- 英
- Still's disease, Still disease
- 同
- スチル病、Still病
- 関
- アレルギー性亜敗血症、若年性関節リウマチ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/16 10:42:30」(JST)
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成人スティル病 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
M06.1 |
ICD-9 |
714.2 |
DiseasesDB |
34295 |
MedlinePlus |
000450 |
MeSH |
D016706 |
成人スティル病(せいじんスティルびょう、Adult Still's disease; ASD、または成人発症型スティル病、Adult Onset Still's Disease; AOSD、成人スチル病とも)はもともと小児に起こる原因不明の炎症性疾患であるスティル病(全身型若年性関節リウマチ)が成人に発症したものである。とはいえその病像は小児のスティル病とはやや異なっている。不明熱の重要な原因の一つである。[1][2]
- イギリスの小児科医 George Frederic Still(1868─1941)が、1897年に小児の発熱、関節症状、リンパ節腫脹をきたす疾患について報告した[3]。
目次
- 1 概念
- 2 病因
- 3 症状
- 4 検査
- 5 診断
- 6 治療
- 7 脚注
- 8 外部リンク
概念
原因不明に弛張熱、関節炎、前胸部のサーモンピンク疹、肝脾腫、リンパ節腫脹を来たす全身性の炎症性疾患である。
病因
不明である。
- 近年、IL-18を産生する活性化マクロファージの関与が示唆されている[4]。フェリチンをマクロファージや組織球が産生することも傍証と言われるが、正確な機序は不明である。
症状
- 発熱
- 一般に膠原病では発熱がおこるものだが、本症における発熱は特徴的で、数時間の経過で39℃を軽く超えるスパイク熱をきたす。スパイクの間には、解熱していることもあれば微熱が持続している事もある。そういった発熱状態が1週間以上続く。
- 関節炎
- 単関節炎から多発関節炎まで見られ、関節リウマチと似た滑膜炎でびらん性である。
- 皮疹
- きわめて特徴的とされる前胸部のサーモンピンク色の皮疹が重要で、これは発熱と一致して増悪、改善する。[5][6]
- 咽頭痛
- 小児のスティル病と異なる特徴的な所見であり、そのうえ成人スティル病ではほぼ必発である。
- リンパ節腫脹
- 全身性のリンパ節腫脹が高い頻度で見られる。
- 肝障害
- 肝酵素の上昇がみられ、病勢と一致して増悪・改善する。
- 脾腫
- 脾腫はよくみられ、リンパ節腫脹と同じ病因によると考えられている。
- 筋肉痛
- 心膜炎
検査
白血球上昇、CRP上昇、フェリチン上昇がみられる。特にフェリチンの著増は特徴的ではあるが、診断的とまでは言えない。
むしろ、慢性の炎症性疾患で関節炎を伴いながら抗核抗体、リウマチ因子などの自己抗体が陰性であるということが、本症を支持する所見となる。
血算において汎血球減少が見られた場合、本症に血球貪食症候群の合併の可能性が考えられ、緊急の診断と治療計画の検討が必要となる。
診断
上記のような特徴的な所見があることと、その他の疾患に診断されないということが重要である。すなわち本症は除外診断によって診断される疾患である。 以下の疾患の除外が必要となる。
- 感染症
- 厚生省の成人スティル病研究班は、敗血症と伝染性単核球症を挙げている。敗血症が鑑別に挙がる事はあまりないようにも思われる(成人スティル病の患者は通常熱以外は元気だが、敗血症では著明に活力がおちている)。むしろパルボウイルスB19や慢性EBウイルス感染などのほうが鑑別であろう。
- 悪性腫瘍
- 成人スティル病研究班は悪性リンパ腫を挙げている。
- 膠原病
- 成人スティル病研究班は結節性多発動脈炎と悪性関節リウマチを挙げているが、このほか全身性エリテマトーデスも鑑別に挙がるものと思われる。
これらの疾患の除外は、特定疾患の認定を受ける際にも必要である。
治療
疾患の経過を予測することは難しいが、軽度の病態であれば自然寛解はありうる。従って最初は、著明な発熱(患者はひどい不快感をおぼえる)に対する対症療法としてNSAIDsが用いられる。しかしそれでおさまらないようなら、ステロイドや免疫抑制剤を使用せざるを得ないことになる。IL-6に対する治療(抗IL-6抗体トシリズマブ)が奏効することもある。
- シクロスポリンAの有効例もしばしば見られる[7]。メトトレキサート,タクロリムスも同様に用いられる。シクロフォスファミドの処方例は減少傾向にある。
脚注
- ^ 山口雅也, ほか. 成人スチル病. 臨牀と研究 1990;67:3670.
