奇異性分裂

出典: meddic

paradoxical splitting
II音生理的分裂 physiologic splitting

概要

  • 通常の心音はS1→A2→P2 だけど、奇異性分裂ではS1→P2→A2となる。

原因

  • A弁閉鎖の遅延:(1)left bundle branch block(LBBB), (2)advanced aortic stenosis(AS), 高血圧?, (4)閉塞性肥大型心筋症 HOCM(YN.C-135).
  • (1) left bundle branch block(LBBB):心筋収縮の時間的な遅れによる。収縮が右室→左室の順に起これば、P弁→A弁の順に閉鎖する。
  • (2)大動脈弁狭窄症A弁の狭窄により大動脈側の押し戻す圧力(back pressure)が上がるのに時間がかかり、A2音のdelayとなる。
  • (4)閉塞性肥大型心筋症:(2)のASと同じ理屈

呼吸性変動との関連

生理的分裂では、吸気時には、肺血管抵抗が下がる事によるP2の遅れ + 肺静脈拡張にともなうLVの拍出量減少によるA2の早期閉鎖により大きくA2→P2と広がっている。
  • 呼気時:S2(P2→A2が打ち消されるため)
  • 吸気時:P2→A2(A2のdelay)


UpToDate Contents

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和文文献

  • 6) 奇異性分裂の心音図(第13回日本循環器学会関東・甲信越地方学会総会)
  • 安斎 登,高橋 忠雄,吉村 正蔵,須階 二朗,橋本 浩,佐藤 泰雄
  • Japanese circulation journal 24(8), 897, 1960-08-20
  • NAID 110002602950

関連リンク

2010年3月9日 ... 持続性分裂 †. ⅡPが遅れる: 完全右脚ブロック、肺動脈弁狭窄; ⅡAが早まる: 僧帽弁 閉鎖不全、心室中隔欠損 ... 奇異性分裂 †. 呼気時に分裂. ⅡAが遅れる: 完全左脚 ブロック、大動脈狭窄、高血圧、右室にリード線のある ...
病的分裂:IIa?IIpの間隔が呼気・吸気ともに幅広く分裂する。MR、VSD、PS、RBBBで おこる。 固定性分裂:IIa?IIpの間隔が呼吸によらず一定。ASDでおこる。 奇異性分裂: IIpがIIaに先行する。吸気時より呼気時の方が分裂がはっきりする。AS、LBBBでおこる。 ...

関連画像


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★リンクテーブル★
先読み生理的分裂
国試過去問102C007」「099E026
リンク元心雑音」「II音」「大動脈弁狭窄症」「右脚ブロック」「左脚ブロック
関連記事分裂」「奇異」「異性」「奇異性

生理的分裂」

  [★]

physiologic splitting
II音

102C007」

  [★]

  • 健常成人で正しいのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 102C006]←[国試_102]→[102C008

099E026」

  [★]

  • 心エコー図を以下に示す。
  • この疾患で見られるのはどれか。


[正答]
※国試ナビ4※ 099E025]←[国試_099]→[099E027

心雑音」

  [★]

heart murmur, cardiac murmur
拡張期雑音過剰心音レヴァイン分類

収縮期雑音 systolic murmur

拡張期雑音 diastolic murmur

continuous murmur

  • 連続的な圧較差の存在を示唆する
  • A. continuous:動脈管開存症 PDA:肺動脈弁領域。動脈管を流れる血流と雑音が比例するので、S2に向かって大きくなり、S1に向かって小さくなる。
  • B. to-and-fro: AS + AR, PS+ PR :S1~(収縮期:AS,PSによる駆出性雑音。ダイアモンド型)~S2, S2~(拡張期:MR,PRによる逆流性雑音。decrescendo)~S1 S1に向かって小さくなるので、連続音とは区別できるはず。

