心室中隔欠損症

出典: meddic

ventricular septal defect, VSD
心室中隔欠損
先天性心疾患動脈管開存症心房中隔欠損症
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疫学

  • 1.5-3.5/1000生産児 (PHD.382)

病態生理 PHD.382

  • 欠損孔を流れる血液量:(small VSD)欠損孔のサイズに依存。(large VSD)体循環と肺循環の血管抵抗に依存


  • 容量負荷:RV, 肺循環, LV, LA
  • 容量負荷 → chamber dilation → systolic dysfunction → heart failure
  • 2歳でpulmonary vascular diseaseとなる。

症状 PHD.383

  • small VSDは無症状
  • 10%のVSD患者はlarge defectを持っており、生後早い内から、うっ血心不全を呈する(頻呼吸、摂食不良、成長不良、頻回の下気道感染)
  • right-left shuntを起こせばチアノーゼ、呼吸困難
  • VSDのサイズに因らず、bacterial endocarditisがおこりうる。

身体所見 PHD.383

  • harsh holosystolic murmur at the left sternal border
  • murmurの部位に一致してsystolic thrillを認める。
  • 拡張中期ランブルを心尖で聴取 → MV経由の血流が増加したため


  • pulmonaru vascular diseaseが進行すると、汎収縮期雑音は減弱 → 欠損孔の圧較差が低下してくるから
  • RV heave, P2音増強、 チアノーゼ

病型分類

Kirklinの分類
欠損部 疫学 病態
I型 漏斗部欠損 高位欠損 日本人に多い。 大動脈弁逸脱によるARを合併しうる。自然閉鎖は少ない
II型 膜性部欠損 中間位欠損 最多。(70%)  
III型 流入部欠損 後方欠損 ダウン症に多い 左軸偏位
IV型 筋性部欠損 低位欠損 西洋人に多い。(20%)  



重症度分類

  X線上心拡大 心電図 聴診 心不全症状
小欠損 - 正常 Roger雑音 -
中欠損 + 左室肥大 汎収縮期雑音 -./+
大欠損 + 両心室肥大 II音亢進 +(乳児初期)

検査

聴診

PHD.383
  • 左胸骨縁:全収縮期雑音:(harsh holosystolic murmur) ← 欠損孔が小さいほど大きい
  • 雑音がする部位:収縮期スリルを触れる
  • 心尖部:拡張期中期ランブル音(middiastolic rumble):僧帽弁を通過する血流が増加するため
  • 肺高血圧症が進展すると全収縮期雑音は小さくなる。RV heave(拡張した右室の拍動)、II音亢進、チアノーゼを認めるようになる。

胸部単純X線写真

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管理・治療

  • 欠損孔が小さい場合(small VSD):心内膜炎の予防以外に特に特別な治療は不要である。しかし、血液培養陽性となる発熱や新規の雑音が聴取されたら専門医による精査を要する。(参考1)
  • 肺体血液量比2.0以上は手術適応、1.5-2.0は症状に応じて手術を、1.5以下は手術不要。

参考

  • 1. [charged] Management of isolated ventricular septal defects in infants and children - uptodate [1]

国試

  • 095G018:小欠損と考えられる。小欠損の場合には特に運動制限をする必要はないが、心内膜炎の予防のために予防接種などを受けることは必要となる。2007 guidelines of the American Heart Association (AHA) recommendによれば、予防的な抗菌薬の服用は推奨されていない。(参考1)
  • 105F026105F027103I065






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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/04/19 10:23:28」(JST)

