塩酸メフロキン

出典: meddic

メフロキン

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和文文献

  • 高齢初妊婦における熱帯熱マラリアの輸入感染症例
  • 三島 伸介,神田 靖士,田淵 幸一郎 [他],Lamaningao Pheophet,天野 博之,堀越 順彦,西山 利正
  • 関西医科大学雑誌 63(0), 1-6, 2012
  • … ボンに数年の滞在歴があり,滞在中に何度となく臨床的にマラリアと診断されて,治療を受けてきた.従って,本患者はマラリア原虫に対してある程度の免疫を有していると考えられた.治療薬として塩酸メフロキンが投与され,治療薬による重篤な副反応の出現もなく治癒するに至った.退院後,妊娠週数第39週において自然分娩にて健常男児を出産した.アプガースコアは9点であった.2010年4月の時点において, …
  • NAID 130002049984

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添付文書

薬効分類名

  • 抗マラリア剤

販売名

メファキン「ヒサミツ」錠275

組成

有効成分

  • メフロキン塩酸塩

含量(1錠中)

  • 275mg

添加物

  • アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖水和物、ヒプロメロース、マクロゴール6000、ラウリル硫酸ナトリウム

禁忌

  • 本剤の成分又はキニーネ等の類似化合物に対して過敏症の既往歴のある患者
  • 低出生体重児、新生児、乳児(「小児等への投与」の項参照)
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
  • てんかんの患者又はその既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]
  • 精神病の患者又はその既往歴のある患者[精神症状を悪化するおそれがある。]
  • キニーネ投与中の患者(「相互作用」の項参照)
  • ハロファントリン(国内未承認)投与中の患者(「相互作用」の項参照)

効能または効果

  • マラリア
  • 本剤を予防に用いる場合には、マラリアに罹患する可能性が高く、医師が必要と判断した場合に投与を考慮すること。
  • 本剤の投与は成人を対象とすること。

治療

  • 通常成人には、体重に応じメフロキン塩酸塩として、825mg(3錠)〜1,100mg(4錠)を2回に分割して経口投与する。
     30kg以上45kg未満:初回550mg(2錠)、6〜8時間後に275mg(1錠)を経口投与する。
     45kg以上:初回550mg(2錠)、6〜8時間後に550mg(2錠)を経口投与する。

    感染地(メフロキン耐性のマラリア流行地域)及び症状によって、成人には体重に応じメフロキン塩酸塩として、1,100mg(4錠)〜1,650mg(6錠)を2〜3回に分割して経口投与する。
     30kg以上45kg未満:初回825mg(3錠)、6〜8時間後に275mg(1錠)を経口投与する。
     45kg以上60kg未満:初回825mg(3錠)、6〜8時間後に550mg(2錠)を経口投与する。
     60kg以上:初回825mg(3錠)、6〜8時間後に550mg(2錠)、さらに6〜8時間後に275mg(1錠)を経口投与する。

予防

  • 通常成人には、体重に応じメフロキン塩酸塩として、206.25mg(3/4錠)〜275mg(1錠)を、マラリア流行地域到着1週間前より開始し、1週間間隔(同じ曜日)で経口投与する。流行地域を離れた後4週間は経口投与する。なお、流行地域での滞在が短い場合であっても、同様に流行地域を離れた後4週間は経口投与する。
     30kg以上45kg未満:206.25mg(3/4錠)
     45kg以上:275mg(1錠)
  • 空腹時を避けて服用させること(「適用上の注意」の項参照)。
  • 治療において、血液中のマラリア原虫数が投与後2日以内に顕著な減少を示さず、あるいは増加し、臨床症状が不変もしくは悪化の場合には、医師の判断で適切な薬剤に変更すること。
  • 本剤を予防に用いる場合には、副作用に留意し、投与期間は原則として12週間までとし、その後の継続投与については、副作用の発現等に留意し、定期的に検査を実施する等慎重に行うこと。

慎重投与

  • 腎障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]
  • 肝障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]
  • 心臓の伝導障害のある患者[症状が悪化するおそれがある。]

