ミオグロビン
出典: meddic
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概念
- 骨格筋、心筋中に見出されるヘムタンパク質で鉄を1原子含む。酸素親和性が高く、激しい運動に備えての酸素の貯蔵に貢献している。
生化学
- 153アミノ酸残基、分子量17.2 kDa、単量体。
機能
- 骨格筋・心筋内における酸素の貯蔵
臨床関連
- 筋組織の崩壊により血中、尿中に出現する
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/30 19:30:28」(JST)
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UpToDate Contents
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- 1. トロポニンおよびクレアチンキナーゼ以外の心筋障害を示唆するバイオマーカー biomarkers suggesting cardiac injury other than troponins and creatine kinase
- 2. 横紋筋融解症の臨床症状および診断 clinical manifestations and diagnosis of rhabdomyolysis
- 3. 成人における皮膚筋炎および多発性筋炎の臨床症状 clinical manifestations of dermatomyositis and polymyositis in adults
- 4. 横紋筋融解症の原因 causes of rhabdomyolysis
- 5. ヘム色素誘発急性腎障害(急性腎不全)の臨床的特徴および診断 clinical features and diagnosis of heme pigment induced acute kidney injury acute renal failure
和文文献
- クラッシュシンドローム (特集 これからの災害医療に向けて) -- (災害に伴う疾患の治療とケア)
- 織田 順
- 月刊薬事 53(9), 1281-1284, 2011-09
- NAID 40018963498
- 糖原病 (特集 腎障害をきたす全身性疾患--最近の進歩) -- (代謝疾患)
- 杉江 秀夫
- 日本内科学会雑誌 100(5), 1213-1219, 2011-05-10
- NAID 40018861466
- 3P109 酸素化ヘモグロビン、ミオグロビンの酸化反応 : pH依存性と温度依存性(ヘム蛋白質,第48回日本生物物理学会年会)
- Wakasa Yuya,Iizuka Tetsutaro,Imai Kiyohiro
- 生物物理 50(SUPPLEMENT_2), S163-S164, 2010-08-15
- NAID 110008103041
関連リンク
- ミオグロビン(英:Myoglobin)は、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵 する色素タンパク質である。1本のポリペプチド鎖と1分子のヘムからなり、酸素分子を 結合する。筋繊維中に広く見られ、球状タンパクで酸素を蓄える。クジラ、アザラシ、 イルカ ...
- 世界大百科事典 第2版 ミオグロビンの用語解説 - 筋肉中にあって酸素分子を代謝に 必要な時まで貯蔵する色素タンパク質。クジラ,アザラシ,イルカなど水中にもぐる 哺乳類は大量の酸素を貯蔵しなければならないので,これらの筋肉にはとくに豊富に 含まれて ...
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★リンクテーブル★
先読み | 「ヘモグロビン」「myoglobin」 |
国試過去問 | 「100D035」 |
リンク元 | 「急性心筋梗塞」「横紋筋融解症」「テトラメチルベンチジン法」「ミオグロビン尿」「尿」 |
拡張検索 | 「家族性ミオグロビン尿症」「ミオグロビン・ブロンドハイム塩析法」 |
関連記事 | 「グロビン」「ビン」 |
「ヘモグロビン」
生化学
- 67 kDa
血液内科学
- 2種類のグロビンタンパク質が各2個集まりヘテロ4量体を形成したもの。
- 発生段階によってできるヘモグロビンが異なる
- α鎖系はζ→α
- β鎖系はε→γ→β δ
発生初期:ZE 成人 :B > D > G , Aは共通
機能
- O2運搬
- CO2運搬
- 体液pHの調整
CO2運搬
- 血液中に溶解する :排泄されたCO2の5%(Kaplan Q book p.101)、9%(SP.655)
- ヘモグロビンのN末のアミノ基でカルバミン酸を形成して :排出されたCO2の15%(HBC.45)、11%(SP.655) カルバミノヘモグロビン
- 赤血球中のCAによりbicarbonateを産生し、血漿により運搬される :排泄されたCO2のほとんど(HBC.45)、80%(SP.655)