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和文文献

  • 重度の肺動脈弁狭窄症に両方向性短絡の心室中隔欠損症を合併した犬の一例
  • 中村 隆,上地 正実,水野 祐,内田 周平,粕谷 新音,原田 佳代子,河野 正太,篠田 麻子,遠藤 征明,沢田 保,水野 壮司,船山 麻理菜
  • 動物の循環器 = Advances in animal cardiology 44(1), 11-16, 2011-07-01
  • NAID 10029134243
  • 症例 13番染色体部分トリソミーモザイクを伴ったPhylloid Hypomelanosisの1例
  • 木村 亜矢子,神戸 直智,外川 八英 [他]
  • 皮膚科の臨床 53(3), 459-462, 2011-03
  • NAID 40018749632
  • 大動脈壁内走行を伴う右冠状動脈起始異常を合併した心室中隔欠損症の一手術例
  • 小野 隆志,森島 重弘,中澤 誠,工藤 恵道
  • 日本小児循環器学会雑誌 = Acta cardiologica paediatrica Japonica 26(5), 428-433, 2010-11-01
  • NAID 10027696605
  • Eisenmenger 症候群を合併した心室中隔欠損症に対する心肺同時移植術後集中治療管理の経験
  • 植田 一吉,高山 千尋,後藤 幸子,平尾 収,大田 典之,内山 昭則,眞下 節,藤野 裕士
  • 日本集中治療医学会雑誌 = Journal of the Japanese Society of Intensive Care Medicine 17(4), 539-540, 2010-10-01
  • NAID 10027854363

関連リンク

欠損孔が中隔壁の上方に位置しており、大動脈弁右冠尖に近いことから、弁の逸脱から 大動脈弁閉鎖不全症を呈する恐れがある。アジア系民族では、全心室中隔欠損症の約 30%を占める。 Kirklin-II型: 膜様部欠損型。頻度は最多で、自然閉鎖の傾向が強い。
心室中隔欠損症. 受付. 心室中隔欠損症. 心臓・血管の病気. 心室中隔欠損のうち、0.5 ~0.10㌢の円形の欠損が最も多く、中には、1.0~2.0㌢、あるいはそれ以上のことも あります。また、欠損が2か所以上あることもあります。症状のあらわれ方は、欠損の 大き ...

関連画像

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★リンクテーブル★
リンク元感染性心内膜炎」「心電図」「先天性心疾患」「動脈管開存症」「心房中隔欠損症
関連記事心室」「心室中隔

感染性心内膜炎」

  [★]

infective endocarditis, IE
心内膜炎細菌性心内膜炎

概念

  • 感染性心内膜炎は弁膜や心内膜、大血管内膜に細菌集蔟を含む疣腫(vegetation)(注1)を形成し、菌血症、血管塞栓、心障害など多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である。感染性心内膜炎はそれほど頻度の多い疾患ではないがいったん発症すれば、的確な診断の下、適切な治療が奏功しないと多くの合併症を引き起こし、ついには死に至る。(ガイドライン.1)

疫学

  • 緑色連鎖球菌が感染性心内膜炎の原因として最多である。(YN.C-129)
  • 院内発症:Streptococcus viridans > ブドウ球菌 > 腸球菌
  • 院外発症:ブドウ球菌(Staphylococcus aureus > CNS ) > Streptococcus viridans

発症のメカニズム

  • 非細菌性血栓性心内膜炎(nonbacterial thrombogenic endocarditis, NBTE)は次の2つの影響で生じるとされる;(1)弁膜疾患や先天性心疾患に伴う異常血流、(2)人工弁置換術語例など異物の影響。非細菌性血栓性心内膜炎の存在下で一過性の菌血症(医原性など)すると、NBTEに病原体が付着・増殖し疣腫が形成される。疣腫は僧帽弁の心房側、半月弁の心室など逆流血流がアル部位や、シャント血流や狭窄血流の異常ジェット血流が心内膜面にある所に認められる。(ガイドライン.1改変)
  • ジェット血流の存在が発症に関わっているので、軽症の弁膜症の方がジェット血流を来しやすい。従って、心内膜炎も来しやすい。(QB.C-454)

リスクファクター

資料(1)より

  • 人工弁置換患者:(感染性心内膜炎による?)手術例の3分の2を占める!
  • 心内膜炎の既往を有する患者:再発しやすい
  • 先天性心疾患:心房中隔欠損症(ASD)(二次口型)を除いてほとんどの先天性心疾患がハイリスク群となる。
  • 大動脈二尖弁:0.5-1.0%に存在するとされ、また感染性心内膜炎患者の約20%程度が大動脈二尖弁
  • 大動脈弁閉鎖不全症(AR)、僧帽弁閉鎖不全症(MR)、僧帽弁逸脱症(MVP)はリスクとなる
  • ASはARよりリスクは小さいとされ、MSについてはハイリスクかは議論が分かれている。
  • 閉塞型肥大型心筋症:ハイリスク群とのコンセンサスがある
  • 中心静脈カテーテル留置患者

