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- 一次情報源または主題と関係の深い情報源のみに頼って書かれています。(2018年7月)
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無輸血治療(むゆけつちりょう)とは、輸血をできる限り最小限度に抑え、安易な輸血を避ける治療である。
血液成分の不足により生じている病態を治療するために輸血が行われているが、輸血用の血液は限りある資源である上、濫用は感染症やGVHDのリスクを上昇させる。
病態と代替対策
- 血漿成分の不足
- 凝固因子の不足
- 代替手段はない。
- アルブミンの不足(膠質浸透圧の低下)
- ヒドロキシエチル澱粉 (HES)、低分子デキストランなどによって短時間ならば代替可能となる。ただし、これらは時間が経過すると血管外へ漏出するためむしろ膠質浸透圧の低下を増悪させる恐れがある。
- 重症感染症や自己免疫疾患
- これらを治療する目的でのグロブリンは代替の困難なことが多い。
- 赤血球の不足
- 赤血球の不足したいわゆる貧血の状態では酸素運搬が十分に行えなくなり多臓器に障害を与える恐れがある。そのため、出血の際に最も問題となるのが赤血球の不足である。また、悪性腫瘍や慢性炎症、骨髄疾患によっても赤血球は不足することがあり、これを補正するために赤血球輸血が行われる。
- 急性出血
- 代替手段はない。
- 慢性疾患
- 代替手段はない。
- 自己血輸血
- 予定された手術の場合は、大出血が予想されていれば自己血輸血が行われる。これは、術前に少しずつ患者自身の赤血球を採取して手術中に使用するもので、感染症のリスクを大幅に低減することができる。注意すべき点として、自己血は感染症検査を厳重に行っていないため(その必要がないので)病院内で自己血を管理する際に一般の輸血用血液と混同してしまうと他の患者に重大な感染リスクが生じてしまう。
- 回収式自己血輸血
- 手術の際、清潔なエリアへの出血であればこれを吸引して回収し、洗浄・濃縮することで再び血管内へ投与することができ、輸血量を減らすことができる。心臓や人工関節の手術で併用されることが多い。返血が1000ml未満であれば洗浄を省略する場合もある[1]。
- エリスロポエチン
- 腎臓から分泌されるエリスロポエチンは骨髄での赤血球分化を制御しているホルモンであるが、腎不全の状態ではこのホルモンが分泌されないことによる貧血が合併する。このため、腎不全患者は遺伝子組み換えによって合成されるエリスロポイエチン製剤を定期的に使用することで貧血を回避している。
- 人工赤血球(人工血液)
- 酸素と親和性の高い物質を血中に投与することで赤血球の代替にできないかという研究は第二次世界大戦を境に活発になった。感染症のリスクをほぼなくせるほか、輸血用血液の最大の問題である保存期限をクリアできるようになるからである。現在のところ、安全性や有用性の面で実用的なものは完成していない。アプローチとしては、「白い血液」として知られたパーフルオロケミカル (PFC) の乳剤のような非生物材料を用いるものと、ヘモグロビンを加工するものとにわけられ、現在のところ後者の方が実現性が高いとみられている。
- 白血球の不足
- もともと輸血の適応ではない。
- 悪性腫瘍に対する化学療法の際、副作用としておこる顆粒球減少に対して、骨髄での顆粒球分化を制御するホルモンG-CSFが投与されることがある。
- 血小板の不足
- 代替手段はない。
- 化学療法に伴う血小板減少の補正などのため、血小板増殖因子が臨床応用できないか研究がすすめられている。
エホバの証人における無輸血治療
輸血治療を拒否するエホバの証人では、無輸血治療を「全血の輸血は一切しない治療」として位置づけている。自己血輸血すら否定することも多い。たとえ死亡したとしても輸血を拒否する立場を特に絶対的無輸血と呼び、相対的無輸血(できる限り輸血を避けるが、救命手段としては認める立場)と区別することがある。
エホバの証人においては、患者は(1)無輸血の代替方法を医師と話すこと。(2)要請は法的書類など書面にすること。(3)無輸血が難しそうなら他の医療機関や医師を探すこと。(4)手術が必要なら治療法探しを先延ばしにしないこと。をすべきとされている[2]。
脚注
- ^ “回収式自己血輸血の概要と実際”. 日本自己血輸血学会. 2017年12月29日閲覧。「I インフォームド・コンセント」(PDF)P.3
- ^ 機関紙「目ざめよ!」2000年1月8日号
関連項目
外部リンク
- 日本血液代替物学会
- 無輸血治療プログラム - 板橋中央総合病院
- 『宗教的輸血拒否に関するガイドライン』 - 宗教的輸血拒否に関する合同委員会
- 『エホバの証人と輸血』 - 公益社団法人日本医師会
UpToDate Contents
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- 1. 乳児や小児への赤血球輸血:適応red blood cell transfusion in infants and children indications [show details]
