疾患名 | 血清Ig | B細胞数 | T細胞数 | 病因 | 遺伝形式 | 随伴症 |
SCID X連鎖型 | ↓ |
正常~↑ | ↓↓ | IL-2Rγ鎖欠損 | XR | |
SCID 常染色体劣性型 | ↓ | ↓↓~正常 | ↓↓ | T, B細胞の成熟障害 | AR | |
ADA欠損症 | ↓ | ↓ | ↓ | 毒性代謝物蓄積によるT,B細胞障害 | AR | |
プリンヌクレオチドホスホリラ-ゼ欠損症 | 正常~↓ | 正常 | ↓(進行性) | 毒性代謝物によるT細胞障害 | AR | AIHA神経症状 |
MHCクラスII欠損症 | 正常~↓ | 正常 | 正常 | MHCクラスII分子の転写調節障害 | AR | . l ~ L |
細網系形成障害 | ↓(母親由来) | ↓↓ | ↓↓ | リンパ球、骨髄細胞成熟障害 | AR | 顆粒球減少 |
CD3γ欠損症/CD3ε欠損症 | 正常 | 正常 | 正常 | CD3γまたはCD3ε鎖の転写 | AR | |
CD8欠損症 | 正常 | 正常 | 正常~↓ | CD8陽性T細胞の成熟障害 | AR |
疾患名 | 血清Ig | B細胞数 | 病因 | 遺伝形式 | 随伴症 | |
X連鎖無γ-グロブリン血症 | ↓↓ | ↓↓ | preB→B細胞への分化障害 | XR | ||
IgM増加を伴う免疫グロブリン欠乏症(高IgM症候群) | IgM↑ IgG,IgA,lgEは↓ |
IgM, IgD陽性細胞は正常, 他は↓↓ |
XRではCD40L遺伝子変異によりクラススイッチ障害 | XRその他多様 | 好中球減少症 血小板減少症 溶血性貧血 | |
免疫グロブリン重鎖遺伝子欠失 | IgG2, IgG4欠損, ときにIgE, IgA2欠損 | 正常 | 染色体14q32欠損 | AR | ||
κ鎖欠乏症. | κ鎖↓ 抗体反応は正常または↓ |
κ鎖陽性細胞は正常~↓ | 一部で染色体2p11に点変異 | AR | ||
選択的IgGサブクラス欠乏症(ときにIgA欠乏症を伴う) | 1つ以上のIgGサブクラス↓ | 正常 | アイソタイプ分化の障害 | 不明 | ||
common variabe immunodeficiency (分類不能型免疫不全症) |
多くのアイソタイプで↓(多様) | 正常~↓ | IgA陽性B細胞の最終分化障害 | 多様 | リンパ増殖性疾患 悪性腫瘍 自己免疫疾患 | |
IgA欠乏症 | IgA1.IgA2↓ | 正常 | IgA陽性B細胞の最終分化障害 | 多様 | 自己免疫疾患 アレルギー疾患 | |
乳児一過性低γ-グロブリン血症 | IgG.IgA↓ | 正常 | B細胞分化障害、一部ではTヘルパー機能の成熟遅延 | 不明 |
疾患名 | 血清Ig | B細胞数 | T細胞数 | 病因 | 遺伝形式 | 随伴症 |
Wiskott-Aldrich症候群 | IgM↓ IgA, IgE↑ |
正常 | ↓ | CD43の発現異常 | XR | 血小板減少 アトピー様湿疹 |
血管拡張性運動失調症(ataxia telangiectasia) | IgA IgG2↓ IgE↓ |
正常 | ↓ | DNA修復障害 | AR | 毛細血管拡張、小脳運動失調、AFP高値、.リンパ網内系腫瘍 |
DiGeorge症候群 | 正常 | 正常 | 正常~↓ | 胎生期の発生学的異常、胸腺低形成、T細胞機能不全 | 不明 | 副甲状腺機能低下 先天奇形 |
慢性皮膚粘膜カンジダ症 | 正常~↑ | 正常 | 正常 | 力ンジダに対する特異的細胞性免疫能不全 | 不明 | 副甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 Addison病、糖尿病 |
