出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/06/05 22:56:44」(JST)
クコ | |||||||||||||||||||||
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クコ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Lycium chinense Mill., 1768 | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
クコ(枸杞) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Chinese desert-thorn Chinese wolf-berry Goji berry |
クコ(枸杞、学名:Lycium chinense)は、東アジア(中国~日本)原産のナス科の落葉低木。荒れ地などに見られ、夏から秋にかけて薄紫色の花を咲かせて、秋に赤い果実をつける。有用植物で、食用や薬用に利用される。北アメリカなどにも移入され、分布を広げている。別名、ウルフベリー、ゴジベリー。中国植物名は枸杞。
和名は漢名に由来する[1]。漢名(中国名)で「枸杞」と書き[2]、中国の古書に「枸橘(カラタチ)のようなとげがあり、杞柳(コリヤナギ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けられた」との記述がある[3][4]。
日本の地方により、カラスナンバン、カワラホウズキ、ノナンバンなどの方言名でも呼ばれている[2]。
日本全域(北海道・本州・四国・九州・沖縄)、朝鮮半島、中国、台湾に分布する[5]。平地に分布し、山地には見られない[6]。日当たりのよい原野、河川堤防、土手、海岸、市街地や農耕地帯の道ばたなどのやぶに自生しており[6][7]、人の手が加わりやすく、高木が生えきれない環境によく生える。ある程度湿り気のある水辺の砂地を好む[3]。庭などで栽培もされる[1]。日本では、土手や道ばたのやぶでよく見られるが[8]、かつて一時の漢方薬ブームで頻繁に採取され、見かける数が少なくなった[9]。
高さ1 - 2メートル (m) の落葉の低木で[1]、茎は細長く伸びて直立しない[7]。枝は長さ1 m以上、太さは数ミリメートル (mm) - 1センチメートル (cm) ほどで、細くしなやかである。枝はよく分岐し、地上部は弓状にしなって垂れ下がり[5][1]、やぶ状になる[6]。3 - 4月ころに芽吹き[4]、枝には2 - 4 cm程度の葉と[6]、1 - 2 cm程度の棘が互生する。葉はやや先が尖った楕円形で、数枚が集まるように枝から出る[6]。垂直方向以外に地上にも匍匐茎を伸ばし、枝先が地に接すると発根して[7]、同様の株を次々と作って繁茂する[3]。
葉は、長さ2 - 4 cmの倒披針形か長楕円形の全縁で、束生して数個が集まり、葉質は厚く、軟らかで無毛である[1][7]。葉の付け根には、しばしばとげ状の小枝が生える[5]。
開花期は夏から初秋(7 - 11月)で[4][5]、葉腋から1 - 4個の細い花柄を出し、直径1 cmほどの小さな薄紫色の花が咲く[7]。花は鐘形で[6]、花冠は5裂する[1]。花から5本の長い雄しべが出て、目立つ[8]。
果実は液果で[8]、9月ころに結実し[4]、長径1 - 2.5 cmほどの楕円形で、橙紅色に熟す[1][7]。果実の中に種子が20個ほど入り、一つの種子の大きさは2ミリメートル (mm) 弱ほどで、腎円形や楕円形で平たく、種皮は淡褐色で浅い網目模様があり、ざらつき感がある[8]。
性質は丈夫であり、5月ころに、しばしばハムシの一種トホシクビボソハムシ(Lema decempunctata)の成虫や幼虫が葉を強く食害したり、何種類かのフシダニ(クコフシダニ)が葉裏に寄生して虫癭だらけになったりするが[3][4]、それでもよく耐えて成長し、乾燥にも比較的強い。一旦定着すると匍匐茎を伸ばして増え続け、数年後にはまとまった群落となることが多い。挿し木で簡単に育つ[4]。
葉
クコの花
ナガバクコの果実
非常に有用な植物で、葉や果実が食用、茶料、果実酒、薬用などに、また根は漢方薬に用いられる[10]。萌芽力が強くて剪定にも耐えるため、庭園樹や生け垣に利用されることがある[10]。挿し木や株分けで、容易に繁殖することができる[10]。
葉には、ベタイン、ベータ・シトステロールグルコシド、ルチンなどが含まれ、毛細血管を丈夫にする作用があるといわれる[3]。
赤く熟した果実には、ベタイン、ゼアキサンチン、フィサリンなどが含まれ[3]、強壮作用があり、酒に漬けこんでクコ酒にするほか[5][7]、生食やドライフルーツでも利用される[4]。薬膳として粥の具や杏仁豆腐のトッピングにもされる。また、柔らかい若葉も食用にされ、軽く茹でて、お浸し、和え物、汁の実に調理されたり[3][7]、サラダや料理のトッピングに利用される[4]。
クコの果実は枸杞子(くこし)、根皮は地骨皮(じこっぴ)、葉は枸杞葉(くこよう)という生薬である[2][7]。ナガバクコ(学名: Lycium barbarum)も同様に生薬にされる。採取部により、三者三様の生薬名があるが、強壮薬としての効用は同じで、組み合わせで利用されている[7]。葉は6 - 8月ころ、果実と根皮は秋に採取して、水洗いしたものを天日で乾燥させる[2][7]。根皮には、ベタイン、シトステソル、リノール酸などが含まれ、果実とともに滋養強壮の目的で漢方薬に配剤されている[3]。
民間では、果実、根皮、葉それぞれ1日量5 - 10グラムを600 ccの水で半量になるまで煎じ、3回に分けて服用する用法が知られている[2]。果実は、食欲がなく下痢しやすい人に合わないことが多く、根皮・葉は冷え症の人に対して禁忌とされている[2]。
ワルファリンとの相互作用が報告されている[11]。食品素材として利用する場合のヒトでの安全性・有効性については、信頼できるデータが見当たらない[12]。
若芽、葉茎、果実のいずれも食用や果実酒とする[6][9]。春(4 - 6月)の若芽は、先端の10 cmを摘み取って、茹でて水にさらし、和え物やお浸しにしたり、生のものをよく洗って天ぷらや炒め物、汁の実として調理される[6]。夏から秋にかけての葉も食用にでき、茹でてお浸しや和え物、生のまま天ぷらにしたり、煮付けて炊いた飯に混ぜて、クコ飯にできる[6]。9 - 11月ころのよく熟れた果実は、よく洗ってホワイトリカーに漬け込み、果実酒にする[6][9]。葉や根は細かく刻んで乾燥させ、クコ茶として飲用する[9]。
また、スーパーフードとして商業的に販売されており、「食べる目薬」などと標榜されている[13][14]。
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