エストロゲン

出典: meddic

estrogen ES, estrogens, E2?
ethinyl estradiolエストロゲン補充療法月経周期

分類

性状

  • ステロイド

産生組織

  • 卵巣の顆粒膜細胞
  • 月経周期の1-14日の間に卵胞が発育していくが、この間FSHは月経周期の初期にピークをつけたあとLHの増加と裏腹に減少していく。そして顆粒膜細胞からはエストロゲン(エストラジオール17β)の放出が徐々に高まってくる。(NGY.27,月経周期)

標的組織

  • 乳腺、子宮(頚管、内膜、平滑筋)、膣粘膜

受容体

作用

G9M.9 参考2
  • 卵胞の発育期:エストロゲンはLH, FSHの分泌にたいしnegative feedback作用を及ぼす
  • 排卵期の高濃度で急増加する時期:positive feedback作用を及ぼす


  • 生殖器以外に対する作用
  • 肝臓   :LDL受容体増加
  • 血管・血液:血管拡張作用、凝固能亢進(経口避妊薬による血栓症につながる)、血管保護作用(LDLコレステロール低下、HDLコレステロール増加)
  • 骨    :骨量の維持、コラーゲンの合成促進
  • (1)副甲状腺ホルモンの骨に対する感受性を抑制  (カルシトニンと協同作用)
  • (2)腎近位尿細管での活性化ビタミンDの合成促進  (ビタミンDと協同作用)
  • (3)腸管からのカルシウム吸収の促進  (ビタミンDと協同作用)
  • (4)破骨細胞、骨芽細胞に直接作用し、骨吸収を抑制  (詳しくは参考2)
  • 皮膚   :皮脂腺の分泌抑制、コラーゲンの合成促進


  • その他

G9M.8

  エストロゲン プロゲステロン
乳房 思春期 乳管の発育
非妊娠時 乳腺の発育
妊娠時 乳管上皮の増殖 乳腺腺房の増殖
乳汁分泌抑制 乳汁分泌抑制
子宮 非妊娠時 子宮内膜の増殖・肥厚 子宮内膜の分泌期様変化
頚管粘液 頚管粘液
 分泌亢進  分泌低下
 粘稠度低下  粘稠度上昇
 牽糸性上昇  牽糸性低下
妊娠時 子宮筋の発育・増大 子宮内膜の脱落膜様変化
頚管熟化 子宮筋の収縮抑制
  子宮筋層内の毛細血管の増加
卵巣 排卵抑制
膣粘膜の角化・肥厚 膣粘膜の菲薄化
その他 LDLコレステロールの低下 基礎体温の上昇
基礎体温の低下  
骨量維持  

分泌の調整

  • ネガティブフィードバック:エストロゲンは間脳下垂体系(視床下部・下垂体)に対して抑制的に作用。
  • ポジティブフィードバック:エストロゲンがあるレベル以上となると、ポジティブフィードバックにより間脳下垂体系(視床下部・下垂体)に対して促進的に作用する。エストロゲンのピークはLHサージの1-2日前?である。

「二細胞説 two-cell theory」

  • LH刺激により莢膜細胞は主にアンドロゲンを合成し、このアンドロゲンは一部卵巣静脈に流出するが、残りは基底膜を通り卵胞内に流入する。グラーフ卵胞内の顆粒膜細胞は高い芳香化活性を持ち、莢膜細胞由来のアンドロゲンからエストロゲンを合成する。このため卵胞には多量のエストロゲンが含まれる。この芳香化酵素の活性はFSHにより刺激される。卵胞には血中の1000倍ものエストロゲンが含まれ、このエストロゲンは局所的に作用して卵胞の発育を促進する。(NGY.27)

生合成

臨床関連

  • 女性新生児の性器出血:生後4-8日から性器出血が一週間持続。胎生期中に移行した胎盤ホルモン(エストロゲンの減少)の消失による。
  • 老人性膣炎:エストロゲンの消失により膣上皮が萎縮し、粘膜下出血を来す。

性周期・月経との関連

  • 卵胞期:漸増。排卵期に先立ってピーク
  • 排卵期以降漸減
  • 黄体期:漸減後、再び増加して高値で経過。プロゲステロンと並行して月経期に向かって漸減   ←  月経一週間前あたりがピーク。

LAB.724

  エストロゲン プロゲステロン
エストロン エストラジオール エストリオール  
(pg/ml) (pg/ml) (pg/ml) (ng/ml)
女性 卵胞期 10~60 10~150 0~20 0.5~1.5
排卵期 25~100 50~380 5~40 1.5~6.8
黄体期 25~80 30~300 5~40 5.0~28.0
更年期 20~80 10~50 0~20 0.3~0.4
男性 30~60 10~60 0~15 0.2~0.4


添付文書

  • プレマリン錠0.625mg
[display]http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2479004F1033_3_01/2479004F1033_3_01?view=body


参考

  • 1. [charged] Molecular biology and physiology of estrogen action - uptodate [1]
  • 2. 〔閉経シリーズ〕 閉経と骨代謝の変化および管理 - 日産婦誌52巻10号
http://www.jsog.or.jp/PDF/52/5210-355.pdf







Wikipedia preview

出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/11 17:04:00」(JST)

wiki ja

[Wiki ja表示]

UpToDate Contents

全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.

