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- ジオン注無痛化剤付,硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸注射液 ... 薬効 2559 その他の痔疾用剤 一般名 硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸注射液 英名 Zione 剤形 注射液 薬価
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジオン注 無痛化剤付
禁忌
(次の患者又は部位には投与しないこと)
次の患者には投与しないこと
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
- 授乳中の婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
- 透析療法を受けている患者〔使用経験がない.アルミニウムの排泄が極端に遅延するおそれがある.〕
- 嵌頓(かんとん)痔核を伴う患者〔症状を悪化させることがある.〕
- リドカイン等のアミド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者〔添付の希釈液はリドカインを含有している.〕
次の部位には投与しないこと
- 直腸下部の粘膜下以外の部位〔壊死等の症状があらわれることがある.〕
効能または効果
- 脱出を伴う内痔核
- 本剤の投与に先立ち,局所麻酔により肛門括約筋を弛緩させる.
用時,ジオン注無痛化剤付1バイアル(10mL)に添付の希釈液10mLを加えて20mLとし,硫酸アルミニウムカリウム水和物として2%溶液に調製する.
通常,成人には,1つの主痔核あたり2%溶液として9〜13mLを分割して粘膜下に投与する.
なお,投与量は患者の病態により適宜増減することとし,1回の治療あたりの総投与量は2%溶液として60mL以内とする.
- 本剤の投与に先立ち,痔核を十分に観察するための前処置として,肛門周囲への局所麻酔を施行し,肛門括約筋を弛緩させること.
- 輸液点滴を行い,静脈路を確保するとともに利尿を図ること.
- 本剤は,硫酸アルミニウムカリウム水和物として4%溶液のまま使用せず,用時,添付の希釈液を用いて,必ず2%溶液に調製後,使用すること.
- 主痔核に投与する際には,以下の標準的投与量を参考に,投与手技に注意しながら投与すること.
標準的投与量
- 痔核上極部の粘膜下層:3mL
痔核中央部の粘膜下層:2〜4mL
痔核中央部の粘膜固有層:1〜2mL
痔核下極部の粘膜下層:3〜4mL
投与手技(四段階注射法)
痔核上極部の粘膜下層への投与
- 痔核上極部の上直腸動脈の拍動部(時として拍動が触れないことがある)に注射針を刺入し,粘膜下層深部に2mLを投与する.その後,針先を手元に引きながら1mLを投与する.
投与後は,粘膜表面がやや白っぽくなる.
痔核中央部の粘膜下層への投与
- 主痔核の中央部に注射針を刺入し,粘膜下層深部に痔核体積に1mLを加えた量を標準として投与する.
痔核中央部の粘膜固有層への投与
- 「2)痔核中央部の粘膜下層への投与」後,針先を少し手元に引いて粘膜固有層へ1〜2mLを投与する.
投与量が適当であれば粘膜の表面がやや隆起する.
痔核下極部の粘膜下層への投与
- 痔核の下極部(歯状線の上0.1〜0.2cmの部位)へ注射針を刺入し,粘膜下層深部に2〜3mL投与する.その後,針先を手元に引きながら1mLを投与する.
- 主痔核の体積が1cm3以下の場合,及び副痔核に投与する場合には,痔核上極部及び痔核下極部への投与は行わないこと.
- 筋層内には投与しないこと.誤って筋層内に刺入した場合には,針先を一度戻し,改めて刺入してから投与すること.
- 膀胱刺激症状に十分注意し,前立腺及び腟壁には投与しないように注意すること.
- 歯状線より下方への投与や,薬液が歯状線下に浸潤することにより,嵌頓痔核や肛門部疼痛があらわれるおそれがあるので注意すること.
- 全ての痔核への投与を行った後,過度の炎症を予防し,効果を十分に得るため,手指で投与部位全体を十分にマッサージし,薬液を分散させること.
