出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/05 23:53:09」(JST)
六フッ化硫黄 | |
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IUPAC名
六フッ化硫黄 |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 2551-62-4 |
国連番号 | 1080 |
RTECS番号 | WS4900000 |
SMILES
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特性 | |
化学式 | SF6 |
モル質量 | 146.06 g/mol |
外観 | 無色気体 |
密度 | 6.164 g/L, 気体[1] 1.329 g/ml, 液体 (25 ℃)[2] |
沸点 |
-64 ℃, 209 K(昇華) |
水への溶解度 | 微溶 |
構造 | |
配位構造 | 八面体形 (Oh) |
双極子モーメント | 0 |
危険性 | |
MSDS | External MSDS |
主な危険性 | 高濃度で窒息の危険性 |
関連する物質 | |
その他の陽イオン | 六フッ化セレン 六フッ化テルル |
関連する硫黄フッ化物 | 二フッ化二硫黄 二フッ化硫黄 |
関連物質 | フッ化スルフリル |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
六フッ化硫黄(ろくフッかいおう、sulfur hexafluoride)は、化学式 SF6 で表される硫黄の六フッ化物である。硫黄原子を中心にフッ素原子が正八面体構造をとっている。
常温常圧においては化学的に安定度の高い無毒、無臭、無色、不燃性の気体で、大気中での寿命は 3,200年である。1960年代から電気および電子機器の分野で絶縁材などとして広く使用されている化学物質で、人工的な温室効果ガスとされる。使用量はそれほど多くないが、近年新たな用途開発の進展に伴い需要量が増加している。100年間の地球温暖化係数は二酸化炭素の23,900倍と大きくかつ大気中の寿命が長いため、HFCs、PFCsと共に京都議定書で地球温暖化防止排出抑制対象ガスの1つに指定された。大気への放出はほぼ全て人為的なものと考えられている。
2007年に気象庁気象研究所が海水中の六フッ化硫黄濃度を高精度かつ低検出限界で測定できる手法を開発した[3]。
融点 -50.8±0.2°C、昇華点 -63.8°C で、1個の硫黄原子 (S) と6個のフッ素原子 (F) からなる無色無臭の気体。空気を1としたときの比重は 5.106[1]。熱的、化学的に安定で、耐熱性、不燃性、非腐食性に優れ、また高い絶縁性能を有している。
高い絶縁性能を有しており、ガス変圧器、ガス遮断器、ガス絶縁開閉装置などの電力機器において絶縁体や消弧媒体として利用される。他にはマグネシウム合金溶解炉の酸化防止用途や、半導体製品や液晶パネルのドライエッチング工程でも用いられている。特殊な例としてリチウムと組み合わせて魚雷用エンジンの燃料にも用いられている。
眼科領域の手術の際に用いられる。SF6 を眼内に注入すると空気よりも長期間とどまる性質があるため、網膜剥離などの網膜硝子体疾患の手術(硝子体手術)の際にガスの浮力を利用して網膜を一定期間押し付ける目的で使用されることがある。
分子を構成する元素の単体、すなわち S8 と F2 から合成することができる。他のフッ化硫黄類も副生するが、S2F10 は加熱による不均化、SF4 は水酸化ナトリウム水溶液での洗浄による分解でそれぞれ除去される。
SF6 の反応はほとんど知られていない。溶融した金属ナトリウムとも反応しない。これは、硫黄中心が正八面型に配置するフッ素で覆われていることと、分子全体の極性がほとんど無いことに由来する。
SF4 を原料として SF5Cl を合成することができる。構造は SF6 と類似するが、強い酸化剤であり、加水分解されて硫酸となる。
日本国内で SF6 を製造しているのは、旭硝子株式会社、関東電化工業株式会社の2社のみである。
SF6 を吸い込み声を出すと音域が低くなる[4]。これは、空気と比重の異なる気体中では音速が変化するので呼吸器における共鳴周波数が変わる(空気より軽い気体では高く、重い気体では低くなる)ことに起因する[5]。
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