ウェゲナー肉芽腫症

出典: meddic

Wegener's granulomatosis, Wegener granulomatosis, WG
(国試)Wegener肉芽腫症ウェゲナー肉芽腫 → 多発血管炎性肉芽腫症 granulomatosis with polyangiitis
難病血管炎

概念

  • 難病であり、特定疾患治療研究事業に指定されている。
  • 全身性に小動脈以下に壊死性肉芽腫性血管炎を生じる疾患で、特に鼻、肺、腎に出現する上気道症状、下気道症状、腎症が三主徴とされる
  • 病理的には上気道・肺に壊死性肉芽腫、腎臓では半月体形成腎炎が認められる。
  • PR3-ANCA陽性が特徴的である。

疫学

  • 性別:男女比1:1で性差はなし。
  • 年齢:中年に多い。男性では30-60歳代、女性では50-60歳代が多い

病因

  • 詳細には分かっていない。
  • 日本ではHLA抗原との相関は見られない。
  • III型アレルギーとIV型アレルギーなどの免疫機構が関与すると考えられている。
  • PR3-ANCA炎症性サイトカインにより好中球が活性化して、活性酸素や蛋白分解酵素が血管壁に固着した好中球より放出され、血管炎や肉芽腫性炎を起こすと考えられている。

病型

  • 全身型:以下の症状が全て出現
  • 限局型(不全型?):以下の症状の一部が出現

病理

参考2
  • 1. 上気道、肺、腎臓の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎
  • 2. 免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎
  • 3. 小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎

経過

参考2
  • 症状はELKの順に出現し、難治性の鼻炎、副鼻腔炎に続いて咳嗽、血痰、胸痛を来たし、発熱、体重減少、腎不全を呈するようになる。

症状

参考2

上気道の症状

E
  • 鼻:鞍鼻(鼻中隔の破壊による)、膿性鼻漏、出血
  • 眼:眼痛、視力低下、眼球突出(副鼻腔の骨破壊が起きた場合)  「肉芽腫性強膜ぶどう膜炎」も起こる。眼球炎、頭蓋骨の骨破壊も起きうる。
  • 耳:中耳炎
  • 口腔・咽頭:潰瘍、嗄声、気道閉塞  咽喉頭潰瘍も起きうる。

肺の症状

L
壊死性肉芽腫性病変の多発による結節影や空洞の形成。肺炎様陰影、血性胸水などもみられる。
  • 血痰、咳嗽、呼吸困難

腎の症状

K
急速進行性糸球体腎炎(病理的には巣状分節状糸球体腎炎~半月体形成性糸球体腎炎)による症状
  • 血尿、蛋白尿、急速な腎不全、浮腫、高血圧

その他症状

  • 全身症状:発熱、体重減少
  • 紫斑、多関節炎、上強膜炎、多発神経炎、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、消化管出血(吐血、下血)、胸膜炎

検査

  • 血液生化学
  • 白血球:増加
  • CRP:上昇
  • BUN:上昇
  • クレアチニン:上昇
  • 血清学的検査
  • 尿検査
  • 血尿、タンパク尿
  • 画像検査
  • 胸部単純X線写真:結節性陰影
  • 胸部単純CT:結節性陰影

治療

  • 免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリン)と大量の副腎皮質ステロイドを併用。
(副作用)シクロホスファミド:骨髄抑制、出血性膀胱炎。副腎皮質ステロイド:種々
  • 病状に応じて漸減し、一剤の維持療法とする。

予後

  • 未治療で数ヵ月から1-2年で死亡
  • 発症早期の免疫抑制療法による加療で高率に寛解

症候スペクトル

病態 レイノー現象 抗核抗体 リウマトイド因子 抗好中球細胞質抗体 皮疹 皮下結節 関節炎 筋炎 漿膜炎 自己抗体
                  PR-3 ANCA
 
病理 壊死性血管炎 糸球体腎炎 間質性肺炎 心炎 唾液腺炎 オニオンスキン病変 ワイヤーループ病変 ヘマトキシリン体 LE細胞  
                 

参考

  • 1. 難病
http://www.nanbyou.or.jp/entry/210
  • 2. 認定基準
http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/006_s.pdf




Wikipedia preview

出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/20 19:47:23」(JST)

wiki ja

[Wiki ja表示]

UpToDate Contents

全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.