分類

経過

  • 急性感染性心内膜炎:ブドウ球菌
  • 亜急性感染性心内膜炎:緑色連鎖球菌、腸球菌、心筋

病原体を細菌に限定

宿主の要因

  • native valve endocarditis:心内膜炎患者の60-80%を占める
  • prosthetic valve endocarditis:Staphylococcus epidermidisが病原体であることが普通
  • endocarditis in the setting of intravenous drug abuse:右心系の弁に起こりやすい

検査

  • 心エコー:疣贅
  • 血液培養:診断のために必要

臨床経過

  • 菌血症が起こってから,症状の発現までの期間は短く、80%以上の例では2週間以内(ガイドライン.1)。

身体所見

感染性心内膜炎の身体所見JaRO → ジェーンウェー病変(Janeway斑)、ロス斑(Roth斑)、オスラー結節(Osler結節)

症状

亜急性感染性心内膜炎

  • 非特異的な症状(発熱・全身倦怠感、食欲不振、体重減少、関節痛)が徐々に進展。

急性感染性心内膜炎

  • 高熱を呈し、心不全症状の急激な進行

心臓外の合併症

ガイドライン.1
  • 塞栓症
  • 頻度:27-45%
  • 好発時期:発症後2週間
  • 検査:CTなど
  • 好発部位:中枢神経系(60-70%)、脾臓、腎臓、肺、末梢動脈、冠動脈、肝臓、腸間膜動脈
  • 脾臓:脾梗塞、脾膿瘍、脾破裂
  • 肺梗塞:IE全体の9-11%の頻度で見られる。右心系の疣腫(三尖弁、肺動脈弁、右室流出路)
  • 腎障害
  • 脳合併症
  • 原因:疣贅による脳動脈の塞栓
  • 頻度20-40%
  • 感染性心内膜炎初発症状としての脳合併症:47%
  • 種類:脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血、脳動脈流、髄膜炎、脳膿瘍、てんかん発作
  • 感染性動脈瘤
  • 好発部位:脳(→脳動脈瘤)
  • 感染性脳動脈瘤
  • 頻度:1.2-5.6%
  • 症状:頭痛、知覚障害、脳神経症状
  • 好発部位:中大脳動脈領域(二次分岐部)

診断

  • 1. (QB CBT vol2 p.222)
  • 病歴:先天性心疾患、弁膜症の既往、抜歯・手術後の発熱の遷延
  • 血液培養:起炎菌の検出
  • 心エコー:疣贅
  • 2. Duke criteria(HIM.792)

Dukeの診断基準

ガイドライン.1より抜粋

IE 確診例

Ⅰ.臨床的基準
  • 大基準2 つ,または大基準1 つと小基準3 つ,または小基準5 つ
(大基準)
  • 1.IE に対する血液培養陽性
  • A.2回の血液培養で以下のいずれかが認められた場合
  • B.つぎのように定義される持続性のIE に合致する血液培養陽性
  • (i) 12 時間以上間隔をあけて採取した血液検体の培養が2 回以上陽性
  • (ii)3 回の血液培養すべてあるいは4 回以上の血液培養の大半が陽性(最初と最後の採血間隔が1 時間以上)
  • C.1 回の血液培養でもCoxiella burnetii が検出された場合,あるいは抗phase1 IgG 抗体価800 倍以上(注3)
  • 2.心内膜が侵されている所見でAまたはB の場合(注4)
  • A.IEの心エコー図所見で以下のいずれかの場合
  • (i) 弁あるいはその支持組織の上,または逆流ジェット通路,または人工物の上にみられる解剖学的に説明のできない振動性の心臓内腫瘤
  • (ii)膿瘍
  • (iII) 人工弁の新たな部分的裂開
  • B.新規の弁閉鎖不全(既存の雑音の悪化または変化のみでは十分でない)
(小基準)(注5)
  • 1.素因:素因となる心疾患または静注薬物常用
  • 2.発熱:38.0℃以上
  • 3.血管現象:主要血管塞栓,敗血症性梗塞,感染性動脈瘤,頭蓋内出血,眼球結膜出血,Janeway病変
  • 4.免疫学的現象:糸球体腎炎Osler結節Roth斑リウマチ因子
  • 5.微生物学的所見: 血液培養陽性であるが上記の大基準を満たさない場合,またはIE として矛盾のない活動性炎症の血清学的証拠