和文文献

  • 細胞膜エストロゲン受容体GPER/GPR30はなぜ小胞体で見つかったのか!
  • 水上 洋一
  • 日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica 138(3), 130, 2011-09-01
  • NAID 10029604194
  • LHRHアゴニストとタモキシフェン投与中に発症した異時性対側乳癌の一例
  • 大野 毅 [他]
  • 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi 86(2), 86-91, 2011-06-25
  • … 47歳女性,右乳房D領域に腫瘤を自覚し当院外科受診,乳腺超音波検査(US)で12×9mm大の乳癌に対し乳房全切除,センチネルリンパ節生検を施行,病理組織学的検査にて,硬癌,12×9mm,pT1c,pN0(SN 0/3),M0,StageI,エストロゲンレセプター(ER)陽性,プロゲステロンレセプター(PgR)陽性であった.閉経前ホルモン陽性乳癌であったため術後はLH-RHアゴニストとタモキシフェンを投与していたが,1年後の定期検査にて左B領域に10mm大の可動性良好な腫瘤 …
  • NAID 110008620344
  • エストロゲン受容体が境界域を示した乳腺腺様嚢胞癌の1例
  • 沖田 充司,藤村 昌樹,千野 佳秀,田畑 智丈,熊野 公束,向所 賢一
  • 日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association 72(6), 1394-1399, 2011-06-25
  • NAID 10029612250
  • SF-047-3 乳癌のエストロゲンレセプターαの発現調節に関与するmicroRNAの解析(SF-047 サージカルフォーラム(47)乳腺:基礎-4,第111回日本外科学会定期学術集会)
  • 吉本 信保,遠山 竜也,杉浦 博士,遠藤 友美,岩佐 麻衣,藤井 義敬,山下 啓子
  • 日本外科学会雑誌 112(臨時増刊号_1・2), 394, 2011-05-25
  • NAID 110008683889

関連リンク

エストロゲン(えすとろげん)とは、女性ホルモンの一つで卵胞ホルモンとも呼ばれる。主に、卵胞や黄体から分泌される。子宮の発育や子宮内膜の増殖、乳腺の発達など、女性らしい体つきを促進するホルモンである。
最近大豆やサプリメントのなかでもイソフラボンが女性の健康にいいと注目されています。そのうたい文句は、「これらのなかに植物性エストロゲンが含まれているから」だと。ご存知ですか、植物性エストロゲンを?
エストロゲンとは女性ホルモンのひとつですね。最近エストロゲンが話題になっています... ... サイト内関連記事 大豆イソフラボンがエストロゲン? 大豆はおいしい食べ物です。最近は食卓によく納豆がテレビでも話題となっていて大豆が.....

関連画像

 のカギを握るエストロゲンエストロゲンの関係する臓器女性ホルモン(エストロゲン エストロゲンと共に月経を  (結合型エストロゲン)0.625mg女性の年齢とエストロゲン分泌 エストロゲンは生殖機能以外に 図3 エストロゲン受容体との


★リンクテーブル★
先読み月経周期」「E2」「ethinyl estradiol
リンク元高血圧」「ホルモン」「肝硬変」「」「ビスフェノールA

月経周期」

  [★]

menstrual cycle
cyclus menstrualis
性周期
  • first aid step1 2006 p.399


月経周期 (HIS.403, NGY30)

  day event
月経期 menstrual phase   1~4 黄体が退縮してエストロゲン・プロゲステロンが低下するとらせん動脈は間欠的に収縮し始め、子宮内膜は虚血状態となる。機能層は壊死し、再開通したらせん動脈からの血流により機能層が洗い流される。
増殖期 proliferative phase 卵胞期 follicular phase 5~14 基底層の子宮線の上皮細胞が分裂・増殖を引き起こし、遊走して、月経で露出した粘膜の結合組織を覆う。機能層が再生し2-3mmの厚さとなる。子宮腺は再生されるがまっすぐである。腺細胞の細胞質にはグリコーゲンが蓄積され始めている。らせん動脈は強いらせんを形成しておらず機能層に深く進入していない。
分泌期 secreating phase 黄体期 luteal phase 15~28 ・子宮腺が強く迂曲して腺腔内にグリコーゲンがたまり、粘膜固有層が浮腫状になって内膜全体が厚くなる。子宮腺では、はじめ腺細胞の基底部に分布物がたまるが、量が増えるにつれて細胞上部に移動し、腺腔部に放出される。グリコーゲンは胎盤ができるまでの胚子の栄養分となる。子宮腺の内腔に分泌物がたまって拡張しする。第22日目までにらせん動脈はコイル状に曲がり、機能層に深く入り込む。このころの子宮内膜の厚さは約5mmとなっている。
・細胞肥大による内膜組織の拡張(子宮内膜上皮の分裂は増殖期の末期には終わっている(Q book p.105))

ホルモンの変動

G9M.19
  • FSH ← エストロゲンにより抑制される
  • 卵胞期は月経期より高位にあるが、排卵期に向かってエストロゲンが増加するのにともない抑制され、次第に低下する。排卵期直前のネガティブフィードバックからポジティブフィードバックへの転換により鋭いピークをつける。黄体期にはエストロゲンの増加に伴って再び抑制される。
  • LH ← プロゲステロンにより抑制される
  • 月経期より低値で推移するが、排卵前にエストロゲンが排卵前にピークをつけ、ポジティブフィードバックに切り替わると、LHは排卵直前に鋭いピークを呈する(LHサージ)、これにより排卵が引き起こされる。以降、再びネガティブフィードバックを受け、黄体期には比較的低位を保つ。
  • エストロゲン
  • エストロゲンは卵胞の成長に伴って漸増し、卵胞期の終わりでピークをつける。この後、一端低下するが、黄体期の中頃に向かって小高いピークを付け排卵期に向かって低下する。l
  • プロゲステロン
  • プロゲステロンは月経期より一貫して低値だが、排卵期に上昇を始め、黄体期の中頃に向かってピークをつける。黄体の萎縮に平行して低下し、月経期には再び低値となる。



