

chronicity
慢性的慢性型





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