ボツリヌス毒素

出典: meddic

botulinum toxins
ボツリヌストキシン
神経筋接合部 ボツリヌス菌

  • 神経筋接合部において、シナプス前膜に結合し、アセチルコリンの放出を阻害する。

参考

    • ボトックス注用50単位/ *ボトックス注用100単位
[display]http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1229404D1020_1_02/1229404D1020_1_02?view=body
  • ボトックスビスタ注用50単位
[display]http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/122940AD1026_2_01/122940AD1026_2_01?view=body



Wikipedia preview

出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/25 23:37:21」(JST)

wiki ja

[Wiki ja表示]

UpToDate Contents

全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.

和文文献

  • ボツリヌス毒素による慢性顔面神経麻痺の治療効果と反復性
  • 慢性顔面神経麻痺に対するボツリヌス毒素治療後の電気生理学検査所見と神経筋再訓練アプローチ
  • 整容的改善を目的にしたボツリヌス毒素の応用 : 麻痺後遺症への総合的アプローチ

関連リンク

ボツリヌストキシン (Botulinum toxin) は分子量が15万ほどのタンパク質で、ボツリヌス 菌が産生する毒素である。 ... ボツリヌストキシンは毒素の抗原性の違いによりA~G型に 分類されるが、サルへの経口投与によるデータではB型毒素への感受性が最も高い。
ボツリヌス菌が作り出すボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)は毒性が非常に強く0.5kgで 全人類を滅ぼす事が出来ると考えられていたため、生物兵器として研究開発が行われ た。炭疽菌を初めとする他の生物兵器同様、テロリストによる使用が懸念されている。
2010年8月6日 ... ボツリヌス毒素(Botulinum toxin、BTX)はボツリヌス菌が成長繁殖する際に産出する 代謝産物で、細菌外毒素の特性を持つ神経向性毒素である。その抗原性の違いからA ~Gの7亜型に分類される。その分子量は150 kDaで、アルカリ性溶液 ...

関連画像

体内 に 取り込まれた 毒素 が 型ボツリヌス毒素の作用機序ボツリヌス 毒素 複合体 の  ボツリヌス 毒素 を 出す 菌220px-Botulinum_toxin_3BTA.pngボツリヌス 毒素 を 持つ ボツリヌス 毒素 複合体 と 神経伝達物質 アセチルコリン

添付文書

薬効分類名

  • A型ボツリヌス毒素製剤

販売名

ボトックスビスタ注用50単位

組成

有効成分

  • A型ボツリヌス毒素 1バイアル中50単位
    ※:1単位はマウス腹腔内投与LD50
    備考:
    A型ボツリヌス菌によって産生される。製造工程でウシ(心臓、血液、乳、骨格筋、膵臓)、ヒツジ(血液)及びブタ(血液、膵臓、胃、皮膚)由来成分を使用している。

添加物

  • 塩化ナトリウム 0.45mg
    人血清アルブミン 0.25mg

禁忌

  • 全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦[妊婦、授乳婦に対する安全性は確立していない。](「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 他のボツリヌス毒素製剤にて治療中の患者(「相互作用」の項参照)

効能または効果

  • 65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺
  • 高齢者(65歳以上)への投与は推奨できない。[「高齢者への投与」の項参照]

眉間の表情皺

  • 通常、65歳未満の成人にはA型ボツリヌス毒素として合計10〜20単位を左右の皺眉筋に各2部位(合計4部位)及び鼻根筋1部位に均等に分割して筋肉内注射する。なお、症状再発の場合には再投与することができるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。

注射部位

(図1)

目尻の表情皺

  • 通常、65歳未満の成人にはA型ボツリヌス毒素として合計12〜24単位を左右の眼輪筋の外側に各3部位(合計6部位)に均等に分割して筋肉内注射する。目尻の表情皺が外眼角の上下にある場合は図2のように投与する。目尻の表情皺が外眼角の下方にある場合は図3のように投与する。なお、症状再発の場合には再投与することができるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。

注射部位

(図2)

(図3)