重大な副作用

  • 次のような副作用があらわれることが報告されている。このような場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
    1)スティーブンス・ジョンソン症候群(0.1%未満) 2)中毒性表皮壊死症注1) 3)痙攣注1) 4)錯乱注1) 5)幻覚(0.1%未満) 6)妄想注1) 7)肺炎注1) 8)肝炎注1) 9)呼吸困難(0.1%未満) 10)循環不全注1) 11)心ブロック注1) 12)脳症注1)


薬効薬理

マラリアの生活環

  • 原虫が感染しているハマダラカがヒトを吸血すると、蚊の唾液腺に集まっている感染型虫体であるスポロゾイト(胞子小体)が体内に入る。スポロゾイトは血流に運ばれて数分で肝細胞に侵入し、肝細胞内で増殖する。1個の虫体は数千〜数万の娘虫体であるメロゾイトを形成し、これが肝細胞を破壊して赤血球に侵入する。赤血球内で虫体はリング期、トロホゾイト期、シゾント期と呼ばれる特有の形態変化を示しながら発育し、最終的に10〜30個のメロゾイトを形成する。メロゾイトは宿主赤血球を破壊し、数十秒以内に次の赤血球に侵入して再び増殖し、赤血球内サイクルを繰り返す。なお、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)と卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)では、一部の肝細胞内原虫がヒプノゾイト(休眠体)となり、数ヵ月〜数年後に増殖し、マラリア再発の原因となる。
    また、赤血球内虫体の一部はガメトサイト(雌雄の生殖母体)に分化し、これが蚊の吸血によって蚊体内に移ると接合体を経て、オーシストを形成する。オーシスト内でスポロゾイトが形成され、やがて唾液腺に移行し、感染型の成熟スポロゾイトとなる3)。以上が、マラリア原虫の生活環である。
    メフロキンは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)及び四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)に対して、赤内型分裂体(シゾント)除去作用により予防及び治療効果を示す。一方、三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫に対しても、赤内型シゾントを除去することによって効果を示すが、これら原虫は一部がヒプノゾイトを形成し不定の潜伏期間後に分裂して再発する。メフロキンは赤外型(組織型)シゾント及びヒプノゾイトには効果を示さないため、三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫に対する根治効果は得られない。

====抗マラリア薬耐性熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)及び三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)の臨床分離株のトロホゾイト(栄養型)を用いたサル感染モデルに対する治癒効果

==

  • P. falciparumの3株(Vietnam Oak Knoll株注1)、Malayan Camp-CH/Q株注2)及びVietnam Smith株注3))並びにP. vivaxの2株(Vietnam Palo Alto株注2)及びNew Guinea Chesson株注4))をそれぞれ感染させたサルにメフロキンの3〜5用量を1日1回、7日間反復投与した結果、Vietnam Oak Knoll株及びMalayan Camp-CH/Q株に対するCD90値(投与総量)はいずれも14.0 mg/kgであり、Vietnam Smith株では28.0 mg/kgであった。また、Vietnam Palo Alto株及びNew Guinea Chesson株に対してはそれぞれ8 mg/kg及び14.0 mg/kgであった。
    P. falciparumのVietnam Oak Knoll株及びMalayan Camp-CH/Q株をそれぞれ感染させたサルにメフロキンの3〜4用量を単回投与した結果、Vietnam Oak Knoll株に対するCD90値(投与総量)は8.5 mg/kgであり、Malayan Camp-CH/Q株では8.0 mg/kgであった。
    P. falciparumのVietnam Oak Knoll株及びMalayan Camp-CH/Q株をそれぞれ感染させたサルにメフロキンの3〜4用量を1日1回、3日間反復投与した結果、Vietnam Oak Knoll株に対するCD90値(投与総量)は8.5 mg/kgであり、Malayan Camp-CH/Q株では9.0 mg/kgであった。
    以上より、単回投与時と1日1回、3日間反復投与(単回投与量の分割投与)時のCD90値(投与総量)はいずれもほぼ同程度であり、7日間反復投与時よりも高い効果が得られた。更に、3群間での原虫消失時間に差がほとんどみられなかったことから、短期間投与が良いことが示唆された。
     注1)クロロキン耐性、ピリメタミン感受性株
     注2)ピリメタミン耐性、クロロキン感受性株
     注3)クロロキン及びピリメタミン耐性株
     注4)クロロキン及びピリメタミン感受性株