臨床検査
- 臨床検査では、血液1dl中のヘモグロビンの量(g)を定量する。略号はHb
基準値 (ヘモグロビン濃度)
- -2007前期生理学授業プリント
- 男性:14 - 18 (g/dl) 16±2 (g/dl)
- 女性:12 - 16 (g/dl) 14±2 (g/dl)
- 異常値の出るメカニズム第5版 p.79
- 男:13~19 g/dl
- 女:12~18 g/dl
- HIM. A-2
- 男:13.3-16.2 g/dl
- 女:12.0-15.8 g/dl
パニック値
- 出典不明
- ≦5 g/dl、≧17.0 g/dl
輸液によるヘモグロビン濃度の上昇
- 予測方法(1):予測されるヘモグロビン上昇(g/dl) = 投与ヘモグロビン量(g) / 循環血液量(dl)
- 予測方法(2):濃厚赤血球2単位でおよそヘモグロビン上昇は1(g/dl)
国試
「myoglobin」
WordNet [license wordnet]
「a hemoprotein that receives oxygen from hemoglobin and stores it in the tissues until needed」
「100D035」
- 次の文を読み、35、36の問いに答えよ。
- 38歳の男性。直下型地震で倒壊した家屋の下敷きになり救急車で搬入された。
- 現病歴 :地震で倒れた柱に両側下肢を挟まれ、救助隊が到着するまで身動きができなかった。両側下肢に激痛がある。尿は出ていない。
- 現症 : 意識は混濁。身長177cm、体重72kg。体温37.1℃。脈拍112/分、整。血圧76/32mmHg。皮膚は蒼白で冷たい。頸静脈拍動が臥位で認められない。両側下肢に皮下出血と腫脹とを認める。救出から搬入まで尿は出ておらず、入院後にカテーテルの導尿によって10mlの尿が得られた。
- 検査所見:尿所見:色調はコーラ色、蛋白1+、糖(-)、潜血1+。血液所見:赤血球310万、Hb11.2g/dl、Ht30%、白血球13,700、血小板34万。血清生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン4.5g/dl、尿素窒素40mg/dl、クレアチニン2.5mg/dl、尿酸8.0mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST700単位、ALT140単位、CK10,200単位(基準10~40)、Na135mEq/l、K7.1mEq/l、Cl111mEq/l。心電図でT波の増高が認められる。
- 尿がコーラ色なのは何を含んでいるためか。
※国試ナビ4※ [100D034]←[国試_100]→[100D036]
「急性心筋梗塞」
症状
- 胸痛:デルマトームC7-T1への放散痛(PHD.179)。デルマトームT1-T4への放散痛(IMD.418)→胸骨裏側、左上肢の尺側側、頚部、下顎部
PDH.179
- 心筋梗塞の症候
特徴的な疼痛 | 持続性で、ひどい痛み、典型的には胸骨下痛 |
交感神経による作用 | 発汗 |
皮膚が湿って冷たく感じられる | |
副交感神経による作用 | 悪心・嘔吐 |
倦怠感 | |
炎症反応 | 中程度の発熱 |
心臓の所見 | IV音ギャロップ(うっ血性心不全があればIII音も) |
その他 | 運動異常を伴う膨隆(前壁梗塞なら) |
心膜摩擦音(心膜炎があれば) | |
収縮期雑音(僧帽弁閉鎖不全症や心室中隔欠損があれば) | |
肺のラ音(うっ血性心不全があれば) | |
頚動脈の拡大(右室梗塞) |
身体所見(ST-segment elecation MI HIM.1533)
- 不安、不穏、ベットの上で場所を変えたり身体を曲げたりして痛みを和らげようとしている。
- 蒼白
- 四肢の冷感
- 30分以上持続する後胸骨痛 + 発汗 → ST上昇心筋梗塞を示唆
- 多くの患者は最初の1時間は脈拍、血圧、正常
- 前壁梗塞の患者の1/4は交感神経が興奮 → 頻脈、高血圧
- about one-fourth of patients with anterior infarction have manifestations of sympathetic nervous system hyperactivity (tachycardia and/or hypertension)
- 下壁梗塞の1/2は副交感神経興奮 → 徐脈±低血圧
- up to one-half with inferior infarction show evidence of parasympathetic hyperactivity (bradycardia and/or hypotension)
検査
血液生化学検査: マーカー
上昇 | 正常化 | |
ミオグロビン | 1-2時間 | 2-3日 |
H-FABP | 1-2時間 | 24時間 |
