- 英
- high-energy phosphate compound
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/15 21:48:22」(JST)
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高エネルギーリン酸結合(こうエネルギーリンさんけつごう、high‐energy phosphate bond, energy‐rich phosphate bond)とはアデノシン三リン酸など高エネルギーリン酸化合物が有するリン酸無水物結合を意味する生化学上の概念である。
ピロリン酸など、通常のリン酸化合物においては、リン酸無水物結合の加水分解による切断時の標準自由エネルギーの減少は3000cal/mol程度である。それに対して、ATPの加水分解における減少は7000cal/molにも達することが実験的に確認されている。それ故、この種のリン酸結合を有する化合物を高エネルギーリン酸化合物と呼ぶ。なお、反応の自由エネルギー変化が大きいのであって、P-O間の結合エネルギーは一般の化合物と比べて特に大きいわけではない点に注意が必要である。
生化学では高エネルギーリン酸化合物を化学式で表す場合のみリン酸をPを丸で括った記号を用い、そのうち高エネルギーリン酸結合を「~」(波線)で表すことがある。例えば、アデノシン三リン酸の場合、アデノシンと結合しているリン酸は通常の結合であるが、リン酸間を結んでいる結合は~で表される。
生体内の物質代謝における反応には、化学ポテンシャルの変化から自発的に進行すると予測される方向とは異なる方向に進行するものが多い。そのほとんどは、高エネルギーリン酸結合の切断反応と共役することで実現されている。したがって、高エネルギーリン酸化合物の持つ生化学的な意味は大きい。言い換えると、筋肉の収縮や濃度勾配に逆らった物質輸送は、高エネルギーリン酸結合の関与によって初めて成し得るものである。
アデノシン三リン酸などのリン酸無水物結合が高エネルギー結合となる原因については、共鳴エネルギーの低下やリン酸間の静電反発の増大あるいは、母核化合物の互変異性など高エネルギーリン酸化合物の構造に由来する原因が複合していると考えられている。
高エネルギーリン酸化合物
次に、高エネルギーリン酸化合物を示す。
- ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸 = アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)等
- アシルリン酸 = アセチルリン酸 等
- グアニジンリン酸 = クレアチンリン酸 等
- エノールリン酸 = ホスホエノールピルビン酸 等
参考文献
- McGilvery, R. W. and Goldstein, G., Biochemistry - A Functional Approach, W. B. Saunders and Co, 1979, 345-351.
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Na+/Ca2+交換の選択的阻害薬であるSEA0400は、虚血/再灌流障害に対して心機能および高エネルギーリン酸化合物を保持する
- C-16 Ca^<2+>-ATPaseはイオンの濃度勾配なしに低エネルギーリン酸化合物から高エネルギーリン酸化合物を生成する(一般口演,第30回杏林医学会総会)
- 細菌における脱炭酸反応とエネルギー代謝:乳酸菌を中心に
- 阿部 敬悦,樋口 猛
- 日本乳酸菌学会誌 12(2), 68-81, 2001
- 細菌においては高エネルギーリン酸化合物(ATP) やイオンの濃度勾配(proton motive force [pmf])といった形態の代謝エネルギーが種々の生物反応の維持に用いられる。それら二種のエネルギー形態はFoF<SUB>1</SUB>-ATPaseを介して相互に変換可能である。細菌の栄養取り込みは,一般にそれらの代謝エネルギーを消費するものと考えられてきた。しかし …
- NAID 130004628995
Related Links
- デジタル大辞泉 - 高エネルギー化合物の用語解説 - 生体内で加水分解される際に大きな自由エネルギーを放出する化合物。ATP・ホスホエノールピルビン酸・クレアチンリン酸などの高エネルギーリン酸化合物や、チオエステルの ...
- 世界大百科事典 第2版 - 高エネルギーリン酸化合物の用語解説 - 構造式中に~でその所在を示す場合がある。生体物質の中で重要なものにはATP(アデノシン三リン酸)のピロリン酸結合,アセチルリン酸のアシルリン酸結合 ...
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★リンクテーブル★
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高エネルギーリン酸化合物
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
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- 英
- energy
- 関
- エネルギー代謝
- 食事のカロリー、熱量の意味で使われることがある。ちなみに肝硬変の代償期の食事は30-35cal/kgが推奨される。
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- 英
- combination
- 関
- 組み合わせ、配合、併用、合併、コンビネーション、組合せ
[★]
- 英
- compound
- 関
- コンパウンド、配合、複方