  • 使用にあたっては本剤の用法・用量を遵守すること。眉間の表情皺への1回の投与量は最大で合計20単位までとすること。目尻の表情皺への1回の投与量は最大で合計24単位までとすること。眉間の表情皺と目尻の表情皺を同時に治療する場合は、1回の投与量は合計で最大44単位までとすること。
  • 眉間の表情皺の治療時において眼瞼下垂の発現を減らすために、上眼瞼挙筋周囲へ投与することを避けること。特に眉間周囲の下制筋群(鼻根筋、皺眉筋、眉毛下制筋)が大きな患者において皺眉筋へ投与する際は、骨眼窩上隆起から1cm以上上方に投与すること。
  • 目尻の表情皺の治療時において眼障害の発現を減らすために、外眼角を通る縦線より内側及び頬骨下端近位へ投与することを避けること。眼輪筋内側部の眼窩骨の1cm以上外側又は外眼角の1.5cm以上外側に投与すること。
  • 目尻の表情皺の治療における注射時は、注射針は針先端の斜め部分を上にして、目とは反対の向きに刺入すること。
  • 本剤の力価(単位)は、A型ボツリヌス毒素製剤特有のもので、B型ボツリヌス毒素製剤とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与すること。
  • 他のボツリヌス毒素製剤による治療が必要な患者又は治療中の患者は、その治療を優先し、本剤の同時投与は避けること。[本剤と他のボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はなく、有効性及び安全性は確立しておらず、同時投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。(【禁忌】及び「相互作用」の項参照)]

慎重投与

  • 筋弛緩剤及び筋弛緩作用を有する薬剤を投与中の患者[筋弛緩作用が増強されることが、また、嚥下障害の発現が高まるおそれがある。](「相互作用」の項参照)
  • 慢性の呼吸器障害のある患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。]
  • 重篤な筋力低下あるいは萎縮がある患者[本剤の投与により、症状を悪化させる可能性がある。]
  • 閉塞隅角緑内障のある患者又はその素因(狭隅角等)のある患者[本剤はアセチルコリンの放出抑制作用を有するため、症状を悪化させる可能性がある。]

重大な副作用

,*ショック、アナフィラキシー、血清病注)

(頻度不明)

  • ショック、アナフィラキシー、血清病を起こす可能性があるので、本剤の投与に際しては、これらの症状の発現に備えること。
    また、本剤投与後、悪心等の体調の変化がないか、患者の状態を十分観察し、異常がないことを確認すること。呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、発疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。

,*眼障害注)

(頻度不明)

  • 重篤な角膜露出、持続性上皮欠損、角膜潰瘍、角膜穿孔の報告があるので、兎眼、閉瞼不全等があらわれた場合には、眼球の乾燥を避けるため人工涙液等の点眼剤を投与するなど適切な処置を行うこと。

,*嚥下障害(頻度不明)、呼吸障害(0.02%)注)

  • 嚥下障害から嚥下性肺炎を来し、重篤な呼吸困難に至ったとする報告がある。また、ボトックス注用の投与部近位への拡散により呼吸機能低下があらわれることがある。初回及び2回目の投与後1、2週間は嚥下障害、声質の変化、呼吸困難等の発現に特に留意するとともに、嚥下障害や呼吸障害の発現が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

痙攣発作注)

(頻度不明)

  • 痙攣発作あるいはその再発が報告されているので、これらの症状が認められた場合には、適切な処置を行うこと。痙攣発作の素因のある患者に投与する場合には特に注意すること。

薬効薬理

坐骨神経腓腹筋の収縮に対する作用2)

  • ラット大腿二頭筋に投与した試験において、坐骨神経刺激による腓腹筋収縮の抑制を認める。

筋弛緩作用3)

  • マウス片側腓腹筋に投与した尾懸下試験において、投与後比較的早期に、本剤の筋弛緩作用に基づく運動力の低下及び不動時間の延長を用量依存的に認める。

α及びγ運動ニューロンに対する機能的除神経作用4)

  • ラット大腿二頭筋に投与した試験において、錘外筋及び筋紡錘(錘内筋)で機能的除神経作用を認める。

神経再生による機能的除神経からの回復4)

  • ラット大腿二頭筋に投与した試験において、α及びγ運動ニューロンに対する機能的除神経惹起後、錘外筋及び筋紡錘(錘内筋)ともに終板の拡大を認める。

作用機序

  • 末梢の神経筋接合部における神経終末内でのアセチルコリン放出抑制により神経筋伝達を阻害し、筋弛緩作用を示す。神経筋伝達を阻害された神経は、軸索側部からの神経枝の新生により数ヵ月後には再開通し、筋弛緩作用は消退する。

有効成分に関する理化学的知見

一般名

  • A型ボツリヌス毒素(Botulinum Toxin Type A)