慎重投与
- 腎障害のある患者〔アルミニウムの排泄が遅延するおそれがあるので,尿量を十分に確保すること.〕
- 高齢者又は全身状態が不良の患者〔希釈液にリドカインが含まれており,生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある.〕
- 心刺激伝導障害のある患者〔希釈液に含まれるリドカインが症状を悪化させるおそれがある.〕
- 重症の肝機能障害又は腎機能障害のある患者〔希釈液に含まれるリドカインの中毒症状が発現しやすくなるおそれがある.〕
- 前立腺癌等の放射線治療歴のある患者〔前立腺癌の放射線治療後,本剤の投与により,出血を伴った直腸潰瘍を発現した症例がある.〕
重大な副作用
血圧低下,徐脈(いずれも頻度不明)
- 本剤の投与中あるいは投与後に過度の血圧低下,徐脈があらわれることがあるので,本剤の投与に際しては,常時,血圧及び心拍数を観察し,このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)
直腸潰瘍(頻度不明)
- 本剤の投与後に出血,肛門痛等を伴った直腸潰瘍があらわれることがあるので,本剤投与後は定期的に観察を行い,このような症状があらわれた場合には,抗生物質・痔疾用坐剤を投与するなど適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)
直腸狭窄(頻度不明)
- 本剤の投与後に直腸狭窄があらわれることがあるので,本剤投与後は定期的に観察を行い,このような症状があらわれた場合には,狭窄部の切開やブジー等の適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)
直腸腟瘻(頻度不明)
- 本剤の投与後に直腸腟瘻があらわれることがあるので,本剤投与後は定期的に観察を行い,瘻孔が認められた場合には,手術等の適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)
薬効薬理
作用機序
- 本剤を痔核に投与すると,投与局所に壊死を伴う急性炎症が惹起され,その後,組織修復過程である肉芽形成及び線維化を経て,痔核は硬化退縮する.また,急性炎症により投与局所では血管透過性が亢進し,局所血液が濃縮され,血流は停滞・停止する.この血流量減少作用により,痔核の出血症状が早期に改善される.
本剤の炎症惹起作用及び組織硬化作用は硫酸アルミニウムカリウム水和物による.また,タンニン酸は,硫酸アルミニウムカリウム水和物による急性期の白血球浸潤を抑制し,過度の急性炎症反応を制御することにより組織障害を防ぐ.
薬理作用
炎症惹起作用4)
- 本剤及び硫酸アルミニウムカリウム水和物の皮下投与は,血管透過性亢進作用(投与直後,マウス),白血球浸潤促進作用(投与3日後,ラット)及び肉芽形成作用(投与14日後,ラット)を示した.
肉芽形成及び線維化による組織硬化・縮小4)
- 本剤をラットの背部皮下に投与し,投与部位の組織変化を経時的に検討した.その結果,投与後早期に壊死を伴う炎症が発現し,投与7日後頃から,その修復像として類上皮肉芽腫が発現し線維化が認められた.類上皮肉芽腫は投与14日後をピークに増大し,線維化のピークは投与28日後であった.類上皮肉芽腫は線維化の進行とともに投与56日後にかけて縮小した.
血流量減少作用5)
- 本剤をラットの腹部皮下に投与し,投与部位における血流量減少作用を検討した結果,投与部位において投与5分後から皮膚血流量を減少させ,その作用は投与120分後まで持続した.
- 本剤をラット腸間膜表面に灌流すると,血管透過性亢進及び静脈血液のヘマトクリット値上昇を呈するとともに,血流が停止した.
タンニン酸の炎症抑制作用4)
- タンニン酸の配合は,ラット皮下投与部位における硫酸アルミニウムカリウム水和物による白血球浸潤促進作用(投与3日後)を抑制したが,肉芽形成作用(投与14日後)は抑制しなかった.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- Aluminum Potassium Sulfate Hydrate
分子式
分子量
性状
- 無色〜白色の結晶又は粉末で,においはなく,味はやや甘く,強い収れん性がある.
水に溶けやすく,エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
水溶液(1→20)は酸性である.
一般名
化学名
性状
- 黄白色〜淡褐色の無晶形の粉末,光沢のある小葉片又は海綿状の塊で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがあり,味は極めて渋い.
水又はエタノール(95)に極めて溶けやすく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない.
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- drug、agent
- 関
- 薬、作用薬、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
[★]
- 英
- analgesia、analgesic
- 関
- 鎮痛、鎮痛性、鎮痛薬、鎮痛剤、痛覚消失