手技見えp.116

  • 僧帽弁開放音(OS):MS
  • 収縮中期クリック:MVP
  • 拡張期ランブル + 前収縮期雑音:MS
  • 拡張期灌水様雑音/拡張期逆流性雑音:AR、PR
  • 収縮期逆流性雑音:心尖部:MR

体位との関係

  胸壁に近づく部位  
左側臥位 心尖部 僧帽弁雑音(MR, MS)、僧帽弁開放音(OS)、III音IV音
座位前屈位 大動脈弁領域 大動脈弁閉鎖不全症(AR)
肘膝位 (心膜>-<心臓) 心膜摩擦音

呼吸との関係

右心系:三尖弁の雑音

  • 吸気時増強、呼気時減弱
吸うとき強く、吐くとき弱く
吸うと胸腔内圧が陰圧になり、静脈還流量が増加する

左心系:僧帽弁、大動脈弁の雑音

  • 吸気時減弱、呼気時増強
吸うとき弱く、吐くとき強く
胸腔内圧が上昇すると、肺から心臓に向かう血流が増加する(ホントニか?)ので、左心系の雑音が増強するのだ???????????

手技との関連

疾患別

MS

  • 概念:拡張期ランブル
  • 時相:拡張中期(open snap)に続いて。
  • 最強点:心尖部
  • 放散:
  • 体位:左側臥位
  • 音程:低音

MR

  • 概念:収縮期逆流性雑音
  • 最強点:心尖部
  • 放散:左腋窩
  • 体位:左側臥位
  • 呼吸:呼気
  • 音程:高音

AS

  • 概念:収縮期駆出性雑音
  • 最強点:2LSB
  • 放散:右鎖骨下動脈、右頚動脈
  • 体位:座位
  • 呼吸:呼気

AR

  • 概念:拡張期灌水様雑音
  • 時相:拡張期
  • 特徴:呼気で増強
  • 最強点:3LSB
  • 放散:
  • 体位:座位前屈位
  • 音程:高音

MVP

  • 概念:収縮期逆流性雑音
  • 時相:収縮期中期。クリック音の後から。
  • 音程:高音  ←  圧較差が大きいため

ASD

  • 概念:駆出期駆出性雑音
  • 最強点:2LSB
  • 放散:
  • 体位:

VSD

病態特異的な心雑音

  三尖弁閉鎖不全症 大動脈弁閉鎖不全症 大動脈弁狭窄症 僧帽弁閉鎖不全症 僧帽弁狭窄症
TR AR AS MR MS
心音

I音減弱

  • 奇異性分裂

I音減弱

I音亢進

心雑音
過剰心音 
その他徴候
 




II音」

  [★]

second heart sounds, S2
心音

まとめ

II音亢進 IIA 高血圧 AR 動脈硬化
IIP 肺高血圧 PR MS
II音減弱 IIA 低血圧 AS  
IIP   PS  

II音増大

MSとASとでは、同じstenosisでも心音の大きさに関与の仕方が違うんですね。
拡張期における大動脈圧、肺動脈圧が高い → 弁に衝突する血液の流速が早い → 弁の閉鎖音が大きい
  • 動脈硬化の強いとき
  • 大動脈弁が閉じるとき、拡張期早期 back pressureが高い?
  • 拡張期に大動脈弁を挟んだback pressureが高いから?
  • 右室へのvolume load。PHで顕著

II音減弱

  • 駆出できる血液量がへるから?

分裂音

呼吸性分裂

PHD.33-35
  • 生理的状態では、
  横隔膜の相対的位置 II音
呼気 expiration single sound
吸気 inspiration _ | | splitting sound
  • (1)吸気時には、肺の血管抵抗性が低下 → 拡張期におけるP弁へのback pressureは呼気時と比べ比較的低下する →P弁の開放時間が延長
  • (2)吸気時には、肺静脈が拡張 → 左房・左室への血液還流量が減少 → 左室を充満する血液量減少 → 一回拍出量減少 → 駆出時間の短縮 → A弁の開放時間が短縮

widened splitting

  • right bundle branch block(RBBB), pulmonic stenosis(PS)
IIAが早まる:MR, VSD
IIPが遅れる:RBBB, PS, pulmonary hypertension