性状

  • 振り混ぜるとき、白濁する。


★リンクテーブル★
先読み神経筋接合部
リンク元食中毒菌」「アカラシア」「ボツリヌス症」「Clostridium botulinum」「ボトックスビスタ
拡張検索A型ボツリヌス毒素」「ボツリヌス毒素療法」「ボツリヌス毒素治療」「B型ボツリヌス毒素
関連記事毒素

神経筋接合部」

  [★]

neuromuscular junction (K)
神経筋シナプス neuromuscular synapse


神経筋接合部に作用する薬物 (GPC.225)

 
神経活動電位発生   tetrodotoxin
batrachotoxin
アセチルコリン放出 excess of Ca2+ hemicholinium
botulinus toxin
procaine
Mg2+
4-aminopyridine
lack of Ca2+
終板電位発生 succinylcholine(suxamethonium) curare alkaloids
decamethonium α-toxins
アセチルコリン加水分解 cholinesterase inhibitors  
筋活動電位発生 veratridine quinine
tetrodotoxin
筋収縮   procaine
dantrolene



食中毒菌」

  [★]

食中毒

細菌性食中毒

    法律 特徴 季節性 感染 毒素 症状 原因食品 潜伏期間 経過 治療 予防
感染型 グラム陰性桿菌 腸内細菌科 サルモネラ属   再興感染症     新生児・乳児での接触感染 菌体内毒素 下痢(粘液、水様で緑色)、嘔吐、腹痛、急激な発熱(38-40℃) レバー刺身、生肉、焼き鳥、生卵、ハム、ソーセージ、魚肉練り製品、乳製品、あん 6-48時間(平均12時間) 1-3日 対症療法 加熱、二次感染の予防(ネズミ、ゴキブリの駆除)
グラム陰性らせん菌   カンピロバクター属 Campylobacter jejuni     初夏(5-6月) まな板、包丁などによる2次感染 菌体内毒素 下痢(水樣、腐敗臭)、腹痛、嘔吐、発熱、まれに敗血症 肉類、生乳、水(家畜の屎尿による汚染) 2-5日(まれに10日) 1-2週間 対症療法、エリスロマイシン 加熱、ペットからの感染予防
  Campylobacter coli    
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 サルモネラ属 チフス菌                      
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 サルモネラ属 パラチフス菌                      
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 シゲラ属 赤痢菌                      
生体内毒素型 グラム陰性桿菌 ビブリオ科 ビブリオ属 コレラ菌                      
グラム陰性桿菌 腸内細菌科 エシェリキア属 腸管出血性大腸菌 3種感染症     経口感染 ベロ毒素 激しい腹痛を伴う頻回の水樣便、溶血性尿毒症候群や脳症の合併により重症化 加熱不足の牛肉の摂食(牛乳、フルーツ、汚染野菜) 3-4日     75℃1分の加熱で菌は死滅する
グラム陰性桿菌 ビブリオ科 ビブリオ属 腸炎ビブリオ   耐熱性毒素、好塩菌、真水、酸に弱い 夏季 生板・包丁などによる二次感染。成年男子に多い   激しい下痢(水様、粘血便)、上腹部激痛、発熱(-38℃) 刺身、漬け物 10-20時間(平均13時間) 2-3日 対症療法 加熱(60℃, 10分)、冷蔵(10℃以下)、水洗い。まな板、包丁の洗浄
グラム陽性桿菌   クロストリジウム属 ウェルシュ菌   土壌、水、ヒトおよび動物の腸管に常在、嫌気性菌、芽胞形成     エンテロトキシン 下痢、腹痛、吐き気 畜肉および魚肉とその加工品、動物性蛋白質を用いて調理後、長期保存されていた食品(カレー、シチューなど) 8-22時間     肉類、魚介類の脹内容物からの汚染防止。長時間保存する場合、加熱調理後冷蔵庫内にて保存。再加熱を十分に行う。
毒素型 グラム陽性桿菌   バシラス属 セレウス菌   芽胞形成、芽胞形態で自然に広く存在。食品腐敗変敗細菌     エンテロトキシン 嘔吐型: 吐き気、嘔吐 米飯、チャーハン、スパゲティ 1-5時間     低温保存、長期保存を避ける
        下痢型: 下痢 食肉製品、スープ、プリン、野菜 8-12時間    
グラム陽性桿菌   クロストリジウム属 ボツリヌス菌   嫌気性細菌、致命率が高い。芽胞形成。     ボツリヌス毒素(80℃, 数分で無毒化) 悪心、吐き気、めまい、頭痛、腹痛、下痢。眼症状(眼瞼下垂、複視、視力低下、瞳孔散大)、神経・筋症状(言語障害、嚥下障害、呼吸困難) 缶詰、瓶詰(魚、獣肉、野菜、果実)、いずし、ハム、ソーセージ、からしレンコン) 12-36時間   抗毒素血清治療 野菜などの水洗い、魚の内臓による汚染を防ぐ
グラム陽性球菌   スタフィロコッカス属 黄色ブドウ球菌   ヒト常在菌(皮膚、口腔、粘膜、鼻咽頭粘膜)。化膿傷、咽頭炎、ニキビ、風邪の症状時には病巣となる     耐熱性エンテロトキシン 激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 おにぎり、柏餅、シュークリーム、生クリーム 0.5-6時間 1-3日   化膿巣のある人を調理に従事させない。低温保持(5℃以下)