  

Ⅱ.病理学的基準
  • 菌: 培養または組織検査により疣腫,塞栓化した疣腫,心内膿瘍において証明,あるいは病変部位における検索:組織

学的に活動性を呈する疣贅や心筋膿瘍を認める

IE 可能性

大基準1 つと小基準1 つ,または小基準3 つ(注6)

否定的

心内膜炎症状に対する別の確実な診断,または
心内膜炎症状が4 日以内の抗菌薬により消退,または
4 日以内の抗菌薬投与後の手術時または剖検時にIE の病理学所見なし
注1) 本ガイドラインでは菌種の名称についてはすべて英語表記とし通例に従って Streptococcus viridans 以外はイタリック体で表示した.
注2) Staphylococcus aureus は,改訂版では,i)に含まれるようになった.
注3) 本項は改訂版で追加された.
注4) 改訂版では,人工弁置換例,臨床的基準でIE可能性となる場合,弁輪部膿瘍などの合併症を伴うIE,については,経食道心エコー図の施行が推奨されている.
注5) 改訂版では,“心エコー図所見:IEに一致するが,上記の大基準を満たさない場合”,は小基準から削除されている
注6) 改訂版では,“IE可能性”は,このように変更されている

治療

QB.C-454

  • 緑色連鎖球菌:ペニシリンG(大量投与)
  • 腸球菌:ペニシリン+アミノグリコシド系抗菌薬
  • 黄色ブドウ球菌:第1-2世代セフェム系抗菌薬+アミノグリコシド系抗菌薬

外科的治療

ガイドライン.1
以下の病態が観察されるか予想されるときに手術適応を考慮。
  • 1. うっ血性心不全
  • 2. 抵抗性感染
  • 3. 感染性塞栓症

うっ血性心不全

抵抗性感染

感染性塞栓症

感染性心内膜炎の手術適応

ガイドライン.1

自己弁および人工弁心内膜炎に共通する病態

  • Class Ⅰ
  • 1. 弁機能障害による心不全の発現
  • 2. 肺高血圧(左室拡張末期圧や左房圧の上昇)を伴う急性弁逆流
  • 3. 真菌や高度耐性菌による感染
  • 4. 弁輪膿瘍や仮性大動脈瘤形成および房室伝導障害の出現
  • 5. 適切かつ十分な抗生剤投与後も7 ~ 10 日以上持続ないし再発する感染症状
  • Class II a
  • 1. 可動性のある10 ㎜以上の疣腫の増大傾向
  • 2. 塞栓症発症後も可動性のある10 ㎜以上の疣腫が観察される場合
  • Class II b
  • 1. 弁形成の可能性がある早期僧帽弁感染
  • Class III
  • 上記の何れにも当てはまらない疣腫

人工弁心内膜炎における病態

  • Class I
  • 1. 急速に進行する人工弁周囲逆流の出現
  • Class II a
  • 1. 弁置換後2 ヶ月以内の早期人工弁感染抗菌薬抵抗性のブドウ球菌,グラム陰性菌による感染
  • 2.適切かつ充分な抗菌薬投与後も持続する菌血症で他に感染源がない場合

ガイドライン

  • 1. 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
[display]http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2003_miyatake_h.pdf%20




心電図」

  [★]

electrocardiogram ECG, electrocardiography
elektrokardiogramm EKG
  • 図:PT.268,279(心臓の構造と興奮伝導系)
  • 心電図の読み方:PHD.108

