Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2021/01/11 21:20:34」(JST)
[Wiki ja表示]
| この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。 出典検索?: "軟膏剤" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年10月) |
軟膏剤(なんこうざい、オイントメント、英: ointments)、皮膚外用剤(ひふがいようざい)とは、皮膚疾患の治療の一つである皮膚外用療法に使用される医薬品の半固形の製剤である。
有効成分とワセリンなどの基剤の組み合わせで構成されており、基剤の中に分散して有効成分が存在する形になっている。有効成分と基剤をそのまま混合するか、溶媒に溶かすか加熱融解させて混合して製する。チューブやプラスチックやガラスの瓶に詰められて流通している。
「軟膏」の狭義の意味では、ワセリンなどの油脂性基剤を用いたものに限られるが、日本薬局方の規定では乳剤性基剤を用いたクリーム剤も含まれている。ここでは、狭義の軟膏に限らず皮膚に外用する薬剤一般につき解説する。
基剤
皮膚に付着し、有効成分を長く皮膚にとどめる働きをする。塗りやすく、皮膚に対する刺激性がなく、有効成分の安定性に影響しないものが求められる。有効成分と基剤との親和性が有効成分の吸収速度に影響する。大きく疎水性と親水性基剤に分けられる。
疎水性基剤(油脂性基剤)
一般に軟膏(なんこう)と呼ばれているものである。狭義の意味での「軟膏」である。水をはじき皮膚の皮膜保護作用も期待できるが、洗い落としにくいという欠点にもなる。鉱物由来のワセリンやパラフィン、ポリエチレン樹脂を流動パラフィンでゲル化したプラスチベース、生物由来のミツロウなどが用いられる。
- ワセリンという日本語は商標として登録されておらず、一般名として日本薬局方にも記載されている。しかしこれが英名の Vaseline だと商標となるため注意が必要。
親水性基剤
- 乳剤性基剤
- 一般に「クリーム」と呼ばれている。油脂と水を乳化剤で乳化したもので、乳化剤としては陰イオン型の石けん類や非イオン型のポリエチレングリコールのエステル類などが用いられる。水中油型(o/w型)と油中水型(w/o型)に別れる。水中油型(o/w型、oil in water)を「親水軟膏」、油中水型(w/o型、water in oil)を「吸水軟膏」ということもある。有効成分の溶ける層が外層となった方が放出が早い。o/w型は水分が蒸発するとw/o型に転相する。羊毛から取られるラノリンはコレステロールを含むので乳化剤を加えなくとも水と乳化する。乳剤性基剤は、油脂性基剤に比べると展延性がよく、容易に洗い落とすことができ使い勝手がよいが、粘膜やびらん面などに用いると乳化剤の刺激によりかぶれたりすることがある。
- 水溶性基剤
- 一般には水溶性軟膏(すいようせいなんこう)と呼ばれる。ポリエチレングリコール(マクロゴール)類などを基剤としたもの。有効成分との混合が容易で、皮膚からの分泌物をよく吸収するが、皮膚との接触性は劣り、用法が『ガーゼにのばして貼付する』となっているものが多い。
- 懸濁性基剤
- ゲル、ゼリー、ジェルの名称で流通している。吸水して膨潤し軟膏様の状態になるセルロースなどを基剤としたもの。粘膜やびらん面によく固着するため、創傷部位や眼軟膏に用いられる。
特殊な剤型
- 糊膏(リニメント)
- 泥状の外用剤で、微細に砕いた有効成分をグリセリンなどと共に水に混ぜて製する。水の量を増やし液状にすると懸濁性ローション剤になる。使いにくいので現在ではあまり用いられない。フェノール・亜鉛華リニメント(カチリ)が古くからよく知られている。
- 泥膏(パスタ)
- 軟膏類似の製剤であるが、軟膏より硬く、皮膚に直接塗布するのではなく、ガーゼなどに塗り広げて貼付して用いる。「イソジン・シュガー・パスタ」などがある。
- 従来は滲出液の多い創傷・熱傷には、やむをえず含水量の少なく、吸水性のあるパスタ製剤を使うことも多かったが、近年では吸水性ポリマーを含む創傷被覆材の開発により、細胞傷害性のある薬剤は使われない傾向にある。[1]
- 硬膏
- 泥膏よりもさらに固く固形に近いもの。スピール膏が代表例で皮膚に貼って用いる。
- ローション・スプレー
- 粉末剤を液体に混合したもの。ヒルドイド・ローションやニゾラール・ローション(抗真菌薬)、トプシム・ローション(ステロイド外用剤)などがある。
特殊な製剤
- 口腔用軟膏剤
- 口腔粘膜によく付着し唾液などで流されにくいことが求められる。疎水性の基剤にセルロース類やパラフィンなどを加えて粘着性を高めてある。
- 眼軟膏剤
- 鋭敏な眼粘膜に使用するため、無菌であること、粘膜刺激がないこと、目から吸収されないこと、滑りがよいことなどが求められる。基剤としては、軟稠性の眼科用ワセリン(プロペトなど)、プラスチベースがよく用いられる。有効成分を固形のまま微粉末にして分散させる場合には流動パラフィン、液状の場合には精製ラノリンが用いられる。
