-酒石酸カリウムナトリウム
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/09 21:40:19」(JST)
酒石酸カリウムナトリウム | |
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IUPAC名
Potassium sodium tartrate |
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別称
E337
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 304-59-6 (無水物), 6381-59-5(4水和物) |
PubChem | 9855836 |
ChemSpider | 8031536 |
UNII | QH257BPV3J |
日化辞番号 | J2.573I |
EINECS | 206-156-8 |
SMILES
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InChI
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特性 | |
化学式 | KNaC4H4O6·4H2O |
モル質量 | 282.1 g/mol |
外観 | 無色または青白色の結晶 |
融点 |
75 °C |
沸点 |
220 °C |
水への溶解度 | 63 g/100 mL (20 °C) [1] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
酒石酸カリウムナトリウム(しゅせきさんカリウムナトリウム、Potassium sodium tartrate)は、2価のカルボン酸である酒石酸がナトリウムおよびカリウムと塩を形成した構造をもつ複塩。1675年ごろにラ・ロシェルの薬学者ピエール・セニエット (Pierre Seignette) によって初めて合成されたことから、ロッシェル塩またはセニエット塩とも呼ばれる。
無色または青白色をした斜方晶で、通常4分子の結晶水を含み化学式 KNaC4H4O6・4H2O で表される。水に非常によく溶ける (1111 g/L) がアルコールには難溶。
やや塩辛く清涼感のある風味を持ち、EUでは食品添加物として認められている(E337)[2]。薬学分野では下剤や利尿剤として用いられる。
穏和な還元作用をもつため、銀の無電解めっきを行う場合に還元剤として用いられる。古くは板ガラスから鏡を作製する際に利用された。
単結晶は4000程度の高い比誘電率を示す強誘電体であるが、下限のキュリー温度をもち、255-297 Kの温度範囲でしか強誘電性を示さないという特徴を持つ[3]。
1921年に強誘電体であることが報告[4]されて以降、クリスタルイヤホンやクリスタルマイクなどの圧電素子として盛んに利用された[5]。第2次世界大戦中は通信等に不可欠な軍需物質[6]として、葡萄園などから原料が大量に集められた。現在ではリン酸二水素カリウム (KDP) やチタン酸バリウム (BT) など他の材料が発見されたため、湿気に弱いロッシェル塩は圧電素子としてはほとんど利用されていない。
水への溶解度が高く、また水中で電離しキレート作用を持つ酒石酸イオンが生じるため、弱塩基性キレート剤として広く利用されている。工業的にはめっき液の成分として、化学分析においてはフェーリング試験・ベルトラン試液・ビウレット試験・ネスラー試験[7]、カドミウムの定量[8]などで試薬のひとつとして加えられる。
有機合成においては、キレート作用によって分液操作時のエマルションや沈殿の形成を抑止するために、特にLAHやDIBAL-Hなどの水素化アルミニウム系試薬を用いた反応の後処理に利用される[9]。
酒石酸カリウムナトリウム (NaKC4H4O6) は、1モルの酒石酸水素カリウム (KHC4H4O6) を含む加熱溶液に 0.5モルの炭酸ナトリウムを添加することで調製できる。溶液は熱い内に濾過する。この溶液を乾燥することで固体の酒石酸カリウムナトリウムが晶子(英語版)として析出する。
スカイラブ上の微小重力および対流条件下でロッシェル塩の大きな結晶への成長実験が行われた[10]。
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