Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/12/13 21:11:39」(JST)
[Wiki ja表示]
精神分析学のシリーズ記事 |
精神分析学 |
---|
|
概念
- エリクソンの心理社会的発達理論
- 心理性的発達理論
- 意識
- 前意識
- 無意識
- 精神装置(英語版)
- イド・エゴ・スーパーエゴ
- リビドー
- 動因理論(英語版)
- 転移
- 逆転移
- 防衛機制
- 抵抗(英語版)
- 投影
- 否認
|
重要人物
- アルフレッド・アドラー
- マイケル・バリント
- ウィルフレッド・ビオン
- ヨーゼフ・ブロイアー
- ナンシー・チョドロウ
- マックス・アイティンゴン
- エリク・H・エリクソン
- ロナルド・フェアバーン
- ポール・フェダーン
- オットー・フェニケル
- フェレンツィ・シャーンドル
- アンナ・フロイト
- ジークムント・フロイト
- エーリヒ・フロム
- ハリー・ガントリップ
- カレン・ホーナイ
- エディス・ジェイコブソン
- アーネスト・ジョーンズ
- カール・グスタフ・ユング
- ハインツ・コフート
- メラニー・クライン
- ジャック・ラカン
- ロナルド・D・レイン
- マーガレット・マーラー
- ジャック=アラン・ミレール
- オットー・ランク
- ヴィルヘルム・ライヒ
- ザビーナ・シュピールライン
- ジェームズ・ストレイチー
- ハリー・スタック・サリヴァン
- スーザン・サザーランド・アイザックス(英語版)
- ドナルド・ウィニコット
|
重要な研究
夢判断
日常生活の精神病理学(英語版)
性道徳に関する3つの論文(英語版)
快原理の彼岸(英語版)
|
学派
- 自己心理学
- ラカン
- 分析心理学
- 対象関係論
- 人間関係(英語版)
- 関係(英語版)
- 自我心理学
|
|
|
| この項目には性的な表現や記述が含まれます。免責事項もお読みください。 |
男根期(だんこんき、独: phallischen / ödipalen Phase、英: phallic stage)は、ジークムント・フロイトが主張する5つの心理性的発達理論(独: Triebtheorie、英: psychosexual development、リビドー発達段階)うちのひとつで、肛門期に次いで3番目に表れる。男児においてはペニスがその主役をなし、女児においてはクリトリスがその役割を担う。ラテン語ではファルス[1]は陽根=勃起した男根を指し、性的な目覚めを意味する。
概要
フロイトによればこの時期の小児性欲の中心は性器(ペニス・クリトリス)である。子供は自分の器官の性器としての役割を知り、男女の性的違いに気づいていく(精通がある、自慰をするなど)。この気付きには個々人によって、また男児と女児で発達に違いが出てくる。時期については諸説あるが、おおむね3歳から6歳頃までとされる。またこの時期にエディプス・コンプレックスが形成される。男根期はエディプス期とも呼ばれ、重なっているとも考えられるが、この点に関しては論者によっては違いがある。いずれにしろペニスにリビドーが集中する時期を指している。
外性器を持つ男児と内性器を持つ女児とでは、この時期の生育が後天的な性格へ与える影響には差異があるとされる。女児は男根が無いことに対する違和感を覚え、男児は男根の勃起により性差を自覚する。そうした自覚から性的好奇心に目覚め、お医者さんごっこなどの行為も見られる。女児には精通のようなダイナミックな性機能の発現が初潮まで無いこと、性器の勃起の自覚が女児より男児に顕著なため、女児に限って性的な快楽に目覚めることがこの男根期への移行とされることもある。
この男根期にペニスやクリトリスを通して形成されるリビドー(部分欲動)は、エディプスコンプレックスと呼ばれる両親との三角関係によって、去勢されるかされないかの葛藤を経験し、その結果として彼のリビドーは抑圧される。自我や超自我、エスが形成されるという重要な時期として考えられる。
男根期に関してはジャック・ラカンのファルス理論などによって、さらに深められている。
男根期への固着
男根期に何らかのリビドー固着が生じると個人の性格に影響すると言われる。
例えば、男児は母親もしくは母親的な存在に強く魅かれるようになる。もしくは母性への逸脱した思慕や、年齢の極端に離れた女性への興味に固着する。いわゆるマザーコンプレックスである。これはエディプスコンプレックス時に生じていた母親を獲得したいという思いと同じものであり、神経症よる退行の原因となることもある。
男根期とエディプスコンプレックスは強く関わっている。あまりに父親から「ペニスを切り落とすぞ」というような威喝が強かった場合、そのような経験は去勢不安として残る事になる。その恐怖は恐怖症や権威への恐れなど、様々な不安へと転換される。これも神経症の素地を作る。
女児においては男児と全く正反対で、男根期に固着すると、父親や父親に似た存在に強く惹かれるようになる。これはいわゆるファーザーコンプレックスである。
また女児はペニスを持ち続けていると勘違いする事があり、これはエディプスコンプレックスの未解決に由来すると言われている。つまり男根に固着しているという事であり、こうなると女性は男性的な性格を身に付けたり、自分は男性であると考えるようになる。またその正反対にペニスが常に去勢されるという不安に怯えていると、自分は力のない女性であると考えるようになる。
以上の男根期への固着は精神分析におけるエディプスコンプレックスの理論と強く関係している。
批判と注記
後の精神分析家や、精神分析に対するフェミニストからの反論により、現代では男根期やエディプスコンプレックスにおけるペニス優位の考えは大きな批判対象となっている。
フロイトの研究は男児に偏っていたため、女児の性的発達に関しては研究が深まってはいない。ただしフロイト自身は女児の患者から得られたペニス羨望や空想研究によって、初めは女児もペニスを持っていると考えているが、自身にはペニスがない事を自覚するプロセスがあると主張している。これが女児の去勢コンプレックスであるが、女児においてペニスに当たるクリトリスに関心が集中している段階として彼は考えているようである。
またフロイトの考えるペニスという観念は、ラカンによって指摘されているが、正確にはファルスに近い。つまりそれはリビドーという人間の根本的な心的エネルギーの質を決めるものなのである。故にフロイトは立派な女性たちに対して「あなたたちは女性的ではなくて、むしろ男性的なのです」と言っている[2]。彼の男根期に対する考え方には、そもそもペニスがリビドーの質を決め、またその質が「能動的・男性的」という特徴を備えていることに注目していたようである。