Chediak-Higashi症候群 | 正常 | 正常 | 正常 | cGMPの生成不全に伴う好中球の減少と機能不全 | AR | 部分白子症 日光過敏症 |
補体欠損症 | 正常 | 正常 | 正常 | おのおのの補体蛋白欠損 | AR | SLE様症状 ナイセリア感染症 |
慢性肉芽腫症 | 正常 | 正常 | 正常 | NADPHオキシダーゼの活性低下による食細胞機能不全 | XR、AR |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/03/31 08:59:28」(JST)
原発性免疫不全症候群(げんぱつせいめんえきふぜんしょうこうぐん)とは、先天的な要因により免疫系の構成要素が欠けているまたはうまく機能しないため、免疫系が正常に働かない疾患の総称である。感染症や膠原病、悪性疾患などに伴うものや、悪性腫瘍の化学療法や免疫抑制剤、ステロイドの投与などに伴う免疫不全状態は続発性(または症候性)免疫不全として区別する。
別名、先天性免疫不全症(せんてんせいめんえきふぜんしょう)ともいうが、対義語として「後天性免疫不全症」なる用語は通常用いない(ヒト免疫不全ウイルス感染によるもののみを指す。後天性免疫不全症候群と紛らわしいため)。
症候群とされる通り、原発性免疫不全症候群に含まれる疾患には、様々な原因、病態のものが含まれる。「原発性免疫不全症候群」の名前自体はいわゆる「病名」ではなく、多数の疾患が含まれる「カテゴリー」として理解すべきである。
免疫不全症候群は、免疫不全の機序によりいくつかのカテゴリーに分類することができる。
以下では、WHOによる分類を元に、各々のカテゴリーの概要について説明する。
T細胞の数または機能の異常により、細胞性免疫の不全を主体とする免疫不全を呈する疾患。T細胞機能不全があれば、B細胞による適切な抗体産生も行われなくなるため、液性免疫の不全も合併する。
症状としては、細菌、真菌、ウイルスのいずれにも易感染性(感染しやすい)を示す。
免疫グロブリンの低値を示す疾患で、抗体産生の異常により易感染性を示す。化膿性細菌への易感染性が著しく、中耳炎や肺炎、膿痂疹などを反復する。一方で、ウイルス感染には比較的強い。
特徴的な症状・検査所見および発症機序などから、明確に定義された症候群。細胞性免疫、液性免疫、自然免疫に種々の程度の異常を持つ。免疫系以外の異常、症状を合併するものもある。
補体の欠損のため、様々な程度の免疫異常を呈する。特定の細菌への易感染性を示すものの他、自己免疫疾患を合併するものもある。
好中球をはじめとした、食細胞の数または機能の異常により、主に細菌に対する易感染性を示す疾患。
上記の分類に基づいて、代表的な疾患を簡単に説明する。
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===uptodate
-IgA単独欠損症
主に関与するリンパ球 | 働き | リンパ節での局在 | |
細胞免疫 | T細胞 | (1)免疫の活性化 | 傍皮質 |
(2)抗原を有する細胞への攻撃 | |||
液性免疫 | B細胞 | 抗体産生 | 皮質 |
細胞の種類 | 補レセプター | 抗原を提示する細胞 | MHC抗原 |
キラーT細胞(Tc) | CD8 | 抗原提示細胞 | MHCクラスI |
ヘルパーT細胞(Th) | CD4 | 全ての細胞 | MHCクラスII |
T細胞 | 関連する因子 | 産生する物質 | 機能 |
Th1 | IL-12
増殖 |
IL-2,IFN-γなど | 細胞性免疫を促進' |
Th2 | IL-4
Th→Th2 |
IL-4,IL-5,IL-6,IL-10など | 液性免疫を促進' |
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