概念

  • 心臓全体の電気的活動を体表面から経時的に記録したもの。
  • 特殊心筋の活動電位は記録されない。固有心筋の活動電位のみ

医学大事典より

  • 心臓は拍動のたびに電気を発生し、これを心起電力(cardiac electromotive force)と呼ぶ。
  • 心起電力により体表面に電流が流れると四肢や胸壁など、体表面の異なった部位間に電位差が生じる。
  • この電位差を導出するための装置を心電計と呼び、心電計により時間軸に沿って記録された電位の変化を心電図という。

意義

  • 心電図は心臓の電気的興奮の伝達を記録したものである。P波は心房の脱分極を、QRS波は心室の心筋細胞の脱分極を表す。T波は心室の再分極を表す。つまり心筋の異常がある場合何かしらの変化が心電図上に表れるということである。心電図は身体に侵襲的な影響を及ぼさない検査である。このことはこの検査を心臓の疾患を疑ったら即行ってよいということである。
  • 心電図は、不整脈、心筋梗塞、心筋虚血、心膜炎、心房負荷、心室肥大・心室拡大、電解質異常などの判断に有用である。

施行する目的

  • 心臓疾患疑い(狭心症・心筋梗塞・不整脈など)
  • スクリーニング(学校検診、職場検診など)

心電図の種類

  • 臨床では一般に標準12誘導心電図が良く用いられる

電極の部位による分類

  • 体表の誘導
  • 体内の誘導
  • 食道内心電図
  • 心腔内心電図
  • ヒス束心電図

表現形式による分類

  • ベクトル心電図:心起電力をベクトル環として三次元的に描く
  • スカラー心電図:時間軸に沿った電位の記録

心電図の記録サイズ

  • 縦軸:10mm = 1mV
  • 横軸: 5mm = 0.2s

標準12誘導心電図

  • 標準肢誘導(I,II,III) + 単極肢誘導(aVR, aVF, aVL) + 胸部誘導(V1, V2, V3, V4, V5, V6) = 12誘導

電極の取り付け位置・電極の色

単極肢誘導

右手首 左手首
右足首 左足首

単極胸部誘導

EAB.5改変
V1 右第4肋間
V2 左第4肋間
V3 V2とV4の中点
V4 左第5肋間かつ鎖骨中線
V5 V4と同じ高さで前腋窩線との交点
V6 V4と同じ高さで中腋窩線との交点

心電図の波

6つの棘波よりなる
  • P波:心房の電気的興奮。:0.12-0.20s (3-5mm)
  • QRS複合:心室の電気的興奮:0.06-0.15s :正常; 0.06-0.08s (1.5-2mm), 不完全脚ブロック; 0.08-0.12s (2-3mm), 完全脚ブロック ≧0.12s (≧3mm)
  • T波:心室の再分極(心室筋興奮の回復過程):
  • U波

心電図の波の間隔

  • PQ時間:房室間伝導遅延:0.12-0.20s
  • QT時間:電気的心室収縮時間:心拍数と相関関係がある
QTc=QT/sqrt(RR)
心拍数によらずほぼ一定の値を示す
  • RR:心臓の一周期
  • TP:心臓の弛緩期

正常心電図における波

  • I,IIにおいてP, QRS, Tが全て正 → 100G096


心電図による得られる情報 (SP.536)

  • 心臓における興奮の発生と伝達の過程を可視化
1. 心臓内の興奮伝導の障害
ex. 房室ブロック
2. 不整脈:脈拍のリズムと心拍数の異常
ex. 心房粗動心室細動
3. 冠循環の異常
ex. 心筋梗塞
4. 心室肥大
5. 血漿中の電解質濃度の異常

各誘導で取りやすい所見

  • 第II誘導:P波の描出
  • V5誘導:虚血性変化

特徴的な所見

新生児・幼小児の心電図

SPE.428-
  • 電気軸:右軸偏位 → 左軸偏位  胎児循環では右心系が主に体循環に関わっていたが、成人で見られる循環では左心系が関わる。生後一ヶ月らいまでは+120~130°程度の右軸偏位
  • 呼吸性不整脈:小児では顕著。吸気時に心拍数増加、呼気時に心拍数減少
  • 右室肥大:新生児~乳児では肺血管抵抗がまだ高いために右室肥大が持続。