====サル三日熱マラリア(Plasmodium cynomolgi B株)のサル感染モデルに対する予防及び根治効果

==

  • P. cynomolgi B株のスポロゾイト(胞子小体)を接種する前日、接種2時間前、接種後7日間、メフロキン1日量1.25、5.0、20.0 mg/kgを反復投与した実験で、初期の組織シゾントの発育には効果を示さず、投与終了後に発症した。
    P. cynomolgi B株のスポロゾイトを感染させ発症させたアカゲザルに、メフロキン1日量1.25、5.0、10.0、20.0、40.0 mg/kgを7日間反復投与したところ、血液中から原虫の消失は認められたものの再発し、組織シゾントの発育に効果がないことが示された。しかし、20.0及び40.0 mg/kg投与では再発までの期間がやや延長し、血液中シゾントの破壊あるいはそれらの発育を抑制するのに十分なメフロキンの血液中濃度が維持されたことによるものと考えられた。
    P. cynomolgi B株のトロホゾイトを接種したアカゲザルに、メフロキン1日量0、2.5、10.0、40.0 mg/kgを7日間反復投与したところ、10 mg/kg投与が血液中シゾント除去に有効量であることが示唆された。
    P. cynomolgi B株のスポロゾイトで感染させたアカゲザルに、メフロキン1日量10.0 mg/kgにプリマキン1日量0.375、0.75、1.5 mg/kgを7日間反復併用投与したところ、治癒率はそれぞれ41、85、100%であった。P. cynomolgi B株のスポロゾイト感染に対し、メフロキンは血液中殺シゾント作用を示す投与量で、抗赤外型シゾント及びヒプノゾイト作用を有するプリマキンと併用することにより治癒効果を示した。

マラリア感染赤血球への蓄積作用

  • クロロキン耐性あるいはクロロキン感受性原虫を感染させたマウスの赤血球へのメフロキンの蓄積はともに飽和過程で行われ、非感染赤血球にも半量以上が蓄積した。メフロキンは非感染赤血球及び感染赤血球のいずれに対してもクロロキンより効率的に蓄積されたが、クロロキンと競合がみられたことから、同じ蓄積過程が考えられた。クロロキン耐性原虫感染赤血球での蓄積に減少がみられなかったことから、クロロキン耐性マラリアの治療における有用性が示唆された。

西アフリカにおける熱帯熱マラリア分離株に対するメフロキンのin vitro感受性

  • 熱帯熱マラリア患者から分離したマラリア原虫に対する各種抗マラリア薬のIC50値を測定し、抗マラリア薬感受性を比較検討したところ、東南アジアの原虫はクロロキンよりメフロキンに対して感受性が高かったが、西アフリカの原虫はクロロキンよりメフロキンに対して感受性が低かった。西アフリカではメフロキンは使用されていないにも拘らず、P. falciparumがメフロキンに耐性を示すことから、メフロキンの西アフリカでの感染例の治療や予防投与に際しては、注意を要することが示唆された。

抗原虫作用

  • メフロキンは、主として赤血球内の無性型原虫に対し撲滅効果を示す抗赤内型シゾント薬に分類され、抗生殖母体作用をほとんど示さない。また、メフロキンは三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫の赤内型シゾントには作用するが、赤外型(組織型)シゾントや再発に関与するヒプノゾイト(休眠体)に対しては効果を示さない。
    マラリア原虫は宿主の赤血球中のヘモグロビンを取り込み食胞で分解し、アミノ酸の供給源として利用する。このとき遊離するヘムは原虫に極めて有害であるため、これを重合させヘモゾイン(マラリアピグメント)として無毒化する。メフロキンの抗原虫作用の機序は明らかでないが、ヘムの重合阻害作用や食胞の機能阻害によるものと考えられている。

有効成分に関する理化学的知見

性状

  • 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水に溶けにくい。硫酸に溶ける。
    メタノール溶液(1→20)は旋光性を示さない。

融点

  • 約260℃(分解)


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