…high risk of blood loss requiring RBC transfusion include congenital heart disease (CHD) surgery, orthopedic surgery (particularly scoliosis surgery), certain plastic surgery procedures (eg, craniosynostosis …
- 2. 術中に成人に行う成分輸血intraoperative transfusion of blood products in adults [show details]
… hemorrhage requiring massive transfusion and emergency surgery, we employ protocols for ordering appropriate amounts and types of blood components. Typically, RBCs, plasma products such as Fresh Frozen Plasma (FFP) …
- 3. 鎌状赤血球症における赤血球の輸血:適応症と輸血法red blood cell transfusion in sickle cell disease indications and transfusion techniques [show details]
… phlebotomized and an equivalent mass of allogeneic RBCs administered (typically, approximately 5 mL/kg of packed RBCs). This is done once in preparation for surgery. Similar principles apply to many individuals …
- 4. 冠動脈バイパス術の心臓以外の早期合併症early noncardiac complications of coronary artery bypass graft surgery [show details]
…diuretic phase after surgery, and the presence and rate of active bleeding. While anemia is an independent risk factor for morbidity and mortality after cardiac surgery, RBC transfusion used for the purpose …
- 5. 成人における赤血球輸血の適応とヘモグロビン閾値indications and hemoglobin thresholds for red blood cell transfusion in the adult [show details]
… 9 versus 1.4 RBC units/patient), amounting to a savings of 500 RBC units per 1000 CABG procedures. A fourth trial randomly assigned 502 consecutive patients who underwent cardiac surgery with cardiopulmonary …
Japanese Journal
- エホバの証人12例のStanford A型急性大動脈解離の緊急手術
- 安部 和夫,近藤 晴彦,石田 勝,梶山 哲也,松江 一,佐藤 尚司
- 胸部外科 = The Japanese journal of thoracic surgery 73(3), 178-182, 2020-03
- NAID 40022172795
- PLAN 無輸血手術を行うために,チームで治療を進める (症例カンファレンス 宗教的輸血拒否患者への僧帽弁置換術)
- 上田 桂子,池崎 弘之
- LiSA = リサ : Life support and anesthesia : 周術期管理を核とした総合誌 27(2), 127-129, 2020-02
- NAID 40022165695
- PLAN 術前に患者と家族の宗教的背景を十分に把握し,術直後からすみやかに返血して無輸血手術を達成する (症例カンファレンス 宗教的輸血拒否患者への僧帽弁置換術)
- 安部 和夫,石田 勝
- LiSA = リサ : Life support and anesthesia : 周術期管理を核とした総合誌 27(2), 124-126, 2020-02
- NAID 40022165690
Related Links
- 無輸血手術が可能であれば、もちろんそれに越したことはありませんが、人間の体は極度の貧血状態では生命を維持できませんので、この貧血の限界を越えてまで無輸血手術を遂行するのは決して体によくないばかりか、むしろこのようなこと
- 百科事典マイペディア - 無輸血手術の用語解説 - 可能な限り出血を抑え,他人の血液を輸血しなくてすむようにする手術のこと。輸血には肝炎などの感染症や様々な副作用があり,これを防ぐには輸血をしないのが一番である。このことから,心臓血管外科,消化器外科,産婦人科など広範囲の ...