E2」

  [★] エストラジオール estradiol


ethinyl estradiol」

  [★] エチニルエストラジオール


高血圧」

  [★]

hypertension, HT, high blood pressure
(国試)高血圧症
低血圧

定義

  • 収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上 (1999年改正)

原因による分類

高血圧の病因

PHD.319

exogenous cause

  • 1. エストロゲン(避妊薬などに含まれる):肝臓でのアンジオテンシノゲンの産生量を増加させる。)
  • 2. 糖質コルチコイド:鉱質コルチコイド作用
  • 3. シクロスポリン
  • 4. エリスロポエチン:赤血球を増加させることで、血液の粘稠度が上昇したり、末梢の虚血性の血管拡張が解除される事による。
  • 5. 交換刺激刺激薬:例えば、普通感冒薬
  • 6. コカイン・慢性のアルコール過剰摂取:どちらも交感神経の活動性をあげる。

renal cause

mechanical cause

endocrine cause

高血圧のリスクファクター

  • 年齢、ナトリウム過剰摂取、飲酒、肥満、運動不足、妊娠中の高血圧、家族歴

高血圧による病変

PHD.323

  • 通常は無症候であるが、多くの臓器(血管、心臓、網膜、腎臓)に多大な影響を及ぼす

高血圧による細動脈変化 BPT.356

  • 急激な血圧上昇をきたす病態に特徴的(例えば、悪性高血圧(拡張期血圧120mmHg以上))
  • 組織的には細動脈のonion-skinningが特徴的。血管平滑筋の増生、基底膜の肥厚による(血管の構造→血管)
  • 悪性高血圧ではこれらの過形成的な変化に加えて、フィブリノイドの沈着と血管壁の壊死(necrotizing arteriolitis)が特に腎臓で顕著に見られる。

症候

身体所見

  • 胸部:II音の亢進(IIA音)、心基部の収縮期雑音

検査

心電図

  • 左室肥大 ← 求心性左室肥大 ← 後負荷に打ち勝って左室が収縮できるように。
097D017
[show details]

重症度と治療(QB.C-324)

重症度 血圧 治療
I度高血圧 140/90mmHg ライフスタイルの改善、半年-1年で改善しなければ降圧薬投与
II度高血圧 160/100mmHg 降圧薬投与(経口)
III度高血圧 180/110mmHg 降圧薬投与(経口)
高血圧緊急症 臓器障害(脳、心臓、腎臓など) 降圧薬投与(経静脈)

治療

  • まず生活指導を行った上で、薬物治療の必要がある場合にこれを開始する。ただし、高リスク群に関しては直ちに薬物治療を開始する。
  • 生活習慣の修正(参考1より)
1. 減塩(→ナトリウム) 6g/日未満
2. 食塩以外の栄養素 ・野菜・果物の積極的摂取*
・コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
・魚(魚油)の積極的摂取
3. 減量 ・BMI<25未満
4. 運動 ・心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上を目標に)行う
5. 節酒 ・エタノールで男性は20-30ml/日以下、女性は10-20ml/以下
6. 禁煙  
 生活習慣の複合的な修正はより効果的である
*重篤な腎障害を伴う患者では高K血症をきたすリスクがあるので、野菜・果物の積極的摂取は推奨しない。糖分の多い果物の過剰な摂取は、特に肥満者や糖尿病などのカロリー制限が必要な患者では勧められない。

降圧目標

参考4 JSH2014
患者背景 年齢 診察室 家庭血圧
血圧
若年、中年、 <75 140/90mmHg未満 5 ポ イ ン ト 低 く
前期高齢者
後期高齢者 ≧75 150/90mmHg未満
(忍容性があれば収縮期血圧140mmHgで)
糖尿病 130/80mmHg未満
蛋白尿陽性の慢性腎臓病
脳血管障害 140/90mmHg未満
冠動脈疾患
参考1
  診察室血圧 家庭血圧
若年者・中年者 135/85mmHg未満 125/80mmHg未満
高齢者 140/90mmHg未満 135/85mmHg未満
糖尿病患者
腎臓病患者
心筋梗塞後患者
130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
脳血管障害患者 140/90mmHg未満 135/85mmHg未満

注:診察室血圧と家庭血圧の目標値の差は、診察室血圧140/90mmHg、家庭血圧135/85mmHgが、高血圧の診断基準であることから、この二者の差を単純にあてはめたものである。

JNC-7

  • 一般的:140/90mmHg未満
  • DM,CKD:130/80mmHg未満

幼児・小児の高血圧

参考2 参考3
健診用の高血圧基準
  収縮期血圧
(mmHg)
拡張期血圧
(mmHg)
乳児(注) ≧110 ≧70
幼児 ≧120 ≧70
小学校 低学年 ≧130 ≧80
高学年 ≧135 ≧80
中学校 男子 ≧140 ≧85
女子 ≧135 ≧80
高等学校 ≧140 ≧85
  • 注:乳児の値は検診用の基準かは不明