和文文献

  • P2-05-5 耳鼻咽喉科におけるウェゲナー肉芽腫症についてのアンケート全国調査(P2-05 自己免疫疾患5,ポスターセッション,第23回日本アレルギー学会春季臨床大会)
  • 長門 利純,岸部 幹,駒林 優樹,高原 幹,片山 昭公,國部 勇,片田 彰博,林 達哉,原渕 保明
  • アレルギー 60(3・4), 482, 2011-04-10
  • NAID 110008594614
  • 膠原病と臓器障害(第4回)膠原病と耳鼻咽喉科領域の障害
  • Wegener肉芽腫症による軟口蓋全欠損に対しスピーチエイドを装着した1例
  • 勝見 祐二,飯田 明彦,福田 純一 [他]
  • 日本口腔外科学会雑誌 57(8), 471-475, 2011-08
  • NAID 40018967648
  • 陰茎部腫瘤の生検から確定診断に至った Wegener 肉芽腫症の1例
  • 宮内 康行,山岡 伸好,岡添 誉,森 由弘,厚井 文一,香月 奈穂美,筧 善行
  • 西日本泌尿器科 72(9), 508-512, 2010-09-20
  • NAID 10026929779

関連リンク

ウェゲナー肉芽腫症(英語: Wegener's granulomatosis)は全身性の血管炎で、中~ 小型動脈を傷害する疾患。1939年ドイツの病理学者 Wegener ... 現在多発血管炎性 肉芽腫症(Granulomatosis with polyangiits; GPA)との名称変更が検討されている。
そこで、発見者の名前をとってWegener(ウェゲナー)肉芽腫症と呼ばれるようになりまし た。発熱、全身倦怠感、食欲不振などの炎症を思わせる症状と、鼻、眼、耳、咽喉頭など の上気道および肺、腎の3つの臓器の炎症による症状が、一度にあるいは次々に ...
家庭医学館 ウェゲナー肉芽腫症の用語解説 - [どんな病気か] ウェジナー肉芽腫症とも いい、血管炎(けっかんえん)の1つです。鼻腔(びくう)などの上気道(じょうきどう)、肺 などの下気道(かきどう)に、血管の炎症により血管が腫(は)れたり閉塞(へいそく)し、 ...

関連画像

e0156318_18513869.jpghttp://pds2.exblog.jp/pds/1/201002/03/18 230px-C_anca.jpghttp://pds.exblog.jp/pds/1/201001/16/18 Wegner肉芽腫症ミクロ像 図1:鞍鼻イメージ 1ウェゲナー肉芽腫症写真


★リンクテーブル★
先読み血管炎」「granulomatosis with polyangiitis
国試過去問105B044
リンク元ニューモシスチス肺炎」「自己抗体」「聴診」「半月体形成性糸球体腎炎」「空洞性肺病変
関連記事肉芽腫」「」「肉芽腫症」「肉芽」「芽腫

血管炎」

  [★]

angiitis
脈管炎 vasculitis vasculitides血管内膜炎、血管炎症候群


参考

  • 1. 血管炎症候群の診療ガイドライン
[display]http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_ozaki_h.pdf




granulomatosis with polyangiitis」

  [★] 多発血管炎性肉芽腫症


105B044」

  [★]

  • 61歳の男性。血痰を主訴に来院した。 1か月前から全身倦怠感を自覚し、食欲が低下していた。 2日前から尿量が少なくなり、下腿に浮腫が出現した。今朝から尿が赤くなり、血痰が出るようになった。体温37.8℃。脈拍104/分、整。血圧182/108 mmHg。皮膚に出血斑を認めない。両側肺野にcoarse cracklesを聴取する。下腿に浮腫を認める。尿所見:肉眼的血尿、蛋白2+、糖(-)、潜血3+。血液所見:赤血球 250万、 Hb 7.8g/dl, Ht 23%、白血球 8,500、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dl、アルブミン 4.9g/dl、尿素窒素 72mg/dl、クレアチニン 5.5mg/dl、尿酸 9.2mg/dl、Na 141mEq/l、K 5.9mEq/l、Cl 102mEq/l。免疫学所見:CRP 3.2mg/dl、抗基底膜抗体陰性。
  • アレルギー反応のCoombs分類で、この疾患と同じ型に属するのはどれか。