- 当院の外科手術チームは、患者さんの意思を充分に尊重した上で、安心できる最良の医療技術を提供する事を目標とし、無輸血治療・無輸血手術の体制を整え、経験を積んで参りました。私たち外科医は、一滴の血液さえもおろそかにしない丁寧な手術を心がけねばならず、無輸血手術こそが ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- blood transfusion
- ラ
- metachysis
- 関
- WCG disease transmission in, 863-871
- also see. ICU.183 出血と循環血液量減少
輸血用血液製剤
- 赤血球製剤:2-6℃ :採血後21日間
- 血漿製剤 :-20℃以下 :採血後1年間
- 血小板製剤:20-24℃。振盪:採血後4日間
- 全血製剤 :2-6℃ :採血後21日間
副作用
一般的な副作用
- 1. 溶血性 :(急性)ABO型不適合輸血(血管内溶血)。(遅発性)Rh型不適合輸血(血管外溶血)
- 2. 非溶血性:(急性)発熱、蕁麻疹、アナフィラキシーショック。(遅発性)輸血関連急性肺障害 TRALI
- 3. 感染性:細菌、ウイルス(B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV-1, CMV)
その他の副作用
- 高カリウム血症(血球の溶血)、代謝性アシドーシス(輸血製剤中では嫌気性代謝によりpHが低下しているため?)、代謝性アルカローシス(1-3日後にクエン酸が体内で代謝されて重炭酸イオンを生じるため)、肺うっ血(容量負荷)、低カルシウム血症(凝固薬として添加されているクエン酸によりカルシウムイオンがキレートされるため)、出血傾向(保存血中の血小板は減少してるため)
赤血球濃厚液
- 1.ショック、アナフィラキシー(様)反応(0.1%未満)
- 2.感染症(0.1%未満)
- B型、C型等の肝炎ウイルス13)、HIV-114)、HIV-215)に感染し、発症することがある (「重要な基本的注意」の項参照)。感染が認められた、あるいは症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
また、HTLV-116)、CMV17)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)18)、ヒトパルボウイルスB1919)、マラリア原虫20)、E型肝炎ウイルス(HEV)21)等に感染することがあり、その他血液を介するウイルス、細菌、原虫等に感染する危険性も否定できない。観察を十分に行い、感染が確認された場合には適切な処置を行うこと。
- 3.呼吸障害・輸血関連急性肺障害 (TRALI: transfusion related acute lung injury)22)(0.1%未満)
- 輸血中あるいは輸血後に喘鳴、低酸素血症、チアノーゼ、肺水腫、輸血関連急性肺障害 (TRALI: transfusion related acute lung injury) 等を生じることがある。特にTRALIは輸血中あるいは輸血終了後6時間以内に、急激な肺水腫、低酸素血症、頻脈、低血圧、チアノーゼ、呼吸困難を伴う呼吸障害で、時に死亡に至ることがある。これらの症状があらわれた場合には直ちに輸血を中止し、酸素投与、呼吸管理等の適切な処置を行うこと。
- 4.輸血後紫斑病 (PTP: post transfusion purpura)23)(0.1%未満)
- 輸血後約1週間経過して、急激な血小板減少、粘膜出血、血尿等があらわれることがあるので、患者の経過観察を行い、これらの症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
- 心不全、心筋障害、心房細動・心室細動等の重篤な心機能障害や不整脈があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には輸血を中止するなど、適切な処置を行うこと。
- 急性腎不全等の重篤な腎機能障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
副作用に対する対処
アナフィラキシーショック
- 参考4
- 通常輸血後10分以内に血圧低下や呼吸困難などが認められるなどアナフィラキシーショックが疑われた場合、直ちに輸血を中止し、アドレナリンを筋注する。
参考
- http://www.jrc.or.jp/vcms_lf/iyakuhin_seihin_tenpu_ir-ftrc090805.htm
- http://www.dokkyomed.ac.jp/dep-k/cli-lab/shiba/MANUAL-1/bloodManual2.pdf
- http://www.yuketsu.gr.jp/qa/main.html
- 4. 血液・呼吸器内科のお役立ち情報:アレルギー/アナフィラキシー:輸血の副作用とその対策(4)
- http://www.3nai.jp/weblog/entry/51024.html
国試
[★]
- 英
- operation、surgery、operate
- 関
- 機能、外科、外科学、作動、操作、オペ、外科術、運用、操縦、術、外科手術、施行
脳外科
心臓外科
消化器
食道
直腸
-
耳鼻科
婦人科
子宮奇形
産科
[★]
- 英
- surgery
- 関
- 外科、外科学、手術、外科術、外科手術