女性と高血圧

妊娠期間と降圧薬

参考

  • 1. 高血圧治療ガイドライン
[display]http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kouketuatu.html
  • 2. 高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)
http://www.jpnsh.org/manuscript080920.html リンク切れ
  • 3. 高血圧 日本高血圧学会高血圧治療GL作成委員会/医療・GL(09年)/ガイドライン 第10章 小児の高血圧
[display]http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0019/1/0019_G0000180_0063.html
  • 4. 高血圧治療ガイドライン2014 電子版
[display]http://www.jpnsh.jp/guideline.html

高血圧と糖尿病を合併する病態

救急外来での高血圧

研修医当直御法度 第5版 p.33

救急

準急球

  • 拡張期血圧115以上であるが、臓器障害がない。
→ 経口降圧薬を処方し外来受診。


収縮期高血圧 動脈コンプライアンス低下 動脈硬化
大動脈の人工血管置換術後
心拍出量の変化 大動脈弁閉鎖不全症
甲状腺機能亢進症
発熱
動静脈瘻
動脈管開存症
過動心症候群
拡張期高血圧 体液量の増加 腎実質性高血圧 糸球体腎炎
糖尿病性腎症
慢性腎盂腎炎
多発性嚢胞腎
膠原病
など
副腎皮質疾患 Cushing症候群
原発性アルドステロン症
薬物性 経口避妊薬
副腎皮質ステロイド
エリスロポエチン
レニン-アンジオテンシン系の亢進
(循環血液量・末梢血管抵抗の増大)
腎血管性高血圧 腎動脈硬化症
線維筋性異形成
レニン産生腫瘍
血管抵抗の増大 交感神経系の亢進 褐色細胞腫
急性ストレス反応
薬物中断症候群
多発性神経炎
大血管の狭窄・閉鎖 大動脈狭窄症
解離性大動脈瘤
原因不明(多因子) 本態性高血圧





ホルモン」

  [★]

hormone

古典的な定義

  • 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)

例外

  • 腺構造を持たない組織から分泌されるホルモンがある
消化管ホルモン (PT.403)
視床下部ホルモン (PT.403)
甲状腺濾胞ホルモン?
カルシトニン?

ホルモンの一覧表

日本語 放出器官/細胞 作用器官/細胞 働き
メラトニン 松果体    
成長ホルモン放出ホルモン 視床下部 下垂体前葉 GH放出
プロラクチン放出ホルモン 視床下部 下垂体前葉 PRL放出
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン 視床下部 下垂体前葉 ATCH放出
ゴナドトロピン放出ホルモン 視床下部 下垂体前葉 FSH/LH放出
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン 視床下部 下垂体前葉 TSH放出
ソマトスタチン 視床下部 下垂体前葉 GH放出抑制
ドーパミン 視床下部 下垂体前葉 PRL放出抑制
成長ホルモン 下垂体前葉 全身/肝細胞 タンパク質同化, 抗インスリン, 脂肪異化/IGF-I合成促進
プロラクチン 下垂体前葉 乳腺 乳汁分泌促進
副腎皮質刺激ホルモン 下垂体前葉 副腎皮質  
卵胞刺激ホルモン 下垂体前葉 卵胞  
黄体形成ホルモン 下垂体前葉 黄体  
間細胞刺激ホルモン 下垂体前葉 精巣の間細胞  
甲状腺刺激ホルモン 下垂体前葉 甲状腺  
オキシトシン 下垂体後葉 子宮平滑筋/乳腺 子宮収縮/射乳促進
バソプレシン 下垂体後葉 腎臓集合管 水の再吸
甲状腺ホルモン - トリヨードサイロニン 甲状腺   代謝亢進
甲状腺ホルモン - サイロキシン 甲状腺   代謝亢進
カルシトニン 甲状腺   Ca2+濃度低下
副甲状腺ホルモン 甲状腺 /腎臓 破骨細胞活性化/腎細尿管Ca2+取り込み↑/腎ビタミンD活性化/血清Ca2+↑
心房性ナトリウム利尿ペプチド 心臓   Na利尿
脳ナトリウム利尿ペプチド 心臓   Na利尿
Cタイプナトリウム利尿ペプチド     Na利尿
エンドセリン 血管   血管収縮
アンジオテンシンII 血管   血管収縮
ガストリン 酸分泌
セレクチン 十二指腸    
インスリン様成長因子 肝臓    
アンジオテンシノジェン 肝臓   昇圧
コルチゾール 副腎皮質    
アルドステロン 副腎皮質    
デヒドロイソアンドロステロン 副腎皮質    
アドレナリン 副腎髄質   軽微な昇圧、血糖上昇
ノルアドレナリン 副腎髄質   昇圧(寄与は20%程度)、血糖上昇
インスリン 膵臓 - β細胞 全身 グルコース取り込み亢進
グルカゴン 膵臓 - α細胞 全身 糖新生
ソマトスタチン 膵臓 - δ細胞   ホルモン分泌抑制(インスリングルカゴンガストリン)
レニン 腎臓 - 傍糸球体細胞   昇圧(angiotensin Iを産生, 血管内皮アンジオテンシン転換酵素によりangiotensin IIに転換)
エリスロポエチン 腎臓 造血器官 赤血球産生刺激
エストロゲン 卵巣    
プロゲステロン 卵巣    
インヒビン 卵巣    
テストステロン 精巣    
インヒビン 精巣    
レプチン 脂肪    
アディポネクチン 脂肪    



