出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/08/03 02:17:25」(JST)
遠隔作用(えんかくさよう、英語: action at a distance, nonlocal interaction )とは物体が空間を隔てて直接力を及ぼす描像。非接触力。対となる概念は近接作用。
近接作用と異なり、遠隔作用は物体の間の距離を無視して力が伝わる。従って、近接作用論で物体間の距離による遅延があらわになるような場合、遠隔作用論は誤った結論を導く(あるいは補正のための新たな概念を要する)。 逆に、近接作用論においても力の伝播速度に対して距離が無視できるほど小さいならば、遠隔作用論と近接作用論の結論は一致する。
ニュートン以前の力学では物体が接触することで力を及ぼすという、近接作用による説明が主流であったが、ルネ・デカルトやクリスティアーン・ホイヘンス、アイザック・ニュートンなどの重力を近接作用論によって説明する試みが失敗に終わると、重力や静電気力などは遠隔点にある物体同士が作用によって直接結ばれているとする、遠隔作用論による説明がなされるようになった。
その後19世紀に入って、電磁誘導などの現象が知られるようになると、ニュートン流の遠隔作用論的な電磁気理論は破綻し、代わりにマイケル・ファラデーの提唱した場によって電磁気現象が記述されるようになった。ジェームズ・クラーク・マクスウェルはファラデーのアイデアを取り入れた電磁気理論を構築した。このマクスウェル理論はオリヴァー・ヘヴィサイドによって現在なじみのあるベクトル解析の形式に書き直された。 こうして完成された古典的電磁気学とニュートン力学には形式的に隔たりが生じており、両者を統一的な形式で説明するために、アルベルト・アインシュタインは相対性理論を提案した。ニュートン力学では重力は遠隔作用によって記述されていたが、アインシュタインの一般相対性理論においては近接作用の立場で説明されていて、遠隔作用による説明は結局否定されることとなった。
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