脚注
- ^ 英: phallus
- ^ シグムント・フロイト『続精神分析入門』
関連項目
ヒトの生物的・心理的発達 |
---|
出生前の発達 | |
---|
出生後の発達 | |
---|
発達におけるイベント |
- 在胎
- 出生前発達
- 分娩
- 子どもの発達 (発達段階理論)
- 幼児の認知発達
- 思春期
- 老化
- 死
|
---|
発達段階理論 |
- ボウルビィ (愛着理論)
- ブロンフェンブレンナー (生態学的システム理論)
- エリクソン (エリクソンの心理社会的発達理論)
- フロイト (心理性的発達理論)
- コールバーグ (道徳性発達理論)
- ピアジェ (思考発達段階説)
- ヴィゴツキー (文化歴史的発達理論)
- 進化発達心理学(英語版)
|
---|
|
|
この項目は、哲学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(Portal:哲学)。 |
|
この項目は、性科学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(ウィキプロジェクト 性)。 |
|
この項目は、心理学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(PJ 心理学)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 妊娠していない生殖可能年齢の患者における不正子宮出血に対するアプローチapproach to abnormal uterine bleeding in nonpregnant reproductive age patients [show details]
…patient the following questions: What was the first day of the last menstrual period and several previous menstrual periods?; For how many days does bleeding continue? How many days of full bleeding and …
- 2. 女性における生殖器出血の鑑別診断differential diagnosis of genital tract bleeding in women [show details]
…However, the duration and flow of menses may be altered or there may be bleeding between menstrual periods (both may occur in the same patient). Anatomic abnormalities can often be diagnosed by imaging studies …
- 3. 妊娠可能年齢の女性に生じる不正子宮出血:用語とPALM-COEIN原因分類基準abnormal uterine bleeding in reproductive age women terminology and palm coein etiology classification [show details]
…definition of the term secondary amenorrhea, the term has been retained. However, the duration of the period of amenorrhea should be specified. The FIGO MDC has agreed with this definition, but it is important …
- 4. 産褥期の概要:疾患および合併症overview of the postpartum period disorders and complications [show details]
… The postpartum period, also known as the puerperium and the "fourth trimester," refers to the time after delivery when maternal physiologic changes related to pregnancy return to the nonpregnant state …
- 5. 妊娠前・妊娠中・出産後のてんかんのマネージメントmanagement of epilepsy during preconception pregnancy and the postpartum period [show details]
…peripartum is a time of increased seizure risk. Antiepileptic drug (AED) doses must not be missed during the period of labor. The Kerala registry of epilepsy and pregnancy reported that seizure relapse was the highest …
Japanese Journal
- 恐怖症の心理療法 : 肛門期的葛藤からエディプス葛藤へ
- 「変わっている」と思われたい自我が異和化する過程について : 摂食障害患者の治療経験から
Related Links
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - 男根期の用語解説 - リビドーの幼児期における体制の一段階で,口唇期と肛門 (こうもん) 期の後に続き,さまざまな部分欲動が性器優位の下に統合されるのがその特徴である。しかし,思春期の性器
- 男根期 (だんこんき、 独: phallischen / ödipalen Phase 、 英: phallic stage )は、 ジークムント・フロイト が主張する5つの 心理性的発達理論 ( 独: Triebtheorie 、 英: psychosexual development 、 リビドー 発達段階)うちのひとつで、 肛門期 に次いで3番目に表れる。. 男児においては ペニス がその主役をなし、女児においては クリトリス がその役割を担う。. ラテン語では ...
- 男根期(phallic stage)とは? フロイト,S における心理・性的発達段階論の第3段階で3歳頃~5歳頃までの時期にあたる。 内容