- 英
- 関
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/30 01:30:47」(JST)
[Wiki ja表示]
チオウラシル |
|
IUPAC名
2-Thioxo-1H-pyrimidin-4-one
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
141-90-2 |
PubChem |
1269845 |
ChemSpider |
1066108 |
UNII |
59X161SCYL |
KEGG |
C19304 |
MeSH |
Thiouracil |
ChEBI |
CHEBI:348530 |
ChEMBL |
CHEMBL345768 |
|
- InChI=1S/C4H4N2OS/c7-3-1-2-5-4(8)6-3/h1-2H,(H2,5,6,7,8)
Key: ZEMGGZBWXRYJHK-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/C4H4N2OS/c7-3-1-2-5-4(8)6-3/h1-2H,(H2,5,6,7,8)
Key: ZEMGGZBWXRYJHK-UHFFFAOYAK
|
特性 |
化学式 |
C4H4N2OS |
モル質量 |
128.15 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
チオウラシル (Thiouracil) は硫黄置換されたウラシルである。
発がん性が疑われており、国際がん研究機関は誘導体とともにグループ2Bに分類している[1]。
かつてヨーロッパにおいて、この物質がウシの尿中から検出され、家畜に対して不法に用いられているのではないかと問題になったことがあった。だが実際は、餌のアブラナ科植物がこの物質を微量に生産しており、それが尿中に移行したものであることが分かっている[2]。
医療
歴史的にこの物質は、抗甲状腺薬と関連付けられてきた。Astwood E. B.は、1943年にこの物質をバセドウ病の治療に初めて用い[3]、現在も誘導体であるプロピルチオウラシルが使われ続けている。作用は、ヨウ化物ペルオキシダーゼの活性を阻害することで、甲状腺の機能を妨げることによる[4]。鬱血性心不全や狭心症治療薬としての効果もある[5]。
出典
- ^ “IARC monographs - classification”. 2015年1月7日閲覧。
- ^ Pinel, G., et al. (2006). “Evidence that urinary excretion of thiouracil in adult bovine submitted to a cruciferous diet can give erroneous indications of the possible illegal use of thyrostats in meat production”. Food Additives and Contaminants 23 (10): 974-980. doi:10.1080/02652030600806370.
- ^ Gerabek, W. (2005). Enzyklopädie Medizingeschichte. p. 152. ISBN 9783110157147. http://books.google.com/?id=LLoOUP-y54YC&pg=PA152&dq=parry+struma.
- ^ Nagasaka, A.; Hidaka, H. (1976). “Effect of Antithyroid Agents 6-Propyl-2-Thiouracil and l-Methyl-2-Mercaptoimidazole on Human Thyroid Iodide Peroxidase”. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 43 (1): 152–8. doi:10.1210/jcem-43-1-152. PMID 947933.
- ^ “Thiouracil in MeSH”. 2015年1月7日閲覧。
Japanese Journal
- P2-01-3 プロピルチオウラシル内服開始後30年以上経過して発症したびまん性肺胞出血の1例(P2-01 薬物アレルギー2,ポスターセッション,第23回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 若林 規良,門脇 徹,池田 敏和,小林 賀奈子,木村 雅広,石川 成範,矢野 修一
- アレルギー 60(3・4), 477, 2011-04-10
- NAID 110008594592
- プロピルチオウラシルによるANCA関連血管炎の1例--Buerger病合併例 (特集 血管炎・血行障害)
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
プロパジール錠50mg
組成
成分(1錠中):有効成分・含有量
成分(1錠中):添加物
- クエン酸カルシウム、カルメロースカルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メタクリル酸コポリマーLD、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、酸化チタン、タルク、グリセリン、マクロゴール6000、硬化油、パラフィン
禁忌
- 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 本剤使用後肝機能が悪化した患者[本剤使用後肝機能が悪化した例で、継続投与中、劇症肝炎が発生したことがある。]
効能または効果
- プロピルチオウラシルとして、通常成人に対しては初期量1日300mgを3〜4回に分割経口投与する。症状が重症のときには1日400〜600mgを使用する。機能亢進症状がほぼ消失したなら、1〜4週間ごとに漸減し、維持量1日50〜100mgを1〜2回に分割経口投与する。