- ^ 山口雅也, ほか. 膠原病類縁疾患のトピックス. 1.成人Still病. 日内会誌. 1991;80:17.
- ^ Still GF. On a form of chronic joint disease in children. Med Chir Trans 1897; 80: 47
- ^ Arthritis Rheum 44: 550-560, 2001.
- ^ 山口雅也, ほか, 成人スチル病にみられる皮疹. 日医事新報. 1990;3469:37.
- ^ 岡田 定 編. 「最速!聖路加診断術」 pp 145-150
- ^ 長澤浩平 日内会誌 99: 2460-2466, 2010.
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 成人スティル病 (特集 厚生労働省指定難病の診断基準と重症度)
- 成人発症スティル病 (特集 膠原病研究 アップデート)
- トシリズマブによりステロイドから離脱し得た重症成人発症スティル病の一例
Related Links
- 子供に発症する「スチル病」に良く似た症状を示し、大人(通常16歳以上)に発症する疾患を「成人発症スチル病(成人発症スティル病)」と呼びます。1971年に初めてその存在が報告された比較的新しい疾患です。膠原病の中に ...
- 成人スチル病(成人スティル病)は、1897年にStillによって小児の慢性関節疾患の1形態として報告された疾患(Still’s disease;スチル病)にその臨床所見が類似している、一群の成人患者がいることをBywatersが1971年に報告したことに始まる ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- hemophagocytic syndrome, HPS
- 関
- 血球貪食性リンパ組織球症, HLH、感染関連血球貪食症候群、家族性血球貪食性リンパ組織球症
病因
- 参考1 YN.G-67
- 頻度:悪性リンパ腫50%、ウイルス30%、細菌・真菌10%、数%膠原病
-
病態
- 血球を貪食した活性化マクロファージが骨髄、肝臓、脾臓、リンパ節で増殖。
症状
- 発熱、全身倦怠感、汎血球減少(少なくとも2系統)、DIC、肝脾腫、肝不全
検査
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治療
- 参考1
- HLH-2004 protocolに基づく治療を
- デキサメタゾン、エトポシド、メトトレキサート
- 造血細胞移植
診断基準
参考
- 1. [charged] 血球貪食性リンパ組織球症(HLH) - uptodate [1]
- 2. wiki ja
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E7%90%83%E8%B2%AA%E9%A3%9F%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/722
国試
[★]
- 英
- adult-onset Still's disease AOSD, adult-onset Still disease, adult Still's disease
- 同
- 成人発症スチル病、成人発症Still病、成人スチル病、成人Still病
- 関
- アレルギー性亜敗血症、スティル病、若年性関節リウマチ
[show details]
概念
診断基準
- 参考4 YN.F-47
大項目
- 1. 発熱(39℃以上、1週間以上持続)
- 2. 関節痛(2週間以上持続)
- 3. 定型的皮疹(体幹・四肢近位部にサーモンピンク様皮疹、ケブネル現象陽性)
- 4. 白血球増加(10000/μl以上、好中球80%以上)
小項目
- 1. 咽頭痛
- 2. リンパ節腫脹または脾腫
- 3. 肝機能異常
- 4. リウマトイド因子および抗核抗体陰性
除外項目
- 感染症(特に敗血症・伝染性単核症)、悪性腫瘍(特にリンパ腫)、膠原病(特に多発性動脈炎、悪性関節リウマチ)
診断
- 大症状2項目以上を含み、合計5項目以上で成人Still病と診断する。血清フェリチンの異常高値は診断の参考とする。
検査
参考
- http://www.collagen-disease.com/_src/sc2405/83X83e83B838B95a8ECA905E.jpg
- http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/1a/52/fukusama1019/folder/1092861/img_1092861_57599288_0?1262257060
- http://www.hospital.japanpost.jp/fukuoka/health/pdf/ProfileNo.43.pdf
- http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-f11.html
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/282
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患