食中毒菌

  起炎菌 潜伏期間 原因食 発熱 腹痛 嘔気嘔吐 下痢 その他
感染性食中毒 腸炎ビブリオ 5-24hr
平均10hr
魚介類(加工品)
6-9月に多い
++ +++ ++ +++ ショック
心筋障害
サルモネラ 7-72hr
平均12-24hr
肉、、サラダ +++ ++ ++ ショック
敗血症
カンピロバクター 2-5日 鶏肉、牛肉、牛乳
5-7月に多い
++ ++ ++  
病原性大腸菌 1-3日
平均24hr
牛肉が多い ++ ++  
毒素性食中毒 ブドウ球菌 0.5-6hr
平均3hr
乳製品、かまぼこ、氷小豆、
夏季に多い
± +++ エンテロトキシンによるショック
ボツリヌス菌 2hr-8日 いずし、キャビア ± 神経症状
眼症状


アカラシア」

  [★]

achalasia
(国試)食道アカラシア esophageal achalasia, 噴門無弛緩症
ヒルシュスプルング病 Hirschsprung's disease
[show details]


  • first aid step1 2006 p.273

概念

  • 食道平滑筋層内アウエルバッハ神経叢細胞の変性・消失によって、下部食道括約筋の弛緩不全食道蠕動が消失することによる食物の通過障害や、食道の異常拡張を呈する機能的疾患
  • 食道下端1-4cm辺りの狭窄(機能的開大欠如)とその口側食道の異常拡大を来す。
  • 食道の拡大幅は3-4cmが多く、著しいものは6-10cmに達する

疫学

  • 発症は稀で。10万人に1-2人
  • 男女ほぼ同頻度,
  • 年齢は20-50歳代(20-40歳ともいわれる(IMD.841))
  • 新生児期から症状が出ることもあり、また症状は7-8歳ごろから出現することが多い(QB.O-171)。

病型 HIM chapter 286

  • 特発性アカラシア:多くのアカラシアが特発性に分類される
  • 二次性アカラシア:胃癌の食道への浸潤、リンパ腫、シャーガス病、ある種のウイルス感染、好酸球性胃腸炎、神経変性疾患

分類

形状

  • 紡錘型
  • フラスコ型
  • S状型

拡張度

  • I度 :最大横径3.5cm
  • II度 :3.5~6.0cm
  • III度:6.0cm以上

内圧測定(IMD)

  • A型:嚥下による食道の陽性波が認められるもの。
  • B型:嚥下による食道の陽性波が認められないもの。

病理

  • 食道固有筋層内のアウエルバッハ神経叢の神経節細胞の減少・消失
  • 下部食道括約筋(LES)は外見的に正常。筋層の肥厚などは認められない。 → 器質性疾患は否定的

病因

  • 不明
  • 環境の変化、精神的ストレスが誘因となって比較的急激に発症し慢性に経過し、軽快~増悪を反復、感情の乱れの強いときに増悪傾向
  • 冷たい飲食物の摂取、急いで摂食する場合でも誘発される

病態

  • 食道括約筋の弛緩不全や食道蠕動の消失は次の様に説明される。
  • 1. 下部食道括約筋(噴門部括約筋)におけるアウエルバッハ神経叢の神経節細胞の減少・消失による蠕動の伝達とそれによる食道下端部開大が起こらない
  • 2. VIPや一酸化窒素合成酵素を含む抑制性ニューロンの消失。進行期にはコリン作動性ニューロンも影響を受ける。(HIM chapter 286)