肝硬変」

  [★]

cirrhosis of liver (M), liver cirrhosis LC, cirrhosis
肝臓

定義

(アトラス肝臓病 金原出版 谷川久一、阿部弘彦 昭和62年1月30日 p.57)

  • 次の1. 2.を満たす
  • 1. 肝細胞死が原因で、びまん性の結合組織増生が肝臓全域に見られる
  • 2. 肝実質の結節性再生と小葉構造の改築が認められるもの

概念

  • 肝硬変はびまん性に線維化した肝病変の終末像であり、慢性肝炎とともにもっともしばしばみられる肝の病態である。臨床的には様々な程度の肝細胞機能不全状態と門脈圧亢進症による症状がみられる慢性疾患である。

疫学

  • 人口10万人あたりの死亡率12.5人
  • 45-59歳の男性では死亡順位第4位
  • 西日本に多い

病因

病理

  • 炎症による細胞の破壊と再生を繰り返す結果、再生した肝細胞と新たに形成された線維性の隔壁を有する結節が形成され(再生結節)、肝硬変となる。(BPT.647)
  • ウイルス性肝炎の慢性化による肝硬変では、3mm以上の結節がみられる(macronodular cirrhosis)。
  • アルコール性肝炎の慢性化による肝硬変では、平均3mmの結節がみられる(micronodular cirrhosis)。


病態生理

  • 肝機能低下により(1)エストロゲンの肝臓における異化が低下、(2)アルブミン合成能が低下、(3)門脈圧亢進が起こる。(1)によるエストロゲンなどの血管拡張因子により血管が拡張し循環血漿量が減少する。(2)による膠質浸透圧の低下はサードスペースへの体液移動を引き起こしさらに循環血漿量を低下させる。これには(3)も相加的に作用すると思われる。循環血漿量の低下はRAA系の亢進をきたし、アルドステロンによるNa、水の貯留引き起こす。
  • 非代償性肝硬変では、肝網内系(クッパー細胞など)の機能低下、白血球減少による易感染性を呈する。

症状

  • 門脈圧亢進症 →肝脾腫、食道静脈瘤、痔核
  • 代償性
  • 非代償性

合併症

参考2

身体所見

[show details]
  • 腹部:脾腫 ← 門脈圧と脾腫の程度は相関しない (QB.B-315)

検査

血算

  • 汎血球減少 pancytopenia
  • 血小板減少が門脈圧亢進の最初の徴候(HIM.1978)
  • 白血球減少 ← 門脈圧亢進によるうっ血性の脾腫に伴う脾機能亢進。 骨髄での産生低下も原因らしい(出典不明)

血液生化学

  • 肝細胞機能不全と肝細胞障害を反映
  • 蛋白合成能低下:
  • 解毒能低下
  • 総ビリルビン T-Bil:上昇
  • アンモニア NH3:上昇
  • Fischer比:低下
  • 肝臓の線維化
  • 線維化マーカー (ヒアルロン酸、IV型コラ-ゲン):上昇
  • 膠質反応(TTT,ZTT):上昇
  • γグロブリン:上昇  ← ?
  • 肝細胞障害
  • 排泄能低下
  • 糖代謝異常
  • 糖の処理障害により食後高血糖を来しやすく、糖尿病を発症しやすい。
  • 低アルブミン血症に続発
  • 低ナトリウム血症、血漿浸透圧低下 ← 血液中の水が間質に移動する結果、電解質も共に移動する。血液中には水が過剰となり、低ナトリウム血症、血症浸透圧低下となる。volume depletionに対してADHが主に作用するからか、あるいはH2Oが移動しやすいからなのかは不明。

免疫血清検査

多クローン性γグロブリン血症
  • IgG:増加する傾向あり。 ← 門脈血が肝臓を通過せずにリンパ組織に流れ込む結果。著しく高値であったら自己免疫性肝炎。(参考1)
  • IgM:高値であったら90-95%はPBCである。(参考1)
  • 壊死、炎症が持続的に起きているから上がると解釈することもできる、みたい。

画像

  • (US,CT, MRI,Angio,肝シンチ、上部消化管内視鏡)

腹腔鏡、肝生検

  • 診断のgolden standard

Fisher比

  • 分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acids, BCAA)と芳香族アミノ酸(aromatic amino acids; AAA)の分子比(モル比)
肝臓、末梢(筋肉など)でよく代謝される
ほぼ肝臓で代謝される
  • BCAA/AAA
  • 健常者     :3.0以上
  • 非代償性の肝硬変:低下

診断

治療

IMD 参考2 YN.B-47
  • 治療のゴールは、(1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させること、(2)他の原因による肝臓障害を予防すること、(3)合併症の予防、(4)肝移植の時期を決定することである。
  • 方針:原疾患の治療を行い、肝硬変の進展を抑えるように食事、生活療法を行う、非代償期には合併症の治療を行う。
  • (1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させる:原疾患の治療を行う(自己免疫性肝炎であればステロイドや免疫抑制薬、アルコール性肝障害であれば禁酒、ウイルス性肝炎であれば病原体に応じた治療)。
  • (2)他の原因による肝臓障害を予防する:肝臓に障害を与えないようにする(アルコール摂取、アセトアミノフェンの過剰服用)。予防接種を受ける(肝予備能がほとんど無ければA型肝炎、B型肝炎。肺炎球菌、インフルエンザウイルスに対する予防接種も考慮される。
  • (3)合併症の予防:肝細胞癌、静脈瘤出血、特発性細菌性腹膜炎、肝腎症候群、肝性脳症、肝肺症候群
  • (4)肝移植の時期を決定:

