下部食道括約筋

出典: meddic

lower esophageal sphincter, LES
上部食道括約筋食道括約筋食道


LES圧

LESS圧低下の原因

  • 非特異性
  • 膠原病
  • 内分泌性
  • 医原性
  • 食物、嗜好品

臨床関連

  • LES圧が高い状態
  • LES圧が低い状態

UpToDate Contents

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和文文献

  • GERD--六君子湯 (特集 明日の診療に漢方をいかす--西洋医学と漢方医学の融合) -- (日常診療でまず使ってみたい漢方ベストチョイス15)
  • 富永 和作,藤原 靖弘,荒川 哲男
  • 診断と治療 99(5), 771-776, 2011-05
  • NAID 40018849007
  • 胃食道逆流症と肥満,食生活 (特集 消化器疾患と機能性食品)
  • 鈴木 秀和,岩崎 栄典,日比 紀文
  • Functional food 3(2), 86-90, 2009
  • NAID 40016844099
  • 繰り返す誤嚥性肺炎・虚弱高齢者における嚥下障害 (摂食・嚥下リハビリテーションと栄養管理) -- (各論,疾患,施設対応)
  • 丸茂 一義
  • Monthly book medical rehabilitation (109), 71-77, 2009-09
  • NAID 40016818307

関連画像

下部 食道 括約筋 の 緩み に 下部食道括約筋圧低下 食道  に は 下部 食道 括約筋 という医療関係者の皆様へのご案内これ に 加えて 食道 の ぜ ん  いろいろ > 食道:食道の役割で は なぜ 逆流 を と める


★リンクテーブル★
国試過去問095C010
リンク元アカラシア」「嚥下」「LES」「上部食道括約筋」「lower esophageal sphincter
関連記事食道」「食道括約筋」「括約筋

095C010」

  [★]

  • 37歳の女性。8年前から嚥下障害を自覚していたが、最近症状の増悪があり来院した。食道造影写真を以下に示す。この疾患で正しいのはどれか。


[正答]
※国試ナビ4※ 095C009]←[国試_095]→[095C011

アカラシア」

  [★]

achalasia
(国試)食道アカラシア esophageal achalasia, 噴門無弛緩症
ヒルシュスプルング病 Hirschsprung's disease
[show details]


  • first aid step1 2006 p.273

概念

  • 食道平滑筋層内アウエルバッハ神経叢細胞の変性・消失によって、下部食道括約筋の弛緩不全食道蠕動が消失することによる食物の通過障害や、食道の異常拡張を呈する機能的疾患
  • 食道下端1-4cm辺りの狭窄(機能的開大欠如)とその口側食道の異常拡大を来す。
  • 食道の拡大幅は3-4cmが多く、著しいものは6-10cmに達する

疫学

  • 発症は稀で。10万人に1-2人
  • 男女ほぼ同頻度,
  • 年齢は20-50歳代(20-40歳ともいわれる(IMD.841))
  • 新生児期から症状が出ることもあり、また症状は7-8歳ごろから出現することが多い(QB.O-171)。

病型 HIM chapter 286

  • 特発性アカラシア:多くのアカラシアが特発性に分類される
  • 二次性アカラシア:胃癌の食道への浸潤、リンパ腫、シャーガス病、ある種のウイルス感染、好酸球性胃腸炎、神経変性疾患

分類

形状

  • 紡錘型
  • フラスコ型
  • S状型

拡張度

  • I度 :最大横径3.5cm
  • II度 :3.5~6.0cm
  • III度:6.0cm以上

内圧測定(IMD)

  • A型:嚥下による食道の陽性波が認められるもの。
  • B型:嚥下による食道の陽性波が認められないもの。

病理

  • 食道固有筋層内のアウエルバッハ神経叢の神経節細胞の減少・消失
  • 下部食道括約筋(LES)は外見的に正常。筋層の肥厚などは認められない。 → 器質性疾患は否定的

病因

  • 不明
  • 環境の変化、精神的ストレスが誘因となって比較的急激に発症し慢性に経過し、軽快~増悪を反復、感情の乱れの強いときに増悪傾向
  • 冷たい飲食物の摂取、急いで摂食する場合でも誘発される

病態

  • 食道括約筋の弛緩不全や食道蠕動の消失は次の様に説明される。
  • 1. 下部食道括約筋(噴門部括約筋)におけるアウエルバッハ神経叢の神経節細胞の減少・消失による蠕動の伝達とそれによる食道下端部開大が起こらない
  • 2. VIPや一酸化窒素合成酵素を含む抑制性ニューロンの消失。進行期にはコリン作動性ニューロンも影響を受ける。(HIM chapter 286)

比較

アカラシア 下部食道括約筋(噴門部括約筋)のアウエルバッハ神経叢の神経節細胞が減少
ヒルシュスプルング病 腸管内神経節細胞(肛門側腸管の壁内神経節細胞(アウエルバッハ神経叢、マイスナー神経叢))の欠如