心電図と心疾患

  • 心臓を栄養している血管が急激に閉塞するため、全く血液が供給されない状態。
  • 急性期と慢性期では異なった心電図をとる。
  • 異常Q、ST上昇、冠性T
  • 心臓に器質的疾患を持たないにもかかわらず、心電図上でQT時間の延長(QT時間が0.46秒以上)を認める病態。

疾患と心電図

  • 心膜炎 心外膜炎:90%の患者に異常が見られる。aVR, V1を除いたST上昇。いくつかの電極でPR部の低下(PR segment depression)
  • 肺性心(肺気腫):肺性P、不完全右脚ブロック、右軸偏位、V1-V3のT波陰転・平坦化、II,III,aVFでST低下。肺高血圧、最初の3つは右室負荷を反映
  • 肥大型心筋症:ST-T変化(ストレイン型の陰性T波は、上に凸のST低下を伴い、非対称性陰性T波)。Sv1, Rv5の増大。QRS時間の延長。
  • 心房中隔欠損症:PR延長、不完全右脚ブロック、右軸偏位。右心系の容量負荷による遠心性心肥大。
  • 心室中隔欠損症
  • ブルガダ症候群:右側胸部誘導(V1-V2(V3))のST上昇(coved型あるいはsaddle back型) 。完全あるいは不完全右脚ブロック様QRS波形(つまり、V1-V3でJ波が見られる)。
  • 脚ブロック
  • WPW症候群:Δ波。PQ短縮、QRS延長。V1に特徴的変化「A型: 高いR波。左室自由壁」「B型: rS型。右側」「C型: Qr/QS。中隔」
  • 肺血栓塞栓症:右側胸部誘導の陰性T波、洞性頻脈、SⅠQⅢTⅢ、右脚ブロック、ST低下、肺性P、時計方向回転
  • 肺気腫:V1,V2でrS/QSパターン

注意点

  • 胸をさらすことになるので、女性の患者では特に配慮する。誘導の電極が正しい位置に貼られていないと記録される結果が異なってくるので、正確な位置に貼る。また、心電図は筋肉の活動も拾ってしまうので、筋緊張を和らげるため患者にはリラックスしてもらい、リラックスできる状況を作ることを心がける。

参考

[display]http://www.cardiac.jp




先天性心疾患」

  [★]

congenital heart disease, CHD
先天性心血管奇形 congenital cardiovascular anomaly
先天性心奇形
先天性心疾患.xls

先天性心疾患

右→左シャントが優位な疾患 チアノーゼ性心疾患

左→右シャントが優位な疾患 非チアノーゼ性心疾患

疫学

心室中隔欠損症 30.5
心房中隔欠損症 9.8
動脈管開存症 9.7
肺動脈狭窄症 6.9
大動脈縮窄症 6.8
大動脈狭窄症 6.1
ファロー四徴症 5.8
完全大血管転位 4.2
その他 20

症状

参考文献(2)より
心疾患による症状
  肺血流増加 肺血流減少 低心拍出
1.新生児期・乳児早期 多呼吸,陥没呼吸, 呼吸困難,喘鳴, 多汗, 哺乳障害 チアノーゼ 蒼白,末梢冷感, 冷汗,網状チアノーゼ, 体重増加不良, 弱い泣き声
2.乳幼児期 多呼吸, 易感染性,反復する肺炎 チアノーゼ, 低酸素発作, 蹲踞 体重増加不良, 運動発達遅延, 易疲労性, 顔色不良,やせ
3.小児期 運動能低下, 息切れ ばち状指 運動能低下, 動悸
4.思春期以後 合併症による症状  胸痛,失神発作,突然死,喀血,不整脈,出血傾向,痛風,けいれん 等    

酸素投与の悪影響(1)

  • 1)動脈管依存型 → 酸素投与により動脈管が閉鎖方向に向かう
  • ①肺循環が動脈管依存する疾患
肺動脈閉鎖右室低形成、重症肺動脈狭窄
  • ②体循環が動脈管依存する疾患(禁忌)
大動脈縮窄・大動脈離断、大動脈閉鎖
  • 2)肺循環負荷型 → 酸素投与により肺血管が拡張し、肺血管抵抗も減少して肺うっ血が増強
  • ①大きな心室・大血管の転位・欠損
心室中隔欠損、大動脈縮窄複合、完全心内膜床欠損、総動脈幹遺残、
完全大血管転位(II型)、三尖弁閉鎖(C型)、大動脈肺動脈窓など
  • ②肺静脈閉塞性疾患(蘇生術も含め絶対禁忌)
総肺静脈環流異常、三心房心僧帽弁狭窄肺静脈狭窄など