WBC | 2-3時間 | 7日 |
CK-MB | 3-4時間 | 3-7日 |
トロポニンT | 3-4時間 | 14-21日 |
心筋ミオシン軽鎖I | 4-6時間 | 7-14日 |
AST | 6-12時間 | 3-7日 |
LDH1,2 | 12-24時間 | 8-14日 |
CRP | 1-3日 | 21日 |
時系列
→→→→→→→→→→→→→→→→→→ | ||||||
myo | W | TnT | myo | AST | LDH | CRP |
H | CK | |||||
2-3時間 ~~~~~~半日~ 1日 |
心電図
- PECG.168
- (超急性期:発症直後~数時間)T波先鋭化、非特異的ST上昇
- (急性期 :数時間~12時間)特異的ST上昇(上に凸)、R波減高、異常Q波出現
- (亜急性期:24時間~1週間)ST上昇は減高、T波が陰転化(冠性T波:左右対称な陰性T波)。しばしばQT延長を伴う。
- 全層虚血でのST上昇は対側誘導でST低下が見られる。
- 異常Q波 + ST上昇 が数週間持続 → 高度の壁運動の異常 → 心室瘤の形成を示唆
診断
- 心筋梗塞を疑ったら診察は、病歴、心電図変化、心筋マーカーの上昇で行う。心エコーで心筋壁の障害が認められ、CAGで冠動脈の閉塞または狭窄所見が見られたら確実(YN.C81)
治療
初期治療
- PHD.187 ガイドライン1
- 禁忌:喘息、低血圧、著しい徐脈。
- 硝酸薬:前負荷・後負荷軽減による心筋酸素需要量低減、冠攣縮の解除・予防、側副路の血流増加。
- 使用不可:収縮期血圧<90mmHg or 通常血圧より30mmHg以上血圧低下、高度徐脈(<50bpm)、頻脈(>100bpm)、下壁梗塞・右室梗塞合併疑い例
- 禁忌:勃起不全治療薬服用後24時間以内。
- 未分画ヘパリン:PCIが施行される場合にはヘパリンをactivated clotting timeが250を越えるように使用。tPAを使用した血栓溶解を行った後にはヘパリン48時間投与し、APTTを50-70秒に保つ。
- 鎮痛薬:塩酸モルヒネ:硝酸薬使用後も疼痛が持続する場合。
再灌流療法
- 適応:発症後12時間以内 (救急医療パーフェクトマニュアル p.43)
- PCI
- 血栓溶解薬
- CABG
二次予防
- 一般療法
- 患者教育
- 禁煙指導
- 食事療法:血圧管理、脂質管理、体重管理、糖尿病管理
- 運動療法
- 薬物療法
- 抗血小板薬
- 脂質異常症治療薬
- RAA系阻害薬
- βブロッカー
- カルシウム拮抗薬:血圧管理や狭心症が他の薬剤でコントロールできない場合に限る(心筋梗塞発症早期での短時間作用型カルシウム拮抗薬投与による総死亡低下に対する有効性が確認されなかったため)。,STEMI患者への短時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬投与は通常禁忌。(ガイドライン1)
- ニコランジル
- ワルファリン
合併症
- 心室細動:発症一時間以内に起こりやすい。
機械的合併症
- NSU.424 SSUR.397
- 心筋梗塞の破裂は全心筋梗塞例の2-4%でみられ、3/4の例で左室自由壁破裂、1/4の例で心室中隔穿孔、僧帽弁乳頭筋断裂はごく稀(SSUR.397)。
- 2週間以内に生じうる
- 1. 心室中隔穿孔
- 心室中隔を栄養する血流の途絶により中隔の壊死を来たす。左右シャントを生じ、原疾患である心筋梗塞による心不全を増悪させ、前方不全、すなわち低心拍出量症候群をきたす。増悪すれば、心原性ショックに陥る。右室は容量負荷をうけ右心不全をきたすことがある。症状は苦悶、血液低下、尿量減少を来たし、半数例においては心原性ショックが見られる。治療は循環が悪化している場合にはドパミン、ドブタミン、ニトログリセリンが用いられるが一時的であり、大動脈内バルーンパンピングによって循環動態を安定させる。その後、速やかに手術を施行する。循環動態が安定している例では2-3週間後に手術を行う(NSU.424)。手術は心停止下に左室梗塞部を切開して中隔穿孔部をダクロンパッチで閉鎖する。
- 2. 虚血性僧帽弁不全症(急性:乳頭筋断裂、慢性:乳頭筋機能不全)
- 乳頭筋断裂の75%は下壁梗塞に合併して後乳頭筋に発生し、残りは前乳頭筋に生ずる。僧帽弁尖の逸脱が起こり急性僧帽弁閉鎖不全症の病態を呈する。原疾患の心筋梗塞による心不全に加え、急性僧帽弁閉鎖不全症により心原性ショックに陥る。治療はIABPを挿入して循環動態を安定化後、僧帽弁置換術を行う。
- 3. 心室自由壁破裂
- 自由壁破裂は左室に多く、健常部と梗塞部位の境界に多い。病型は急激に大出血するblow-out型とじわじわ出血するoozing型がある。いずれの場合でも出血による心タンポナーデを来たし、低心拍出量の低下、さらに心原性ショックに陥る。症状は血圧低下、意識消失、呼吸停止、徐脈、心停止に至る。治療は直ちにPCPSにより循環の維持を図り(oozing型の場合は心嚢穿刺によるタンポナーデの解除を行う)、開胸手術により出血部のフェルトを用いた縫合閉鎖を行う。