症状

  • 自覚症状が生じる段階ではすでに食道は異常拡張を呈している(IMD)
  • 嚥下障害(食道内に食物の停滞・逆流)、悪心・嘔吐前胸部痛、体重減少、誤嚥
  • 1. 嚥下障害:緩解と増悪の反復
  • 固形物・流動物の両方で嚥下障害が生じる ← 固形物のみだったら、器質的な変性による閉塞が考えられる。
  • 胸腔内圧を上昇させる手技(ex. Valsalva maneuver)は食道の食物を胃に通過させるのに有効な手技である
  • 2. 嘔吐:食道内に停滞している食物の逆流
  • 体位変換や就寝時に起こりやすい
  • 嘔吐 → 嘔吐物の気道への吸引 → 咳嗽、呼吸困難、喘鳴 → 誤嚥性肺炎
  • 3. 胸部不快感・胸痛:胸骨下に疼痛、圧迫感、狭窄感など ← 食道炎の合併は10%
  • 4. 体重減少:十分な摂食ができないため。慢性期におこりうる。

検査

X線造影

  • 1. 胸部X線写真:食道陰影の出現、胃泡の消失
  • 2. 食道X線造影(上部消化管造影):
  • 下部食道の辺縁平滑な狭窄(鳥のくちばし様) (barium swallow:bird beak)、食道内腔の拡張像(椎体より大)。
  • 造影剤は食道内に停留(健常者では数秒間、食道アカラシアの患者では1時間程度)
  • 食道の逆蠕動、攣縮、胃内流出の遅延などが認められる(IMD)
  • (1) 嚥下時に陽性波消失(遠位食道の蠕動波の消失) ← 食塊の移動させるように上部から下部に向かって食道内圧の上昇が移動していく。
  • (2) 噴門陰性波消失(下部食道括約筋弛緩(LES弛緩)の欠如)
  • (3) LES圧の上昇
  • 4. 内視鏡:悪性疾患などの除外
  • (1) 内視鏡スコープの噴門部通過には問題はない → 器質的疾患ではないから
  • (2) 食物残渣の存在、食道内腔の拡張、慢性例では食道炎、食道癌の合併
  • 植物残渣の停滞 → 浮腫・炎症 → 食道炎
  • コリン作動性薬物を投与すると食道壁の痙攣や異常蠕動運動が生じ、食道内圧が上昇
  • 試験施行の結果、胸痛を来しうるため、食道内圧検査を行うのが一般的(IMD)
  • 6. CCK test
  • CCKは括約筋の圧力を低下させるが、アカラシアではCCKは神経伝達抑制作用が失われる(HIM chapter 286)

診察

鑑別疾患

IMD

  • 1. 食道狭窄を示す器質性疾患
  • 2. 二次的な、あるいは他の食道蠕動運動障害を示す疾患

DIF改変

治療

精神的ケア

  • 心理的なサポートと生活指導

薬物療法

  • 抗コリン薬
  • 亜硝酸薬:ニトログリセリン、硝酸イソソルビド。 副作用あり
  • カルシウム拮抗薬:ニフェジピン。 副作用有り
  • sildenafil:cGMPを増加させ症状の軽減をもたらす → cGMPの増加はLES圧を減少させ、嚥下に伴うLESの弛緩を増強する
  • ボツリヌス毒素:コリン作動性ニューロンの神経終末からのコリン放出を抑制する。6ヶ月で60%の患者の症状を緩和できる。老人の一時的な症状緩和や高リスク患者に有用である。ただし、反復利用により食道の線維化を来しうる。

下部食道括約筋拡張術バルーン

  • 標準的治療
  • バルーン拡張術:有効率70%前後。繰り返して行う。合併症は出血や穿孔である。

外科手術(アカラシア手術)

  • 食道接合部の通過障害の改善と逆流防止を目的。

ヘラー法(Heller method, 粘膜外筋切開法)

  • 腹腔鏡下でHeller筋層切開術+噴門形成術(Dor手術)を施行
  • Heller's cardiomyotomy
  • A surgical procedure for achalasia performed by dividing the circular muscles of the oesophagogastric junction. Using an abdominal approach a longitudinal incision is made through the lower oesophageal and upper gastric muscle wall exposing the mucosa. The procedure may be combined with a Nissen to prevent the complication of post-procedure reflux.
http://www.surgeryrevision.co.uk/10.htm


ウェンデル法(Wendel method, 下部食道・噴門部全層切開縫合法)

ジラール変法(Girard method, 噴門形成法)

Fundic patch法(Thal and Hatafuku法, タール・ハタフク法, Thal-籏福法)

  • 狭窄が強い場合

下部食道筋層切除+胃底部縫着術

  • 狭窄が強い場合

フォロー

  • 粘膜病変の発生(食道炎、食道癌)の有無を上部消化管造影・内視鏡などで定期的に経過観察(1年ごと)
  • 長期の食道アカラシアは食道癌のリスクとなりうる

国試


嚥下」

  [★]

swallowing, deglution (SP)
deglutitio
飲み込み
嚥下反射


  • 嚥下の第1相は随意的
  • 嚥下の第2,3相は多シナプス反射により起こる。
  • 多シナプス反射
  • 嚥下の中枢は延髄

嚥下の相 (also see SP.719)