代償期

  • 食後の安静、適切な熱量で適切な蛋白質(1.2-1.5g/kg)の食事を摂取、ビタミンB、ビタミンK補充
  • 肝庇護薬(グリチルリチンなど)

非代償期

  • 腹水に対する治療
  • 食事療法:
  • 食塩制限(3-5g以下)、飲水制限(1L/day) ← 腹水貯留予防
  • 蛋白質の補充:分枝鎖アミノ酸の多い食事、分枝鎖アミノ酸製剤の点滴。NH3が上昇するなど肝性脳症の危険があれば低蛋白食とする。
  • 膠質浸透圧の維持:アルブミン製剤 ← たしか、蛋白質の補充としてではないよね
  • 早朝低血糖に対し、夜食を勧める(肝機能低下により糖新生↓のはず)。(出典不明)
  • 利尿薬:抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)、フロセミド、サイアザイド  →  後2者はhypokalemiaからmetabolic alkalosisを惹起、アンモニアのNH4+ ⇔ NH3 + H+の平衡を左に移行させてアンモニアの排泄を阻害、高アンモニア血症を増悪しうる(非イオン化状態では尿細管で再吸収されやすいはず)(出典不明)。
  • 腹水濃縮再注入法
  • 肝内門脈大循環シャント、腹膜静脈短絡術
  • 食道静脈瘤の治療:内視鏡的食道静脈瘤硬化術・結紮術、外科的治療
  • 肝性脳症の治療:腹水の食事療法に準じるが、NH3再吸収につながる便秘の予防に気をつける。
  • 肝移植

予後

  • 死因:(1)肝性脳症、(2)静脈瘤破綻、(3)肝癌合併
  • (1),(2)の治療が発達したことにより、(3)での死亡が増加している。

参考

  • 1. [charged] Diagnostic approach to the patient with cirrhosis - uptodate [2]
  • 2. [charged] Overview of the complications, prognosis, and management of cirrhosis - uptodate [3]

国試



癌」

  [★]

cancer
悪性腫瘍


種類

  • 癌腫(carcinoma):上皮性
  • 肉腫(sarcoma):間葉系
  • carcinoma:腺癌(adenocarcinma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、移行上皮癌(transitional cell carcinoma)
  • sarcoma:骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫

Neoplasm Causes Effect
Small cell lung carcinoma ACTH or ACTH-like peptide Cushing’s syndrome
Small cell lung carcinoma and intracranial neoplasms ADH SIADH
Squamous cell lung carcinoma, renal cell carcinoma, breast carcinoma, multiple myeloma, and bone metastasis (lysed bone) PTH-related peptide, TGF-β, TNF-α, IL-1 Hypercalcemia
Renal cell carcinoma, hemangioblastoma Erythropoietin Polycythemia
Thymoma, small cell lung carcinoma Antibodies against presynaptic Ca2+ channels at neuromuscular junction Lambert-Eaton syndrome (muscle weakness)
Leukemias and lymphomas Hyperuricemia due to excess nucleic acid turnover (i.e., cytotoxic therapy) Gout, urate nephropathy
  • 最新癌統計
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/pub/statistics01.html
●2005年の死亡数が多い部位は順に
  1位 2位 3位 4位 5位  
男性 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は4位
女性 結腸 肝臓 乳房 結腸と直腸を合わせた大腸は1位
男女計 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3位
 
●2001年の罹患数が多い部位は順に
  1位 2位 3位 4位 5位  
男性 結腸 肝臓 前立腺 結腸と直腸を合わせた大腸は2位
女性 乳房*1 結腸 子宮*1 結腸と直腸を合わせた大腸は1位
男女計 結腸 乳房*1 肝臓 結腸と直腸を合わせた大腸は2位
*1上皮内がんを含む。


