出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/26 20:49:37」(JST)
公共財(こうきょうざい)は、経済学の用語であり、通常、非競合性あるいは非排除性の少なくとも一方を有する財として定義される。対語としては、非競合性と非排除性の双方を有しない私的財がある。
非競合性とは、消費者あるいは利用者が増えても追加的な費用が伴わないという性質である。例えば食品であれば誰かが食べてしまえば他の人はその食品を食べることができない(競合性)。これは財の便益が競合的である典型的なケースである。
それに対して、非排除性とは、価格づけによって対価を支払わない者を便益享受から排除できないという性質である。市場では、価格づけされた財が対価の支払いを条件として販売される。そのため、対価を支払おうとしない人を消費から排除することができる(排除性)。例えば、私たちはケーキを食べる前に、商店においてある価格付けをされた商品としてのケーキを対価、つまり現金を払い買わなくてはいけない。価格付けされたケーキの対価を支払うことによって私たちはケーキを手にすることができるが、ここで対価を払えなければケーキという財にアクセスすることができない。
排除性 | 非排除性 | |
競合性 | 私的財 食料・衣服・自動車・家電 |
コモンプール財 漁業資源・木材・石炭 |
非競合性 | クラブ財 映画・私立公園・衛星放送 |
公共財 無料放送・空気・国防 |
非競合的かつ非排除的な狭義の公共財を純粋公共財という。この純粋公共財の典型的な例としては政府による外交や国防がしばしば挙げられる。国民の内の特定の集団が政府の外交政策や国防の利益を受けないように排除することが困難であり、また、集団を排除しなくてもそれによって追加的な費用が発生しないことが多い。ほかの例としては、花火大会における花火などがある[1]。
また、厳密には純粋公共財ではないが、非競合性あるいは非排除性のいずれかを有する広義の公共財を準公共財という。
非競合的かつ排除的な財は、「クラブ財」と呼ばれる。例えば、有線放送のようなサービスは、放送用のケーブル網の敷設や番組制作などには費用がかかるが、これを100人の消費者に供給する代わりに150人の消費者に供給することによってもそれらの費用は余り増加しない。(排除可能性は高いが、競合性が低い例)
非排除的かつ競合的な財は、「コモンプール財」と呼ばれる。たとえば、一般道路や橋などは、利用者全員に課金するためのコストが高く(排除可能性が低い)、ある程度までであれば、利用者は問題なく便益を受けられるが、利用者が増えるに従って、混雑費用が高まる(競合性は高い)。
国防などの純粋公共財[2]の提供にあたっては、対価を支払わない者もこれを利用できる(非排除性)。そのため、市場メカニズムに任せた場合、フリーライダーの問題が起きて供給が過少となる。そこで、そのような公共財の供給は政府が行うべきであるとされる。なお、公園やプールなどのように、(準)公共財であっても民間での供給が可能なものが多い(ただし、民間に任せた場合に供給が過少となるので、(CSでのスクランブル放送のように)排除性を高めるなど私的財に近付ける工夫をしたり、政府の介入が必要となる)。
なお、公共財と混同されることがあるものとして、私的財ではあるがある種の公共性を有するメリット財がある。たとえば医療、介護、義務教育などがメリット財とされる。これらのサービスは、あらゆる人がこれを享受する権利をもつと考えられている。しかし、非競合性・非排除性の問題が無いのであれば、これらの財は民間によって適切に供給され得る。
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知識もまた非競合性と非排除性をもち、公共財であると考えられている[3][4]。そのため、公共財と同様にフリーライダーが生じたり、知識生産(研究開発)への投資が過少になる可能性がある。
この問題の解消方策として
が採用されている。
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