比較

アカラシア 下部食道括約筋(噴門部括約筋)のアウエルバッハ神経叢の神経節細胞が減少
ヒルシュスプルング病 腸管内神経節細胞(肛門側腸管の壁内神経節細胞(アウエルバッハ神経叢、マイスナー神経叢))の欠如

症状

  • 自覚症状が生じる段階ではすでに食道は異常拡張を呈している(IMD)
  • 嚥下障害(食道内に食物の停滞・逆流)、悪心・嘔吐前胸部痛、体重減少、誤嚥
  • 1. 嚥下障害:緩解と増悪の反復
  • 固形物・流動物の両方で嚥下障害が生じる ← 固形物のみだったら、器質的な変性による閉塞が考えられる。
  • 胸腔内圧を上昇させる手技(ex. Valsalva maneuver)は食道の食物を胃に通過させるのに有効な手技である
  • 2. 嘔吐:食道内に停滞している食物の逆流
  • 体位変換や就寝時に起こりやすい
  • 嘔吐 → 嘔吐物の気道への吸引 → 咳嗽、呼吸困難、喘鳴 → 誤嚥性肺炎
  • 3. 胸部不快感・胸痛:胸骨下に疼痛、圧迫感、狭窄感など ← 食道炎の合併は10%
  • 4. 体重減少:十分な摂食ができないため。慢性期におこりうる。

検査

X線造影

  • 1. 胸部X線写真:食道陰影の出現、胃泡の消失
  • 2. 食道X線造影(上部消化管造影):
  • 下部食道の辺縁平滑な狭窄(鳥のくちばし様) (barium swallow:bird beak)、食道内腔の拡張像(椎体より大)。
  • 造影剤は食道内に停留(健常者では数秒間、食道アカラシアの患者では1時間程度)
  • 食道の逆蠕動、攣縮、胃内流出の遅延などが認められる(IMD)
  • (1) 嚥下時に陽性波消失(遠位食道の蠕動波の消失) ← 食塊の移動させるように上部から下部に向かって食道内圧の上昇が移動していく。
  • (2) 噴門陰性波消失(下部食道括約筋弛緩(LES弛緩)の欠如)
  • (3) LES圧の上昇
  • 4. 内視鏡:悪性疾患などの除外
  • (1) 内視鏡スコープの噴門部通過には問題はない → 器質的疾患ではないから
  • (2) 食物残渣の存在、食道内腔の拡張、慢性例では食道炎、食道癌の合併
  • 植物残渣の停滞 → 浮腫・炎症 → 食道炎
  • コリン作動性薬物を投与すると食道壁の痙攣や異常蠕動運動が生じ、食道内圧が上昇
  • 試験施行の結果、胸痛を来しうるため、食道内圧検査を行うのが一般的(IMD)
  • 6. CCK test
  • CCKは括約筋の圧力を低下させるが、アカラシアではCCKは神経伝達抑制作用が失われる(HIM chapter 286)

診察

鑑別疾患

IMD

  • 1. 食道狭窄を示す器質性疾患
  • 2. 二次的な、あるいは他の食道蠕動運動障害を示す疾患

DIF改変

治療

精神的ケア

  • 心理的なサポートと生活指導

薬物療法

  • 抗コリン薬
  • 亜硝酸薬:ニトログリセリン、硝酸イソソルビド。 副作用あり
  • カルシウム拮抗薬:ニフェジピン。 副作用有り
  • sildenafil:cGMPを増加させ症状の軽減をもたらす → cGMPの増加はLES圧を減少させ、嚥下に伴うLESの弛緩を増強する
  • ボツリヌス毒素:コリン作動性ニューロンの神経終末からのコリン放出を抑制する。6ヶ月で60%の患者の症状を緩和できる。老人の一時的な症状緩和や高リスク患者に有用である。ただし、反復利用により食道の線維化を来しうる。

下部食道括約筋拡張術バルーン

  • 標準的治療
  • バルーン拡張術:有効率70%前後。繰り返して行う。合併症は出血や穿孔である。

外科手術(アカラシア手術)

  • 食道接合部の通過障害の改善と逆流防止を目的。

ヘラー法(Heller method, 粘膜外筋切開法)