通常小児に対しては初期量5歳以上〜10歳未満では1日100〜200mg、10歳以上〜15歳未満では、1日200〜300mgを2〜4回に分割経口投与する。機能亢進症状がほぼ消失したなら、1〜4週間ごとに漸減し、維持量1日50〜100mgを1〜2回に分割経口投与する。
通常妊婦に対しては初期量1日150〜300mgを3〜4回に分割経口投与する。機能亢進症状がほぼ消失したなら、1〜4週間ごとに漸減し、維持量1日50〜100mgを1〜2回に分割経口投与する。正常妊娠時の甲状腺機能検査値を低下しないよう、2週間ごとに検査し、必要最低限量を投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 肝障害のある患者[肝障害をさらに悪化させるおそれがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、検査成績又は臨床症状に悪化が認められた場合には、本剤の投与を中止し肝機能検査を含む観察を繰り返して、本剤との因果関係を確かめ、その状況に応じて適切な処置を行うこと。]
- 中等度以上の白血球減少又は他の血液障害のある患者[白血球減少あるいは血液障害を悪化させるおそれがある。]
重大な副作用
無顆粒球症、白血球減少
頻度不明
- 無顆粒球症、白血球減少(初期症状:発熱、全身けん怠、咽頭痛等)があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査を行い、異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
再生不良性貧血、低プロトロンビン血症、第VII因子欠乏症、血小板減少、血小板減少性紫斑病
頻度不明
- 再生不良性貧血、低プロトロンビン血症、第VII因子欠乏症、血小板減少、血小板減少性紫斑病があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、黄疸
頻度不明
- 劇症肝炎、黄疸等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
SLE様症状
頻度不明
- SLE様症状(発熱、紅斑、筋肉痛、関節痛、リンパ節腫脹、脾腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
頻度不明
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎症候群
頻度不明
- 本剤投与中に急性進行性腎炎症候群(初発症状:血尿、蛋白尿等)や肺出血(初発症状:感冒様症状等)、肘・膝等の関節痛、紫斑、上強膜炎等のANCA陽性血管炎症候群による障害を認めたことがある。このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー
頻度不明
- アナフィラキシー(そう痒、発疹、顔面浮腫、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬剤性過敏症症候群1)
頻度不明
- 初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
薬効薬理
- プロピルチオウラシル投与により、IodotyrosineからIodothyronineを生成する縮合反応、Monoiodotyrosine(MIT)からDiiodotyrosine(DIT)を生成するヨード化反応、更にTyrosineからMITを生成するヨード化反応が阻害される(ラット)3-5)。
- プロピルチオウラシルは、ThyroxineからTriiodothyronineへの脱ヨード化抑制や131I‐thyroxine投与による胆汁中、便中の131I排泄の増加、尿中排泄の減少等の末梢作用が認められた(ラット)6)。
- イヌに0.045〜0.050mg/kgを静脈内投与した結果、酸素消費量は30%減少し、体温降下は5℃であった7)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- プロピルチオウラシル(Propylthiouracil)(JAN)
化学名
分子式
分子量
性 状
- 白色の粉末で、においはなく、味は苦い。
エタノール(95)にやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
水酸化ナトリウム試液又はアンモニア試液に溶ける。
融 点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- propylthiouracil, PTU
- ラ
- propylthiouracilum
- 商
- チウラジール、プロパジール
- 関
- 薬理学、甲状腺、抗甲状腺薬
分類
薬理作用
- ペルオキシダーゼは濾胞内でO2からH2O2を生成し、H2O2によりI-がI・となりサイログロブリン上のチロシンに付加反応を起こす
- この阻害作用はチアマゾールも示し、チアマゾールの方が薬効が高い(より少量で作用する)
- 2. 末梢(肝、腎)でT4からT3へ変換を抑制する
- 肝、腎、甲状腺にはtype I iodothyronine 5'-deiodinaseが存在し、T4からT3へ変換している。
副作用
GOO.1529
- 肝機能の異常は高投与量でみられるかもしれない
- 稀:発熱、肝炎、腎炎、血管炎(ANCAと関連か?)
- antineutrophilic cytoplasmic antibody(ANCA)はプロピルチオウラシル投与患者の50%に見られる
- (別の資料では、20%の患者がANCA陽性)
- ANCA陽性腎炎と関連?
[★]
- 英
- uracil Ura
- 同
- 2,4(1H,3H)-ピリミジンジオン 2,4(1H,3H)-pyrimidinedione
- 関