固定性分裂 fixed splitting

奇異性分裂 paradoxical splitting

単一II音 single S2


大動脈弁狭窄症」

  [★]

aortic stenosis, AS, aortic valve stenosis
大動脈狭窄症大動脈弁狭窄
大動脈弁先天性大動脈弁狭窄症

病因

  • 先天性
  • 二尖弁:高齢者で石灰化を来し、ASの症状が出現する。
  • 閉鎖型:まれ。
  • 後天性
  • 感染症 :溶連菌感染によるリウマチ熱(現在では稀となっている)、感染性心内膜症
  • 血管疾患:動脈硬化に続発  →  最も多い、らしい

重症度の区分

ガイドライン1
  軽度 中等度 高度
連続波ドプラ法による最高血流速度(m/s) <3.0 3.0 -4.0 ≧4.0
簡易ベルヌイ式による収縮期平均圧較差(mmHg) <25 25 -40 ≧40
弁口面積(cm2) >1.5 1.0 -1.5 ≦1.0
弁口面積係数(cm2/m2) <0.6

身体所見

  • 聴診:
  • 奇異性分裂(A弁の狭窄により大動脈側の押し戻す圧力(back pressure)が上がるのに時間がかかり、A2音のdelayとなる)。収縮期雑音が両頚部で聴取される。
  • 往復雑音 to-and-fro murmur:拡張期の逆流性雑音に加え、一回拍出量の増加による相対的大動脈弁狭窄による収縮期雑音を聴取。

症状

  • 長く無症状で持続。

検査

ガイドライン1
表21 大動脈弁狭窄症の治療方針を判断する上での診断的手法の実施
クラスⅠ
1 心電図検査
2 胸部X線写真、心エコー・ドプラ法
  • 心エコー:大動脈弁の開放制限と収縮期モザイク
[show details]

ガイドライン

  • 1. 弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版)

参考

  • 1. [charged] 成人における大動脈弁狭窄症の臨床像とその評価 - uptodate [1]
  • 2. [charged] 成人における大動脈弁狭窄症の自然歴 - uptodate [2]

国試



右脚ブロック」

  [★]

right bundle branch block right bundle-branch block RBBB
左脚ブロック束枝ブロック脚ブロック



脚ブロックと心音、電気軸との関係

  心機能の予後 心音 電気軸 原因
右脚ブロック 良好 病的分裂(IIP遅延) 不変(YN.C-50)/右軸偏位  
左脚ブロック   良好ではない 奇異性分裂(IIA遅延)   虚血性心疾患、高血圧、心筋症、心不全、左室肥大
左脚前枝ブロック   左軸偏位
左脚後枝ブロック   右軸偏位

心電図

  • V1でrSR' :R'は右室の興奮を表し幅広く高い波。


左脚ブロック」

  [★]

left bundle branch block, LBBB
右脚ブロック束枝ブロック脚ブロック

分類


脚ブロックと心音、電気軸との関係

  心機能の予後 心音 電気軸 原因
右脚ブロック 良好 病的分裂(IIP遅延) 不変(YN.C-50)/右軸偏位  
左脚ブロック   良好ではない 奇異性分裂(IIA遅延)   虚血性心疾患、高血圧、心筋症、心不全、左室肥大
左脚前枝ブロック   左軸偏位
左脚後枝ブロック   右軸偏位


分裂」

  [★]

開裂境界線区画、混乱、細分化断片化破壊破損部分部門分割崩壊分ける乱す割るフラグメンテーション
divisiondisruptionfissionfragmentationdividesplitdisruptsplit


奇異」

  [★]

bizarreparadoxical, bizarreness
奇異性逆説的


異性」

  [★]

(化学)isomerism、(性)heterosexual
異性愛


奇異性」

  [★]

paradoxical
奇異逆説的




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