- 2週間以降に生じうる
- 4. 左心室瘤
ガイドライン
- 1. 急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン
国試
「横紋筋融解症」
原因
- also see 研修医直御法度第5版 157
- 過激な運動
- 外傷
- 横紋筋の外傷性挫滅
- 薬剤
- 向精神薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬
- アルコールの過剰摂取
- 疾患
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 感染症
- 高体温症候群
病態
- 筋から逸脱したミオグロビンが糸球体で濾過され尿細管へ → 原尿が酸性の条件下でミオグロビンは尿細管上皮を障害 → 急性尿細管壊死 → 腎性腎不全 (ICU.608)
症状
検査所見
- 筋逸脱酵素の上昇(ミオグロビン、クレアチニンキナーゼ、AST、LDH)
- 血中ミオグロビン↑(80μg/l)、尿中ミオグロビン↑(20μg/l)
- CPK:↑
- 正常の5倍以上あるいは1,000U/LのCKは臨床研究では横紋筋融解を示唆するとされてきた。CK 15,000 U/Lを上回る場合胃、重要の横紋筋融解症とミオグロビン尿性腎不全のリスク上昇を示唆する。(ICU.608)
治療
- 原発疾患の治療
- 輸液:積極的な輸液がミオグロビン尿性腎不全の予防や進展抑制に繋がる(ICU.609)
- 重炭酸:尿のアルカリ化による尿細管障害の軽減効果は臨床的に証明されていない。
- ループ利尿薬・マニトール:有用性は証明されていない。
- 血液浄化療法:重症例で。腎障害の進展を防ぐために透析によりヘモグロビン、ミオグロビン、尿酸を透析に除去する目的での透析の使用は証明されていない。(参考2)
- 研修医直御法度症例帳 145
- 研修医直御法度第5版 157
- ミオグロビン尿による腎前性急性腎不全の予防的治療
- 1. 生理食塩水 200ml/hr 点滴静注 ← 尿量は4ml/kg/hr目指す
- 2. 炭酸水素ナトリウム 100mEq 点滴静注 ← まぜるの禁止 (メイロン)
- 3. ラシックス 40mg 静注 ← 十分に輸液した後
- 4. マンニトール 25g 点滴静注 ← 十分に輸液した後
参考
- 1. [charged] Clinical manifestations, diagnosis, and causes of rhabdomyolysis - uptodate [1]
- 2. [charged] Prevention and treatment of heme pigment-induced acute kidney injury (acute renal failure) - uptodate [2]
「テトラメチルベンチジン法」
- 関
- 便潜血反応、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン TMBZ 3,3',5,5'-tetramethyl benzidine
- ヘモグロビンの触媒作用下で、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロパーオキシヘキサンがテトラメチルベンチジンを酸化して発色させ、ヘモグロビンの含有量に対応する色調を呈します。溶血していない試料では、緑色のスポット状に発色します。
- 偽陽性:過酸化物の含有、酸化作用を有する物質の混入
- 偽陰性:尿中亜硝酸塩濃度が10mg/dL以上、尿保存剤としてホルマリンを使用した場合、尿中蛋白質濃度が500mg/dL以上の場合。アスコルビン酸濃度500mg/dLまで反応が阻害されない。
- へモグロビン、ミオグロビンに特異的
参考
- [display]http://www.info.pmda.go.jp/tgo/pack/21300AMY00063000_A_01_01/21300AMY00063000_A_01_01?view=body
「ミオグロビン尿」
- 英
- myoglobinuria
- 関
- ミオグロビン、ミオグロビン尿症、赤いおむつ症候群、ミオグロビン塩析法
定義
- ミオグロビンが尿中に排泄された状態
ミオグロビン尿とヘモグロビン尿
ヘモグロビン尿 | ミオグロビン尿 | |
肉眼的観察 | 赤色透明 | 赤色透明 |
鏡検による赤血球 | 陰性 | 陰性 |
尿潜血反応 | 陽性 | 陽性 |
血漿の色調 | 赤色 | 黄色 |
「尿」
臨床関連
尿中への代謝物質の異常排出
尿の色
- 褐色 :ビリルビン(閉塞性黄疸など)
- 赤褐色
「家族性ミオグロビン尿症」
「ミオグロビン・ブロンドハイム塩析法」
「グロビン」
「ビン」
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