[正答]


※国試ナビ4※ 105B043]←[国試_105]→[105B045

ニューモシスチス肺炎」

  [★]

pneumocystis pneumonia, pneumocystis jirovecii pneumonia pneumocystis jirovecn pneumonia
カリニ肺炎 carinii pneumoniaPneumocystis肺炎
ニューモシスチス・カリニ肺炎 pneumocystis carinii pneumonia PCPニューモシスチス・カリニ肺炎ニューモシステイスカリニ肺炎
ニューモシスチス症 pneumocystosis

病原体

病因

  • CD4+リンパ球が200/μ以下の患者に発生する
IMD.1083
  • 剖検例で悪性リンパ腫の1/4、成人T細胞白血病の1/10、全身性エリテマトーデスの1/20 に認められる。
  • AIDSに高率に合併。

リスク因子

非HIV

  • 別の易感染性の原因を有するグルココルチコイド投与患者
  • 他の免疫抑制薬
  • 細胞性免疫不全
  • 悪性腫瘍(特に造血系悪性腫瘍)
  • 造血幹細胞移植(HCT、特にallogeneic HCT)
  • 固形臓器の臓器移植
  • 拒絶反応に対する治療
  • 炎症状態に対する治療(例えば、多発血管炎を伴う肉芽腫症など(ウェゲナー肉芽腫症)
  • 重症の低栄養(特に低蛋白)
  • 一次性免疫不全(特に重症複合免疫不全)
  • 未熟児


症状

  • 乾性咳嗽、発熱、呼吸困難

検査

  • 末梢血液検査:リンパ球数減少。
  • 胸部X線検査:肺門から両肺野にかけて微細な網状から索状影を認め、徐々にすりガラス様陰影となる。
  • 呼吸機能検査:PaO2 が基準値の 1/2~1/3 に低下。PaCO2 は上昇することもある。
  • (USMLE:first aid step1 2006 p.147)
  • diagnosed by lung biopsy or lavage
  • identified by methenamine silver stain of lung tissue

胸部X線写真

  • 両側性に肺門から末梢に拡がる間質性陰影


治療

予後

  • 無治療の場合、ほぼ死亡
  • HIV患者よりも非HIV患者の方が致死率が高い。

国試




自己抗体」

  [★]

autoantibody
抗体


疾患特異的自己抗体

  • 抗Sm抗体-SLE
  • 抗RNA抗体-SLE,MCTD(overlap syndrome)
  • 抗SS-B抗体-シェーグレーン症候群
  • 抗Scl-70抗体-強皮症
  • 抗セントロメア抗体-強皮症(手足限局型)
  • 抗Jo-1抗体-多発性筋炎
  • 抗白血球細胞質抗体(ANCA)
  • C-ANCA-Wegener肉芽腫
  • P-ANCA-壊死性半月体形成性腎炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ-ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)
自己免疫性疾患 疾患標識自己抗体
関節リウマチ 抗CCP抗体,リウマトイド因子(抗IgG抗体)
全身性エリテマトーデス 抗ds-DNA抗体,抗Sm抗体,抗リン脂質抗体
中枢神経ループス 抗リボゾームP抗体,抗NMDA抗体
強皮症 抗Scl-70抗体,抗セントロメア抗体
皮膚筋炎多発性筋炎 抗Jo-1抗体,抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体
混合性結合組織病 抗RNP抗体
抗リン脂質抗体症候群 抗リン脂質抗体
ウェゲナー肉芽腫症 PR3-ANCA
顕微鏡的多発血管炎 MPO-ANCA
Churg-Strauss症候群 MPO-ANCA

特異的自己抗体 NDE.178

疾患名 自己抗体
全身性エリテマトーデス 抗dsDNA抗体
抗Sm抗体
全身性強皮症 抗Scl-70抗体
抗セントロメア抗体
抗Mi-2抗体
多発性筋炎/皮膚筋炎 抗Jo-1抗体
抗PL-7抗体
抗Mi-2抗体
混合性結合組織病 抗RNP抗体
オーバーラップ症候群 抗dsDNA抗体
抗Sm抗体
抗Scl-70抗体
抗Jo-1抗体
抗Ku抗体
Sjögren症候群 抗SS-A抗体
抗SS-B抗体