合併症

QB.C-478

先天性疾患と先天心疾患

疾患 先天性心奇形 その他
22q11.2欠失症候群 ファロー四徴症総動脈幹症(truncus arteriosus)、心室中隔欠損を伴う肺動脈弁閉鎖症
大動脈弓離断右側大動脈弓、右側肺動脈の大動脈起始
胸腺低形成低カルシウム血症、特有の顔貌、口蓋裂
ダウン症候群 (50%の例に合併)。心房中隔欠損症(ASD), 心室中隔欠損症(VSD)  
先天性風疹症候群 心房中隔欠損症動脈管開存症、末梢肺動脈狭窄  
ターナー症候群 大動脈縮窄症 低身長・翼状頚、外反肘
ヌーナン症候群 肺動脈弁狭窄肥大型心筋症 ターナー症候群に似る
マルファン症候群 僧帽弁逸脱症大動脈弁閉鎖不全症  
糖代謝異常合併妊娠母体からの出生児 大血管転位症  
ウイリアムズ症候群 大動脈弁上狭窄、末梢肺動脈狭窄  
無脾症多脾症 単心房単心室総肺静脈還流異常  

参考文献

  • (1) 1.新生児のチアノーゼ
http://nmcg.shiga-med.ac.jp/rc_lecture/lecture21.htm
  • (2) 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
[display]http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_hamaoka_h.pdf




動脈管開存症」

  [★]

patent ductus arteriosus, PDA
心室中隔欠損症心房中隔欠損症
動脈管動脈管索


まとめ

  • 出生後72時間以内に閉鎖するはずの動脈管が残存することが本疾患の本態である。多くの症例では無症状であり、2LSBに連続性雑音を聴取することで診断されうる。動脈管開存の程度が大きい場合、左心系負荷、左心不全、あるいは肺高血圧によりアイゼンメンゲル症候群を来しうる(この場合のチアノーゼは下半身に起こる)。また、動脈管の圧迫により左反回神経麻痺を起こしうる。治療は動脈管結紮切離術、コイル塞栓法、(未熟児に対しては)インドメタシン投与により行う。(YN.C-123 SSUR.360)

概念

病因

疫学

  • 先天性心疾患の約5-10% (YN.C-123)
  • 男女比 = 1:2-3 (YN.C-123)

病態

肥大部位 PHD.380-

  RA RV LA LV
ASD    
VSD  
PDA    

症候

  • 左心房肥大、左心室肥大
  • 左心不全
  • (次第に)肺高血圧
  • (肺高血圧からアイゼンメンゲル化した症例)下半身のチアノーゼ

身体所見

脈拍

  • (動脈管の開存度が大きい場合)速脈・脈圧

聴診

シャント量によって所見が変化する。
  • 新生児期(つまり病初期)には収縮期雑音。 → 拡張期雑音が出現し連続性雑音となる(拡張期雑音は高まった動脈圧によりdriveされる動脈管から肺動脈への血流を反映。よってII音でピークとなる)。 → 肺高血圧の進行により、収縮期雑音のみとなり、IIp音が亢進。

検査

胸部単純X線写真

  • 左第一弓↑、左第三弓↑、左第四弓↑
  • 左第二弓↑(SPE.449)
  • 肺血管陰影増強


心エコー

  • 動脈管での左右シャント

心カテーテル検査

  • カテーテルの肺動脈から大動脈弓への到達
  • 肺動脈血の酸素飽和度上昇
  • 肺動脈圧上昇

心電図

  • 左室肥大、V5-V6に目立つq波 (SPE.449)