  • 腹腔鏡下でHeller筋層切開術+噴門形成術(Dor手術)を施行
  • Heller's cardiomyotomy
  • A surgical procedure for achalasia performed by dividing the circular muscles of the oesophagogastric junction. Using an abdominal approach a longitudinal incision is made through the lower oesophageal and upper gastric muscle wall exposing the mucosa. The procedure may be combined with a Nissen to prevent the complication of post-procedure reflux.
http://www.surgeryrevision.co.uk/10.htm


ウェンデル法(Wendel method, 下部食道・噴門部全層切開縫合法)

ジラール変法(Girard method, 噴門形成法)

Fundic patch法(Thal and Hatafuku法, タール・ハタフク法, Thal-籏福法)

  • 狭窄が強い場合

下部食道筋層切除+胃底部縫着術

  • 狭窄が強い場合

フォロー

  • 粘膜病変の発生(食道炎、食道癌)の有無を上部消化管造影・内視鏡などで定期的に経過観察(1年ごと)
  • 長期の食道アカラシアは食道癌のリスクとなりうる

国試


ボツリヌス症」

  [★]

botulism
ボツリヌス中毒
ソーセージ中毒 sausage poisoning腸詰中毒, allantiasis
ボツリヌス菌 Clostridium botulinumボツリヌス毒素乳児ボツリヌス中毒毒素型食中毒
  • 原因:食物:缶詰(キャビア)、瓶詰(魚、獣肉、野菜、果実)、いずし、ハム、ソーセージ、からしレンコン)
  • 毒素型:抗菌薬では治療できない。
  • 潜伏時間:2hr-8日 / 10-20時間
  • ボツリヌス毒素(80℃, 数分で無毒化)
  • 病態:ボツリヌス毒素がアセチルコリンの放出を阻害。
  • 症状:悪心、吐き気、めまい、頭痛、腹痛、下痢。眼症状(眼瞼下垂、複視、視力低下、瞳孔散大)、神経・筋症状(言語障害、嚥下障害、呼吸困難)
  • 治療:24時間以内であれば催吐、胃洗浄、24時間以上なら活性炭、下剤、浣腸。抗毒素血清



Clostridium botulinum」

  [★]

ボツリヌス菌
ボツリヌス症 botulismボツリヌス毒素


  • グラム陽性桿菌
  • 嫌気性菌
  • 有芽胞菌


ボトックスビスタ」

  [★] A型ボツリヌス毒素

骨格筋弛緩剤ボツリヌス毒素


A型ボツリヌス毒素」

  [★]

botulinum toxin type A
ボトックス
ボツリヌス毒素ボツリヌス菌ボツリヌス毒素療法

禁忌

ボトックス注用50単位/ *ボトックス注用100単位
  • 1. 全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]
  • 2. 痙性斜頸においては、高度の呼吸機能障害のある患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。]
  • 3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦[妊婦、授乳婦に対する安全性は確立していない。](「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
  • 4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

ボトックス注用50単位/ *ボトックス注用100単位
  • 眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足

作用機序

ボトックス注用50単位/ *ボトックス注用100単位
  • 末梢の神経筋接合部における神経終末内でのアセチルコリン放出抑制により神経筋伝達を阻害し、筋弛緩作用を示す。神経筋伝達を阻害された神経は、軸索側部からの神経枝の新生により数ヵ月後には再開通し、筋弛緩作用は消退する。

参考

  • ボトックス注用50単位/ *ボトックス注用100単位
[display]http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1229404D1020_1_02/1229404D1020_1_02?view=body



ボツリヌス毒素療法」

  [★]

A型ボツリヌス毒素
[show details]


ボツリヌス毒素治療」

  [★]

botulinum toxin therapy
ボツリヌス毒素


B型ボツリヌス毒素」

  [★]

botulinum toxin type B


毒素」

  [★]

toxin
内毒素外毒素
外毒素 内毒素
ポリペプチド リポ多糖体(lipopolysaccharide: LPS)
細菌細胞からの分泌 グラム陰性菌の細胞壁の外膜に存在
宿主組織内-拡散 細菌細胞の崩壊により放出
多くは熱不安定性 熱安定性
分泌部位~遠隔部位に作用 血行性に拡散しエンドトキシンショック
トキソイド化可 トキソイド化不可(毒性中心はリピドA)





★コメント★

[メモ入力エリア]
※コメント5000文字まで
ニックネーム:
コメント:




表示
個人用ツール


  meddic.jp

リンク
連絡