癌の素因となる遺伝子

HIM.494
Table 79-1 Cancer Predisposition Syndromes and Associated Genes
Syndrome Gene Chromosome Inheritance Tumors
ataxia telangiectasia ATM  11q22-q23 AR breast cancer
autoimmune lymphoproliferative syndrome FAS 10q24 AD lymphomas
FASL 1q23  
Bloom syndrome BLM  15q26.1 AR cancer of all types
Cowden syndrome PTEN  10q23 AD breast, thyroid
familial adenomatous polyposis APC  5q21 AD intestinal adenoma, colorectal cancer
familial melanoma p16INK4  9p21 AD melanoma, pancreatic cancer
familial Wilms tumor WT1  11p13 AD pediatric kidney cancer
hereditary breast/ovarian cancer BRCA1 17q21 AD breast, ovarian, colon, prostate
BRCA2 13q12.3  
hereditary diffuse gastric cancer CDH1  16q22 AD stomach cancers
hereditary multiple exostoses EXT1 8q24 AD exostoses, chondrosarcoma
EXT2 11p11-12  
hereditary prostate cancer HPC1  1q24-25 AD prostate carcinoma
hereditary retinoblastoma RB1  13q14.2 AD retinoblastoma, osteosarcoma
hereditary nonpolyposis colon cancer (HNPCC) MSH2 2p16 AD colon, endometrial, ovarian, stomach, small bowel, ureter carcinoma
MLH1 3p21.3  
MSH6 2p16  
PMS2 7p22  
hereditary papillary renal carcinoma MET  7q31 AD papillary renal tumor
juvenile polyposis SMAD4  18q21 AD gastrointestinal, pancreatic cancers
Li-Fraumeni TP53  17p13.1 AD sarcoma, breast cancer
multiple endocrine neoplasia type 1 MEN1  11q13 AD parathyroid, endocrine, pancreas, and pituitary
multiple endocrine neoplasia type 2a RET  10q11.2 AD medullary thyroid carcinoma, pheochromocytoma
neurofibromatosis type 1 NF1  17q11.2 AD neurofibroma, neurofibrosarcoma, brain tumor
neurofibromatosis type 2 NF2  22q12.2 AD vestibular schwannoma, meningioma, spine
nevoid basal cell carcinoma syndrome (Gorlin's syndrome) PTCH  9q22.3 AD basal cell carcinoma, medulloblastoma, jaw cysts
tuberous sclerosis TSC1 9q34 AD angiofibroma, renal angiomyolipoma
TSC2 16p13.3  
von Hippel–Lindau VHL  3p25-26 AD kidney, cerebellum, pheochromocytoma
癌遺伝子癌抑制遺伝子

癌の危険因子

生活習慣病#生活習慣病などのリスクファクターを改変
疾患 危険因子 防御因子
悪性腫瘍 胃癌 塩辛い食品、喫煙、くん製製品、ニトロソアミン土壌、腸上皮化生Helicobacter pyroli ビタミンC、野菜、果実
食道癌 喫煙飲酒、熱い飲食物 野菜、果実
結腸癌 高脂肪食、肉食、低い身体活動、腸内細菌叢の変化、遺伝(家族性大腸腺腫症)  
肝癌 HBVキャリア・HCVキャリア、アフラトキシン住血吸虫飲酒  
肺癌 喫煙(特に扁平上皮癌)、大気汚染、職業的暴露(石綿(扁平上皮癌悪性中皮腫)、クロム) 野菜、果実
膵癌 高脂肪食喫煙  
口腔癌 喫煙(口唇・舌-パイプ)、ビンロウ樹の実(口腔)、飲酒  
咽頭癌 EBウイルス(上咽頭癌)、飲酒  
喉頭癌 喫煙男性アルコール  
乳癌 高年初産、乳癌の家族歴、肥満、未婚で妊娠回数少ない、無授乳、脂肪の過剰摂取、低年齢初経、高年齢閉経 母乳授乳
子宮頚癌 初交年齢若い、早婚、多産、性交回数が多い(売春)、貧困、不潔]、HSV-2HPV流産、人工妊娠中絶回数が多い  
子宮体癌 肥満糖尿病ピルエストロゲン常用、未婚、妊娠回数少ない、乳癌後のタモキシフエン内服  
膀胱癌 喫煙鎮痛剤乱用、ビルハルツ住血吸虫サッカリン防腐剤  
皮膚癌 日光(紫外線)、ヒ素(Bowen病)  
白血病 放射線ベンゼン、地域集積性(ATL)、ダウン症(小児白血病)  
骨腫瘍 電離放射線  
甲状腺癌 ヨード欠乏または過剰  



ビスフェノールA」

  [★]

| 構造式=ファイル:Bisphenol A wiki structure.jpg | IUPAC= 4,4'-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノール | 別名= 4,4'-ジヒドロキシ-2,2'-ジフェニルプロパン
4,4'-イソプロピリデンジフェノール | 分子式=C15H16O2 | 分子量=228.29 | CAS登録番号=80-05-7 | 形状=淡いベージュ色の固体 | 密度=1.20 | 融点=157 | 融点注= | 沸点=220 | 沸点注=/4 mmHg | SMILES=C(C)(C1=CC=C(O)C=C1)(C2=CC=C(O)C=C2)C | 出典=ICSC

ビスフェノールA (bisphenol A) は2つのフェノール部位を持つ芳香族化合物である。しばしば BPA と略称される。

合成

ビスフェノールAは2当量のフェノールと1当量のアセトンの反応によって合成される。この反応はによって触媒されるが、触媒として塩酸のような鉱酸やスルホン酸型の陽イオン交換樹脂(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を硫酸などでスルホン化したもの)のような固体酸が使われる。さらに反応速度や選択性の向上を目的に、チオール化合物のような含硫黄化合物を触媒に共存させることが一般に行われている。 一般に、フェノールは大過剰にして反応を行う。

(CH3)2CO + 2 C6H5OH → (CH3)2C(C6H4OH)2 + H2O

合成された大過剰のフェノールを含む反応液を冷却すると、ビスフェノールA:フェノール=1:1の付加物結晶(アダクト)が得られるので、これを分離・洗浄した後、結晶を加熱・溶融し、フェノールを蒸留などで除去すると、高純度のビスフェノールAが得られる。工業的にはこれを1〜2ミリ程度の球状に粒子化(プリル)して製品化している。

多くのケトンは同様な縮合反応を起こす。この合成法では副産物が水しか生成しないため効率的である<ref name=Fiege>Template:citation</ref>。

