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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/13 21:43:18」(JST)
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単純なラクトン。左からα-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトンおよびδ-バレロラクトン
ラクトン (lactone) は、環状エステルのことで[1]、同分子内のヒドロキシル基(-OH)とカルボキシル基(-COOH)が脱水縮合することにより生成する。炭素原子が2個以上、酸素原子が1個からなる複素環式化合物で、環を形成する酸素原子に隣接した炭素原子にカルボニル基(=O)が置換した構造をとる。
目次
- 1 存在
- 2 命名
- 3 合成
- 4 反応
- 5 出典
- 6 関連項目
存在
5–6員環のラクトン構造はテルペン類などの天然物に多く存在し、香気成分やフェロモンなどによく見られる。例えば麝香臭を持つ香料として著名なエキサルトリド (exaltolide) は16員環のラクトンである。
命名
ラクトンは一般に、前駆体となるカルボン酸分子の名称(アセト- = 2炭素、プロピオ- = 3、ブチロ- = 4、バレロ- = 5、カプロ = 6、…)の末尾に-ラクトン(-lactone)をつけ、複素環を構成する炭素数をギリシア文字で表し、それを前に置いて命名する。前に置くギリシア文字は、三員環のものはα-、四員環のものはβ-、五員環のものはγ-のようになる。
その他、ラクトンであることを表す末尾には-オリド(-olide)がある。例えば、ブテノライド、マクロライド、カルデノライドおよびブファジエノライドなどがある。
12員環以上の大環状ラクトンをマクロライドと総称する。抗菌作用や抗腫瘍作用など強い生理活性を示すものが多く、抗生物質 エリスロマイシン、抗真菌剤 アムホテリシン、免疫抑制剤 タクロリムスなどが医薬として実用に供されている。
合成
合成法は主に、ヒドロキシ基とカルボキシル基を持つ分子(ヒドロキシカルボン酸)の分子内脱水縮合による。環化を起こしやすい5,6員環ラクトンの形成は容易で、相当するヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステルを酸触媒で反応させるだけでラクトンが得られることが多い。7員環以上の中・大員環ラクトンは高度希釈法を用いるなど合成に工夫を要し、山口ラクトン化反応やオレフィンメタセシスによる方法が近年多く用いられている。
反応
水酸化ナトリウム水溶液などで加水分解すると、脱水縮合前のヒドロキシカルボン酸に戻る。反応性や機構はラクトンの環の大きさにより変わる。5員環以上のラクトンの加水分解は、カルボニル炭素への OH−イオンの付加から始まる付加脱離機構で、立体的なひずみを持つ 4員環ラクトンでは、OH−イオンが4位の炭素を攻撃する SN2機構で進行する。
出典
- ^ March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure Michael B. Smith, Jerry March Wiley-Interscience, 5th edition, 2001, ISBN 0-471-58589-0
関連項目
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Japanese Journal
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Related Links
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- 株式会社ラクトン 〒983-0025 宮城県仙台市宮城野区福田町 南2丁目4-1 TEL.022-388-8081 FAX.022-254-5889 ... <<株式会社ラクトン>> 〒983-0025 宮城県仙台市宮城野区福田町南2丁目4-1 TEL:022-388-8081 FAX:022-254-5889
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
スピロノラクトン錠25mg「トーワ」
組成
1錠中の有効成分
添加物
- 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸Mg、酸化チタン、l-メントール
禁忌
- 無尿又は急性腎不全の患者[腎機能を更に悪化させるおそれがある。また、腎からのカリウム排泄が低下しているため高カリウム血症を誘発又は増悪させるおそれがある。]
- 高カリウム血症の患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。]
- アジソン病の患者[アジソン病ではアルドステロン分泌低下により、カリウム排泄障害を来しているので、高カリウム血症となるおそれがある。]
- タクロリムス、エプレレノン又はミトタンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
高血圧症(本態性、腎性等)、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、特発性浮腫、原発性アルドステロン症の診断及び症状の改善、悪性腫瘍に伴う浮腫及び腹水、栄養失調性浮腫
- スピロノラクトンとして、通常成人1日50〜100mgを分割経口投与する。
- なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、「原発性アルドステロン症の診断及び症状の改善」のほかは他剤と併用することが多い。
慎重投与
- 心疾患のある高齢者、重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある患者[急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。]
- 重篤な腎障害のある患者(「禁忌」及び「副作用」の項参照)
- 減塩療法時[水分・電解質が欠乏し、脱水症状や低ナトリウム血症等があらわれやすくなる。](「副作用」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 肝障害のある患者[高カリウム血症が発現するおそれがある。]
- 乳児[乳児は電解質バランスがくずれやすい。](「副作用」の項参照)
重大な副作用
- 電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシドーシス等):高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシドーシス等の電解質異常があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は休薬等の適切な処置を行うこと。
- また、電解質異常に伴い、不整脈、全身けん怠感、脱力等があらわれることがあるので、このような場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 急性腎不全:急性腎不全(電解質異常を伴うことがある)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- ※※中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- カリウム保持性利尿薬であり、主として後部遠位尿細管と集合管のアルドステロン依存性Na+-K+交換部位においてアルドステロンに拮抗し、Na+再吸収とK+排泄を抑制し、その結果、Na+、水の排泄促進とK+の保持作用を示す。実験的腎性高血圧家兎では、血圧の下降と尿量の増加が認められ、尿中Na+排泄量を増大し、K+排泄量は軽度に減少した。腎血流量や糸球体ろ過値にはほとんど変化を示さず、またクレアチニンクリアランスにも影響しない。高カリウム血症を起こしやすい3)。
有効成分に関する理化学的知見
- 構造式:
- 一般名:スピロノラクトン(Spironolactone)
- 化学名:7α-Acetylsulfanyl-3-oxo-17α-pregn-4-ene-21,17-carbolactone
- 分子式:C24H32O4S
- 分子量:416.57
- 性 状:白色〜淡黄褐色の微細な粉末である。クロロホルムに溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
- 融 点:198〜207℃ 125℃の浴液中に挿入し、140〜185℃の間は1分間に約10℃、その前後は1分間に約3℃上昇するように加熱を続ける。
★リンクテーブル★
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- 英
- L-gulono-gamma-lactone oxidase
- 関
- L-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼ、Lグロノγラクトン酸化酵素
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- 英
- L-gulonolactone oxidase
- 関
- L-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼ、L-グロノラクトン酸化酵素
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- 英
- lactone ring