治療

生後半年を過ぎると動脈管自然閉鎖はまれである

方針

ガイドライン1
  • 細い動脈管で心雑音のない場合(silent PDA)について治療適応かどうかは統一見解がない。
  • 治療適応は連続性雑音が見られる場合であり、肺血管抵抗が高くなり右左短絡が主体で高度の肺高血圧が見られる例、あるいはEisenmenger化した例については治療適応がない。
  • 治療法の選択は形態と太さによる。心エコーで評価できなければ造影CTやMRIを施行する。
  • 経皮的コイル塞栓術は最小内径が2.5mm以下の場合に第一選択となり、狭窄部がない筒型や、最小内径が4mm以上の場合にはコイル塞栓症は適応とならない。窿形成を伴っている場合や、動脈管の長さが短いwindowsタイプではステントグラフト内挿術や外科手術が適応となる。

↓これは出典不明

  • シャント量が小さい場合でも感染性心膜炎のリスクとなるため、全例で手術適応。
  • 未熟児~乳児期に心不全を認める例:早期手術
  • その他:待機的に3-6歳での手術

手術療法

  • 適応:肺高血圧合併症例、易感染性や発育不全を認める症例。(SPE.450)
  • 手術法:動脈管の結紮切離

interventional radiography

  • コイル塞栓法

内科的治療

ガイドライン

  • 1. 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
[display]http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_hamaoka_h.pdf




心房中隔欠損症」

  [★]

atrial septal defect ASD, atrial septal defects ASDs
先天性心疾患心室中隔欠損症動脈管開存症

left to right shunt

  • prominent right ventricular cardiac impulse, a systolic ejection murmur heard in the pulmonic area and along the left sternal border, and fixed splitting of the second heart sound.

定義

疫学

  • 小児期のCHDの約10%、成人のCHDの約40%(医学辞書?)。先天性心疾患の7-10%(SSUR.356)
  • 女性に多い。男:女=1:2

分類

図:SSUR.356

欠損孔の部位による分類

  • 1. 二次孔欠損(70%)、心房中隔二次孔欠損
  • 二次孔欠損は卵円窩の位置に欠損孔がある ≠ 卵円孔開存
  • 2. 静脈洞型(15%)、静脈洞型欠損
  • 静脈洞型は上、下大静脈入口部付近や冠静脈洞の欠損であり、しばしば部分肺静脈還流異常を伴う。
  • 一次孔欠損(心内膜床欠損不完全型)は、房室弁孔に隣接する房室中隔の欠損であり、房室弁(僧帽弁、三尖弁)の裂隙(クレフト)や閉鎖不全を伴う。

病態

  • 心房で左-右短絡 → 右心系に容量負荷 → 右心不全
  • 右心系の容量負荷 → 肺血流↑ →肺血管床の閉塞性病変・肺高血圧症

検査

聴診

  • 下部左胸骨縁に拍動聴取。拡張した右室の収縮:RV heave
  • II音:widened, fix slitting pattern 固定性分裂
  • 上左胸骨縁:収縮期雑音  :肺動脈弁に多くの血流が流れることによる → 相対的PS
  • 下左胸骨縁:拡張期中期雑音:三尖弁を通って血流がたくさん流れ込むため。 → 相対的TS
  • 心房間の圧格差は大きくないので、ASDの欠損孔を血液が通ることによる雑音はない。

検査

心エコー

  • 心室中隔の奇異性運動
  • 右室腔の拡大
  • 僧帽弁の高位屈曲点と収縮期前方運動
  • カラードプラ心エコーにおけるジェット

心電図

  • PR延長、不完全右脚ブロック、右軸偏位

合併症

  • 僧帽弁逸脱症、心房細動、心不全、肺感染症(肺高血圧と関連)、肺高血圧

治療

  • 手術療法:根治療法となる




心室」

  [★]

ventricle (KH)
ventriculus
心房

生理学

  • 循環血液量↑、心室拡張性↑ → 拡張期心室容量↑
  • 循環血液量↓、心室拡張性↓ → 拡張期心室容量↓
  • 末梢血管抵抗↑、心室収縮性↓ → 収縮期心室容量↑
  • 末梢血管抵抗↓、心室収縮性↑ → 収縮期心室容量↓




心室中隔」

  [★]

interventricular septum (Z), IVS
septum interventriculare



臨床関連




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