歴史・用途

1891年にロシアの化学者ディアニン (A. P. Dianin) によって初めて合成された<ref>Dianin, A. P. (1891). Zhurnal russkogo fiziko-khimicheskogo obshchestva 23: 492.</ref><ref>Zincke, Th. (1905). "Mittheilungen aus dem chemischen Laboratorium der Universität Marburg". Justus Liebigs Ann. Chem. 343: 75–131.</ref>。1930年代には合成エストロゲン(女性ホルモン)の1つとして研究されていたが、当時ジエチルスチルベストロールがエストロゲンとして強い活性を持つことが明らかにされたため、ビスフェノールAが合成エストロゲンとして使われることはなかった。

樹脂原料としての利用

現在ではポリカーボネート製のプラスチックを製造する際のモノマーや、エポキシ樹脂の原料として利用されている。抗酸化剤、あるいは重合禁止剤としてポリ塩化ビニル可塑剤に添加される。

ポリカーボネートの用途はサングラスやCDから水・食品の容器まで多くの日用品にわたり、壊れにくいため哺乳瓶にも使われている。歯科治療用の歯の詰め物や、缶詰の内側を被覆するエポキシ樹脂の中にも含まれている。

健康影響に関する研究

ビスフェノールAを原料とする樹脂からの溶出

ポリカーボネートエポキシ樹脂のようなビスフェノールAを原料とする種類の合成樹脂では、強力な洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合にビスフェノールA成分が溶け出すことが知られている。アメリカ合衆国での調査では、ヒトからかなりの確率で検出された。

内分泌攪乱化学物質としての懸念

ビスフェノールAを摂取するとエストロゲン受容体が活性化されて、エストロゲン自体に類似した生理作用を表す。1930年代に卵巣を除去したマウスにこの物質を投与する実験が行われ、作用が初めて証明された<ref>Dodds, E. C.; Lawson, W. (1936). Nature 137: 996.</ref><ref>Dodds, E. C.; Lawson, W. (1938). Proc. R. Soc. Lond., B, Biol. Sci. 125: 222–232.</ref>。

フォム・サールによる「低用量仮説」

ビスフェノールAが、従来の無作用量より遥かに低濃度でのみ毒性を有する、という「低用量仮説」が提唱された。これは従来の薬理学とは全く矛盾する内容であったため、大きな議論となった。

フォム・サール (F. vom Saal) とヒューズ (Claude Hughes) の論文(2004年)によると、合成樹脂の製造業者らが行った検証(11件)ではエストロゲン様作用が認められなかったのに対し、他機関の研究では104例中の約9割で上記の症状が出るという結果となった。これをフォム・サールらは、製造業者らが都合の良い試験結果のみを採用したためであると主張した<ref>vom Saal, F.S.; Hughes, C. (2005). Environ. Health Perspect. 113(8): 926–933. PMID 16079060</ref>。アメリカ・プラスチック協会によって資金を提供されているハーバード・リスク分析センターによる以前の報告では、危険性を証明するにはまだ根拠が乏しく、定量的に証明できていないとされていた。ヒューズはハーバード・リスク分析センターの委員を務めていたが、彼は上記の論文の中で、その見解は時代遅れのものである、なぜなら2001年から出版されている低用量のビスフェノールAに関する多くの論文のうちわずかしか考慮していないからだ、と述べている。

2006年、フォム・サールとウェルションス (Wade V. Welshons) は、製造業者の資金提供によって行われた少数の研究が低用量のビスフェノールAの効果を見落としていた原因について、詳細な分析を報告した<ref>vom Saal, F. S.; Welshons, W. (2006). Environ. Res. 100: 50–76. DOI: 10.1016/j.envres.2005.09.001</ref>。また、アメリカ政府機関によって開設された委員会による再調査によると、それらの論文の1つは実際にはビスフェノールAについての影響を発見していたにも関わらず、この結果を否定する内容になっていた。一部の研究では陽性対照を使っておらず、他の研究との比較によって陰性対照が汚染されていた可能性も示された。さらに、エストロゲンに反応しにくい種類のラットを使用した研究もいくつか存在した。

その後の研究の経過

アメリカ化学工業毒性研究所は、フォン・サールらによる「低容量仮説」を慎重に検証し、彼らの実験結果が再現しないと発表した。またハーバード大学リスク分析センターや各国の政府機関(FDA、EFSA、ECBなど)でも低用量仮説を含めた研究結果を集めて詳細に検討し、ビスフェノールAはヒトの健康に影響がないことを報告している。

現在ではビスフェノールAは、他の「環境ホルモン」疑惑を受けた化合物と同様、通常の摂取条件ではヒトに対して大きな影響を及ぼすものではないという考えが強まっている。ただし生態系への影響、胎児や乳幼児への影響に関してはまだ研究が進行中である<ref>「メディア・バイアス」 松永和紀著(2007年,光文社新書)</ref>。

厚生労働省は、「成人への影響は現時点では確認できない」としながらも、「公衆衛生上の見地から、ビスフェノールAの摂取をできるだけ減らすことが適当」と報道発表(2008年7月8日)した。また、同日に一般消費者向けの「ビスフェノールAについてのQ&A」が公表されている。<ref>ビスフェノールAがヒトの健康に与える影響について,厚生労働省 (2008年7月8日)</ref>

参考文献

<references />



★コメント★

[メモ入力エリア]
※コメント5000文字まで
ニックネーム:
コメント:




表示
個人用ツール


  meddic.jp

リンク
連絡