出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/11/06 00:16:09」(JST)
脂漏性湿疹(しろうせいしっしん、Seborrheic Dermatitis)とは、頭部や顔面にフケ様の付着物を伴う湿疹で乳児・成人に多発する。脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)と同義である。なお、乳児に出現するものは乳児脂漏性湿疹と区別される。脱毛の原因とはならない[1]。
当該疾患は1887年 P.G.Unna によって尋常性湿疹 (Eczema vulgare) とは異なる独立疾患-Dasseborrhoische Eczemaとして提唱された。その特徴は、「常に乾燥している」「発疹の辺縁が円形ないし多環状で境界鮮明である」「病像が不変性であること治療にかなり抵抗性を示す」としていた。現在では P.G.Unna による提唱を拡大解釈し、皮脂分泌の多い部位に好発する炎症性病変を脂漏性湿疹とするものもある[2]。境界が比較的明確な紅斑で表面に油性で黄色調の鱗屑を有するものとする解釈もある[3]。湿性あるいは油性の頭垢(フケ症)は本症の軽症型または先行症状と定義される。
皮脂の分泌量との正の相関関係にある事が報告されている[3]が、皮脂分泌量は思春期が最大であるが脂漏性湿疹は、10年程度遅れて発症してくる[3]。さらに、中性脂肪の一種であるトリアシルグリセロールが表皮常在菌のマラセチア属真菌[4][5]のリパーゼにより分解されて刺激性の遊離脂肪酸になり[6]、炎症を生じたり症状の悪化に関与しているとの報告もある。特に、マラセチア属真菌( Malassez furfur と Malassez globasa が病巣から多く検出されることから関与が強く疑われているが、病原性の詳細は未解明である[7]。
パーキンソン病などの神経疾患、アルコール依存症、肥満につながる内分泌疾患でも高率に発症する[8]。
発症には様々な因子が関与しているとされ、例えば「皮脂の異常」「内分泌異常」「ビタミン代謝異常」「癜風菌(マラセチア属真菌)」などがある[7]。
表皮の血流が乾燥、低温、紫外線、ストレス[7]
皮疹は皮脂分泌が多い部位(いわゆる脂漏部位)である頭部、眉間、鼻周囲、前胸正中部、上背部、頭髪の生えぎわに沿った部、耳介後方、外耳道内、頭部、顔面に落屑を伴う紅斑で、左右対称性はない。掻痒の程度は様々である。乳児と成人では、出現の仕方が異なる。
前額部から頭部に強い発疹が出現する。乳児を過ぎると自然に軽快することがほとんどであるが、一部ではアトピー性皮膚炎に移行するものもある。
眉毛部・鼻翼部・口囲に発疹が出現し、冬に悪化しやすいのが特徴といえる。一般的には根本的な治癒は望めないため、常に外用剤などでコントロールが必要となる場合が多い。
尋常性乾癬との鑑別診断が必要で、癜風菌がKOH検査(皮膚真菌検査)で検出される事が必要であるが定量的な方法は確立されていない。
外用剤としてステロイド外用薬、イミダゾール系抗真菌薬が使われる[7]その他、補助的に抗アレルギー薬・ビタミン剤の内服を行う。また、抗真菌薬のシャンプーが奏功する場合もある。ジンクピリチオン含有シャンプー、硫化セレニウム(二硫化セレン)含有シャンプー、サリチル酸含有シャンプーも使用される[1]。漢方薬の十味敗毒湯、抑肝散加陳皮半夏、荊芥連翹湯などが有効であったとする報告もある[6]。
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