  • 1. 口腔相(第1期) 随意的
  • 2. 咽頭相(第2期) 反射
  • 食塊→咽頭壁、軟口蓋刺激→延髄嚥下中枢による反射
  • 咽頭相中、呼吸停止(嚥下性無呼吸)
開口部  閉鎖する構造 
鼻腔   舌      
口腔   軟口蓋    
気道   喉頭蓋    
咽頭   -
  • 3. 食道相(第3期) 反射

食道括約筋 (also see SP.720)

  • 2. 下部食道括約筋(LES)
  • 下部食道2/3を占める平滑筋
  • LESは収縮し、胃からの逆流を防ぐ
  • 迷走神経支配(背側運動核、アセチルコリン作動性)
Auerbach神経叢の節後ニューロン(アセチルコリン作動性(興奮性)、NO,VIP作動性(抑制性))

臨床関連

  • 腹圧↑→胃が胸腔内に嵌入→
  • 食道下部のAuerbach神経叢細胞の消失および変性→食道下部の蠕動(-)、LESの反射性弛緩(-)→口側食道の拡張→嚥下障害、無胆汁性嘔吐、逆流性食道炎


LES」

  [★]


上部食道括約筋」

  [★]

upper esophageal sphincter, UES
下部食道括約筋食道括約筋食道


lower esophageal sphincter」

  [★] 下部食道括約筋 LES


食道」

  [★]

esophagus (Z)
消化器系



解剖

  • 正中面付近を下行してくるが、横隔膜近傍で左側に寄り、背面で胸大動脈と交叉する。
  • L10椎体の高さで、食道裂孔を食道神経叢と共に通過して腹腔に入る

部位区分

SSUR.456
    O:食道入口部 esophageal orifice
Ce: 頚部食道 cervical esophagus    
  S: 胸骨上縁 margin of the sternum
Te: 胸部食道 thoracic esophagus Ut: 胸部上部食道 upper thoracic esophagus    
   
Mt: 胸部中部食道 middle thoracic esophagus B: 気管分岐部下縁 tracheal bifurcation
 
Lt: 胸部下部食道 lower thoracic esophagus  
  D: 横隔膜 diaphragm
  H: 食道裂孔 esophageal hiatus
Ae: 腹部食道 abdominal esophagus  
    EGJ: 食道胃接合部 esophagogastric junction

生理的狭窄部 (KL.283, KH. 139)

  • 第1狭窄部位:輪状軟骨狭窄部:cricopharyngeal constriction
    • 切歯から15cm
    • 食道の上端で、咽頭に連なる部位
    • 下咽頭収縮筋が食道を囲み、輪状軟骨に付き、この筋の緊張によると考えられる
  • 第2狭窄部位:大動脈狭窄部:bronchoaortic constriction
    • 切歯から25cm
    • 食道の中部で、大動脈弓と左気管支が交叉し、それによって圧される。つまり大動脈弓の
  • 第3狭窄部位:横隔膜狭窄部:diaphragmatic constriction
    • 切歯から38-40cm
    • 下部で横隔膜を貫く部位

運動 (SP.720)

部位 名称 筋肉 神経 運動性 シナプスする構造 最終的な伝達物質 運動
上部1/3 上食道括約部 UES 横紋筋 舌咽神経迷走神経(疑核) 随意性 運動終板のアセチルコリン受容体 アセチルコリン 弛緩
平滑筋 迷走神経 不随意性 壁内コリン作動性運動神経
下端部 下食道括約部 LES 平滑筋 迷走神経 不随意性 壁内非アドレナリン作動性抑制運動神経 NO, VIP 弛緩
交感神経 平滑筋α受容体 アドレナリン 収縮

組織

  • 食道腺は粘膜筋板の下に存在する。 ← 粘膜下組織に腺があるのは食道の固有食道腺と十二指腸のブルンネル腺だけ
  • 食道は横隔膜より上位では漿膜がなく、癌が周囲に浸潤しやすい

食道の上皮と上皮下の組織

      層構造 1 2 3 4 5 6
      器官 単層扁平上皮 単層立方上皮 単層円柱上皮 角化重層扁平上皮 非角化重層扁平上皮 上皮表層の構成細胞 粘膜固有層 腺の構成細胞 粘膜筋板 粘膜下組織
(大抵、粗結合組織)
筋層 漿膜(結合組織+単層扁平上皮)
外膜(結合組織のみ)
      食道           食道噴門腺
(咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺
粘液細胞
(スムーズに食べ物を流す)
縱層
(縦走筋のみ)
固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム) 内輪筋層
外縱筋層
(食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋)
外膜(横隔膜まで)
漿膜

臨床関連

  • 食事の通過障害は生理的狭窄部でおこりやすい。特に第1狭窄部で異物が見られる (KH.141)
  • 生理的狭窄部は癌の好発部位であり、第2,第3狭窄部位に多い (KH.141)



食道括約筋」

  [★]

esophageal sphincter (M)
  1. 上部食道括約筋
  2. 下部食道括約筋
esophageal sphincter


括約筋」

  [★]

sphincter muscle, sphincter
musculus sphincter





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