保存剤
軟膏剤、特に乳剤性軟膏剤は微生物汚染を受けやすいため、パラオキシ安息香酸エステルやデヒドロ酢酸などを防腐剤として加える。また油性基剤は酸化しやすいので、ジブチルヒドロキシトルエンやトコフェロール、アスコルビン酸などを抗酸化剤として加える。
薬効成分
薬効を示す成分である。ビタミン剤・ステロイド剤・NSAIDs・抗生物質・抗真菌剤・免疫抑制剤など、多種多様な種類がある。
詳細は「皮膚外用療法」を参照
出典
- ^ 夏井睦「創傷被覆材:各論」
関連項目
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 筋骨格損傷部に行う基本的な副子固定法basic techniques for splinting of musculoskeletal injuries [show details]
… Ace bandage) Adhesive tape; Most splints are made from plaster or fiberglass. Plaster splints are made from gauze that is impregnated with plaster of Paris, a powdered form of gypsum. When water is added …
- 2. 学会が公開する診療ガイドラインのリンク:小児の上肢骨折、胸部骨骨折、顔面骨骨折、society guideline links upper extremity thoracic and facial fractures in children [show details]
…'buckle fractures do not usually need a plaster cast. They can be treated with a removable splint and written information. There is usually no need to put a plaster cast on, or follow these children up in…
- 3. 学会が公開する診療ガイドラインのリンク:小児の下肢骨折society guideline links lower extremity fractures in children [show details]
…base of the fifth metatarsal, a bone on the outside of the foot, do not usually need to put into a plaster cast as they will heal just as quickly in a removable boot (2016)…
- 4. 学会が公開する診療ガイドラインのリンク:成人の下肢および骨盤骨折society guideline links lower extremity excluding hip and pelvic fractures in adults [show details]
…base of the fifth metatarsal, a bone on the outside of the foot, do not usually need to put into a plaster cast as they will heal just as quickly in a removable boot (2016) British Association of Plastic…
- 5. 確実な骨折マネージメントの一般原則general principles of definitive fracture management [show details]
…Fiberglass and plaster of Paris are the two most common types of fracture "tape" used for casting. Fiberglass is lighter, stronger, more breathable, and sets more quickly than plaster. Plaster molds more uniformly …
Japanese Journal
Related Links
- デジタル大辞泉 - 泥膏の用語解説 - 医薬品の粉末を多量に含む軟膏状の外用剤。パスタ剤。泥剤。 ... 医薬品の粉末を多量に含む軟膏状の外用剤。パスタ剤。泥剤。
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - パスタ剤の用語解説 - 泥膏 (でいこう) 剤ともいう。多量の粉末薬品を軟膏状にした外用剤。粉末薬品としては亜鉛華,サリチル酸,デンプン,昇華硫黄,炭酸カルシウム,タルクなどがあり ...
Related Pictures