聴診」

  [★]

auscultation


  • 頚部:総頚動脈、甲状腺
  • 胸部:肺、心臓
  • 腹部:腸蠕動音、大動脈雑音
  • 下肢:大腿動脈雑音

肺音の聴診

連続性 吸気時 strider       気道狭窄音 気道狭窄音
連続性 低調整 呼気時 rhonchi   ≦200Hz >250ms   COPD気管支喘息気管支拡張症びまん性汎細気管支炎
連続性 高調性 呼気時 wheeze   ≧400Hz >250ms 気管壁がフラッタリングすることで発生 COPD気管支喘息気管支拡張症びまん性汎細気管支炎気管支喘息では複数の様々な音声が発生し、random polyphonic wheezes
連続性/断続性 高調性 吸気時 squawk     ≦100ms 吸気により細い気管支が再開放する時に、気管支壁が短時間共振し発生 間質性肺炎肺線維症びまん性汎細気管支炎過敏性肺臓炎ウェゲナー肉芽腫症気管支拡張症石綿肺
断続性 低調整 吸気時 coarse crackle early inspiratory crackle 250-500Hz 10~25ms 太い気道内の分泌液の膜の前後に、吸気時の圧較差が生じ、それが破れるときに発生。個々の音はfine crackleより長め 気管支拡張症COPDびまん性汎細気管支炎、進行した肺水腫
断続性 高調性 吸気時 fine crackle late inspiratory crackle 500~1000Hz ≦5ms 呼気時に閉塞した末梢気道が吸気時に再開放されるときに発生 特発性間質性肺炎特発性肺線維症石綿肺過敏性肺炎、肺水腫初期


  • 腹部



半月体形成性糸球体腎炎」

  [★]

crescentic glomerulonephritis CrGN
半月体性糸球体腎炎
半月体急速進行性糸球体腎炎糸球体腎炎
[show details]

概念

  • 糸球体腎炎の病理診断名の一つ

病理

  • 半月体:ボウマン嚢の障害を受けた壁側上皮細胞(parietal epithelial cell)の増殖、および単球やマクロファージの浸潤による。
  • 半月体の成立には免疫が介在している。

免疫学的所見に基づく分類

BPT.557
  • type II:免疫複合体
  • type III:ANCA関連(Pauci-Immune)

参考

  • 1. 写真
[display]http://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/zinzo/img/kyusoku01.jpg
  • 2.写真
[display]http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/career/course/image/n_jinzo/jinzou_3.jpg

国試

[show details]






空洞性肺病変」

  [★]

空洞形成空洞

空洞性肺病変の鑑別

IRE.527
肺化膿症で実質の破壊が進展し膿が貯留して肺膿瘍を形成する。この場合にも空洞性肺病変を生じうる。
  • 感染性
  • 非感染性

肉芽腫」

  [★]

granuloma
肉芽腫症

分類

NDE.34

肉芽腫を形成する疾患

  • 感染症
  • 抗酸菌(結核、、らい菌)
  • 真菌(クリプトコッカス、アスペルギルス、ヒストプラズマ、ブラストミセス、コクシジオイデスなど)
  • トレポネーマ(梅毒)
  • その他の菌(ネコひっかき病など)
  • 炎症性疾患(サルコイドーシス、クローン病、血管炎・膠原病、過敏性肺臓炎など)
  • 異物(ベリリウム、バリウム、縫合糸)



症」

  [★]

sis, pathy
  • 検査や徴候に加えて症状が出ている状態


肉芽腫症」

  [★]

granulomatosisgranulomatous disease
肉芽腫性疾患


肉芽」

  [★]

bulbilbrood bud
ムカゴ鱗芽


芽腫」

  [★]

blastoma
芽細胞腫




★コメント★

[メモ入力エリア]
※コメント5000文字まで
ニックネーム:
コメント:




表示
個人用ツール


  meddic.jp

リンク
連絡